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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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ファミリア

「次は何処へ行くんですか?」

「そうだな。フィーロの部屋にでも行くか」


 一応フィーロにも部屋を与えている。

 俺の家の一室だ。


 フィロリアル舎でも良いだろうとは思ったのだが、フィーロが欲しがったのだからしょうがない。

 子供は自分の部屋を欲しがるよな。それと同じだろう。

 本人が居た試しがないけどさ。


 一応はカギを掛けているようだけど、何をしているかそろそろチェックする頃合いだ。

 俺は自分の家に入って、フィーロの部屋の扉を開ける。


「これは……」


 子供の玩具や光り物がそこら中に転がった、まさしく子供部屋みたいな部屋だった。

 ただ、藁で作られている鳥の巣がある。

 使った事があるのか? あんまり形跡がない。


「卵とか転がっているかもしれないぞ」

「フィーロが卵を産むのですか?」

「ああ、もしかしたら元康……いやメルティとやった卵があるかもしれない」

「メルティちゃんは女の子です!」


 ラフタリアのツッコミが鋭いな。

 しかし、ラフタリアは知らないかもしれないが、フィーロはメルティとそういう関係だ。

 主な原因は俺なんだけどな。

 その件に関しては全面的に頭が上がらない。

 本人は違うと主張するだろうけどさ。


「むしろナオフミ様とのがあるかもしれませんよ!」

「そんな訳あるか!」


 まったく、ラフタリアは何を考えているんだ?

 フィーロを相手にとか寝言は寝てから言え。

 ……ほんの少し前に犯され掛けたがな。


 さて、こんな散らかった部屋で何があるのかと、調べているのだが……。

 なんか結構高そうな鉱石とか、装飾品が無造作に置かれている。

 出所は何処だろうか?

 後、巣の中に骨が転がっているのは、どうなんだよ。食い残しか?


 フィーロってよく考えると二面性があるよな。

 天然ピュアな所と野獣そのものな所。おそらく野獣が本性だろう。

 まあ俺が昔注意した、ペリットは無いから良いけど……。


 この骨、竜っぽいな。

 フィーロに爆走させてLv上げとかさせた時の戦利品か?


「没収したら怒るだろうなぁ」

「勝手に見る時点で怒ると思いますよ」

「そうだな」


 ん?


「「ピイ!」」


 俺の鎧の中からフィロリアルの雛が出て、辺りを調べ始める。


「なんですかそれ!」

「ああ、なんかフィーロから貰った雛なんだけど、何処からか出てくるんだ」


 鎧を脱いでも居ないし、服を脱いでも出てこない。

 時々鎧の隙間から出てくるんだよな。

 何だろうこのフィロリアルの雛。


「ナオフミ様……もしかして寄生されてるんじゃ……」

「なんだと!」 


 あの二匹の雛はまさか俺に寄生しているのか?

 冗談じゃない!


「「ピイ!」」


 雛二匹が巣から何かをごそごそと取り出している。

 なんだ?

 こぶし大より少し大きな宝石のような物が出てきた。


「綺麗な石ですね。桜色をしていますよ」

「そうだな……なんだこれ?」

「さあ?」


 目利きで鑑定してみる。

 フィーロの……魔力石?


「「ピイ!」」


 雛鳥二匹が俺の手にその魔力石を乗せる。


「持って行けと?」

「「ピイ!」」

「フィーロに見つかったら危なくないか?」

「「ピイ!」」


 雛鳥二匹がブンブンと首を振る。

 というか何なんだよお前等は。

 と、疑問に思っていると、手に乗せていた魔力石が解けて俺の手の上で蒸発する。


「うわ!」


 もうもうと煙が立ち、気化した何かが俺に向かって飛んできた。

 やべ! 逃げよう!

 そう思った直後に、煙は俺を包み込み……晴れた。


「な、なんだったんだ?」

「ナオフミ様、大丈夫ですか?」

「ああ……特に異常は無いようだけど」


 一応、ステータスを確認する。

 気がつかない内に状態異常になっていたら困るし。

 心なしか魔力が上がっているような気がする。というか……なんだろう。

 ガエリオンの加護とは別の何かが掛った気がした。


 そして、フィーロが何処に居るのか気配が察する事が出来るような気がする。

 多分、こっちの方へ走ってきている。

 なんだろうか? これ。


「「ピイ!」」

「お前等なー」


 と思っていると、雛鳥二匹の魔物紋に変化が起こっている。

 盾が光っているようだ。


 スキル『ファミリア・フィロリアル』を習得しました。

 スキル『モードチェンジ・フィロリアル』を習得しました。


 ファミリア?

 ゲームとかだと使い魔だよな……?

 なんなんだ?

 って、気にしてたら危ない。

 フィーロがもう直ぐ帰ってくる!


「ラフタリア。急いで部屋を出るぞ! フィーロが帰ってくる!」

「え? あ、はい!」


 俺達は急いで部屋から出る。

 その直後だった。


「ただいまー!」


 ご機嫌なフィーロが家の扉を開いて帰ってきた。


「おかえり」

「よ、よく帰ってくるとわかりましたね」

「なんとなくな」


 何だろうか?

 気とかを確認せずにフィーロが何処に居るかが感じ取れたぞ。

 というかファミリア・フィロリアルとモードチェンジ・フィロリアルってなんだよ?


「あ、ごしゅじんさまー。なんかねーフィトリアが覚えたスキルは、この前のお礼だってー」


 見抜かれてる!?

 じゃあ隠す必要はないのか?


「えっとねー、その子達はフィトリアに頼まれてごしゅじんさまに渡したんだけどー……いつでもごしゅじんさまを守ってくれる魔力で作られた子なんだってー」

「ああ、だからいきなり現れるのか」

「うん。ごしゅじんさまの魔力に適応するまで黙っててって言われてたのー」

「……俺に寄生してないか?」

「うーんとー……あれ? 声が聞こえなくなったよ?」


 フィーロがアホ毛を弄って答える。

 やはりそうか。

 この雛鳥二匹は俺に寄生しているフィロリアルなのかよ!


「イヤならフィーロに付けられるんだって」

「へー」

「ごしゅじんさまの魔力をフィーロに付与させる事が出来るようになったんだって、だからフィーロ、ごしゅじんさまが何処に居るかわかるよ」

「ああ、そう」

「……さっき、フィーロの部屋に居なかった?」


 ギク!?

 まあ、フィーロにばれても痛くも痒くも無いけどさ。


「お前の部屋を見た。もう少し整理整頓しろ」

「ぶー」

「で、お前の巣の中で桜色した石を見付けたぞ」

「そんなのあったんだー? フィーロ全然知らなかったー」

「知らないのかよ」

「そういえば……メルちゃんもフィーロと一緒に寝た朝に見たって言ってた」

「へー……」

「最近、メルちゃんにもごしゅじんさまに上げた子が居るのはその所為なのかな?」


 メルティも寄生されているのか。

 アイツも地味に苦労性だな。

 その原因である俺が言うのもアレか。


「「ピイ!」」


 とりあえず、イヤだからフィーロに引っ付けよう。

 と、二匹を掴んでフィーロに押し付けると、ブニョっと柔らかくなってフィーロに入って行った。


「え?」


 ラフタリアが目を丸くしてる。

 人型に変身しているフィーロの羽が光る。

 視界のアイコンにモードチェンジ・フィロリアルと出た。

 ……何個かパターンがあるみたいだ。

 デフォルト、パワー、スピード、マジックと色々ある。

 とりあえずパワーにしてみよう。


「あ、なんか力が出てくる感じがするよ」

「ふむ」


 これ、フィーロのステータスを弄る事が出来るのか。

 デフォルトに戻そう。変に暴れられたら面倒だ。

 すると二匹がフィーロから出て俺に纏わりつく。


「「ピイ!」」


 雛鳥二匹が俺の鎧に潜り込んだ。

 くそ! 出てけ!

 と、鎧を脱いだが出てこない! 服の下にもいない。

 まったく、フィロリアルは余計な物を俺に取り付けやがる。


 というかフィーロが変にパワーアップ可能になったって奴か? ふざけやがって。

 フィーロの部屋なんて調べなきゃよかった。

 腹いせに理不尽な命令をしてやる。


「フィーロ、部屋は定期的に掃除しろ、抜き打ちで見たけど汚かったぞ」

「はーい!」


 何やらご機嫌なフィーロが俺の指示通り部屋の掃除を始めた。

 高そうな鉱石とかもいらないからと倉庫に持っていくし、少しだけ聞きわけが良くなったような気がする。


「なんかねーごしゅじんさまがもっとわかるようになった気がするのー」

「あっそ」

「お姉ちゃんには負けないよ」

「何を言っているんですか!」

「ごしゅじんさまはこの後も村の子達の部屋を回るの?」

「ああ」


 一応は見て回る予定だ。

 本人のいない間にな。

 その後、フィーロも連れて村の連中の部屋を見回る事になった。


 次はふんどし犬……キールの部屋を見たんだが、日記が部屋にあった。

 読んでみると、その日食べた美味しい物とふんどしのキレとか漢になるにはとか、そんな内容ばかりだった。

 ……部屋に犬小屋があるのはどうなんだ? あのふんどし犬は!


 次は谷子。

 魔物の生態を研究したみたいなのが纏められた部屋だった。

 俺の所にいる魔物を一匹一匹入念に性格、大きさ、好きな物と凄く細かく書き込まれている。

 魔物好きなのは相変わらずなんだな。


「なんか、悪い事とは思いますけど、みんな個性的ですね」

「うん」

「そうだな……」


 次はアトラとフォウルの家だ。

 実際、最近までアトラが使っていた家だけど。

 ……中を確認すると、掃除は行き届いているようだ。

 まあ、アトラは俺の所に入り浸っていたから。フォウルがいなきゃ殆ど使わないか。


 まずはフォウルの部屋だ。

 武骨にベッドと机しかない。そりゃあ今日帰ってきたんだから変化がある訳無いよな。

 で、アトラの部屋にはぬいぐるみとか、いつの間にかある。

 アトラが大事にしている様子は見た事が無いんだよなぁ。

 というかフォウルの私物じゃないか? あれ?

 むしろアトラの部屋がフォウルの部屋だな。


 前に見た時よりファンシーになっている気がする。

 ピンク色の壁紙が貼られているぞ。ベッドを使った形跡があんまりない。

 なんか……今まで見た部屋の中で浮いているぞ、この部屋。

 少女チックというか。


「可愛らしい部屋ですね。アトラちゃんはこういう部屋で寝ているのですか?」

「いや? 多分、フォウルが帰ってくるまで使ってなかったんじゃないか?」

「うん。アトラちゃんはいつもごしゅじんさまの隣のベッドで寝てたよ」

「……私のベッドですよ?」

「そう言えばそうだったな。サディナと一緒に寝ていた」

「アトラちゃんとサディナ姉さんの匂いがするベッドで今夜寝る羽目になるんですか……」


 ラフタリアが困ったように眉を寄せている。

 ま、そうなるな。

 実際アトラって俺の部屋に来たがるし、私室は必要なさそうなんだよなぁ。

 フォウルの夢の部屋という事にしよう。


 でー……サディナの部屋は、この村には無い。

 秘密基地が奴の家だしな。


 次はイミアの部屋だ。

 ルーモ種は村の地下に住居を構えている。

 一応陥没とかはしない作りだそうだ。

 キャンピングプラントで作って無いから扉を無理やり開ける事は出来ないが、鍵は掛っていなかった。


 室内は服の図面とか、型取り用の模型とかが置いてあって洋裁を真面目に取り組んでいるのが伝わってくる。

 お? 俺が作ったサングラスが部屋に飾ってあるようだ。

 今のは後日、他のルーモ種に作って貰った物だ。即興で作った物より良いだろと俺が勧めたんだよな。

 物を大事にする良い子だ。


 目ぼしいのはこんな所か。

 他の奴隷共も似たようなモノだった。

 ただ、フィーロと同じく掃除が適当で汚いのが多い。

 晩飯の時に抜き打ちでチェックした事を告げて注意しておいた。

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