KNNポール神田です。
芸能人やタレントが、テレビではなくYouTuberとして活躍する時代がやってきている…。その潮流を、筆者独自の『フェルミ推定』で、すべて『お金』に換算してリポートしてみたい。
■テレビ影響下での最高額は年収25億円
□タレント・文化人ベスト10
'''1位・秋元康(25億円)
2位・ビートたけし(15億8000万円)
3位・タモリ(9億9600万円)
4位・明石家さんま(7億9200万円)
5位・古舘伊知郎(6億5000万円)
6位・中居正広(6億4000万円)
7位・堺雅人(3億8000万円)
8位・設楽統(3億5000万円)
9位・宮根誠司(3億円)
10位・小倉智昭(3億円)'''
2014年9月週刊現代より筆者引用
2006年で長者番付が廃止されたので、納税による長者番付はわかりにくくなった。
まず、テレビのタレントでどれだけ稼げるのかの高額所得のランキングだ。そう、日本の芸能・タレント活動の年間の最高報酬はここにある。データのソースが5年前ではあるが、毎日、テレビで帯の番組を持っているMC陣が必ず上位という理由でもない。首位の秋元康は作詞での印税やプロデュース業であるところが多い。2位のビートたけしも映画など純粋にテレビという評価はしにくい。そう考えると、実質的にテレビタレントの最高峰としては、3位タモリ、4位明石家さんま、5位古舘伊知郎、6位中居正広の『6億円~10億円』が最高峰と呼べることだろう。そして、毎日テレビで帯のMCを持っている人は、8位設楽統、9位宮根誠司、10位小倉智昭、らの『3億円』が最高峰と考えることができる。
では、そこから、テレビを卒業したと語るメンタリストDaiGoの凄さを考えてみたいと思う。
■メンタリストDaiGoの年収は8.5億円→+Youtube関連広告などで18億円へ
メンタリストDaiGoのソーシャル年収から読み解くテレビ業界の崩壊
ニコニコチャンネル収入のみでの試算結果
13万人×550円=7,150万円(月間収入)
年間 8億5,800万円 1日あたり235万円
ニコニコチャンネルでは83%の収益還元(7億1,214万円)
https://ch.nicovideo.jp/mentalist
ニコニコチャンネルの収益のみで8.5億円ということは、テレビタレント最高峰の3位・タモリ(9億9600万円)4位・明石家さんま(7億9200万円)の間のポジションであると言える。この時点で、星の数ほどいるテレビタレントを抜き去っている。
■DaiGoのYouTubeチャンネル登録者数は166万人の影響力
DaiGoチャンネル 登録者数166万人
そして、DaiGoのYouTubeチャンネル登録者166万人を併用したことによって、ニコニコの有料会員が毎月1万人づつ増えているという。
つまり、毎月(550円×1万人)+550万円の純増だという。 ※カジサックチャンネルビデオコメントより
カジサックチャンネル 登録者数138万人
つまり、1年で12万人(毎月1万人)増加したとすると、7億9,200万円の純増となり、来年度は25万人のニコニコチャンネル登録者であれば、年商16億5,000万円となり、83%で収益は13億6,950万円となる。これで、2位・ビートたけし(15億8000万円)を追い抜いたこととなる。
ここまではあくまでもニコニコチャンネルの純増だけである。当然、YouTubeの再生による広告収益が付加されることとなる。
単純計算で 0.1円収入でも、100万人 ユーザーがいれば、10万円だ。
DaiGoの場合、視聴者層が子供でないので広告単価(0.05円~0.1円)も高くなるだろう。ビデオが100本もあれば月額1,000万円ほどの収入に。
また、100万回再生でも20万円ほどになる。それが何本あるかで大きく変わる…。最低でもYouTube広告のみで+1.2億円増、もしかするとヒカキンの推定年収6億円に限りなく近いかもしれない。はじめしゃちょーの動画のタイムシフト平均視聴率もテレビ換算で3.7%である(テレビ視聴率1%は40.8万人)。
今後、テレビ広告費が減り、ネット広告費へシフトするならば、この傾向はますます顕著になるだろう。
キング・コング西野のオンラインサロンは会員数1.3万人で月額1,000円で、毎月1,300万円。年間で1億5,600万円となる。
タレントや芸能人・芸人にとっても、広告型収益ではなく『サブスクリプション』型収益によって、一気にテレビに出続けるタレント以上の収益を確保できることが現実味を帯びてきた。しかも、番組の編成やスポンサーの有無に関係なく、自分の個人的スケジュールで番組を制作し、公開できるのだ。収録時間もまったく自由だ。しかもテレビ局に集まる必要もない。当然、リハーサルや出番の待ち時間もいらない。
またN国党代表の立花孝志氏は300万円の国政選挙の出馬の供託金よりも、結果として、NHKの政権放送のYouTube広告で十分モトが取れると語る。2018年のYouTube広告収入は1,248万円だったという。登録者数は51.8万人だ。
■テレビタレントが、ネットタレントに負ける構造のフェルミ推定
□テレビ局の収益から見るタレント収益
地上波テレビ 1兆7848億円(年間)
地上波の5局で割ると、1局あたり平均3,569億円(年間)
※NHK収入 7247億円 地上波テレビ局平均の約2倍97%が視聴料収入
民間地上波番組平均制作費 1日あたり9.7億円(3569億円÷365日 )
NHK番組制作費 1日あたり19.8億円(7,247億円÷365日)
1日20時間の放映時間で割ると民放は、1時間あたり4,850万円 ※NHK除く
このうち50%をテレビ局利益(コマーシャル収入などを含む)とすると 1時間あたり2,425万円の番組制作費
NHKはコマーシャル収益がないので制作費におきかえると1時間あたり9,900万円の番組制作費
※NHKは民放の4倍の番組制作費があると考えられる。
このうち、20%をタレント費とすると1時間あたり485万円
これを10人のタレントで割っても最高1時間あたり48.5万円
NHKは1時間あたり一人のタレントで194万円(4倍換算)となる。
1時間のタレント費を48.5万円 事務所が半分として、タレントは1時間あたり24万円
毎週4.3回 レギュラーで出演して、103万円(月額)
毎日30.4 日 レギュラーで出演して、729万円(月額)
1日あたり235万円の出演料を稼いでいるDaiGoがテレビにまったく出演する理由がまったくどこにもないのだ…。
実際、DaiGo氏によれば、テレビの影響力におけるビジネスへの相関率は、0.1%以下だという。
■2019年、平成と共に、テレビが王者だった時代の終焉
信じるも信じないもあなたの自由だが、タレントがテレビなしで生きていけるようになっている。スタッフにもテレビからネット転向組が現れた。高級機材は安価になり民生レベルでも十分となる。希少価値のリモコンチャンネルと時間に縛られた編成体制よりも潤沢な選択肢のなかで時間無制限のコンテンツ消費が可能なネットメディアへとシフトする人は今後も増えそうだ。
広告依存だけではなく、直接、視聴者からのサブスクリプションモデルで課金ビジネスを選択するタレントたち。当然、視聴者も無料で見るテレビと違い、有料のコンテンツ側を優先することになるだろう。
テレビ広告費がインターネット広告費に追い抜かされる年としての2019年。平成と共に、テレビが王者だった時代が終わった年と評価される年なのかもしれない。そして、もはやテレビは40代以上の専門メディアとして考えておいたほうがよいだろう…。