作品目『花と蛇』
東映 2003年 DVD発売中
監督/石井隆
出演/杉本彩、石橋蓮司、野村宏伸、遠藤憲一ほか
かつては〝エロス女優の最高峰〟として一世を風靡、自らを〝性の改革者〟と呼ぶほどの杉本彩だったが、最近はすっかり丸くなったのか、テレビのバラエティー番組で見掛ける程度。先日も『クイズ!オンリー1』(TBS系)で、ネコ好きで知られる芸能人として出演していたが、やっぱり一抹の寂しさ、物足りなさは禁じ得ない…。で、つい思い出すのは、やっぱりこの〝究極のSM映画〟か。
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富豪の実業家・遠山(野村宏伸)の妻で世界的なタンゴダンサーの静子(杉本彩)は、冷えた夫婦関係に苦しんでいた。そんな静子をわが物にしようとする政財界のフィクサー、田代(石橋蓮司)は彼女を拉致する。やがて、各界セレブが集まる秘密ショーの生け贄として、静子は地獄の責め苦を受けるのだった…。
見せ物小屋風を覗き見た気分
もう、ほとんど〝実録・杉本彩公開調教見学会〟みたいなもの。ロマンポルノほかSMもの、団鬼六ものにはかなり耐性があるボクだが、これはかなり本気にヤッてる! と画面を観て思ったものだ。裏付けを取るべく、公開時、彼女にも〝淫タビュー〟したのだが、「朝から晩までずっとハダカで縛られっぱなし、責められっぱなし。演技とはいえ、相当リアルで精神的にもおかしくなりました。過呼吸もしょっちょう。朝、家を出るとき〝ああ、今日も現場で凌辱されまくるのね〟と暗澹たる気持ちになりましたが、耐えているうちに慣れてきて…あの変態監督に〝変態〟って言われちゃいました」とケラケラ笑っていたのが、いっそ清々しかったっけ。
ちなみに〝変態監督〟とは、壇蜜の『甘い鞭』(13年)などの鬼才・石井隆のこと。このあと『花と蛇2』でも共働しているのだがら、〝変態呼ばわり〟はお互い、信頼の証しなのだろう。原作の静子はロマンポルノの谷ナオミでも分かるように純和風のイメージだが、杉本彩の起用で洋風のダイナミックでハードなSMシーンに変えたのもなるほど。とにかく、責めが容赦ない。鞭、ロウソク、縄、強制放尿、刺青、ヘアだって丸出し、凌辱の限りを尽くされる。アソコに縄が食い込んでグイグイやられて悶えるの図は生唾もの。もはや映画の枠を超え、怪しげな見せ物小屋風を覗き見た気分になること請け合い。近日、久々の主演作『一度も撃ってません』の公開が控える石橋蓮司が〝昭和の巨魁〟を怪演! 遠藤憲一もブレーク前だから必見だ。
いずれにしても、ここまで責めてもネをあげない杉本彩は〝美しき怪物〟〝麗しき変態〟であった。五十路になっても見たいなあ、〝杉本エロス〟を!
(映画評論家・秋本鉄次)