外出自粛で献血激減「協力を」 福岡県内、4月は490人分不足

西日本新聞 ふくおか都市圏版 小林 稔子

 新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を受けて各地で外出自粛が続く中、献血の減少が続き、九州で最も献血者が多い福岡県赤十字血液センターも危機感を募らせている。国はこのままでは医療機関に提供する輸血用血液が足りなくなる可能性に言及。日本赤十字社(東京)は「献血は不要不急の外出には当たらない」と協力を呼びかけている。

 4月下旬、福岡市・天神。「献血にご協力ください」。県赤十字血液センターの職員が繰り返し呼びかけたが、閑散とした通りで足を止める人は少なかった。

 求めに応じた福岡市の会社員文山加奈子さん(26)は「こんな時期だからこそ、何かできれば」。受け付けで手を消毒し検温を受けた後、バス車内に移動。車内はウイルス対策で空気清浄機と換気扇が回され、窓やドアも開けっぱなし。ビニールカーテン越しに医師の問診を受け、採血に臨んだ。

 4月に確保できた県内の献血量は必要量の96%で、490人分が不足した。輸血用血液は最短4日しか保存できず、日々の安定的な供給が欠かせない。

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 日赤によると、国内では1日約3千人が手術などで輸血を受けるため、約1万3千人に献血してもらう必要がある。国も献血を、宣言下であっても「事業の継続が求められる」と位置づけている。

 相次ぐイベントの延期や中止の影響も大きい。5月に予定していた大学や企業、イベント会場などへの献血バス37台分の配車先も決まっていない。

 ウイルスの終息が見えない中、献血業務に従事する職員らは街で「こんな時期に献血なんてして大丈夫なの?」と声を掛けられることもあるという。

 大型連休中も県内5カ所の献血ルームは営業しており、密集を避けるため電話やウェブ予約を推奨している。県や同センターは献血に協力してもらえる企業や団体も募集中。予約や献血バスのスケジュールは、同センターのホームページで確認できる。 (小林稔子)

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