鮮血に染まる紅
- 1.
バルディア国に近い山の中に赤い鎧を着た赤い髪の麗しき騎士がこれまた赤い鎧を着た馬に乗馬し山中を駆けぬけていく・・・。
急がなければ・・・クラウナス王子が危ない!
彼女はそう思いながら愛馬に叫ぶ
「急いで!キャリガ!」
そんなことを言っても馬が話すわけはない、しかしその馬はまるで彼女に応えるかのように加速した。
「よし!抜けた!」
そして彼女とその愛馬は山を抜けた。
しかし山を抜けてもまだまだ彼女の目標地点の城『アマチ』へはまだ時間がかかる、それでも彼女は休むヒマもなく急いでいった。
彼女の名前はグレース
カイシス王国の紅戦士(こうせんし)の一族でただ一人の女性・・・
いや・・・16歳の『少女』である。
両親が病気で亡くなり 彼女は兄のグレンと兄妹で暮らしていた。しかし兄が『大いなる存在』に殺されてしまった。
彼女がまだ5歳の時だった。
彼女は兄を殺した『大いなる存在』を憎んだ。その後彼女はバルディア国に引き取られる国内の者達は彼女のかわいさそして紅戦士の一族ゆえに美しき姫となるだろう・・・皆そう思っていた・・・。
しかし彼女は幼くして剣術を習う決意をしていたのだ。
しかもその剣術を教えてくれたのは幼馴染のクラウナス王子の父ヴァトラ国王だった。
彼は彼女の心情が見えてたのか「グレースよ・・・憎しみだけで戦ってはいけない、大切なものを守るために戦うのだ。」彼女にとってそれが最後の言葉となった。
ヴァトラは「大いなる存在」の手下に殺されてしまったのである。そのときのグレースはまだ6歳だった。
その葬式のとき彼女の隣にクラウナスの悲しむ顔を彼女は今も忘れていない。
そして悲しむ彼を抱きしめ「だいじょうぶ・・・わたしがまもってあげる。」といったのも忘れてはいないのだ。
そして彼女は義父の教え、そして彼に言った約束を貫くために血反吐の出る特訓の果てに騎士の称号を手にしたのであるこの時グレースは15歳であった。
- 2.
(くっ・・・まさかこれが敵の謀略だったなんて、)
話は先日前に遡る
アマチ城の王宮でグレースはクラウナス王子の命令にきょとんとした
「宝玉の捜索・・・ですか?」
「そうだ、オープスの山に向かい宝玉の一つを取ってきてほしいのだ。」
クラウナス王子も彼女と歳は同じ16歳だった。
彼女も彼が欲している宝玉の存在は理解していた。
アマチ城に封印された剣『閃光剣』は5つの宝玉がなければ封印は解けない、そのため彼女の知り合い(知り合いの彼らは大半がキザな兄とは違うおしとやかな子と言われたが兄の悪口が嫌いなため多少不満だった。)もバラバラになって探しているという。
「しかし、何故宝玉の一つがオープス山と分かるのですか?」
彼女にとってそれだけ気がかりだった。しかし彼はそれをわかっていたらしく、彼女にこう述べた。
「その情報は隣の国の騎士ディルティが教えてくれたのだ。安心しろ。あとディエルテイも同行するから危険なことにはならないだろう。」
彼女はほっと一息ついた。(なんだ、彼女とは一度だけ会ったけど根は真面目だから安心できる。) しかしその安心が危機を呼ぶとは思いもしなかったのだ。
「宝玉を手に入れれば大いなる存在を倒せる、そうすればお前の兄の仇を討つことができる。やってくれるな?」
「ハイ!」
こうして彼女はオープス山へ向かったのである。
- 3.
そしてその翌日、王国から離れグレース達は馬に乗りながらオープス山に向かう二人の姿があった。
そんな中でグレースは考えていた。
(しかし、コレでいいのだろうか?私は王子を守りたい一心で騎士になった。でもここずっと城を守ってない気がする、何か嫌なことがおきそうな気が・・・)
「いったいどうしたのだ?なんか変だぞお前。」
と薄いグレーのツインテールの女性が顔を近づけた。
「わ!わたたっ!」
彼女は驚いた。その際に馬から落ちそうになった。
「も、もう驚かさないでくださいよ!」
モノを考えていたグレースに話しかけてきた騎士ディエルテイは20歳の女性である。
隣国ダードのパートン姫に仕える騎士の一人でなかなかの美人だ。また義理の姉(21)がおりつい先日バーサルの称号をもらったという。
「ははは、すまんお前がぼっとしていたから話しかけてきただけだ。」
「・・・」
グレースは彼女をにらんだ。見つめる先には自分よりもすこし大きい胸がある。
彼女達は今、鎧を着ていない。この世界では魔法により装着者が任意に鎧を装着できるようになっている。そのため彼女達は必要な時意外は鎧をつけなくていいのである。
「そろそろ近いぞ、油断をするな。」
「はい!」
オープス山に近づくとディエルティは真剣になった。
(さすがは真面目な人だ。さっきとは表情が違う。)
そして山に近づくと入り口に魔物の雑魚が集まっていた。門番のつもりだろう。
「まだ鎧は要らない!ここを一気に突っ込むぞ!」
「ハイ!」
そう言うと二人は馬を叩き走らせた。
「「ハアアアアアアアアアアアアアアアア!」」
彼女達は人馬一体となって果敢に突っ込んだ。
グレースは一族の宝剣『ミツメノカンゼン』を
ディエルティは両刃の大剣『光筒(こうつつ)』を雑魚に振るった。
- 4.
なんとか山に入ることに成功したが魔物の数は増えていくばかりだ。
「そろそろマズイな・・・」
ディエルティはそうぼやいた。それを察知してか魔物は寄り付く
「じゃあいきますか。」
グレースはニヤリと言った。そして魔物は飛び込んだ!
「「ヒートアップ!」」その叫び声により彼女達の周りに光が走る。
「「鎧装着!!」」その叫びにより彼女達の周りの光は爆発した!
そして光がなくなったあとに現れたのは紅の鎧を着たグレースとグレーの鎧を着たディエルティだった。
グレースの鎧は胸の辺りが黒く首の周りと胸の四角のクリスタルのあたりに白い三角がある。そしてカブトの上部は二枚の羽根があるあたりがいかにも知り合いの騎士がキザといわれるような鎧である。女性より男性が似合いそうな鎧と言っても過言ではないかも知れない。
一方のディエルティの場合は一般の騎士を彼女なりにアレンジしたデザインである。簡単に言えば真面目な鎧だ。
「宝玉がどこにあるかはわからないけど二手に分かれよう!」
魔物を一気に切り裂きディエルティは言った。
「わかりました。御武運を。」
グレースはそう言うと一気に一つのトンネルに入った。
そのとき彼女は気づかなかった、ディエルティが邪悪に浮かべた笑みを。
そしてそのままディエルティももう一方のトンネルに入っていった。
- 5.
そして今
村に近づくと魔物の炎に焼かれた家や畑があった。
(なんてこと・・・油断してしまった。国を守る騎士なのにこの体たらく・・・でも・・・)
グレースは自分に絶望した。しかし自分に絶望する暇があるのは一瞬だけだ。
「だからこそ今ここで被害を最小限に抑える!」彼女はそう決意すると一気に走る・・・はずだった。
「大いなる業火(アトミックバズーカ)!!」
「!?」
キャリガはグレースを強引に振り払い突如として現れた業火から主である彼女を守るため自ら焼かれた。
「あああっ!!」彼女は衝撃を受けた幼い頃の遊び相手であったキャリガが焼かれている事に。
「ヒヒーン」キャリガは『後を頼む』と言わんばかりに鳴いた。そしてその炎はキャリガを灰まで焼き尽くし消し炭一つ残らなかった。
「誰!?誰がこんなことを・・・」
彼女は涙を流しながら叫んだ。そしてそれに応える声が一つ
「私だ。」
グレースは声の方向を向いた。そして第二の衝撃を食らうことになる。
「ま、まさか・・・あなたは・・・ディエルさん!?」
- 6.
目の前にいるディエルティはツインテールの髪型だった、しかし今の色は薄いグレーがどす黒い感じのグレーになっていた。
そして耳は鋭く尖っており血のようなルージュをつけた口元にはキバがあった。そして前にはない黒くそして長いそして先端が三角の悪魔のような尻尾がある。
そして以前はグリーンの瞳は真っ赤になっておりしかも切れ長の瞳孔がある。
しかしその違いは顔だけではない、真面目な感じの鎧は鎧自体が魔物のように感じてしまう禍々しいデザインになっており右手に持っていた大剣『光筒』は魔剣といっていいほどこれまたゆがんだ形になっていた。
そして左手は真ん中の辺りに魔物のような目がついた邪悪なデザインにの盾を持っていたのである。
- 「ディエルさん?・・・ディエルさんなの!?」
「そう、お前の知っているディエルティだ。」
「で、でもどうしてこんな魔物のような姿を・・・そしてなんで私の大事なキャリガを殺したの!?」
「ああ・・・あの馬? 勘違いするな、私はあなたを殺そうと思ってやっただけだがあの馬が邪魔をしただけだ。変な言いがかりはつけるものではない。」
その言葉聞いたときグレースは怒りを覚えた。
「貴様アアアァァァァァ!!」
グレースは少女らしくない叫び声を挙げ、『ミツメノカンゼン』を邪悪な女騎士に振り上げた。
ガン! ガンガン!! ディエルティが持つ剣と盾は憎しみで動くミツメノカンゼンをあしらうかのように受け流した。
「ほう・・・たかが馬一匹で怒りを上げるとは馬もさぞ悲しむな。」
ガキィ! ガシィ! ディエルティは反撃と言わんばかりに剣と盾で攻撃するグレースは感情のまま回避した。
「うるさい!!アンタにキャリガの何が分かるの!?」
グレースの今の戦い方はもはや騎士のやり方ではなかった憎しみに突き動かされ自分を見失っていた。
「そうか・・・では分かる様にしよう・・・これでな!!」
バッ! ディエルティは魔剣と化した『光筒』を投げ捨て魔性の盾からカギのような短剣を出したそしてそれをグレースの額に突き刺した。しかし血は出なかった。
その直後突如としてグレースの額から黒い光が放たれた。
- 7.
この記憶はクラウナスの父でありグレースの義父でもありそしてバルディア国王でもあるヴァトラの葬式だった
「リーザおしえてよう、どうしておとうさん目を覚まさないの?」
クラウナスの質問にメイドのリーザ(当時27歳)は答えられなかった。
かつてバルディア親衛隊で今はもういないフォルオ(当時35歳で性別はやはり女性)はこう言った
「王子・・・父上はもう死んでてそれで目を覚まさないんだ。」
クラウナスは只泣き続けるしかなかった剣術を教えてくれた自分より強く優しい父が死ぬことが何よりのショックだった
幼馴染のグレースも同じく悲しんでいたでも彼女はそれを堪えた。
クラウナスの母親は早産のせいで亡くなったため父親しかいなかった(とはいえメイドなどはいたが)ため大分寂しかったことは知っているのだ。
そのため彼女はあまり泣けなかったのだ。(我慢強いのもある)
そして彼女はクラウナスにこういった「だいじょうぶ・・・わたしがまもってあげる。」と・・・。
(ほう・・・コレは使えるな・・・)
そしてその光景を眺めていたディエルティは少し笑みを浮かべグレースの記憶空間を後にした。 ただ馬のことは忘れていた。
- 8.
そして
ディエルティはグレースの額に刺さった記憶の鍵剣を抜きグレースを蹴り飛ばした。
グレースは何をされたか判らないままいきなり頭痛が起きた頭を抱えた。
「痛…なんで?」
「さあ何故だろうな?」
ディエルティはすこしにやついて答えた。そしてこう言った。
「そういえばさっきお前のもう一つの質問に答えるのを忘れていたな。あと間違いがある今の私は人間でも魔物でもない。」
「じゃあ何なのよ?…痛ァ」
グレースは睨む、頭痛は大分引いていきそうな感じではある
「そう、今の私は魔族だ。」
「魔族?今までのとは違うの?」
「全然違うな魔族は魔物を操れる。」
「じゃ…じゃあ、どうしてあなたがその魔族になったのよ!?」
「あれは少し前の話だった…」
- 9.
ディエルティはダード親衛隊として人にあだをなす魔物の討伐に向かっていた。
そんなある日村から外れたところで大きな魔物に遭遇、なんとか果敢に戦ったが大きな魔物に軽くあしらわれた。
そのとき内心に焦りを感じた彼女は思った。(力がほしい強い力が…)と…そんな時現れたのが魔性の盾だったのだ。彼女がその盾をつかんだとたん彼女の中の何かが変わった。
そして魔性の盾は彼女に魔力を与えたのだった。魔族に変える魔力を…。
- 10.
「そう、かつて私の欲しかったのは力だ!そして今私は力を手に入れた!」
グレースはディエルティから湧き上がる邪悪な快楽の笑みに恐怖を感じた。
「じゃあ昨日王子に情報を与えたのはこのためだったて言うの・・・?」
「そうだ!力なき人間など愚者に過ぎん!魔族は正義だ!力こそが正義だ!」
彼女は叫んだ燃え上がる炎を背に立つ姿にグレースはさらに恐怖した
「そんな…私は騙されたの?…」
「まあそんなとこだ、しかしその宝玉は本物だがな。」
たとえ宝玉が本物であってもグレースはそれを安心する余裕などなかった。
「だったらそこをどいてもらうわ!!」そう叫ぶとグレースはディエルティに向かっていった。
- そして10分後・・・そこにはカブトが真っ二つにされ髪が見えている状態で横たわったグレースの姿があった。そしてディエルティもグレースほどではないがダメージを食らっていた。
「ふっ・・・ここまでやれるとは、お前はどこまで馬鹿なんだ?」
その言葉は彼女なりに気遣ってるのだろう。だがグレースは横たわっていた。
(ぐ・・・つ・・・強すぎるここまでやられるなんて)なんとか立とうとするがなかなか立てない。だがしゃべれることはできるようだ。
(さて遊びは終わらせよう。)何とか立とうとするグレースを見ながらディエルティはなにか決意した。そしてディエルティはグレースに近寄った。
「なあ・・・お前はホントに今の状態で満足しているのか?」何とか立ち上がったグレースはその言葉を聞いた。
「!?・・・ど・・・どういうこと?」
ディエルティから放たれた言葉に突如として驚く。
「お前が騎士になったのは王子を守りたかったのだろう?だが今の命はお前のやりたいことじゃないだろう、お前のやりたいのはそんなチャチな玉探しか?」
ディエルティはグレースから落ちた宝玉を眺める。
「騎士はやりたいことをやるためにあるんじゃない。勝手な事言わないで!」
だが彼女はなおも続ける、そしてディエルティの顔はグレースの顔に近づいた。キスができるくらいに
「お前、本当はクラウナス王子が好きなのだろう?」
「!?」
- 11.
「泣くな、私は力を手に入れただからお前にも本当の幸せを掴んでほしい、それだけだ」
「ほんとうのしあわせ?」グレースの顔は涙でボロボロになり心はもはや裸の状態だった
「そうだ、『あの方』は私に魔性の盾とは違うもう一つの武器をくれたのだ」
「もうひとつの・・・ぶき?」
「そう・・・今からお前に『ほんとうのしあわせ』をくれる武器を・・・お前はクラウナスと幸せになりたいか?」
その言葉を聞いていくごとにグレースの瞳から光が消えていく・・・
「わたし・・・わたし・・・しあわせになりたい!クラウナスとしあわせになりたい!」
「よし、分かったじゃあそれを呼ぼう」
そしてディエルティは謎の呪文を浮かべた。すると地面から禍々しい片刃の剣が現れた
「さあ、触ってみろ」
そう言われてグレースは剣を握る部分に触れてそして握った
その瞬間まるで波のように邪悪な気が流れた
「あ・・・ああっ・・・ふわあっ・・・」
そしてグレースは快感に震えそして意識を失った
- 12.
クラウナス・・・わたしのだいすきなクラウナス クラウナスとわたしのしあわせのためならなんでもする
クラウナスがすきクラウナスいがいはなにもいらない クラウナスのすきなものはわたしだけにするそうすればいいんだ・・・ああ いい それがいい
クラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナスクラウナス
一方グレースの体に変化が起きた、カブトが真っ二つになり見えている純粋な赤色のロングヘアーは鮮血のようなどす黒い赤に変化し
額から暗いブルーの角が生え口元はディエルティよりも赤いルージュの唇、そこから二本の長く鋭い牙が生えた
また、耳も尖りほぼボロボロ状態の鎧の腰の辺りをダークブルーの悪魔のような尻尾が貫いた
寝言なのか口からは「ウナスぅ・・・クラウナスゥ・・・」とつぶやき声が聞こえていた
しばらく経つと鎧も元のデザインを禍々しくしたものに変わっていった
そして彼女が目を開けた、その目の瞳は前は純粋な黄色から血からできたルビーを連想させるような赤色に変わり切れ長の瞳孔を持っていた。
紅魔騎士(こうまきし)グレースの誕生である
「こ、これが魔族の力・・・すごい・・・すごすぎます・・・ディエルさん気持ちいいです魔族は素晴らしいです。」彼女は魔族の快楽の悦びを得ていた
「そうか・・・そう言ってくれると私もうれしいな、しかも『ディエルさん』と言ってくれて凄く嬉しい」
ディエルテイは同胞となったグレースに笑顔を見せる。彼女は本当に喜んでいる
「本当にありがとうございます それで私思ったんです『ほんとうのしあわせ』を自分で手に入れる方法、それは・・・」
そう言うとグレースの瞳は可愛くそして怖ろしくなった。
-
アマチ城の近くの森、そこはついさっきグレースとディエルティが剣を混じらせあった後、グレースが魔に堕ちた地。
そこには、かつてグレースが愛用していた伝説の剣『ミツメノカンゼン』が、大地に突き刺さっていた。
だが、突如としてその剣は、光となって消えてしまった。
その光はどこへ行き、何をしようとしているのか、
それはかつての持ち主ですら知ることはない…。
- 一方バルディア国のアマチ城はパープルゴーレム15体、クリスタルドラゴン9匹、クリスタルドラグーン1匹、そして下級魔物200匹、合計225匹の魔物の攻撃があるはずだった。
しかし、突如として175匹(50匹は援軍が撃破した)の魔物が行動を停止し始めたのだ。
アマチ城門前 ここでは4名の援軍の騎士が行動を止めた魔物の前に戦闘状態で構えていた。
その援軍の一人バアン(19歳ただし男性 さすらいの人)は今の状況に疑問に感じた。
「しっかし何故奴らは攻撃してこないんだ?アルフさんはどう思う?」
常に冷静である雰囲気をしている援軍の一人アルフ(36歳女性 近年剣術の稽古の先生になった)は答えた
「何かを待ってるような・・・そんな感じだ。」
子供っぽい援軍の一名ウィズ(10歳女性 風が大好きで武器はスピア)も答える
「もしかして無くし物をしたんじゃないですか?」
「阿呆、だったら慌てんのが普通じゃないか?お馬鹿な答えを出すな!」
とウィズに突っ込みを入れたのはこれまた援軍のジュウグ(18歳女性 重い鎧を着ている)だった。
「ヒドイですよー」とウィズはぷんぷんと子供らしい声を上げる
「…空気を読んでくれお前たち・・・」とアルフはつぶやく、一同は「は、はい」と沈黙した。
アルフは考える・・・
(確かに何か待っている・・・一体何を・・・)
ウィズはその心中を読んだかのようにこう喋った(もちろん彼女は本気ではないが)。
「あっ、もしかして待ち人がいるんですよきっと」
「おいおいデートじゃないんだからへんな事言うなよ。なあアルフさん」とバアンはしかめ面で言った。
しかし彼女の答えはバアンを驚かせることになる
「待ち人・・・そうか!そういうことか!」
「へ・・・」バアンとジュウグは言葉の通りのリアクションをした
「奴らの部隊はあの凶暴なクリスタルドラグーンをリーダーに構成されている、だがヤツすら停止しているのは攻撃指令を待っているということだ。」
だがジュウグは意見した「じゃあなんでさっきまではこの城を攻撃したんだ?それが分からないと理論がおかしいだろ!」
「ああ、ついさっきまでの攻撃はおそらく時間稼ぎだろうとしたら消耗戦は避けよう。」
そんなシリアスな会話の種となったウィズは、その空気に入れなくなったのは言うまでもない。
「じゃあ私は王子にこのことを報告してくる!だからここは頼む!」そういうとアルフは敵の方向とは逆に駆けていった。
「まかせろ!ここは誰にも通しゃさせないからさ!」
バアンはアルフに向かってそう叫んだ。
- アルフは王宮へ急いでいた。 自分の予測を王子に伝えるためだ。
彼女が、城の中で無事な王宮にたどり着いたとき彼女は意外な光景に驚いた。
それは先祖代々の鎧を着ていたクラウナス王子だった。
「王子・・・ その格好は・・・」
「ああ、みんなが駆けつけてくれたから僕も戦おうと思っていたんだ。 閃光剣は使えないけどこの鎧だったら大丈夫だ。」彼はアルフに優しく語る
「ですが王子、その使命はわれわれのもの、王子に戦わせるわけには・・・」しかしその言葉は続かなかった。
「僕は父親を・・・大切な人を失った・・・ だから自分の身も僕を慕ってくれる仲間の身を守るためにも戦うんだ 大丈夫、この日が来るだろうと思って特訓はしたんだ 見てるだけじゃ自分が情けないしね」と彼はそう言った。
(クラウナス・・・そんなにみんなの事を思っているなんて・・・)
アルフは彼の決意を理解した。
「わかりました、ではついさっき・・・」
彼女は自分の目的を果たすかのように報告した。
しかしその後景を大きな蝙蝠のような翼を広げながら窓際で密かに眺めるルビーの瞳があるのには気づいてなかった。
そして全ての報告を終えたあとアルフは、クラウナスにあるものを渡した。
「これは一体・・・」
それは小さなペンダントだった
「それは私が作った貴方にあげるために作りました 貴方の願いをかなえるための石を入れたペンダントです。」彼女は頬を赤くして答えた。
そして彼はそれを掴んだ「わかった これはもらっておくよ」「ありがとうございました・・・」 そして二人は微笑んだ。今の二人の会話はまるで恋人同士のような後景だった。
いや、この二人は恋人だったのだ。
以前まではただの稽古の先生の一人だったが、誰にも気づかれず進展していたのである。
そして共に門前に向かう
その途中アルフはクラウナスにキスをしてしまった。
「ちょっ・・・ちょっと待ってくれ!今のは一体・・・」
「ご、ご無礼をすみません・・・罰はあとで受けますから」
「いや、そういうわけじゃないが・・・君って意外と大胆だなって思っただけだ。残りの魔物を倒してこの国を守ろう!」
「はい!」
そして二人は門前へ・・・
そしてその一部始終を眺めていたのはそう紅魔騎士と化したグレースだった。キスの後景を目撃してしまった彼女は激しく落ち込んだ
「あ・・・あ・・・そんな・・・」 私のクラウナスがあんな年増女に・・・
許せない・・・絶対許せない・・・ 「あの女だけは絶対に殺す!ぶっ殺してやる!!」
グレースはそう叫ぶと大きな翼を広げクリスタルドラグーンに直行した。
- 戦いの再開はグレースから始まったといっても過言ではない。
クリスタルドラグーンの頭の上に乗っているグレースは叫んだ「我が僕たちよ!一斉にかかれ!!」
その掛け声で戦いははじまった!
最初はクラウナス王子の参戦により、士気を高めたバルディア国軍が下級魔物を蹴散らし全滅させたが、パープルゴーレムに関しては兵士がなんとか三匹倒したものの残りの反撃で苦戦を強いられていた。しかし!
「長き竜巻(ロングトルネード)!!」 ウィズの風魔法の一つ、スピアを目標に指してドリルのような竜巻を放つ魔法だ
「灼の閃光(バーンヴェスパー)!!」 バアンの必殺技である。それは両刃の剣を二つに分離させ二つの剣から炎を走らせた。そしてその目標はウィズの放った竜巻だった。
「「合体!!烈火の嵐(バーニングストーム)!!!」」炎を纏った竜巻を食らった12匹のパープルゴーレムは、もがき苦しみながら泥となって解けていった。
「は~ウィズのおかげでゴーレムを倒したようなもんだ。なんでお前はやつらの弱点を知ってたんだ?」
「風が教えてくれたんですよ。」
「あっそ」
ウィズは普段は天然ボケな子娘だが、いざという時の洞察力は本当に驚仲間たちを驚かせる
「よし!後はあの宝石のヤツか、本当に宝石にして売り物にしてやる!」「でも売れそうにないと思うって風が…」「うっせぇ!!」
かくして二人はジュウグのいる地点に向かった。これから起こる残酷な運命を知らないまま…
- 一方9匹のクリスタルドラゴンを相手に戦うはジュウグである、
ジュウグは超重量の鎧を着ているが、その重みを感じない戦い方をしている…
「剣で切っても傷しかつかんか…なら!」彼女はドラゴンに向かって手を広げた!そして「駆け抜ける炎(メンオブデスティニー)!!」
そう叫ぶと手のひらから魔方陣が現れ、そこから9つの炎が走った。
9つの炎はクリスタルドラゴンの周りを駆け巡り、縄で縛り付けるかのように炎はクリスタルドラゴンを包んだ、
そして、その炎は消えてしまった。
だが、それでもクリスタルドラゴンをしとめる事などできない、
「コレからが本気だ!凍てつく水流(コールドスプラッシュ)!!」
炎を出し尽くした魔方陣から今度は龍のような水流が舞い上がった。
そしてその水は本当に龍のようになった!
そして水でできた龍は9つの水晶龍に向かって食らい尽くさんとばかりに口を開いた!
そして、そこに残ったのは、首、翼、腕、脚などの四肢をバラバラにされた9匹のクリスタルドラゴンが残った。
「剣で切ってもダメなら、体を焼いてから急速に冷やせばいい。」
ジュウグは剣の腕だけでなく、魔法にも長けていた。
剣と魔法を極めた彼女は、彼女の故郷だけでなくほかの国でも有名だった(もちろんバルディアでも彼女は有名である)。
「水晶の龍どもは全て全滅…。しかも私が囮になったから城から大分離れてしまった…。急がなければ!」
戦う相手を全て倒したジュウグは、すっかり離れてしまった城に目を向けた。
「急ぐ…?、それは『死』か?」
ザシュッ!
「!?」
ジュウグが今の状況理解するのは少しの時間が必要だった。
彼女は何者かに後ろから突き刺されていた。
「き…貴様は…誰だっ!?」
ジュウグは血を吐きながら振り返った。
「!?…お前は…ディ・・・・」
彼女は自分を刺した者の名前を言う前に息絶えた。
「ふっ…最強の女騎士と言っても後ろから刺せば意外ともろいものだな。 …つまらん。」
ジュウグを刺し殺した犯人…魔族となっているディエルティは、ジュウグに突き刺した歪な剣『光筒』を抜いた。
ジュウグという名の亡骸は、そのまま地面に前から倒れていった…。
そしてその剣についた血を舐めとった。「フッ…最高の騎士の血はなかなかの物だ。」
剣にこびり付いた血を全て舐めとった後、ディエルティはアマチ城を眺める。
「さて、私もパーティの会場へ行くか…。」
そしてディエルティはアマチ城へ歩いていった。
- ディエルティとは違う方向でジュウグのところに急いだバアンとウィズは水晶が散らばった場所へ急いだ。
「これは…クリスタルドラゴンの残骸?
もしかして全部ジュウグさんがやったんですかね?」
「ジュウグさんが宝石野郎を引き受けたんだ。
よほどの余裕があったんだろうが。大丈夫っしょ!」
「そうですね…でも…何か嫌な予感がしてきて…」
ウィズはそうつぶやいた後、少し落ち込んだ。
(いつものボケをかまさない程不安なのか?)
そんなウィズをバアンは自分流に励ます。
「でぇ丈夫、でぇ丈夫あの堅物女が簡単に死ぬタマか…よ…」
バアンは嫌な予感を振り払いたかったのかもしれない。
しかし現実はあまりにも残酷だった。
「あ…ああ」
「嘘…だろ…」
ウィズの不安はコレのことだった。
そう、それはジュウグの死体だった。
「オイ!ジュウグさんよぉ!起きろよ…起きろってんだ!」
バアンは冷たくなっているジュウグを起こす。
「あ…ああ…嫌あああああああああああああああああああ!!」
幼いウィズにとってはそれはあまりにも凄惨な光景だった…
しばらくしてショックで放心状態になっていた二人だが、
時間は魔物たちはゆっくり涙を流す時間などなかった
「ウィズしっかりしろ!俺たちも城へ急ぐぞ!」
「…!? でもっ…でもっ!」
「確かにジュウグさんの死は俺も悲しい…、でもジュウグさんの無念を晴らすためにも戦わないといけないんだ!」
さすらいの身であるバアンだが、仲間やほかの騎士とも接してきたために相手の心情などは理解できている、
だからこそショックを受けたウィズへの励ましの説得力は強かった。
「・・・・・・・・・わかった!」
ウィズは涙を拭いて立ち上がった。
「よし!お前はいい子だ、戦いが終わったらお前を俺の嫁にしてやる!」
「バアンさん…それはセクハラです。しかも不謹慎ですよ!」
「冗談だ… ジュウグさん見ていてくれ!あんたの敵は俺たちが取ってやるからな!」
「ジュウグさん私たちを見守ってください。」
「行くぞ!ウィズ!!」
「はい!」二人は城へ急いだ。
- ディエルティが城へ向かう途中、既に魔族となったグレースに遭遇した。
「グレース、ジュウグは殺したが私たちの味方はほとんど全滅だ
一体これからどうするんだ?」
「まずクリスタルドラグーンを戦線から離脱させます
ヤツは私の計画に不必要ですから…」
「たしかに伝説の大巨人の復活のためにもそうしたほうがいいが、計画と言うと?」
「私の幸せの敵を討ってクラウナスを手に入れるためには、
私が行かないといけないんです」
「敵?…はっ!!」
ディエルティはグレースの怒りに気づくのが遅かった。
グレースの手はその手に持っていた武器と共にわなわなと震えていた。
「敵…私が一番殺したい敵はあの女よ!
忌まわしい糞アルフ!!
私のクラウナスにキスしたクソッタレよ!!!
許せない許せない許せない!!!」
「落ち着け!グレース!」
「殺す!殺す!!殺してやる!!!」
時既に遅し。
彼女から発した怒りの混じった邪気は暴発し、その邪気でできた衝撃波は彼女の周りの大木をドミノの如く倒していた。
むろん、衝撃波はディエルテイまでも吹き飛ばしディエルティは
大木の上でノビていた。
「私はいつでもお前の味方だって…言っとくべきだった…きゅう…」
そして失神した。
「…はぁ・・・はぁ…って ディエルさん!!」
何とか正気に戻ったグレースが衝撃波でぶっ倒れたディエルティを発見したのはディエルティが失神してしばらく後のことである。
ディエルティがノビている間にクラウナス王子達とバアン達が合流したのは言うまでもない…
-
アマチ城の少し遠い森、そこでは紅魔騎士グレースが
衝撃波でぶっ倒れて、失神した重魔騎士ディエルティを起こしていた。
「…ん?」 ディエルティはようやく目を覚ました。
「あ…良かったぁ 目を覚ましてくれたんですね」
「あ…ああ しかしグレース、お前の邪気が短時間でこんなにも強くなるとは思いもしなかったぞ」
「ディエルさんのおかげです でも、大分遅れちゃいましたね…」
そう、グレースが魔族になってから数時間も経ってない、ディエルティは短い時間でグレースの邪気が自分よりも強いことに驚いていた。
「言い忘れていたが、私はいつでもグレースの味方だ
だから、お前の計画に手を貸してあげたい」
グレースはディエルティの言葉に感動していた。
「…う…嬉しいです! じゃあディエルサンには是非ともやってほしいことがあります! まずは…」
- 一方、アマチ城ではクラウナス王子とアルフは合流したバアンとウィズから、
ジュウグが城から離れたところで死んでいたという悲しい情報を聞き、落ち込んでいた。
「ジュウグ一人にあの数のクリスタルドラゴンを任せてしまったのがいけなかった…」涙を流し落ち込むアルフに、「それは違う」とバアンが言った。
「俺たちはジュウグさんの死体を見たが、彼女は何者かに剣で刺された痕があった、
クリスタル野郎のせいならそんな傷はできない、 つまりクリスタル野郎が全滅した後に何者かに刺されたって言うことだ。」
「アルフさん落ち込まないで下さい ジュウグさんを死なせたのは私たちの責任でもありますから。」 ウィズは落ち込むアルフにそう言った。
クラウナスはそんな暗いムードに一石を投じた。
「みんな、落ち込でいる場合じゃない! でも、誰がジュウグを殺したんだ? しかも、あのクリスタルドラグーンが突然いなくなったことも気になる」
「…そうだ! ジュウグさんのためにも、ここで落ち込んじゃいけないよな… しかも謎はいろいろ残ってんだ!
俺たちは俺たちのやるべき事をしよう!!」
バアンは決意した。その矢先、前進傷だらけになっている一人の兵士が王宮に入ってきた。
「お・・・王子…大変です…先日宝玉探しに出た二人の騎士のような者が・・・この城に…」
バアン達は兵士の姿に驚いた。
「おい! アンタ傷だらけじゃねえか!?どうしたんだ!?」
バアンはその兵士に近づいた。しかし何かに気づいた兵は死力を尽くして叫んだ!
「バアン様!来るなっ!!」
その叫びで止まったバアンは、兵が衝撃波に横から真っ二つにされる光景を見た。
「ガッ・・・・」
そしてバアンの前に残ったのは上半身と下半身を真っ二つにされた兵士だった。
「お役目ご苦労、お前はもう用無しだ」
その声の主は王宮へ入ってきた。
「あ…あんたは」アルフは絶句した。
- アルフは驚いた「ディルティ…?で、でも…」 姿が違うと言いたいのだろう。無理はない、何しろ以前と違う姿をしているのだ。 どす黒いグレー、黒い一つの角、尖った耳、牙、尻尾、ルビーの瞳、歪なデザインの鎧と剣と盾、その姿は人型の魔物である。
「無論、私はディエルティだ何かおかしいか?
寧ろ私は224匹のしもべを倒した貴様らがおかしいと思ってるがなだな。」
「しもべ?…まさか あなたが魔物を…」 アルフはわなわなと震えながらディエルティに問いかけた。
「いや、最初は私だったが攻撃再会の時は別の者にやらせた。」
バアンは嫌な予感を秘めて叫んだ!
「まさか…ジュウグを殺したのはアンタなのか!?」
「ああ、あっけない最後だったよ 最強の騎士があんなザマだったとは・・・」
「アンタってヤツは、仲間を殺して思ったのがそれか!?」
「だったらどうする?」
「だったら・・・アンタを倒すだけだ!!」
バアンはすぐ近くにおいてある盾を拾い、その盾から自分の武器、炎剣『フォーミュラ』を引き抜いた。
「魔族になった私に人間ごときが勝てるものか!」
「勝てるかじゃない・・・勝ってやるんだぁ!!」
炎剣『フォーミュラ』と魔剣化した『光筒』が刃を激しく交えた!
- 「ウィズちゃん、戦える?」 アルフも立ち上がった。
「はい、バアンさんの言うとおりです 私も戦います!」
ウィズは落ち込むのをやめた。
「バアンを援護するわよ!」
「ハイ!」そして二人はディエルテイに挑んだ。
しかし、ディエルティの口は一瞬だけニヤリと歪んだ。
そして、
「ぐっ…こ、この私が、 追い込まれてる!?」
3人はついにディエルティを追い込んだ。
「ウィズ、アルフさん すまねえ!」
「バアンさんが励ましてくれたからやれたんです」
「いいってことよ! それよりトドメを刺すわ!」
そしてバアンは叫んだ!
「全員で突っ込むぞ!」
「「うん!!」」
そして、 三人はディエルティに向かい飛び込んだ!
しかし ディエルティは盾を前に出し余裕の顔を見せた。
「計画通り」
ディエルティの盾が突如光を放った。
「「「!?」」」
- バアンたちが気づいた時、彼らは一人ずつ動物の檻のようなものに入っていた。しかもクラウナス王子は王の座る椅子の近くに置いてあるイスに四肢を縛られながら座らされていた。
「ゆ…油断した」アルフは悔やむ
「ディエルティ! これはどういうことだ!?」バアンは叫ぶ
「クラウナス王子が殺される…」そしてウィズは不安がる。
「安心しろウィズ、王子は殺させない 王子を殺せば私も危険だからな」
「…!?」ウィズは安心と不安に駆られる
「じゃあ何だってこんなことするんだ!?」
「何故? それはお前たちに今から始まる式の参加者になってもらうためだ」
「式・・・ふざけてるの!?」 アルフは激昂した!
「ふざけてなどいない!、貴様みたいな恋人ごっこしかできない貴様とは違う 本気の結婚式だ」
「お前らの方がよっぽどふざけてんじゃねーか!
結婚式? クラウナス王子の前で誓うっつーのか? ふざけんじゃねーぜ!!」
普段は『~ぜ』なんて使わないバアンが、こんなこと言っているのは大分起こっているからなのだろう
しかしディエルティは嘲笑した。
「お前たちは勘違いしている 花婿はその王子なのだよ」
「ハァ?」
「その相手って…一体・・・」 ウィズは何がなんだか分からない
「・・・・・・・・」 アルフは「恋人ごっこ」という言葉に傷ついていた。
「そろそろ来たか・・・グレース」
ディエルティがさっき自分が入ってきたところに、目を向ける
「「「グレース!?」」」三人はディエルティが読んだ名前に驚いた。
- そこから現れたのは花嫁とは言い難い騎士の姿をしたグレースだった。
「ディエルさんありがとうございました ここまでやってくれて」
「礼など要らない、お前の望みを叶えただけだ。
私にとってはわけない事だ」
「グレース・・・お前、本当にグレースなのか?」
バアンはその姿に驚愕している。
驚くのも無理もない、以前に会った時と全然違うのだから。
今のグレースは鮮血のように赤い髪、そこから生えている暗く青い二本の角、ディエルティと同じ耳と尻尾そしてルビーの瞳、
極めつけは元の鎧を禍々しくした鎧と、凶悪なデザインの魔剣だった。
「あら…その声はバアンさん」
グレースは檻に入っているバアンをまるで犬を見るかのような見下した目で見る。ディエルティのときとは全く違うまなざしだ。
「お前も魔物みたいなのになった てか?」
「犬風情に魔物呼ばわりされるなんて、心外ですわ 私達は魔族 、間違えないでくださいね 上品そうな犬が!」
グレースは魔性の剣をバアンに突きつけた。「ちっ・・・」バアンは舌打ちをする。
「犬!?グレースさんおかしいよ! どうしてそんなこというの?」
ウィズはグレースに向かって叫んだ。
「騎士って言っても所詮は王家なんかに尻尾振ってるだけのただの犬でしょ? それのどこがおかしいの?」
「うう・・・」
ディエルティさんもグレースさんもおかしくなっちゃたんだ・・・
「ウィズ!今のあいつらに何を言っても無駄だ、あいつらは俺たちと考えが違うんだからな クソッ しっかし武器も鎧も取り上げて檻に入れるたぁよほどの警戒心だな」バアンはディエルティに向かって皮肉を言う
「ふん、もはや絶望状態なのによく大口を言えるものだ」
ディエルティは馬鹿にするように言う。
「へっ どーせ今は殺さないで用が済んだら殺すんだろ、あのときの兵士のように」
バアンは体を真っ二つにされた兵を思い出した。
「まあ二人は残すがな…」
ディエルティはボソッとつぶやいた。
- 一方のグレースはアルフのいる檻に近づいた。
「アルフさん、私の結婚式を祝福してくださいね」
「何が結婚式よ!? そんなことのためにみんな殺したっていうの?」
「アルフさん、王子に関わると喋り方が変わるんですね
ジュウグさんみたいな真似して厳格な振りしても無駄ですよ
本音は私のクラウナスが取られそうで腹立たしいんでしょ、そう言えばいいのにくだらない意地を張って・・・
でも私のクラウは私の婿にするのアンタよりも先にね!」
グレースはここにいる三人にも聞こえるように叫ぶ、
しかしクラウナスは何も言わない。
「何を言っているの!? 私と彼には王と騎士の関係よ!
それ以外に何があるのよ」
アルフのその言葉にグレースは激昂した。
「ふざけないで! 私にはわかってんのよ! アンタが私のクラウに変なプレゼントしたことも、あんたがキスなんかしたこともね!」
グレースは全員に聞こえるように叫んだ
「えええええええええええ!!」 檻の中のバアンとウィズはものすごく驚愕した。「あのジュウグさんと1,2を争う厳しい人が・・・」
しかし、グレースはそんな二人を
「許せない、あなたはそうやって私からクラウを奪う そして世界はクラウを縛り付ける そして、私とクラウを引き剥がす!」
無茶苦茶だ アルフは思った。そしてその言葉は彼女の被害妄想だと。だが、言えなかった 言うことができなかったのだ。
「だから、私は、全てを壊すって決めたの。
私とアルフを妨げる全てをね!」
「……そんな、そんなことのために、あなたは友を、自分を育てた国とその人たちを、多くの者たちを犠牲にしたっていうの!」
アルフはもう、冷徹さを捨てた一人の女としてグレースに叫んだ。
「私はあんたたちとは違う!所詮あんたたちは、王家に仕えるただの番犬!
私はクラウの隣が、クラウの妻こそがふさわしい存在なの!
他の者なんて取るに足りない、虫にも劣る者でしかないの!!」
「貴方って人は! だから貴方は他の人を平然と・・・」
アルフは今のグレースを睨み付けた。
「憎い? 悔しい? 殺したい?それなら私と決闘しなさい。
私を殺せばクラウは解放してあげる。」
ディエルティは、グレースの発言に驚いた。
「グレース! 一体何を?」
「婚礼前のパーティよ、私はさっきからコイツを殺したくて仕方がないの、あの泥棒猫をいたぶってぶち殺すいい機会だわ。準備を」
(今のグレースには何を言っても無駄だ。ここは従うしかない。)
「わかった」
- その後景を眺めているバアンは王子に目を向けた。
「しかし、王子のヤツどうして振り向かないんだ?
こっちは大変なことになるのに・・・」
「バアンさん、王子はまるで抜け殻ですよ、きっと」ウィズはバアンに話しかける。
「くっ・・・」
- 檻から解放され鎧と武具を渡されそれを装着したアルフと、魔性の剣を持ったグレースが王宮前の廊下で待機していた。
(これで私が負けたらこの国が滅ぶ・・・、だからここで彼女を倒さないと・・・)
審判はディエルティだった。
「では、人間のルールを下に開始はこの短剣が地面についたら初めとする。異論はないな」
「「もちろん」」
「ふっ・・・では」
短剣を上に放り投げる、そして短剣は地面に突き刺さった。
そして、決闘は始まった。
地面に突っ伏したのはアルフだった。
そして、勝者として立っていたのはグレースだった。
決してアルフが弱かったわけでも、手加減したわけでもない、グレースが強すぎたのだ。
(まさか・・・こんなに強かったなんて…)
グレースはアルフに近寄り魔性の剣を地面に突き刺した。
「アルフさんって、こんなに弱かったんですね。」
そして、グレースは倒れたアルフの美しい髪を掴んだ!
「その程度でクラウと恋仲に落ちるなんて、とんだ笑いものだわ!」その瞬間グレースはアルフの腹に拳をぶつけた。
「ぐほっ・・・」
「私はクラウを守るために血反吐の出る思いで特訓した。
でも、クラウを守るためにやったのに、任務はただのパシり
そんなことのために特訓をしたわけじゃないのに・・・
それなのに貴方は私の生きる目標でもあるクラウを奪おうとした。」
「そ・・・れ・・は・・・・違・・・がはっ!」
アルフの言葉を聞くとグレースは怒りに任せて何発も拳を打ち付ける。ディエルティはそれを眺めるだけ・・・
「言い訳なんて聞きたくない! どうしてアンタはそうやって冷静な振りしてクラウに近づくの? 私はそれが許せないの!」
そして何度か殴った後、魔性の剣を抜いた。
「でも、それももう終わり、貴方は婚礼の客なんかにならない、
精々あの世で泣きながら見ていなさい。国の終わりと私とクラウが永遠に結ばれる所を」
そして、グレースはアルフを天高く投げた。
「死ね」
そして、魔性の剣はアルフの腹を突き刺した。
「がっ・・・ごはぁ」
アルフは激しく吐血した。
「さようなら…泥棒猫アルフ!!」
グレースはアルフを持ち上げ、彼女に刺した剣を乱暴に抜いた。
そして、刺し傷から鮮血が噴出した。
「あは・・・あはははははははははははははははははははははは あぁは あぁはははははははははははははははh」
そして大量の血を浴びたままグレースは高笑いを続けていた。
「もうこんなの必要ないわね。こんなガラクタ!」
グレースは鎧から小さな物を取り出す。
それは、さっきアルフがクラウナス王子にプレゼントしたペンダントだ。
そのペンダントを落とし、グレースは踏みつけた!
グシャ・・・
ペンダントは悲しげな音を残しつぶれた。
「勝負あり…」 ディエルティは今更判定をした。
- 「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
二人は沈黙していた。実はこの二人アルフとグレースの決闘を見ることができなかったのだ。だが、寧ろその方が良かったかもしれない。
「ハァ、王子はあのまんまだし、おれたちゃこの檻の中だし、いったいどーすりゃいいのよ?」 バアンはそう言った平べったい床に寝っころがった。
「のよ・・・ってあなたは女ですか!? でも、このままにするわけもいかないし… アルフさんは勝ったのかな…?」
「アルフは負けたよ…そう、無様にな。」
「「…!?」」
ディエルティの声、そこからディエルティとグレース そして、アルフの生首が!!
「ア…アルフさん!? いやああああああああああああああああ!」
ウィズは絶叫した。
- 「ウィズ!! 落ち着け!!」
バアンはウィズに向かい叫ぶ。しかし、クラウナス王子は沈黙したままだ。
そんなクラウナスに、アルフの死にすら反応しないバアンの怒りは頂点を極めた!
「おい!! クラウナス!! テメェ!さっきからずっと無視しやがって、一体どういうつもりだ!? 答えろ!クラウナス!!」
しかし、クラウナスは答えない
「あなた、犬のクセに私のクラウにそんな口聞いてもいいの?」
「テメェ・・・王子に何をした!?」
「クラウに魔法をかけてクラウの中の邪魔な記憶を消したの。
でも、そのためには時間が必要な上に他人に干渉されたらその魔法は無効になる。
だから、今は全ての感覚を停止しているのよ。呼吸はできるようにはしているけど
でも、そろそろ終わりのようね。感覚が戻ればクラウの中の無駄な記憶は全て消える、
これからは私がクラウを守るの未来永劫ね!」
そしてグレースはアルフの首を床に置いた。
「ちっ どおりで無反応だったわけだ」
グレースは口元をにやりと歪めた。
「でも…考えてみれば、結婚式に犬なんて不要。
だから貴方にはここで退場してもらうわ!」
「お前! だったらウィズだって犬じゃねえか!? 何か差別してんのか!?」
バアンは檻の柵越しで叫んだ。
(ウィズ、相当傷ついてるのにこんなこといってすまねぇ。でも確かめたいことがあるんだ)今の言葉に後ろめたさを感じている。
「何か勘違いしているようだけど、別にウィズちゃんを犬扱いしてないわ。
彼女には合わせたい人がいるの。
だからさっきからディエルさんの前でギャンギャン騒いでる貴方は鬱陶しいのよ・・・でも、これで終わり!」
グレースは剣を振り上げるそこからは邪気が刃を包んでいる。
バアンを檻ごと真っ二つにできるほどの長さはある。
(こ、ここまでか!?)
「死ね!このい・・・」
その瞬間
- 突如、バアンの真上から真っ赤に染め上がった『紅剣 ミツメノカンゼン』が現れた。
そしてミツメノカンゼンから光…正確に言えば赤い閃光が刃から放たれた。
「くっ!」 バアンはつい、目を閉じた。
「…はっ!」
バアンは目を開く、目の前には柵がなくなっていた。
いや、檻そのものが消えていたのだ。
「まさか…ミツメノカンゼンにこんな力があるというのか?」
ディエルティは驚愕する。
「ウィズ! 今助けてやる!」
その時、ミツメノカンゼンは突如光に分裂し、光は魔法陣と化した。
魔方陣はバアンの真下を走りだした。
「!?」
バアンは真上を見た
「まさか、こりゃ転送魔法か!? クソッやめろ!! まだ俺にはやらなきゃならねぇことがあるのに!」
しかし、バアンの『やらなきゃならないこと』は空しくもかなえられなかった。
バアンは真下の魔方陣から放たれた真上にあるブラックホールのようなものに吸われていく…
「ウィズゥーっ!! 王子ィーっ!! うあああああああ!!!」
その叫びに錯乱状態だったウィズが気づいた。
「バアンさん!!」 まだ檻に入ったままのウィズは柵越しに同胞の名を叫んだ。
そして、バアンはブラックホールに消えていった。
- 「バアンさん…バアンさん…」
泣きじゃくるウィズにディエルティは話しかける。
「心配するな。 バアンはミツメノカンゼンに導かれるまま、次元のどこかへ向かうだけだ。 別に死んだわけじゃない。」
一方のグレースはバアンが消えたせいかため息をついていた。
「まあ、あのうるさい犬が消えたようだし、本格的に式を始めましょ。」
グレースがそう言うと、ディエルティはウィズを檻から解放し、
彼女の鎧と服を手で破り去った。
「イヤアアアアアアア!!」
そこから、少しだけ大きな胸が見えた。
「恥ずかしがることはない、少しの辛抱だ!」
そう叫ぶと、ディエルティはまた手で、ウィズの下半身の下着まで引きちぎった。
「や、やめてぇ……いやあ……恥ずかしいよぉ…」
ウィズは股間のソコと先程露出した胸を何とか隠す。
「だから言ったろう、恥ずかしがることはないと…。」
そう言うとディエルティは、一瞬にしてウィズの後ろに回り、
胸と股を隠す腕を掴んだ。
「あ…ああ…」
「さて、お前にも式に相応しい衣装を用意してやろう。
魔性の盾よ!」
ディエルティは魔性の盾に向かって叫んだ。
すると、盾から放たれた光から何かが現れた。
「そ…それって…」
そう、現れたのは手枷、口枷だった。
「そう、あまりうるさくしない為の衣装だ。いいものだろう?」
「イヤッ! こんなの着たくない!!」
しかし、ディエルティはウィズの言うことを聞かない。
そして、無理矢理腕を後ろに回され、そこに手枷を付けられた。
「やめてぇ…はずし…んっ」
ウィズは大声で叫ぼうとする前にディエルティにディープキスをされた。
「ん…んん!? んはぁ…」
ディエルティは、ウィズの口内に舌を這わした。
「ん…むぅ…」
ウィズは、ディエルティの唾液にどんどん夢中になった。
しかし、それを気づいたディエルティは一気に下を離す。
「ん・・・はぁ」
そこにディエルティはウィズの口に口枷を…。
- 「ん! ん~」
ウィズは足以外ほとんど動かない状態で二つの椅子の近く…すなわち客席的な場所に座らされた。
「さて、またせたな 準備完了だ。 グレースいつでもいいぞ。」
「じゃあ、始めますか? ディエルさん。」
そこには、いつもの(?)機嫌に戻ったグレースが待っていた。
体を枷で拘束されたウィズを客に、グレースとずっと虚ろ目のクラウナスの結婚式が始まった。
「…ゴホン! では、グレースよ、お前はクラウナス王子と悠久の時を過ごすことを誓うか? (まあ、これでいいよな・・・)」
「はい、誓います。」
ここで、バアンがいたら「魔族の割りに人間みたいなやり方だな。」と言いそうな光景から始まった。
しかし、ウィズはただ、眺めることしかできない。
「では、誓いのキスを。」
「はい」
そして、グレースはクラウナスの唇に口付けをした。
そこで、人間ならやらない行為が始まった。
「ふ・・・うん…ん…はあ・・・」
「んん・・・むう・・・ふあぁ」
ディープキス グレースはクラウナスの口の内に舌を這わせる。
ウィズはその淫乱な光景を直視していた。
「ん・・・」
ウィズは少しづつ、少しづつ興奮していった。
(気持ちいい・・・二人だけ…ずるいよ…)
ウィズは拘束されているので、体をいじれない。
そんなこともお構いなく続けた二人はキスをやめた。
「…ぷはぁ」
「…はぁ」
グレースとクラウナスは口から糸を引いて名残惜しそうに離れた。
- 「では、続けて…グレース、全ての鎧を剥ぎ取れ!」
どんどん事態はおかしい…いやらしい方向へと進む。
「クラウ…あなたは、あなたの体と同じようにそんな邪魔な鎧を着飾ってしまっていた。 でも、これで終わり!あなたが付けられた鎧は全て話してあげるわ!!」
そう叫び、グレースはかつて愛用していた鎧を歪にした鎧を外し、そして、全ての服を脱ぎ散らした!
そこからは16歳とは思えない美しさの裸の四肢が露見された。
しかし、その体は魔族の魔力で妖艶かつ淫猥な匂いを漂わせる。
しかも、腰からは悪魔の尻尾が見えている。
「クラウ、もう目を覚ましていいわ。 気分はどう?」
クラウナスの目から光が戻った。
「グレース… 怖かったよぉ、 しかも何か重いし…」
前までのクラウナスとは何か違う そう、「不要な」記憶を消したために精神が少し幼児になっていたのである。
「クラウ、安心して。そんなの剥ぎ取ってあげる…全て!」
グレースは爪も真っ赤で尖っている華奢な手で、クラウナスの装着している王家の鎧を全て引っぺがえした。
さらに、グレースは勢い良くクラウナスの服まできれいさっぱり剥ぎ取った。
クラウナスの体はもはや全裸状態、しかし、クラウナスはさっきのディープキスの影響か、ハァハァと興奮していた。
「なんだか体が軽い。ありがとうグレース」
その言葉に、グレースは興奮してしまい、クラウナスをきつく抱きしめた。尻尾の先までクラウナスに擦りつけた。
そして、またディープキスが始まった。しばらくして、グレースはクラウナスの方向へ倒れこんだ。
「クラウぅ 私…、もう我慢できないよぉ!」
- グレースは仰向けになったクラウナスの下半身に体を移動させ、股間のブツに顔を近づける。
「クラウぅ…頂戴…」
グレースは一気にクラウナスのブツの亀頭を舐め始めた。
「ん…ふ…ちゅぷっ…くちゅぅ」
くちゅ…くちゅ… 淫猥な音が王宮に響く。
ウィズは、そんな後景に興奮していく。
「では、私も始めるか。」
ウィズはすぐ近くにいつのまにかディエルティがいることに、驚いた。
「んん~!」
「だが、すぐにはつまらん。 私がお前と『遊ぶ』のはあっち次第だな。」
ディエルティはそんな意地悪なことを言いながら、鎧を、服を脱いでいった。
ディエルティの胸は二十歳とは思えない位のバストサイズであった。 おそらく、Eカップ位の大きさはあるだろう。
「では、私たちは試合観戦と行こうではないか。ウィズ。」
ディエルティは意地悪な笑みを浮かべた。
- 「はっ…あっ…」
「クラウ…ここからすっごい先走りがあふれてる…」
「グ、グレース気持ちいい… 気持ちいいよぉ…」
グレースのフェラはクラウナスを絶頂に導けるくらい上手である。
亀頭から根っこまで丹念に舐めまくる。
「お○ん○んから何か出てきそう? だったら言って。」
「んん…出そうで出ないんだ 気持ちいのに…」
クラウナスは一向に射精しない。
「だったらこうしてあげる」
すると、グレースはうねうねと動く腰の尻尾の先をクラウナスの乳首に擦らせたり揉んだりしてみた。
「んああ!」
「クラウ、胸も気持ちよくなったでしょ? そろそろ出る?」
「あ・・・ああっ…出る!出ちゃう!」
すると、グレースはクラウナスのブツを一気に咥えこんだ。
そして、胸をいじった尻尾の先で袋をつんつん突っつく。
ドクッ…ドクゥ!…
クラウは射精した。
グレースの口は既に精液を全部飲み込んでおり、それを、ごきゅ…ごきゅ!、と飲み込んだ。
「はぁ…はぁ・・・」
「クラウの…はぁ…おいしい…もっと飲まして…」
グレースは、またクラウナスのブツをむしゃぶりつく。
射精後だろうが彼女には関係ない。とにかくクラウがほしいのである。
- 「じゃあ、こっちも…」
一方のディエルティは、拘束されているウィズの体を舐めまわし始めた。
耳、首筋、腹回り、尻の尾てい骨辺りとゆっくりと丹念に血のような真っ赤な舌で舐めまわす。
「ん~んん~」
「どうだ、気持ちいいか?」
「ん~ん~」
ウィズは虚ろな目で肯定的な返事をした。
実はウィズに付けた拘束道具は、媚薬効果をもたらす闇魔法でコーディングされており、
これを付けたものは時間が経っていくと誰でも快楽に支配させ発情させる効果を持つ。
しかも、魔性の盾から出た道具のため魔族化を促進させる効果もある。
しかし、さっきの(前編参照)短刀のように直接魔族化させるほどの効果はない。
つまり、この方法で淫乱にさせてもウィズを魔族に堕とす事は不可能である。
ウィズを魔族化するには、グレースのように魔道具で魔族にさせなければならない。
しかし、ディエルティは真っ先に魔族にさせようとはおもっていない。
そこは、愛撫の場所が微妙な所だったりとどうやら下準備のつもりで取り掛かっているようにも見える。
しかし、ウィズはそんな真意を気づくこともなくもっとしてと言わんばかりにディエルティを求めたままだった。
もはや彼女は絶望のあまり、幼くも強いプライドすらかなぐり捨てている。
その姿は正に、発情した雌だった。
- そして、グレースはクラウナスの精液を舐め取った後、仕上げとばかりに膝で立つ。
「クラウ、次はここ…舐めて」
そう言うと、グレースは己の股間の割れ目を尻尾で突っつく。
「う…うん」
クラウナスは、グレースの割れ目をたっぷり舐め上げた。
「んんん…ああっ…はぁっ」
グレースのそこは既に愛液まみれになっていた。
しかし、クラウナスはそこをさらに舐める。
「んはぁ!…イクゥ!…」
グレースは絶頂した。
「はぁはぁ…気持ちよかったぁ…でも…これからよクラウ」
グレースは、自分の割れ目を指で広げた。
「最後は…私の舐めたクラウのとこ…ここに入れるの…」
「入れるって…これ?」
クラウナスは自分の勃起したペ○スをグレースに見せ付けた。
- 「ほうほう、なかなかいい感じではないか? お前もそう思うだろう? なあ…ウィズ」
「んふぁ…」 ウィズはこくりとうなずいた。
ウィズの体は、噛み傷だらけだった。原因はディエルティだ。
彼女は舌だけの愛撫では物足りず、甘噛みまで行っていたのだ。
「すまん…つい興奮してしまってな…」
人を拘束しといて「すまん」も無いと思うが…。
「もうこの状態だからこれも不要か…」
ディエルティはウィズに付けていた手枷と口枷を外してあげた。
「大丈夫か?」
「うん…もっと気持ちよくしてぇ…お口がさびしいのぉ」
「もはや逃げる気無し…か。 わかった」
実は、この部屋はグレースたちが戻ってきた時点で結界が張られており、外的な寒さはほとんど感じられていない。
しかも、この結界はわずかながらも人間を淫乱化させる効果もあったのである。
それはともかく、ディエルティは自分の股間をウィズに向けたのであった。
- 「ん…じゃあ…入れ…るね」
さっきと違い、今度はグレースが下に寝転がって、クラウナスは押しの体制だった。
「うん…きてぇ…いれてぇ」
クラウナスは意を決した後ブツをグレースのそこに突き刺した。
「ああ…クラウ…クラウのがぁ…」
入った瞬間、グレースは激しい快感に酔いしれていた。
「んん! んはぁ! はあ!」
「ふん…はっ…ああ!」
クラウナスは一気に腰をグラインドさせた。
「クラウぅ…わた…し…すっごく…幸せ…はあっ!」
「僕もだよ…グレース…ずっと一緒だよ…」
「ああっ!…もう…イクのぉ…イキそうなのぉ!!」
「たっぷり出したのに…僕もイキそう」
お互い口から涎が垂れていく。
「出してぇ…私の内に出してぇ!」
「ううっ…ああああ!」
そして二人は同時に果てた。
クラウのペ○スはグレースの膣の中に精液をたっぷりと出していった。
「はああああああ」
「あああああああ」
二人はあまりの快感に、気絶してしまった。
ディエルティは、それに気づいてウィズとの行為を中断した。
- 夜明け…事が終わって既に朝になっていく最中だ。
「終わった…さて、この城を後にするか…」
ディエルティは快感に酔いしれ、倒れた3人を抱えたまま窓際を覗いた。
彼女の見つめる先、そこに美しい結晶の翼を持った八頭身の巨人がこちらに向かってきた。
「来たか…大巨人…いや!大巨神マルスクリスタル!!」
更に言うとその巨神は、結晶の鎧を纏っていた。
「ふふ…クリスタルドラグーンを復活の地に行くようにしたのは正解だった」
そう…クリスタルドラグーンが戦線に離脱させたのには訳があった。
この日は、誰も知ることのない巨神復活の日だった。
『大いなる存在』はそれを察知してクリスタルドラグーンを保険のため2匹ほど召喚していた。
クリスタルドラグーンは大巨人ジーゴレムと融合(というよりクリスタルドラグーンが分離して鎧などになったりしてジーゴレムに付けるものであるが)、支配ができるのである。
マルスクリスタルは窓に掌を伸ばす。そして、ディエルティはそこに移動した。もちろん、三人抱えて。
「そうか…では、帰還するぞ!」
ディエルティはマルスに叫んだ。
かくして、ディエルティたちを乗せたマルスクリスタルはバルディア城を後にした。
魔物の足止めによって遅れたダード国の援軍の騎士団が、バルディア国に着いたのはその後である。
「遅すぎた…」
ディエルティの姉、ゼフィはその惨状に絶句したのだった。
- その後、魔族の本拠地となったのはあのオープス山だった。
そこは、魔物たちが内部を改装したためもはや洞窟と言うより基地である。
その中のグレース用の部屋、そこではグレースがクラウナスにプレゼントを渡す光景があった。
「クラウ、これはね世界に一つしかない宝玉なんだよ、これ、クラウにあげるね」
「ありがとう、キレイだなー」
クラウは自分へのプレゼントに喜んでいる。
しかし、それはオープス山でグレースが手に入れた閃光剣復活のための宝玉だった。
ディエルティは、この宝玉の中に含まれている光の力を沈黙させ、グレースに返したのである。
グレースは世界を救うカギをクラウナスへのプレゼントにしてしまったのである。
「クラウ、私たち今日から夫婦だね」
「うん、でも怖い人たちが来るのは怖いよ」
彼の言う怖い人たち…それは、グレースたちの敵のことだ。
「だいじょーぶ!私強いから、大丈夫だよ!」
「でも、一人は怖いから…夢の中は一人ぼっちで寂しくて寂しくて、何度もグレースの事呼んだよ」
あの時、クラウナスの「さみしかった」という言葉はそんな意味があった。クラウナスはそれを思い出して泣きそうになる。
「もしみんな死んじゃっ…」
クラウナスの言葉は続かなかった。
グレースはどんどん泣きそうになっていくクラウナスを抱きしめた。
「大丈夫…私が守ってあげる」
クラウナスはグレースのぬくもりにしがみついた。
「グレース…大好きだよ…」
その言葉はグレース最大の喜びであった。
クラウが大好きって言ってくれた。嬉しい
それだけで幸せ、こんな幸せを破る奴らは誰であろうと殺してやる!
そして、この幸せを守ってくれる人のためにも私は戦う!
そう!天魔大帝がこの幸せを約束してくれる!
その人のためにも戦おう!でも本当はクラウのために戦いたい!
今のグレースはそんな考えであった。
そしてディエルティは、その後景を魔性の盾で眺めていた。
「成功した、これでグレースも以前の彼女の言う『大いなる存在』…いや天魔大帝復活のためにも戦うだろう……後は一人…」
彼女は独り言を誰にも聞こえないように呟いた。
「クラウナス…奴は使えそうだ……だが、その前に…アイツからか…」そして彼女はグレースとクラウナスの部屋を後にした。
―そして、紅は鮮血に染まっていった。―