ホテル・ペンドラゴン

💙噴水前

小宮・あき  1月29日18時
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《ホテル》 噴水前

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時間だ。光と水のショーが始まった。
ライトに照らされながら、湖を模した噴水から水が空へと流れる。舞う。絡み合う。
時にはおてんばな童女のように。あるいは、艶めかしい踊り子のように。
飛沫すらも宝石のように輝きを放ち、一時たりとも休むことなく踊り狂う。
最後は勤勉な淑女のように、定刻通りにカーテシー。どうか彼女に喝采を!


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最大2名まで
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決まり(必読)
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足を踏み入れる(2人)
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ホテルに戻る
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ヘンペル・トリックボックス  3月27日07時
(日が沈む。噴水前の長椅子に腰掛けて、舞い踊る光と水のショウをぼんやりと眺めていた。湧き上がる歓声、陽気に流れるアコーディオンの音、行き交う人々の雑踏──目の前に在るのに、どれも何だか酷く遠い。蠢く無数の影法師、輝く飛沫のカーテン越しに──見慣れた木春菊を、ずっと探している。) (無効票)
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鈴木・志乃  3月27日09時
(こんなに気乗りのしない待ち合わせというのは、生まれて初めてだと思う。吸血鬼の館を襲撃した時も、命を懸けた大脱走をした時も、劇団の団長とミーティングした時もここまで無感情にはならなかった。ひたすらに体が重く、一瞬でも気を抜けば車に轢かれそうだなぁなんて、ショーの前でどうでもいいことを考えてみる。綺羅びやかなはずの空間は、色がなくて味気なく思えた。) (無効票)
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ヘンペル・トリックボックス  4月2日22時
(首から下げた懐中時計を、無意識のうちにキュッと握り締めていた。掌の内で静かに、されど確かに回り続ける無数の歯車。時間は無慈悲に有限で、それ故なにより公平だ。開かない蓋の奥、廻る秒針に切り刻まれて、不確かな雑踏が目の前を通り過ぎてゆく。等間隔に分割されたモザイク画。その中にふと、白い花が揺れたのを見た気がして。まるで天から糸に吊られるように、思わず立ち上がった。)
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鈴木・志乃  4月2日23時
(合わない焦点とクラゲみたいにふわつく足で、人の海を漂った。意識が希薄だと自分の存在が宙に浮いて、どこか非現実的なものになったように感じる。私は確かにここに存在しているのに、)
……。
(目立つワインレッドはすぐに見つかった。雑踏の中、操り人形みたいに立ち上がる姿を確かに見た。見つけたくなかったけど見つけてしまった。)
……。
(悪いのは自分なのに恨みがましい目線を向ける。全部無かったことにして今すぐ帰りたい気分だったが、無慈悲なことに時は巻き戻せないらしかった。おお神よ、恨みます、ホント。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月3日20時
志乃さ──
(声を上げかけた喉を、あの日の笑顔がガチリと締め付けミュートする。……ホントに彼女を呼び出してよかったのか。まだ一人でいたいんじゃないだろうか。己の顔なぞ──見たくはないのではないか。勢いに任せて押さえつけていた厭な考えが、次から次へと浮かんで脊髄に絡みつく。)
 ……、……、
(硬直する手足。舞い踊る飛沫の中、ただ棒のように立ち竦む己はまさに木偶人形だ。葛藤に喘ぐ胸中で、鼓動を打つ炉心だけが愉しそうに、漏れ出す苦汁を啜っていた。)
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鈴木・志乃  4月3日21時
(思わず足が地面を蹴った。人の波を掻き分けて、周囲の反応には目もくれず駆け寄る。そんな表情をさせたかったわけじゃない。消えかけていた感情が一気に動き出して)
──、
(風を切って目の前に立った瞬間、咄嗟に言葉が出なかった。そんな顔をするとは、思ってもみなかったから。何とかどうにか空気を変えたくても、いかんせん状況が状況なもので。)
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鈴木・志乃  4月3日21時
…………人前で抱き締められたくなかったら、笑って下さいな。
(ごくごく近くで老人にだけ聞こえるようにぼそぼそと、声に出す。言ってからあれこれ意味不明過ぎじゃない?と思ったけど、気が動転していたのでどうしようもなかった。内心パニックである。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月3日22時
……、……、……、
(やはり身動きも取れぬまま、作り笑顔には失敗して……奥歯を噛んで俯いた。言わなきゃいけないこと、聴かなきゃいけないこと、確かめねばならないこと、全部が胸中で渦を巻いて──)

 …………ごめん。

(結局口を突いたのは、そんな三文字だった。)
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鈴木・志乃  4月3日23時
(ぐる、ぐる、ぐると思考と感情が回転して呆ける。359度回って一ミリだけ変化したような、大改造劇的ビフォーアフターしたような、結局訳が分からんような──分かったような。)

 いえごめんなさい。100パーセント私が悪いです。

(すみませんでしたと頭を下げる。違う、本当は悪い悪くないと言った話ではないのだ。それでも間違いなく、自分のせいでこの老人は酷く打ちのめされていた。それが分からないほど感情に疎い訳ではない。)
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鈴木・志乃  4月3日23時
……私は貴方のおかげで生きてるんですよ、今。
(しわがれた手に触れようと、自分の手を伸ばす。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月5日20時
(──ごめんなさい。その言葉に、首をぶんぶんと左右に振った。)
 ……有耶無耶にしていました。否、あの娘が最後に教えてくれていなければ、そもそも僕は思い至る事すらなかった。きみがずっと抱え続けてきた、その感覚を──その乖離を。
(胸中を灼く不甲斐なさが喉までせり上がってきたせいで、酷い声だった。絞り出す様に、血を吐く様に、一言ひとこと口にする)
 ……あまりに卒爾驕慢が過ぎるじゃあないですか。無神経に過ぎるじゃありませんか。僕は……まるで“きみ”という存在に向き合ってこなかったって、そういう事じゃあないですか……。
(伸ばされた手に、一歩退く。自覚した己に、彼女の言葉は重すぎた。)
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鈴木・志乃  4月5日21時
──、
(あ、これ完全に誤解してるマズイと思った時の顔。)



(もしくは、私がおかしいのか。この状況でも勝手に笑顔を浮かべられるような、そういう存在の私が。)
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鈴木・志乃  4月5日21時
黙って座って下さい。剥離してんのは今の私達の間の認識ですよ。黙って座って菓子を食え。OK?
(強烈な程満面の笑みに威嚇を滲ませて、巫山戯たことを宣う。笑顔とは本来攻撃的なものである。)
 貴方が幸福を押し付けてきたことは一度もない。私はあの子を心配させたくなかっただけで、貴方に対してそう思ったことはないです。
(無神経だろうと何だろうと、やっぱり手を伸ばし続けた。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月5日22時
(言われるがままに大人しく、ストンと長椅子に腰を下ろす。流石に何かを口に入れる気にはなれなかったが。)
 ……理解らないんです。
(もう一度力なく頭を振って、素直に思った事を吐き出した。認識の剥離? その通りだ。それが何よりの不安要素なのだから。)
 ……きみの言う“幸せ”って、一体なんですか……?
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鈴木・志乃  4月5日22時
(力なく腰かけた人形の隣にさりげなく座って、考えを巡らす。距離は近いがあまりにも遠い。心が、感情がこんなにも離れている。)
 皆が幸せであること。……じゃ、納得してくんないでしょ、多分。
(一人だけバッグからチョコ菓子を取り出して口に放り投げる。いつぞや喧嘩の種にもなったお菓子を。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月6日07時
(こくんと頷いて、膝の上に視線を落とす。煌びやかな光のカーテンの下、雑踏の落とす黒い影がゆらゆらと蠢いて見えた。)
 ……恐くなったんです。きみの言う様に、きみの幸せがヒトの観念とズレているのなら──きみの身を案ずる人たちの想いすら“幸せの押し付け”と成り得るのなら──僕はあまりに、きみというひとを理解できていなかったんじゃないか、と。
(それは、あまりに哀しいじゃないですか、と。膝の上、拳を握る。)
 ……皆が幸せな世界に幸福を感じるのは、僕も一緒です。で、あればこそ──きみに問いたい。その“皆”の中に、きみの存在は入っているのですか……?
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鈴木・志乃  4月6日08時
あんにゃろう、■■■め……。
(一体何を吹聴したんだとこめかみに皺が寄る。話がこじれにこじれまくって、しかもより混沌と誤解を招きそうな状況に笑みしか出ない。)
 絶対話したくなかったのになぁ……。洗いざらい話しますけど、私でも私のことちゃんと理解できてませんからね?
(完全に諦めて息を吐く。心臓がばくりと嫌な音を立てた。ここはホテルの領域。知り合いが聞いていないとも限らない。これから話す内容を、出来れば誰も聞かないでくれと祈りながら、大きく酸素を取り込んだ。あぁ、頭がくらくらする。)
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鈴木・志乃  4月6日08時
……入ってません。“皆”の中に、私は入ってません。
(一言ひとこと噛みしめるように、反芻するように、確認するように言葉を選んで音にする。)
 もしオブリビオンと戦うのに贄が必要、なんてことになったら。私は自分の存在一つまるっと投げ出してしまうでしょうね。――隣の誰かさんを手に入れられなかったことを、本気で悔しがりながら。
(次第にまばらになって行く人影は、これからご飯の時間だろうか。それともお風呂に浸かってのんびりするか、夜の街まで繰りだすのか。どれにしろ、皆思い思いの時間を過ごして行く。自分だけの時間。自分だけの生。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月7日20時
…………どうして、
(渇いた喉がひゅう、と音を立てた。じわりじわりと熱を帯び、疼痛が胸中を蝕んでゆく。それ見たことかと嗤う炉心。その言葉があまりに残酷で、その先を確かめるのが恐ろしくて──胸が痛い。)
 ……どうしてそんな、哀しいことを言うのです。僕だけじゃない、きみを慕う人が沢山いる。気の置けない友人として大切に思っている人も、きみに救われ感謝している人も、忌憚なくきみを「大好き」だと言ってくれる人だって──天秤にかけて尚投げだせるほど、きみたちの紡いできた縁は軽くないでしょう……!?
(声が震える。そうだ。それがなにより、己には哀しく思えてならなかったのだ。彼女が己の存在を人外と位置付けているのは、だいぶ前から気が付いていた。それでも、それでも──必ずや届いている筈だと。そう思っていたのに。)
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鈴木・志乃  4月7日21時
……ね、おじいちゃん。
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鈴木・志乃  4月7日21時
自分のこと、好き?
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ヘンペル・トリックボックス  4月7日21時
……きみが好いてくれている僕のことは、好きだ。胸を張れる。少なくとも僕はもう、以前のように死を求めちゃいませんよ。それもきみのおかげだ。だからこそ、僕を変えてくれたきみが──
(変わっていなかったことが、哀しいんじゃないか。)
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鈴木・志乃  4月7日22時
(それを聞いてニコニコ笑う自分の口角は痛かった。大きな誤解だと思った。でもそれを伝える術も、納得してもらう方法も自分にはなかった。)
 ……貴方に会ってない間に、色々と思うことはありました。
(空を見上げる。この世界の向こうに広がる、他の世界を思い浮かべながら。)
 酷く人を傷つけたことも、無力を痛感したことも、この場から今すぐ消えてしまいたいと思うことも、それなりに沢山ね。
(もう一つ菓子をつまんで口に放り投げる。チョコレートがなかなか溶けずに、味が広がらないまましゃくしゃくと噛み砕く。)
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鈴木・志乃  4月7日22時
──、
(でも、一番は。苦虫を噛み潰したような顔をして俯いた。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月9日18時
(つかえるような沈黙に顔を上げる。広い世界を駆け巡り、幾多の戦場に身を置いた彼女だ、それこそグリモアなぞなくとも、数多の悲劇を見てきたには違いない。)
 ……志乃さん?
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鈴木・志乃  4月9日19時
(砂糖の塊と油分がやけに舌にまとわりついた。唾液で無理矢理に飲み下す。甘いものは体に毒だと言ったのは誰だったか。)
 多分、貴方が想像してるような悪いこと、無いと思いますよ。
(本当は何を考えているのか全く想像がつかなかった。それでも彼ほど気分が沈んではないし、いたって自分は健康だ。)
 別に私だって自ら特攻したいわけじゃありません。自分の命、大事にしたいと思ってます。
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ヘンペル・トリックボックス  4月10日21時
…………。
(戦争中、幾度も目にした報告書が脳裏をよぎる。彼女は沢山の敵を討ち取り、そして沢山の人々を救ってきた。素晴らしい成果だ。手放しで賞賛すべき、猟兵としての在り方。彼女が多くの人に認められるのは嬉しかったし、それを誇らしくも思った。しかしそれと同じくらい──怖くなったのだ。
 ゆうに数百を超える戦闘。意識が無くなるまで戦って、そうなれば憑霊させた身体で無理やりにでも死地へと赴き続ける。その活躍が耳に入るたび、応援する半面、漠然とした不安はいつしか確固たる心配へと膨らんでいった。
 これは、彼女のやりたいことには違いない。であれば応援もしたい。しかし、このまま無理を続けるのなら、いずれ彼女と言えども──。)

(──絶対に死なせない、どんな時でも助けに行く。そう約束出来ない己を、心底情けなく思った。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月10日21時
……全部、私の思い過ごしで良いのでしょうか。
(ぽつり、願う様に言葉を吐く。)
 ……全て私の心配が招いた誤解に過ぎなかったと、それで良いのでしょうか……。
(視線を落としたまま、どこか縋る様に言の葉をぽつり、ぽつりと積み上げる。)
 ……この不安は杞憂で、きみの親友の言葉は私の解釈違い。実は心配することなんて何一つなくて、私はゲラゲラ笑うきみに頭を掻きながら、安堵の溜息を吐いてニコニコいつも通り──それで、大丈夫なんですね……?
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鈴木・志乃  4月10日21時
……はい、そうです。と言ったところで、貴方の不安はなくならないでしょうね。
(息継ぎの仕方、声の出し方で大体の心情は汲める。感情を抑え込もうとする紳士に結局目線はやれず、もう一度空を見上げた。暗い空間で、舞い踊る光がようやっと網膜に映り始める。)
 ──えぇ、白状します。私、隠し事してます、貴方に。
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ヘンペル・トリックボックス  4月11日22時
(落とした視線の先、地上に蠢く無数の影。雑踏に揺らいだ彼女の告白は、ただ事実として淡々と、胸の内に沁み込んでいった。)
 ……そうですか。いえ、別にきみの心中を解体したいわけじゃないんです。言いたくないなら、言わなくても良いんです。ただ──
(人であれば、誰しも隠し事のひとつやふたつ、抱えて生きているものだ。その全てを詳らかにするつもりはないし、そうあるべきだと思う。けれど)
 ……その、それでも一つ聴かせてもらえるのなら。その隠し事は……僕が知ったら、哀しむようなことですか?
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鈴木・志乃  4月12日02時
(参ったねこりゃ──と苦笑した。どうしても黙っていたかった。はずなのに、この男の声が耳に触れる度今までの決意は容易く氷解して行く。結局無理な話なのだ、彼を無視して何かをしようだなんて。自分の感情を無理矢理ひん曲げて生きて行こうとするなんて。)
 ……そうですね、貴方が哀しむようなことです。私が私を蔑ろにしてますから。
(急に視界がクリアになって、弾ける水音が耳朶を打つ。人の生が意味のあるものとして眼前を流れ、世界に色が戻ってくる。)
 ……ヘンペルさん。
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ヘンペル・トリックボックス  4月13日20時
(返ってきた答えは、およそ不安に思っていた通りで。思わず噛みしめた唇の痛みに、明確な己が意思を再確認する。イヤなのだ。己は。彼女が彼女自身を省みないことが、心底から悔しくて苦しくて哀しいのだ。そしてこの感情は、“未だ己を嫌い続けている老人”に対して彼女が抱いている感覚と──完全に同一でなくとも、きっと相似している。
 ……嗚呼、そうか。イヤな気持ちにもなるだろう。自分が大切にしているものを、心底から愛してやまないものを、他ならぬ“それ自身”が蔑ろにしていたら──哀しくもなる。虚しくもなる。腹が立つのも当然だ。こんなこと、もっと早く気が付けばよかったのに。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月13日20時
(ひとり心中自己嫌悪。じつは性分いつものこと。吐き出す淀んだ溜息が、白く凝って擦れて溶けて──オレンジ色の声が、この名を呼んだ。)
 ……んぅ?
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鈴木・志乃  4月13日20時
──いっちばん最初に出会い頭、貴方早々なーんて言ったか覚えてます? 皆で恋ばなしてた時の貴方の主張なんですけど。
(だからこそ──だ。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月16日09時
えっ……と?
(急に問われて戸惑った。一番最初と言うと、もう一年以上も前のことだ。どんな話をしていたのかは覚えているが、自分の発言となるとイマイチ記憶に自信がない。目の前の彼女の言葉なら、わりと思い出せるのだが。)
 ……申し訳ない、サッパリで……。
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鈴木・志乃  4月16日18時
そりゃー忘れてるでしょーね、私も何言ったか思い出せませんから。
(むしろ覚えていたら衝撃、いや笑撃的である。しかし不思議なことに、眼前の道化師の言葉は意外と思い出せるのだ。自分の欲望に忠実、かつ非常にノリの良い発言だった。)
 多分覚えてたくない内容だと思いますよ、貴方ねー……
(さっとバッグから取り出した帽子を被り、手を乗せ格好つけて見せる。)

(間。息を吸って──)
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鈴木・志乃  4月16日18時
『おっぱいこそ浪漫』!!!

(※音量には注意しましたがここは往来です)
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ヘンペル・トリックボックス  4月16日21時
な に 言 っ て ん の !?
(※一年前の自分に向けて)
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鈴木・志乃  4月16日22時
いやー女性陣いた中堂々とノリノリで言い切りましたからね、あの時は笑いましたよ……。
(決め顔から忍び笑いにゆっくりと移行するが、笑いがこらえきれていない。表情筋がひくひくしている。)
 私がすかさず紳士のくせに~ってツッコミ入れたら『それとこれとは話が別! オーケィ、ミス・ブラック!?』……ですからね……。
(多分厳密には違うかもしれないが大体合ってるはずである。なんでこんなこと覚えてるんだろう。自分の脳みそを解剖してみたい。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月16日22時
えっ、えっ、えっ、そうでしたっけ? そんなこと公衆の面前で言ってましたっけ!?
(それこそ公衆の面前で取り乱す。ちょっと待て、そんな話だったか。いや、言われてみればそんな気もしてきた。なによりその主張が事実なのが酷い。)
 えぇー……。
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鈴木・志乃  4月16日22時
あーとそうそう、その後会ったの駄菓子屋さんでしたね。財布忘れてきて私が奢りましたよね、借金紳士さん?
(記憶の糸をほどいて、マーライオン並みに口から悪行をだはだば垂れ流す。容赦情けは一切ない。無邪気は無慈悲である。)
 貴方辛いの食べられないんですよね~、あの時悶絶してましたっけ。そーいや縁日行った時もわさび避けてましたね。苦手なんですねぇ……。
(完全にいつもの調子でけらけら、からから、面白がってからかうように一言ずつ噛み締めて行く。目は爛々と輝いて、それはいつぞやの親友にも似ていた。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月16日22時
う、うん……いや、それは全部事実ですけれども! そもそも貴方、一体なんの話をしてるんですか志乃さん……!?
(まるで話の流れが読めずに混乱する。なんだって過去の恥かしい話をひたすら暴露されているのだ、己は。)
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鈴木・志乃  4月16日22時
まー黙って聞きんしゃいな(突然の訛り)
それから私が一人黄昏てて、やってらんねーぜーってなってる時に中庭で会ったんでしたっけ。ポテチ食べてた時に『こんな深夜にスナックとは頂けませんねえ……』でしたっけ?
(首を軽く横に振って、もったいぶった間を空ける。真似しているつもりらしい。)
 ……………で、『こんな夜にはこれでしょう!』って言って帽子から何出しましたっけ、おじいちゃん?
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ヘンペル・トリックボックス  4月16日23時
……ラーメンです。この間ふたりで食べたのと、同じ。
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鈴木・志乃  4月17日05時
ほとんど会話したこと無い女性相手に深夜ラーメン、しかも帽子から出して来て実はあの時噴きだしかけたんですよね。
(鬱々とした気持ちが全部ぱぁです、とわざとらしく両手を宙で開いておどけてみる。)
 あんなに元気なくしてたのにね。いやぁ、笑いの力って凄いですね、ヘンペルさん?
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鈴木・志乃  4月17日06時
――えーその次ショッキングだったのが失明事件ですね。
(狼狽する老人を置き去りにし、尚もマシンガントークを展開する若者。普通だったらひっ倒されていてもおかしくはないが残念、この二人恋仲である。)
 なんか知らん間に私の為に視力潰して予知して下さったようで……。私未だにこの件のせいで、明日にでも貴方が無茶しないかいつも心配してます。ハイ。
(仰々しく大きなため息をついてジト目を向けながら、さりげなく腰を浮かして隣に詰め寄った。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月18日20時
い、いや、ですからアレは本来受動的なものであるグリモアの予知能力を能動的に使うためにオーバーロードさせた結果の一時的な視力低下であってですね……! きみが言うような取り返しのつかない致命的な無茶と言うワケ、で、は──!?
(急に詰め寄られて思わず仰け反った。反射的に目を逸らす。一時的とは言ったものの、あのまま酷使を続けていたら回復するより先に眼球パーツがショートして使い物にならなくなっていた事は、自分が一番よく分かっていた。)
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鈴木・志乃  4月18日20時
ま だ あ り ま す よ ゥ ?
(カクンと芯の通っていない人形のように首を傾ける。煌々と光を放つ瞳はガッチリ黒目をロックオンした。)
 エンパイアウォーの一か月間まーるで連絡つかなかったんですけどどういうことでSHOW? えぇえぇ説明いらないとは申しましたが、大体何があったかは察しておりますから伺いませんが、あの時私がどんな想いをしたかはもう一度考えて頂きたい!
(手につまんだたけのこの里をぐりぐりと髭が生えた口に突っ込もうと)
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ヘンペル・トリックボックス  4月18日22時
む、むぐぅ……!?
(急角度で首ごと目を逸らしたその矢先、ドリルの如き形状を有する茶色いあんちくしょうに口髭を蹂躙されて思わず苦鳴を漏らす。どちらにせよこの件は言い訳のしようがない。極々、極々個人的な因縁から、自分が広域呪波汚染一歩手前まで炉心を暴走させたのは動かしようのない事実なのだから。どれだけ心配かけたかなんて、己が語るもおこがましい。)
 ……ごめん。
(申し訳なさに、苦々しい表情。あんちくしょうを噛み潰す。)
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鈴木・志乃  4月18日22時
暴走キス事件は記憶に新しいですねぇ。でその後のーんびり縁日デートさせてもらった訳ですが。
(言葉に絶妙な強弱を付けつつも、有無を言わさぬ勢いで謝罪を呑み込み新たなたけのこを手に取る。まだまだこんなものではフルボッコンボには程遠い。完全KO燃え尽きたぜ真っ白になと言わせるまでは終わらない。欲しがりません勝つまでは。)
 金魚すくい楽しかったですねー。私は実力で沢山取りましたけど、誰かさんのポイは破けたんでしたっけ? なーんでか分からないんですけど私店主のおじさまに追いかけられたよーな記憶があるんですよねー、ねー……?
(顔を覗き込みさらにチョコ菓子を食わせようとぐいぐい押し込む。この際だ頬が筋肉痛になるまでお楽しみいただこう。普段の報復には生ぬるいぐらいである。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月19日22時
ぃ、イテッ、イデデデデ……!? ちょ、志乃さん、痛いですって……!
(いよいよ髭が巻き込まれて痛い。嗚呼なつかしくも愛おしい夏の終わり、思い起こせば今でも胸が弾む。手を引いて歩いた人混みは色んな表情で溢れていて、どれも等しく煌めいていた。無論、自分もそうだ。些細なトラブルすら、楽しい思い出となっているほどに。)
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鈴木・志乃  4月19日23時
ポイ偽造事件ぜったい忘れないから(引き攣った笑み)
 ちなみにあの後店主のおじさんに謝り倒して、仲良くなって日本酒一升瓶貰ってまだ私の部屋に置いてあります。今度持ってけ。
(テンポに乗る度荒々しくなる口調と語気。これが年上の恋人にする態度かと自分でも思うが、引き下がる訳にはいかない。チョコでえぐる動きは止めずに食え、食えと強引に脅す。)
 あ、あれ忘れてた。山登って蜂蜜取ろうとして蜂とチェイスしましたね。記念すべき初、『逆』お姫様だっこ。貴方ほんと無茶がお好きです、よ、ね!
(話を聞く気などさらさらない。元より反論なぞ出来なくなるような内容を重ねているのだ。あぁ、先まで聞こえていた噴水の音も雑踏も何も聞こえてこない。――この男にも聞かせてなるものか。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月20日19時
そ、そんな後日譚が……というかソレ、経緯的に僕が貰っちゃダメなのでは……?
(このままでは、毎朝手入れに一時間もかけている口髭が毟られかねない。実に甚大なる紳士力喪失の危機であった。仕方なく押し付けられるがまま、あんちくしょうを噛み砕く。違う。やはり違う。雑味の問題だ。己はあの、きのこのシンプルな味と食感が好きなのだ。これじゃないのだ。)
 んなコト言っても禹歩で壺中天に一人でトンズラなんてしたくなかったですし……だ、第一、あのお姫様だっこを提案したのはきみが最初じゃないですか!
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鈴木・志乃  4月20日20時
――こんにゃろう。
(やっぱりあの時一人でも逃げられたんじゃないか、と胸の奥が疼くのを誤魔化すように、押し付けていたたけのこを自分の口に放り投げる。というか)
 そも蜂と対決するのに対策ほぼなしで突撃した人に言われたかないですね! この前のバレンタインのダイビングスーサイドしかり! 無鉄砲もいいところですよ!
(バッグから紙パックの豆乳青汁を取り出し、ふて腐れながらストローを挿して啜る。思えばここまで不平不満をぶちまけたのは初めてかもしれない。冷静になった一瞬、自身のネタ切れを確信した。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月20日21時
こ、この間のはちゃんと反省してパラシュート仕込んでましたし……失敗しましたケド……。
(無茶無鉄砲はもとより、肉体の損傷にイマイチ抵抗が薄いのは不死の身ゆえか。これに関しては大昔に友人たちから凄まじい説教を受けている。怒られる理由もよく分かっていた。少なくとも『不死身だから傷つき続けたって構わない』なんて口が裂けても言うつもりはない。それは怠慢であり裏切りだ。)
 ……イヤにならないんですか?
(漸く止まった暴露タイム。おそるおそる、物陰から伺う様な心持で、傍らのきみに小さく問いかける。)
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鈴木・志乃  4月20日21時
(次の一撃を選びあぐねた頃、控えめな物言いが耳をくすぐる。ほらみろ、この人は『怒らない』。普通これだけ言われれば腹も立つ。ボロカスに言った胸がぎしぎしと嫌な音を立てて軋んだ。『自分だけ例外』なのはお互い様なのだ。自身に対する愛、価値意識がすっぽり欠落してしまっている。それは普通ではない体であったり、能力であったりが要因であって猟兵にはよくあることである。毎夜毎晩、自己嫌悪に襲われてそのまま朝を迎えることもままある。そんな自分に蓋をして、甘いチョコレートを噛みつぶすように幸せなもので誤魔化す日々。)
 イヤになるかって?
(まくし立てて息が切れた。荒い呼吸でした笑みは歪んで、さぞ私はにくたらしい表情をしているだろう。)
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鈴木・志乃  4月20日21時
……そんなあなたを、好きになったんですよ。
(可笑しいですか? 首を傾げて、ますます勝気なえくぼを深くした。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月21日22時
そ、それだけ鬱憤を溜めていてもですか……!?
(声がひっくり返る。いや、そもそもこの問い自体がナンセンスなのだ。彼女は暴走して呪詛を向けてくるような人形に、それでも『好きだ』とハッキリ言える、強い女性なのだから。その辺に惚れているのだ。いや他にも沢山あるけれど。中々言えないけれど。だからこそ──)
 ……きみはきみのこと、好きだと言えるのかい?
(それがとっても、気になった。)
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鈴木・志乃  4月22日03時
あ、ごめんなさい。今まで言ったやつ、鬱憤じゃなくて『貴方の好きなところ』ですので。えぇ、胸の話からダイビングスーサイドまで全部。
(さらりと、掌を返すように何でも無いことのように言ってのける。)
 貴方にとっては恥ずかしかったり、自己嫌悪の原因になったりするような過去をわざと並べたてましたけど。それ全部に惚れました。それを言いたかったんです。
(何なら一つずつ丁寧に説明したいぐらいだ。嫌な所もひっくるめて全部好き、なんて陳腐な言葉ではなく本当に『全部素敵だから全部好き』なのだから。)
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鈴木・志乃  4月22日03時
だって私も同じですから。自分のこと嫌いですよ。大嫌い。
(ずこー、ちゅー。豆乳青汁を啜る間抜けな音が鳴り響く。元々重たい空気は苦手なのだ。楽しく生活出来るならそれに越したことはない。それに己の夢の為にも暗い雰囲気は良くない。だから普段、自己嫌悪のような感情は奥深くにしまっている訳で。)
 私だったら私みたいな女は色んな意味でお断りですね。『イヤにならないんですか』、ヘンペルさん?
(無表情でひたすらパックの中身を啜る。つくづく変なやり取りをしていると思う。この男の前だとどうにも素直になれない。好きだと言うのは、恋を伝えるのはこんなにも簡単なのに。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月23日22時
な、なんと──。
(言葉を失う。歯に衣着せずに言うならば、なんとも屈折した好意の表し方であった。少なくとも、いよいよ愛想をつかされたのかと覚悟するくらいには。)
 い、いや……それ……えぇ…………。
(脳みそが目まぐるしく回転して、うまく言葉にならなかった。『それだけの欠点を知っていて尚、どうして好きでいられるんですか』とか。『単に痘痕も笑窪に見えてるだけじゃないんですか』だとか。そんな、彼女への問いかけが脳内で無数に鎌首をもたげて──“屈折した”)

 ぁ────。

(回る鏡の表裏。出題者が回答者に、回答者が出題者に、くるりと回って入れ替わる。答えなど考えるまでもなかった。『いくつ欠点があったって、この気持ちは変わらない』し、『笑窪が痘痕だろうときみは魅力的だ』。嗚呼、そうか。そういうことか。つまり──)
 ……イヤになるわけがないんですよ、そんなきみが好きなんだから。
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ヘンペル・トリックボックス  4月23日22時
(ほかの人よりも、似ている部分が少し多いだけ。ずっと、そう思っていた。どこか似ていると思いきや、方向性はまるで逆。そうかと思えば考えてることが丸っきり一緒で、そのクセやりとりは円滑とは言えずむしろ凸凹。そもそも存在からして“祈り”と“呪い”、即ち太源を同じくする逆転要素。『チグハグなのに息ぴったり』──当たり前だ。これは相似ではなく“鏡像”、逆転しているが故に、限りなく遠くて近しい存在だ。)
 ……うん。きみが嫌うきみも、僕は好きなんだ。それで……あー、うん、なんだ。つまり……“きみもそうなんだね?”
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鈴木・志乃  4月24日03時
……言われると恥ずかしいですね、これ。はぁ、や、もう、むり。それ以上言ったらまた“心臓を痛く”しますよ。
(紙パックをぺこぺこ鳴らしながら吸って、わざとノイズをまき散らす。何度聞いても『好き』の一言には慣れそうもない。恥ずかしい。死にそう。とても素面では聞いていられない。自然と俯いて顔を隠す。)
 ……すみませんでした、酷い言い方をして。普通に言っても聞いてもらえないと思ったんです。私達は自分を愛せないから。自分を大切に思えないから。
(自分に向けられた瞬間、言葉をそのまま受け取れないのは悪い癖だ。好きと言われたらどうして自分なんかと思うし、盲目になってるだけなんじゃないかと思う。だからこそ分かる。普通に好きと言われたぐらいじゃこの疑念は早々晴れない。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月25日21時
……ご明察、その通りですとも。参ってしまいますね、ホントに。
(……なんだか、一周回って可笑しくなってしまった。『私たちは自分を愛せない──』端的ながらもこれ以上ない真実。互いに誰よりも己を嫌悪しながら、それでいて恋した相手は鏡のむこう。鏡像に価値を見出しこそすれ、鏡の前の己にはまるで無頓着。傷ついた己を鏡に映して、漸く傷の意味を知る。『どうか自分を大切に』と、互いに出来もしない願いを投げ合いながら。)
 ……運命という言葉は、あまり好きませんが。それでも、これは──
(またひとつ、喉の奥でわらう。嗚呼、この恋が真の意味で成就するのは、きっと、もっと、ずっと、先のことなのかもしれない。互いが“自分を偽りなく愛する”……そんな、縫い目のないシャツを作るような、波打ち際で畑を耕すような──そんな無理難題を越えなければ、鏡のむこうに手は届かないのかもしれない。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月25日21時
……Are you going to Scarborough Fair? Parsley, sage, rosemary and thyme──
(それは、まるで吐息をつくように。気が付けばその旋律を口ずさんでいた。雑踏が流れてゆく。)
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鈴木・志乃  4月25日22時
Remember me to one who lives there,
(迷いなく紡ぎ出す、彼の好きなマザーグースの一節。一瞬で想起される歌詞と意味。無理難題をかつての恋人に課す男女の詩。)
For he once was a true love of mine…….
(カンブリックのシャツは作り方が分かるだけで、完成にはほど遠い。枯れた井戸でそれを洗うのは、方法はあるけど根気が要る。人類の生まれた日からずっと花の咲かない茨も厄介だ。けれど対処できない訳じゃない。それならさして問題ではない。――でしょう?)
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ヘンペル・トリックボックス  4月26日07時
──Tell her to make me a cambric shirt,Parsley, sage, rosemary and thyme,Without no seam nor fine needlework,And then she'll be a true love of mine♪
(ああそうさ問題はない。時間をかければきっと辿り着けるだろう。問題はこの惑星(ほし)の寿命が先に尽きないか、それが僕は心配だ。)
Tell her to wash it in yonder dry well,Parsley, sage, rosemary and thyme,Which never sprung water nor rain ever fell,And then she'll be a true love of mine♪
(背もたれに身体をあずけて口遊む。雑踏の中、何人かが脚を止めた)→

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鈴木・志乃  4月26日08時
――Tell me to dry it on yonder thorn, Parsley, sage, rosemary and thyme, Which never bore blossom since Adam was born, And then I'll be a true love of yours♪
(どうぞ私にやらせてみなさい、貴方の無茶なんて楽勝よ。)
Ask me to do you this courtesy, Parsley, sage, rosemary and thyme, And be asked for a like favour for me, And then you'll be a true love of mine♪
(そんな不可能をやってあげる。だから代わりに私にお願いされてよね――彼と彼女、私と貴方、歌詞を取り換えて傍らのバリトンボイスを追いかける。)

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鈴木・志乃  4月26日08時
Have you been to Scarborough Fair? Parsley, sage, rosemary and thyme――
(追いかけっこが逆転する。今度は私が逃げて、彼が追う番。ちょっと声も本気を出して、お腹にぐっと力を籠めた。響く音に“誰か”の目が留まる。)

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ヘンペル・トリックボックス  4月27日21時
Remember me from one who lives there──
(ききなれた、きみのこえ。心地よさに身を預け、紡ぐ旋律は滔々と。目深にかぶった帽子の下、ゆらりゆらりと揺蕩う意識が唐突に、無数の視線にピン止めされた。)
 ──!?
(慌てて帽子を撥ね上げる。なんだなんだと好奇の視線、ザッと見渡し百人超。無秩序な雑踏は足を止め、いつの間にやら皆一様に、さざめく観客と化していた。驚きに瞬きひとつ、現状把握にもうひとつ。そして──傍らのきみへもうひとつ。浮き立つ心と足並み揃え、ヒョイと起立し手を差し出した。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月27日21時
──For he once was a true love of mine♪
(踊りませんか、と。片眼を瞑って腰を折る。光と水のカーテンが、仕切り直しとばかりに夜空高く吹き上がった。)
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鈴木・志乃  4月27日22時
――Ask him to find me an acre of land, Parsley, sage, rosemary and thyme……♪
(――つちにうまりたいとおもったのはこれがなんどめか。目に映る観衆に息を呑みかけたと思ったら、茶目っ気たっぷりなウィンクが飛んで来た。あほか。貴方と踊るのは公演中とは訳が違うのだ。)
Between the salt water and the sea strand, For then he'll be a true love of mine!
(もうどうにでもなれと手に手を重ね身を委ねる。海水と波打ち際の歌詞に合わせて、水が空へと大きく舞った。胸の鼓動で脳が焼け切れそうになりながらも、勝気に笑ってお願いを口にする。――大丈夫、この人なら。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月28日07時
Ask him to plough it with a sheep's horn,Parsley, sage, rosemary and thyme♪
(くるりくるりと羊の角。うずまく螺旋をなぞるように、手をとり広場でステップを踏む。背筋を伸ばして1.2.3.回って放れてまた重なり、靴音は追いつ追われつリズムを刻む)
And sow it all over with one peppercorn,For then he'll be a true love of mine♪
(歌声はキリリと鮮烈に、舞踏はピリリと刺激的に。回る飛沫と光の舞台、輝く様に笑顔が咲いて──その表情が、なにより好きだ。)
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鈴木・志乃  4月28日17時
Ask him to reap it with a sickle of leather, Parsley, sage, rosemary and thyme♪
(満足げなエルフィンナイトと、ちょっとたじたじな町娘。地に足つけた瞬間に、ふっと息を吐き表情(かお)を作り直す。)
And gather it up with a rope made of heather, For then he'll be a true love of mine♪
(軽やかな足取りで夜風に乗り、パーカーを翻して身を寄せる。くるりくるりとヒースのロープ。まとめて見せてよコショウの実。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月29日06時
(外野から湧くどよめきと歓声。小さく笑って人差し指を立てる)
When he has done and finished his work,Parsley, sage, rosemary and thyme♪
(パセリ、セージ、ローズマリーにタイム、キミらは名も無き第三者(メッセンジャー)、どうかお見逃しのないように。彼方の二人に伝えてくれ、『必ず完成させる』からと)
Ask him to come for his cambric shirt,For then he'll be a true love of mine♪
(まとめて見せようコショウの実、取りに来てくれカンブリックのシャツ。そしたらきみは──)
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鈴木・志乃  4月29日23時
――"A true love of mine♪"(『私の恋人』)

(声を揃えて足並み揃えて、かかとを鳴らして片目を瞑る。純黒の鏡に自身を映して、自身もまた鏡となる。)
If you say that you can't, then I shall reply,
(出来ないなんて言ってみな。Parsley, sage, rosemary and thyme, 魔除けの呪いを繰り返し、目線を合わせて軽口を叩く。)
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ヘンペル・トリックボックス  4月30日06時
──Parsley, sage, rosemary and thyme,
(声を合わせておまじない。おどけた仕草で胸に手を当て)
Oh, Let me know that at least you will try──
(嗚呼、せめて『やってみる』と言ってくれ──どちらも譲らぬ愛憎戦線、けれども想いはどちらも同じ。ゲリラライブはクライマックス、降り注ぐ光の飛沫の下で、最後の一節を前に息を吸った。)
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鈴木・志乃  4月30日21時
――Or you'll never be a true love of mine!
(――でなければあなたは決して恋人ではない。)

(拒絶宣言を軽やかに歌い上げ、悪戯に瞳を光らせる。伸びた視線の先で誰かが、肩をすくめて笑った、気がした。)
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ヘンペル・トリックボックス  5月1日06時
――Or you'll never be a true love of mine!
(――でなければあなたは決して恋人ではない。)

(石畳を高らかに打ち鳴らし、踵がピタリと静止する。刹那の無音。そして──割れるような拍手と喝采が、噴水のように湧き上がった。)
 ……たまには悪くないネ、こういうの。
(飛沫と歓声を浴びながら、傍らのきみに小さく笑いかける。出会ってから丸一年。こうして並んで人前に立つのは、今日がはじめてのことだった。)
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鈴木・志乃  5月1日07時
(静かに一礼し、観衆に笑いかける。あくまで余所行きの顔――正確には照れて真っ赤になりそうなのを必死で堪えている――は崩さず、『心臓』をぎゅっとしようと試みた。ちょっと苦しくなるかもしれない。)
 ……そうですね。動画にするのは憚られますケド。
(貴方が格好いいのをこれ以上広めるのはちょっと、考えます。本音で戯言を吐き、恐ろしい数集まったお客様相手にもう一度礼をする。舞台から離れると宣言して早3カ月、結局ノリノリで歌って踊っている自分に少し苦笑した。)
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ヘンペル・トリックボックス  5月1日20時
……っ、そ、そうしてくれ。動画ってのは僕も慣れない。
(急な動悸と息切れ。胸に手を当てて共に一礼する。きみも大概魅力的だったよ、とコッソリ返して微笑みながら。)
 ……さて、ゲリラは引き際が命。ボチボチ袖に引っ込むとしましょうか──Thank you for your time!!
(顔を上げる。未だ止まぬ喝采に手を振って、今一度感謝の声を高らかに上げた)
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鈴木・志乃  5月2日02時
(改めて一礼し、疎らに散りゆく観客の間を通って退場する。スマホを握り締めて何かを打ちこむ女性の姿が横目に映った。やっぱり動画化されるかもしれない。)
 ……おっかしぃなぁ、ヘンペルさん。私達真剣な話をしに来てたと思ったんです。気づいたら観客相手にパフォーマンスしてるんですよ。おかしくないですか?
(喧騒から逃亡しながら、わざとらしく首をひん曲げる。そう、ついさっきまで二人して意気消沈していた、はずだ。それが気づいたら通行人を引き留めて公衆の面前で踊っている。これが可笑しくないわけがない。くつりくつりと笑みが浮かぶ。)
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ヘンペル・トリックボックス  5月2日19時
ハハ、確かに。傍から見たら、まるで脈絡がなくて珍奇なやりとりだったかもしれませんネ。
(歩幅を合わせて視線を下げる。楽しそうに笑う顔がそこにあって、ジワジワと胸の内が温かくなった。連れ立って歩く“今”を、噛みしめる様に踏みしめる。つい先刻まで自分たちは、正真正銘重大な分岐点に立っていたのだから。)
 ……でもね、志乃さん。きっと、ベンチに腰掛けてからお客さんに挨拶し終えるまで徹頭徹尾、真剣な話の延長線上だったんだ。それこそ未来の行く末を変えてしまうほどに。だからね、志乃さん──
(人混みの中、足を止める。少し屈んで、視線を合わせた。)
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ヘンペル・トリックボックス  5月2日19時
……きみの手を取り踊った今日を、声を合わせて歌った瞬間を、並んで歩く今この時を、何より嬉しく思います。

 ──大丈夫、私はちゃんと幸せだ。

(くしゃり、と。自然と顔が綻ぶ感覚。これは一歩目だ。きっとあまりに近くて遠い、鏡面界上のゼロ地点、その境界の向こう側への第一歩。互いに貸した無理難題を、いつの日か果たすために。)
 ……どうか“私”を頼みます。
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鈴木・志乃  5月2日20時
(ぐ、と息が詰まる。思わず腕で顔を覆った。力の抜けた柔らかい笑みを見ていると、どうにも勝手に血が上るらしい。)
 参ったなァ、弱いんですよ、その顔。
(落ち着いて呼吸を整える。反らした目を一旦閉じて、もう一度ゆっくり視線を合わせた。手を降ろして正対する。あふれ出す感情は他所に置いといて、今は目の前の貴方と向き合って言葉を交わしたかった。)
 ……はい。今一度、誓約致します。
(後は口にしなかった。――続く言葉は胸の中に。奥底に、刻み込まれている。)
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鈴木・志乃  5月2日20時
――ところで、懐中時計開けました?
(唐突に脈絡なくにぱっと笑った。子供のように屈託のない笑みで、さぞ楽しそうに。)
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ヘンペル・トリックボックス  5月2日23時
──うん。
(返す答えもまた短く。満足げに頷いて背筋を伸ばした。)
 ……んぅ? いや、蓋が固いのか私の頭が難いのか分かりませんが、どうにも未だ開きそうになく……申し訳ない、せっかく貰ったプレゼントですのに……。
(打って変わって困り顔。胸の辺りに手を当てて、懐の感触を確かめる。)
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鈴木・志乃  5月3日00時
いえ……知ってます。
(視線が手を追い胸に行く。そこに今も、金色の世界は時を刻んでいるのだろう。星々の巡りと幸福を映す文字盤を、頑強な蓋で閉じ込めたまま。)
 私からもお願いです。“私”をしっかり、お願いしますね。そうしてその蓋が開く頃に――
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鈴木・志乃  5月3日00時
……ちゃんと全部、お話します。聞いて欲しいんです、貴方に。
(胸につかえて取れない棘を、もしくは取ろうとする気になれない毒を。)
 きっと貴方にとっては大したことない事です。ほんのささいな小さな物です。それでも、私にとってはとても大事で、譲れなくて、それこそ……。
(一瞬で蘇る光景は白昼夢にも似て、現実との境が不明瞭で、幻想は曖昧で自分にとって都合が良く味わい深く痛烈に――抉られた。胸が痛む。苦笑で顔が歪んだ。)
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ヘンペル・トリックボックス  21時間前
──、えぇ、分かりました。……でも、抱えるのが辛くなったら、どうか前倒しにしてでも話してほしい。……じゃないとほら、心配で寝込んじゃうかもしれないですしネ! 僕ってば!
(今すぐにでも! という言葉をたまごにとじて、無理くり嚥下しおどけてみせる。言えない瑕というのは、きっと誰にでもあるけれど。それを癒えない傷には、したくなかったから。努めて明るく声を上げた。)
 ──さぁ、そろそろ帰りましょう、我らがペンドラゴンへ。なにしろ寄る場所も増えたことですし!
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鈴木・志乃  21時間前
……えぇ。
(含んだ気持ちを暗に受け取りくつりと笑う。そういうところに惚れたのだけど、この人に伝えるのはまた今度にしておこうと思った。説明するには時間も言葉も足りそうにない。)
 ……ん? どっか寄るんですか? 急ぎだったら先行って下さい、私は大丈夫なので。
(ゆっくりとホテルに向かって歩き出す。しまった、自分のせいで時間を食わせてしまった。まったく余計な自己嫌悪は本当にするもんじゃない。私も彼も多忙だと言うのに、ついつい時間を忘れてしまう。少しずつ遠ざかる光のショーと水飛沫の音、近づいてくる静けさと圧倒的な壮観。今頃みんなご飯の時間だろうか。)
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ヘンペル・トリックボックス  20時間前
……? なに言ってんだい、先に行ったら待ちぼうけじゃないですか。
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鈴木・志乃  20時間前
……へ?
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ヘンペル・トリックボックス  20時間前
え? いやほら、取りに来いって……日本酒。
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鈴木・志乃  20時間前
…………あ、そーだった。そーだったそーだった言ってましたね、えーと、今からですか、えーとあーーっと。
(足取りはそのままに、口に手をやり考えこむ。別に部屋の中に見られて困るようなものがあるわけでもない、が。)
 すみません、今すぐはちょっと難しいですね、だってあれ――
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鈴木・志乃  20時間前
“僕”はまだ、飲んでないからね。
(じゃらり、と鎖のかち合う音がする。動いていた足を止め、『自分より遥かに若いヒト』に向き直った。細めた目は僅かに藍色に輝いて、屈託のない笑みで淡々と告げる。)
 あれはまだ、僕の神棚に飾ってあるんだ。勝手に持って行かれちゃあ困るなぁ、ヘンペル君?
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ヘンペル・トリックボックス  20時間前
……んぅ、そうですか? いやまぁ、こんな時間にレディの部屋に上がるわけにも参りませんから、受け取るだけ受け取って後日────。
(ピタリ、と。足を止めた。というよりは“止めざるを得なかった”。信じられないような気持で、藍色の瞳を見つめ返す。)
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ヘンペル・トリックボックス  20時間前
な────お、御父上、様……!?
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鈴木・志乃  20時間前
……なんだい、神様でも見たような顔して。今時猟兵にとって神なんて珍しくもなんともないだろう?
(くつりくつりと笑いながら、ショルダーバッグをかけ直す。何事も無かったかのようにまた、足は寮に向かって行く。)
 さ、行こう。いやーこの日が来るのを待ってたんだ。おかげで開けてない日本酒だらけだ、当然今夜は付き合ってくれるんだろう?
(綻んだ笑みはただ、嬉しそうに。先へ、先へ進んで行く。)
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ヘンペル・トリックボックス  19時間前
えっ、ちょ──お待ちください、どうして貴方がその娘の中に……!
(驚愕と困惑、そしてなにより“百数十年ぶりに逢えた同郷”に対する深い喜びを抱きながら、後ろ姿を追いかける。)
 うへぇ、やっぱり父娘揃ってそっくりじゃないか……御父上様! 酒菜を用意して参りますので、後程改めてお伺いいたします! どうか御部屋の方でお待ちください!
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鈴木・志乃  19時間前
はぁ……想像はついていたけど、かしこまらなくていいから。あぁ、酒器も頼むよ。この子、日本酒嫌いだから普段飲まないんだ。お金は後で払うから。
(傍から見れば若い娘に、老人が頭を下げているおかしな図だ。急ぎ此方を離れた方が良いだろうと、半ば言い逃げ状態で歩を進める。)
 ……さて。僕には威厳も力も、確かな記憶もないんだが。
(頬を掻いて空を見上げる。風が柔らかく甘い草の香りを運んで、鼻腔をくすぐった。) (ホテルに戻る)
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ヘンペル・トリックボックス  9時間前
は、はぁ……かしこまりました。
(遠ざかる背中を見送りながら、もう一度ペコリと頭を下げた。かしこまるなと言われても無理がある。神であるよりも先に、彼は彼女の父親なのだから。)
 長い夜になりそうだ……。
(ポツリ。ふいに昔の名前を呼ばれた気がして、煌めく噴水広場を振り返った。見知った顔はない。あるのは沢山の表情に彩られた、小さな世界の縮図だけ。途絶えることのない雑踏。数多ある人生の交差点。そのひとつひとつが、輝ける人の営み。)
 Parsley, sage, rosemary and thyme──
(おまじないが口をつく。自分もその中にいるのだと、気が付くまでに随分と時間がかかってしまった。きっと、例外なんてない。与えられた命を燃やし尽くすまで、己が生を歌い上げる──それは人も、神も、人形も、同じことだ。)
 ────♪
(なれば紡ごう。これはチグハグで、アベコベで、けれど良く似た二人がうたう──
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ヘンペル・トリックボックス  9時間前
,
     スカボローフェア
──世界一不器用な恋の歌。 (ホテルに戻る)
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