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【ドラニュース】

プロでも野球楽しむ男…“新庄さん復帰挑戦”に川上憲伸さん「称賛に値」 コロナ禍の球界に彼がもたらすもの

2020年5月6日 12時25分

[野球ファンに届ける 本紙評論家リレーコラム]川上憲伸

中日との日本シリーズで右越え二塁打を放ち、笑顔で二塁へ滑り込む新庄=2006年10月21日、ナゴヤドームで

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 新庄剛志さんが現役復帰を目指してトレーニングを積んでいるという。ボク個人の意見では大賛成。新型コロナウイルスの影響で開幕すら危ぶまれている状況の中、新庄さんが日本球界に復帰すれば、その盛り上がりはすさまじいものになるのではないだろうか。

 現役時代に対戦もさせていただいた(31打数7安打、打率2割2分6厘)が、ボクの中では野球ファンが抱く印象とは少し違う。新庄さんは感性で野球をしているように思われがちだが、阪神時代は決してチームが強くない中、配球をよく読む打者のイメージだ。

 右投手のボクが右打者に対して最も嫌なのは、内角球を左翼線に痛烈な安打を打たれること。というのも、内角球を引っ張られて安打されると、その後の打席でどう攻略すべきか悩まざるをえない状況に陥るからだ。新庄さんには、この内角球をきれいにさばかれた。配球を読むと察知したのは、そんな痛い目にあった経験からだろう。と同時に、人が打たないところで打つ印象も強い。

 スポーツ選手にとって「引退」の2文字というのは、大げさに聞こえるかもしれないが「死」を意味することと同じ。ボクも右肩痛を抱えつつ、1年浪人してまで現役に固執したように、正直、死にたくはなかった。引退に直面する多くの選手は、おそらく死にたくないと感じるのではないか。

 一度、引退を決めた新庄さんがどんな思いで現役復帰を目指しているのかはわからない。ただ新庄さんの場合は「野球=仕事」という捉え方ではなく、野球少年がそのままプロでも楽しんでいたプレーヤー。48歳であろうと、その姿勢が変わることはないだろう。

 その可能性はと問われれば、正直「?」マークはつく。いくら抜群の身体能力を持つ新庄さんでも、年齢からくる予期せぬ故障の危険があるからだ。ただ、そのチャレンジが称賛に値することは言うまでもない。

 

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