安旨ウイスキーの第三弾は、キリンのオークマスター 樽薫るです。

キリンが復刻したブランド

oak_taru2_オークマスターとは、現在はキリンの傘下にあるメルシャンが発売していたウイスキーのブランドでした。

メルシャンは1934年に昭和酒造の名前で創業しました。創業者は味の素株式会社を創設した鈴木三郎助の次男の鈴木忠治で、1990年代後半まで、味の素が筆頭株主でした。

昭和酒造は、三楽酒造と名前を変えた後、山梨で創業し、1946年からウイスキーの製造を行っていた、オーシャン株式会社を1962年に買収しました(三楽オーシャンに社名変更)。

三楽オーシャンは1980年代まではサントリー、ニッカと並ぶウイスキーメーカーで、1955年にオーシャンが設立した軽井沢蒸溜所のモルト、1969年に導入したカフェ式連続蒸留器によるグレーンを主体としたウイスキーを製造していました。

1990年にワインのブランドであったメルシャンに社名を変更しますが、ウイスキー需要の大幅な低下にともない、2000年に軽井沢蒸溜所での製造が終了しました。

2006年には味の素との縁を切り、キリンビールと資本提携を結んで傘下に入ると、事業整理の一環として、ウイスキー事業はキリンディスティラリーに集約され、事業停止していた軽井沢蒸溜所は2011年に閉鎖、取り壊されました。
なお、中の設備は静岡のガイアフローが一部を買収、利用しています。

現在販売されているオークマスターやオーシャンブランドのウイスキーは、キリンの御殿場蒸溜所のモルト、グレーンを使ったものとなっています。

さて、オークマスター 樽薫るは、2016年3月に発売され、従来あったボストンクラブの事実上の後継となりました。

2019年には、キリンの主力ボトルであった「富士山麓 樽熟原酒50度」が販売終了となったことで、2020年現在、キリンのメインとして販売されています。

それでは飲んでいきます。

ストレート

グラスからは青リンゴの香りが広がる印象ですが、口に含んでみると、カラメルの甘い香りの後、ほのかにメロンが続きます。青リンゴは奥の方でかすかに感じられるか、という程度に収まっています。

味わいは、アルコールからの辛みはそれなりであるものの、その後は軽い渋みの後に酸味が全体に広がっていきます。甘さはほとんどありません。

ロック

メロンとメープルシロップの甘い香りが一緒に先に訪れ、後からは青リンゴ、ライムの爽やかな香りがついてきます。

味わいは、甘みが顔を出すようになって、ストレートでの酸味、渋みが柔らかくなります。

水割り

まず、トゥワイスアップにすると、接着剤の香りが先行し、後から青リンゴ、メープルシロップの香りが続きます。
味わいは、アルコールの辛みがある程度残り、その後に酸味、渋みが続きます。

次に、1:4で割ってみると、ほのかにメロンとナッツの香りが先に訪れ、後から青リンゴが追いかけてきます。

味わいは、軽く苦みがある後に酸味が続き、後味はほのかに甘いです。

ハイボール

1:3で割ってみると、メロンや接着剤の香りが先に出て、後からカラメルの甘い香りが追いかけてきます。

味わいは、苦みが口に広がり、酸味が後から現れてきます。甘みはほとんどありません。

まとめ

キリンは全体的にバーボンっぽい香りを伴うことが多いのですが、樽薫るではその傾向はそれほど踏襲されておらず、青リンゴの香りが全体を占めている印象があります。

味わいにおいては、どちらかというと渋み、苦みが表に来ている印象で、甘さはロックで初めて目立つものの、それ以外ではさほどに感じられません。

とはいえ、サントリーやニッカのようなスコッチウイスキーを手本にした道を進むものに対して、キリンはバーボンっぽさを兼ね備えた変化球のような癖を持っているので、少し気分を変えてみようと思うときに飲むのもいいでしょう。
  • メーカー:キリンディスティラリー
  • 容量:640mL
  • アルコール度数:40度
  • 香り:カラメル、メロンの香りが先立ち、後から青リンゴが追いかけてくる。加水が進むと前後が逆転する。
  • 味わい:渋さが目立ち、後から酸味が来る。ロックで甘みが最も感じる。
  • ストレート C: アルコールの辛みのあと、酸味と渋みが目立つ。
  • ロック A: 甘さが前に出るようになり、飲みやすくなる。
  • 水割り B: フルーティさがあり、渋みがあるものの、後味は甘い。
  • ハイボール C: フルーティな香りだが、酸味や苦みが表に出る。