無題

「残党は5,6体ってとこかしら?」
大人びた表情で、ブルーのドレスに身を包んだエンジェルミントがふふ、と笑う。
「今日も余裕だったね!」
そう言って、あどけない表情でピンクのドレスに身を包んだエンジェルローズもミントの方を向き、笑い返す。
ドレスと同じ色のステッキを振り、高らかに魔法を叫ぶと、美しい光がきらきらと敵を纏う。
虹のように空へと還り、あっという間に周りは元の商店街に戻った。
「これでおっしまいっ!お姉ちゃん、帰ろ!」
「待って、まだ…気配を感じるわ」
姉であるミントが妹に向ける穏やかな表情から戦士の険しい表情へと変わる。と、その刹那。
「きゃあっ!」
びゅるん!っと風を切る音が聞こえ、ミントの隣にいたはずのローズは空へと舞っていた。
「ローズ!」
地面を大きく蹴り、ローズを助けようとする。しかし、ローズの体はクモの糸のような、白く細い糸にぐるぐる巻きにされ触ることすらできない。
「お、ねえちゃん…!」
蚕の作った繭のような、白く強固な殻に阻まれ、ミントがいくら呪文を唱えてもローズの姿は一向に見えてこない。
「目の前の敵だけ屠ったところで満足していたか、エンジェルミント」
「…お前は、ハイデ・ローゼン!」
地球の征服を企む悪の組織の女が目の前に現れた。ほとんど組織の中枢を担っているであろう彼女が現れたのはミントにとっても想定外のことだった。
「お前一人の力ではこの殻を破ることすらできないぞ。…何、じきにまたローズはお前の元に返すさ」
「何を言ってるの?今すぐローズを返しなさい!」
ステッキに祈りをこめ、ハイデにぶつける。しかし、片手で受け止め、そのまま自分へと返される。
「あああっ!!!!」
地面へと叩きつけられ、よろよろと立ち上がるもハイデもローズも消えていた。
「ローズ…ローズ…!」
ミントは、ぽろりと零れ落ちた涙を拭い、妹の奪還を心に決めた。

「ん…?」
ローズは冷やりとした感覚に目を覚ました。
「ここは…?あ!あんた、」
「お目覚めか?エンジェルローズ」
スレンダーな体には似つかわしくない豊満な胸を二本の腕で支えるように、ハイデ・ローザはそこに立っていた。
「私に指一本でも触れたら、容赦しないんだから!」
「フン、その体でよくその台詞が言えたものだな」
腕も足も台に固定されている。首にはコードが繋がれ、言わば実験室で磔にされているようなものだった。
「しかしな、私はお前のような勝気な女は嫌いじゃない」
「な、何よ…褒めたってアンタは敵なんだからね!」
「そうだ、私は敵だ。しかし…1時間後にお前は同じ台詞を言えるかな?」
ハイデはパチン、と指を鳴らす。下っ端の戦闘員が、モニターに向かって操作を始めた。
「何するつもり!!」
「もうすぐにわかるさ」
高笑いと共に、ハイデは部屋を去っていった。
(なんだかわからないけど、敵に屈してなるもんか!)
始めのうちは動けず、一人残された姉の心配をしていた。しかし、5分ほど経って、異変に気がついた。
首のピリピリとする痛みが激化してきた。
「痛ぃ…痛いって!拷問にかける気ね!」
「第一段階、スタートします」
戦闘員はローズの言葉を無視し、またなにやらボタンを押した。
痛みがひいていく。ほっと安堵し、また姉のことを思い始める。
(お姉ちゃんは今頃私のことなんか気にしないで、一人で楽しんでるんだろうなあ…戦ってるときは一緒だけど、お姉ちゃんは私のことなんて必要としてない)
「…えっ?」
(違う、違う。お姉ちゃんは私のことが好きで、でも…大学の友達の方が好きで…私は邪魔だって思われてる。ううん、そんなことない…そんなこと…)
(戦ってるときも、私のことコドモ扱いして…私だって高校生なのに、お姉ちゃんはちっとも私のことを見てくれない…)
「ち、がう…おねえちゃんは、おねえちゃんは…」
(おねえちゃんは、わたしのことが、きらい)
(わたしが、ちからがないから、もっとちからがあれば、)
次第に瞳が濁り、がくん、と首が項垂れる。うわ言のように「ちからがほしい」と繰り返し呟く。
「第二段階に入ります」

ビクン、と体が震える。
(力をもってるのはハイデ・ローザ…あんなに高貴で、立派で…)
(違う、ハイデは敵。私と、おねえちゃんの…私の嫌いなおねえちゃんの敵なら、私の味方…)
(そう、味方。ハイデは味方。美しくて、強くて、私の欲しい力を持ってる、ハイデさま…)
「ハイデ様、第二段階も首尾よく進んでいます」
戦闘員がハイデに連絡をとる。すぐにハイデは現れ、ローズの前に毅然と立った。
「はいで…さま?」
「ローズ、よく聞きなさい」
「は、い…」
「お前は今、何がほしい?」
「わたし…ちから、力がほしい、です…ハイデさまみたいな、強い力…」
濁った瞳に、光が宿る。しかし、先ほどまでの戦士の志に満ち溢れた光ではない。
「私のような力が欲しいか」
「ほしい…欲しいです!ハイデ様!」
「ならば私に忠誠を誓え」
枷が外れ、首の電気だけが繋がったまま床にべたりと倒れこむ。
「ハイデ様…私は、ハイデ様の忠実なる隸…」

「第三段階に入ります」
もうローズはかつてのローズではなかった。
「私のような力を得るために必要なものは何か、わかるか?」
「必要な、もの…」
(強さ、美しさ…ハイデ様のような美しさを得るためには…)
びりっ、と背中を駆け抜ける電流。秘部にじっとりと感じ始めた感覚が、ローズを女へと変えていく。
(ハイデさまのうつくしさ…いやらしいからだつき…わたしもあんなふうになりたい…)
「ん、…あ、ああ…」
秘部だけではなく、乳房も、体中も、淫靡な行為に餓えてきた。
「ああ、ん」
もじもじと床に擦り始める。
「どうした?ローズ」
「ハイデさまのような力を得るには、その…」
「わかったようだな」
ピンク色の幼いドレスを破り捨て、ハイデはローズの蕾へ指を這わせる。
「あああっ!!」
小さなクリをぎゅっと握ると水溜りが出来ていく。
「こんなことではまだまだ力不足だな」
「はぁっ、あん、もうし…わけっ」
「お前のために戦闘員を宛がってやる」
「私の、ために…ありがたき、しあわせ…」
首のケーブルが外れ、先ほどまで実験を遂行していた戦闘員がローズの近くへと寄っていく。
「後はまかせた。仕上げには私を呼ぶようにな」

戦闘員の真の姿が露になる。タコのように8つの触手を持つ化け物と言ってもいい。が、ローズには化け物ではなく、立派な仲間に見えた。
「行くぞ」
じゅぶじゅぶっ、と口の中に入れる。男性のソレによく似たものから、白いエキスがどろどろと流れ込む。
「あ、ああっ、すごいいっ」
足をしゅるりと取られ、M字に開かされる。ピンク色の秘部が露になり、ひくひくと触手が入ってくるのを待ち望んでいた。
ぬらぬらとした一際細い触手が、ゆっくりとローズの内部を侵食していく。
「あ、んああ、あはぁっ」
濡れそぼる秘所を、しゅるん、と触って悶えさせる。
「いい、いいのぉっ!」
ローズが感じているままに、触手は少しずつ増えていく。音も、しゅるしゅるという衣擦れのような音からじゅぶじゅぶという淫靡な水音へと変わっていた。
「ああ、イく!イっちゃううう!!」
びくびくと体を震わせる。その最中、触手が動くのを止めた。
「なんで、犯してぇ!イかせてぇぇ!!」
「最後の仕上げは私だと言ったはずだ」
「ハイデ様…綺麗…」
ハイデが持ち得ない男性特有の生殖器が、ローズの秘部を貫く。
「ん、んぁっ、ハイデさまぁ…」
「良いことを教えてやろう。私の名前、ハイデ・ローザと言うのはお前と同じ薔薇のことだ」
「ふぇぇっ?ほんと、ですか…?」
「可愛い妹よ」
「あ、ああんっ、おねえさま、お姉さまぁっ!!」
ドクン、と白い液体が体にかかる。
「すてき…これで、わたしもお姉さまといっしょ…」

「そこまでよ!!」
「ミント…どうやってここを突き止めた?」
「戦闘員を半殺しにしたら教えてくれたわ。私のかわいいローズを…許せない!!」
「初めからお前の許しなど乞うつもりはない」
「うるさい!!」
チリチリとミントのステッキの周りに青い粒子が集まる。
「はぁっ!!」
床めがけて出したビームは、ドオン!と爆発音とともに粉塵が舞う。
「…ローズが奪われた…ヤツめ、これが狙いか」

ミントは気を失わせたローズを連れ、元来た道を走っていた。
白濁で汚され、痴態をさせられた。
(こんな可愛い私の妹を…!許せない)
怒りは頂点まで達していたが、それをここでぶつけていては勝ち目がない。
とにかく逃げて、ローズを、妹を元に戻してあげないと。

「ここでいいかしら…」
迷路のようになっている道で、ローズを横たわらせる。
(どうか、元の清いローズに戻って!!)
祈りを捧げ、ステッキをローズにかざす。
パアッとまばゆい光がローズを包み、しばらくした後、ローズは目を覚ました。
「…おねえ…ちゃん…?」
「ローズ…目が覚めた?」
「お姉ちゃん…助けてくれてありがとう…怖かった…」
「大丈夫よ、さあ、早く逃げましょう」
「うん!」
よろよろと立ち上がり、ミントに抱きつく。
「もう、仕方ないわね」
「お姉ちゃん」
つぷ、と何かがミントの首筋に刺さる。
「ローズ…?あなた…」
液体が入り込む。首筋が、体が熱くなる。ローズを突き放すと、ニヤリといやらしく笑った。
「ごめんね、私のお姉さまはハイデ・ローザ様なの。あんたはもう他人」
「ローズ…ロー…あ、あああっ!」
「よくやったな、ローズ」
「お姉さま!」
薔薇が咲いたかのような可憐な笑みを浮かべ、ハイデの元に擦り寄る。
「もしものためにローズに薬を持たせておいたんだ。まんまと引っかかるとは」
「あ、ひゃあ…なによ、これぇぇ!!」
青いドレスから乳首がピン、と立ち、端がじわりと濡れている。
「しっかりと味わえ。私の歓迎の証だ」
ハイデの肉棒を、ミントの中へ押し込んでいく。
「あ、ああああ!!」
口からだらりと涎が垂れ、清楚な顔もいやらしく歪む。太ももを伝って愛液がとろりと垂れていく。
「お前も私に忠誠を誓うか?」
ぐじゅっ、ぐじゅっ、と奥にねじこむ。ミントも、快楽の前に呆気なく屈した。


「仕上げだ。お前たちのために特別に武器を用意してやった」
「お姉様、ありがとうございます!」
「いいんですか?そんな、私めに…」
ついさっきまで使っていたステッキが、どす黒く澱んでいる。
「これは体内に入れて使うものだ。できるな?」
長いステッキはミントが、短いステッキはローズが受け取る。
「あ、はあっ!入ってくるぅ!きちゃうう!!」
「すごぉい、ペニスみたいぃぃ!」
体内に取り込まれ、二人の体がじわりと黒く染まる。
黒いドレスは体にぴっちりと纏い、上半身はボンテージのようにさえ見える。
「さあ、地球を守る盾はなくなった。これからは我々のために戦え」
「はい、ハイデ様!」

fin.


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