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2020年05月03日(日)

Update2: 「アフターコロナの新秩序」 -世界的メルトダウンの中、波紋よぶチャイナリスク-

テーマ:経済全般・株式・為替市場

※Update2は5月3日。5月2日記事の修正文になります。

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周知のとおり雇用データは幅広く、さまざまなデータを比較して全体像をはじめて把握できる。

 

木曜には新規失業保険申請件数(4月25日終週)が公表されたが、微調整行われ以下の結果となっている。(eリサーチ&インベストメント作成、eリサーチレポートから)

 

 

 

 

以前ブログでもお伝えしたWHOのパンデミック宣言からの新規失業保険申請件数と累積データ。さらに今回は、そこに失業保険を継続して受給している件数も加えた。

 

累積の申請データがそのまま失業者数を表していない、ということを連想させる。

 

短期的なレイオフから職場復帰を果たした件数など考えられるが、セクター(業種)によっては人材流出を防ぐどころか業績見通し不透明のため再雇用できず転職の機会を与えることになってしまっている。 何しろ観光業・飲食業・アパレル等のサービス業・エンターテイメント・イベント業などは先が見通せない。NYは特に厳しい。

 

尚、目先のドル円レートについては先月25日に記載した内容が「基調的には」継続しそうな気配である。(4月5週 ‐ドル円レートについて‐ /4月25日記事)

 

 

 

新秩序迎えるアフターコロナ

 

問題なのはサービス業だけでなく製造業にも波及している、ということであり、4月ISM製造業は早々と悲惨な結果となった。想定以上の打撃であり日本にも波及するのは明白である。

 

4月PMIは41.5。 新規受注が27.1(前月42.2)で生産はすでに報じられているように1948年以来の落ち込みで27.5(前月47.7)、雇用は27.5(前月43.8)といった内容だった。 繰り返しになるがこのようなマクロの歴史的打撃はスタートしたばかりで、ポイントは「収束となれば以前の世界に戻るかといえばまったく違う」ということ。

 

今回のパンデミックの過程で拡大したテレワークは、無駄を省く企業にはより浸透し、たとえば優秀な人材は国内でなく海外からスクリーンにて招致することが可能になる。 感染拡大の過程で導入された社会の監視システムはそのまま残り、この厄介な感染症が長引くことを踏まえれば更なる新秩序、「脱人間社会」のさらなるニューノーマルが浸透していくことが想定される。

 

募集、採用も一部の産業に偏り、賃金上昇も特殊技術をもつ人たちにリードされる形となり格差拡大は一層広がっていくことになるだろう、欧米では浸透してきたギグエコノミーなど日本国内においても注目されている。先日にはフェンシングの選手によってギグワークが話題となったが注目を集めつつあるエコノミーだといえる。

 

 

 

加速するアフターコロナ、中国の覇権プロジェクト

 

拙著(カラクリ2版)の後半部では人民元政策に比重を置いているが、それはなぜか?

 

昨年執筆時点で「アフターコロナ」という世界秩序はなかったが、米中貿易摩擦の反動?によって地政学的にもITバーチャル的にも、そして世界における通貨インフラ覇権争いにおいても中国の覇権争いは熾烈を極め、それ(覇権)を念頭に置いた行動は年々目覚ましいものとなっているからである。

 

中国が今回のパンデミックを覇権争いの好機到来とみていることは明白である。

 

武漢研究所への調査を米国務長官が再三要求しているにも関わらず頑なに拒んでいる中国共産党であるが、これが実は、仮に大まかなシナリオにそったものだったら?

 

米中貿易戦争では中国は徹底的にやられ、基軸通貨国に合わせる形でドル安元高の為替介入を繰り返した結果、中国の外貨準備は3月、急激に縮小した。(下図) 3月に入り武漢パンデミックとともに1ドル7元を割り込んだでしょう?

 

 

 

 

準備通貨としての地位を徐々に高めてきた中国は欧州各国や、SDR入りを果たしたIMFからも通貨切り上げ・安定化をもとめられており(拙著カラクリ2版9章)、メジャーカレンシーとしての地位を保とうとしている。1ドル7元を保つために必死にやりくりしており今現在は、7.05元を維持している。

 

地政学的には南シナ海での実効支配(今月、行政区設立)、日本においても沖縄周辺の領海を侵入したりそうでなかったり。 さらに今回は(覇権争いの)一環として、成功しているとは言い難い世界各国へのマスク外交やアビガン増産にあたって不可欠な「中間体101」の日本への輸入禁止、などは治療薬においてもリードしようとしている姿勢が顕著となっている。

 

自国から発生したウイルスで各国をメルトダウンに落とし込み、欧米のコアな国には加害者どころか救世主的な振る舞いをし、周辺各国に対しては軍事的圧力をかけ領土を広げようとしている姿勢は米国はじめとする欧州からは強烈な反感を生んでいる。(シルクロード構想、AIIB設立時点では無かった中国批判である)

 

さらに、根回しにたけた中国政府はWHO(テドロス事務局長)だけでなく、現存する国連の15機関中、4つの機関の局長を自国民(中国人)としており、国連乗っ取りを謀っている事は明らか。 習近平が総書記になったのが2013年3月ということを起発点ということでみていただきたい。(以下)

 

・UNIDO(国際連合工業開発機関)事務局長:李勇 (2013年6月~)

・ITU(国際電気通信連合)事務総局長:趙厚麟(2014年10月~)

・ICAO(国際民間航空機関)事務局長:柳芳(2015年3月~)

・FAO 国際連合食糧農業機関 事務局長:屈冬玉(2019年8月~)

 

国連機関のトップ以外の要職や、国連傘下の組織等への中国人着任は以下。

 

・WHO(世界保健機関)事務局長補佐:任明輝(2016年1月~)

・WIPO(世界知的所有権機関)事務次長:王彬頴(2008年12月~)

・IMF(国際通貨基金)事務局長:林建海(2012年3月~2020年4月)

・WTO(世界貿易機関)事務局次長:易小準(2013年8月~)

・WB(世界銀行)常務副総裁兼最高総務責任者(CAO):楊少林(2016年1月~)

・AIIB(アジアインフラ投資銀行)行長(総裁):金立群(2016年1月~)

・IOC(国際オリンピック委員会)副会長;于再清(2016年8月~)

・IMF(国際通貨基金)副専務理事:張涛(2016年8月~)

・WMO(世界気象機関)事務次長:張文建(2016年9月~)

・UN(国際連合 国際連合経済社会局)事務次長:劉振民(2017年6月~)

・ADB(アジア開発銀行)副総裁:陳詩新(2018年12月~)

・UN(国際連合=国連 事務次長補佐):徐浩良(2019年9月~)

 

 

言い出したらキリがないわけだが、さまざまな分野で覇権を奪取しようとしている。

 

米国はじめとする欧州の中国への反発は激しく強く、 中国忖度でこのような話が出てこない日本とは全く違う。日本が中国武漢への徹底調査を要求する事はないわけだが、国内での感染症対応含め、情けないどころか既に終わっている。

 

パンデミック状況と中国動向は並立してウォッチする必要がある。これらのことを「言うまでもない」と多くの人がいうのであればまだ救えるのだが、国民の多くがスルーしていたとすれば大問題だといえる。残念ながら、現状を見る限りおそらく後者である。

 

日本の政治家・メディアが報じない事こそが問題だと思われ。アフターコロナはコアチャイナのパラダイムシフト、チャイナリスクといえる。 加害者にも関わらず救世主の振る舞いをし、覇権を狙っている。そんなことがあってよいのだろうか?国内ではこれに対する意識があまりにも希薄過ぎる。

 

国内において中国との友好都市?を名乗る自治体がマスクありがとう、というがそういう報道をみるたびに日本の平和ボケも末期を迎えているといっても断言して良い。中国のシナリオ通りである。