写真上=ボディビルダーながら定期的にMAX重量にも挑戦すると話す加藤直之選手
写真◎BBM

 2月14日発売の『トレーニングマガジンVol.61』の第2特集は「ベンチプレス100kg攻略法」。トレーニング初心者の多くが最初の目標に設定すると思われる「ベンチプレス100kg」を達成するためのプランニングや基本フォームのポイントをご紹介します。

 最新号発売に先駆けて、ベンチプレスをこよなく愛するボディビルダー・加藤直之選手のベンチプレス論を振り返ってみましょう。
 *この記事は、『トレーニングマガジンVol.45』に掲載したもの(一部抜粋)であり、2016年6月時点の情報となります。

反復することで技術をつかむ

――ベンチプレスは、普段のトレーニングルーティンにどのように組み込んでいるのですか?
加藤 胸の第1種目にしています。今年は、「胸」「背中」「脚」の3分割でトレーニングを進めているところです。ベンチプレスは疲れがたまっていなければ週に2回行い、疲れていれば週1回にとどめます。

――肩や腕などは?
加藤 「疲れたけれど、もうちょっとトレーニングしたいな」という日に組み込みます。頻度としては月に2~3回程度でしょうか。

――ボディビルダーは、5分割など細かく分割するケースが多いです。なぜ3分割という分け方に落ちついたのでしょう。
加藤 今年は、オフの間にベンチプレスとデッドリフトの使用重量を伸ばしたいと思っていました。それならば、BIG3中心の3分割にしたほうがいいかな、と。そうすることで(4分割や5分割よりも)ベンチプレスを行う頻度が増えますよね。ベンチプレスを伸ばすには技術が必要。反復練習をすることで、技術をつかんでいこうと思ったんです。

――「基的な筋量を増やす」ことを考えていった結果、BIG3を伸ばすメニューにたどりついた?
加藤 そうです。大筋群のトレーニングをしっかり行っていけば、全体的な筋量は増えていくだろう、と。それに、そういったトレーニングでは腕の筋肉なども使われますから。

一番力の発揮できるフォームを探していく

画像: ブリッジの高さが特徴的な加藤選手のベンチプレス。柔軟性の高さが可能にさせる

ブリッジの高さが特徴的な加藤選手のベンチプレス。柔軟性の高さが可能にさせる

――ベンチプレスの練習で重視しているポイントは?
加藤 「毎回のトレーニングでフォームを試す」ということです。基本的なフォームをベースにして、そこから「足の置き方を変えてみる」「シャフトを下ろす位置を1㎝ほど下にしてみる」など、いろいろと試しながら力の入りやすいポイントを探していきます。シャフトを下ろす位置を変えるだけでも、力の入り方が微妙に変わってくるものです。また、同じ重量でも重たく感じる日があれば、軽く感じる日もあります。もっといえば、重たく感じても、フォームを少し調整するだけで軽く感じられることだってある。そうしてポイントを探していき、軽く感じたときと同じフォームで反復できるよう心がけています。

――「挙げる」「下げる」という単純な動作のなかに、さまざまなポイントが隠されていそうです。
加藤 私はベンチプレスが大好きなので、追求していくのが楽しいんです。ただ、可動域を狭くして全身を使って挙げることを意識しているので、ボディビル的な考え方とは少し異なるかもしれません。

――パワーリフティング的な考え方ですね。
加藤 そうです。けれども競技会とは違って「失格」がないので、トレーニングでは自分が一番力の発揮できるフォームを探していきます。以前は、日本トップレベルのパワーリフターやベンチプレッサーのビデオを見ながら、フォームを研究していました。そこで得たものを基本にして、自分なりに反芻しながら修正を加えて、現在に至っています。

――「一番力の発揮できるフォーム」のキーとなるのは?
加藤 胸郭を上げて骨盤と肩甲骨との距離を縮めることです。また、脚の力も使いたいので、なるべく上体に近い位置に足を置きます。私の場合は、肩甲骨の下辺りに足をもってきます。

――かなりのハイブリッジですね。体操競技で培われた、体の柔軟性が生かされているようです。
加藤 それはありますね。私の採用するフォームは、ある程度の柔軟性がないとできないと思います。

――体操競技は高い瞬発力も要求されます。
加藤 ベンチプレスと体操競技は、扱うものがバーベルの重量なのか自分の体なのか、という違いはありますが、感覚としては似ている部分も多くあります。体操時代に培ったプレスの動作や力の入れ方などは、ベンチプレスにも生かされています。

かとう・なおゆき◎ボディビルダー。1981年、埼玉県生まれ。千葉選手権、関東クラス別選手権、関東選手権などで優勝を重ね、2012年にジャパンオープンを制覇。13年の日本選手権以降、6年連続で決勝進出を果たしている。最高位は4位(16年)。


 ソフトボール・マガジン5月号(3月24日発売)に掲載した『選手が選ぶ何でもランキング』。この企画は、日本女子1部リーグ選手のアンケート結果をもとに、全11部門の「リーグナンバーワン」をランキング形式で発表したものです。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため前半戦が中止となりましたが、今回はソフトボール・マガジンWEBでその一部を紹介します。選手が選んだ選手のスゴイところ。そのコメントにもご注目ください!

1位=53票
江口未来子(豊田自動織機/外野手)

風のように走る/軽やかにスーっと行ってしまう/一歩目からトップスピード。ほんとに速い/足の回転が速過ぎる/ランナーワークが上手/判断力もピカイチ/1歩1歩がデカくて、スマートな走り

画像: 走塁部門で1位に輝いた江口未来子(豊田自動織機) 写真◎井田新輔(ソフトボール・マガジン編集部)

走塁部門で1位に輝いた江口未来子(豊田自動織機)
写真◎井田新輔(ソフトボール・マガジン編集部)

2位=49票
村上ほのか(豊田自動織機/外野手)

速さとテクニックと判断のレベルが高い/とにかく速く、スライディングがかっこいい/迷いなく進んでいく。スピードが落ちない/塁に出たら絶対盗塁しているイメージ/分かっていてもアウトにできない/ランナーにいたら、とにかく嫌

画像: 走塁部門2位の村上ほのか(豊田自動織機) 写真◎藤田真郷(ソフトボール・マガジン編集部)

走塁部門2位の村上ほのか(豊田自動織機)
写真◎藤田真郷(ソフトボール・マガジン編集部)

3位=10票
堤加菜子(トヨタ自動車/外野手)
走っている姿がチーターみたい/とにかく速い/気が付いたときには、ホームインしている/走り方かっこいい!

3位=10票
藤本麗(ビックカメラ高崎/内野手)
ベースランニングが上手/加速が速い/スライディングが上手!/ちょこまかしていて、とりあえず速い/小型犬みたい

※本アンケートは2020年シーズンの日本女子1部リーグ所属チームから、昨季は2部リーグに所属していた日本精工を除いた11チームの選手の中から、177名の方にご回答いただきました。
※本アンケートは無記名で行われ、2020年シーズンの日本女子1部リーグでプレーする選手の中から、各部門で原則1名を選んでいただきました。

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ソフトボール・マガジン 2020年6月号


アディダス ジャパン株式会社と公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)が共同し、女子サッカーの普及・発展のために始めた「HER TEAM」プロジェクト。JFAの今井純子女子委員長が、女子サッカーが抱える課題とプロジェクトに対する期待を語った。
画像: 【ソフトボール】
選手が選ぶ何でもランキング
走塁部門

プレー環境の充実を目指す

――2016年に公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)の女子委員長に就任以降、女子サッカーの普及・発展に関してはどのような手応えを感じていますか?

今井 この4年、さまざまな取り組みをしてきたものの、取り組みが必ずしもすぐに実を結ぶわけではないと実感しています。準備は重ねてきましたが、しっかりとした形になるには大きなきっかけも必要だと感じました。そういった意味では、2023年までは女子サッカーのトップカテゴリーにおいてインパクトのある大会や出来事が続きます。その過程で注目を集め、女子がサッカーをしたくなったときにすぐにプレーできる環境を整備しておくことが大事だと思っています。

 JFAが2015年に改訂した「なでしこvision」には3つの柱があります。

1.サッカーを女性の身近なスポーツにする。

2.なでしこジャパンが世界のトップクラスであり続ける。

3.世界基準の「個」を育成する。

 JFAは特に「1」に対する課題を感じており、アプローチを急がなければいけないと思っています。今後、日本女子代表や女子の育成をもっと進めていくためにも、女子サッカーの普及が必要だと考えています。

画像: 写真/阿部卓功

写真/阿部卓功

――JFAが2018年度に集計した競技者登録データによると、女子選手が13歳(中学1年生)を迎えたときに約1000人もの選手(22%)がサッカーから離れていることが明らかになっています。

今井 中学生が身近なところでプレーできる環境が少ないことが理由の一つに挙げられます。小学生のときは男子と一緒にプレーできても、体格的に大きな差が生まれ始める中学生になると、男子とプレーすることが難しくなってきます。男子のチームで男子と一緒にプレーしている女子も確かにいますが、住んでいるところの近くに女子チームがあることが女子サッカーの普及において欠かせないことだと思っています。

画像1: プレー環境の充実を目指す
画像2: プレー環境の充実を目指す
画像3: プレー環境の充実を目指す

プロジェクトの訴求力に期待

――女子サッカーの選手数を増やすために「プレー環境の充実」が必要とのことですが、このほど、アディダス ジャパン株式会社(以下、アディダス)とともに「HER TEAM」プロジェクトを始めました。このプロジェクトに期待する点を教えてください。

今井 サッカー界のネットワークだけでは、伝えられる範囲や伝わり方も限られてしまいますが、アディダスが持つ訴求力は、JFAが持つ訴求力とは違うはずです。アディダスの情報伝達スピードやブランド力により、JFAだけではこれまで届けられなかったところに情報を届けられるのではないか、と思いました。非常に大きな期待を抱いています。

――「HER TEAM」プロジェクトは中学生年代(U-15年代)のチーム新設を目指したプロジェクトです。プロジェクトを通して女子チームを増やし、定着させるには何が必要でしょうか?

今井 一つには、女子選手を指導できる指導者を安定的に供給していくことだと考えています。中でも、女性指導者の育成が急務だと思っています。女性の指導者数は指導者全体の3パーセント台にすぎません。女性指導者が増えることも、女子サッカーの発展に欠かせないと思っています。

 男子は、将来自分が指導者をしている姿をイメージしながらプレーしている選手が多いものですが、女子はロールモデルがまだ少ないこともあって、自分が指導者になるというイメージを持っている選手が少ないのが実情です。女子サッカー選手が自分の将来を描けるようなさまざまな施策もしていきたいと思っています。

 もう一つ大切なのが、地域内におけるつながりです。大会に出場したり、試合を行なったりするには、地域とのつながりが大切です。その点に関しては、JFAが持っているネットワークを駆使したり、各都道府県サッカー協会に配置している普及コーディネーターの力を借りたりしながら地域とのつながりを持てるようにしていきたいと思っています。

――今後、「女子」と「サッカー」はどのような関係になるのが理想的でしょうか?

今井 男子と同じように、女子にとってもサッカーは面白いスポーツです。女子サッカーの短い歴史の中で、「自分たちも楽しみたい」という強い気持ちを持った先輩たちが努力し、結果を残し、日本において「女子サッカー」という存在の地位を高めてきました。日本の女性にとって、サッカーが女子に身近なスポーツになってきたはずです。

 先輩たちが高めてきたその価値をより確かなものをするために、これからも女子サッカーの普及・発展に努めていきたいと思っています。それには、この「HER TEAM」プロジェクトが大きな意味を持っていると思います。

画像: 写真/アディダス ジャパン株式会社

写真/アディダス ジャパン株式会社

画像: プロジェクトの訴求力に期待

「HER TEAM」プロジェクト

■創設サポート内容:(1)メンバー募集のための告知ツール(2)ユニフォームの提供(3)サッカークリニックの開催

■サポート期間:チーム創設初年度

■募集エリア:全国(※日本国内で活動するチームに限る)

■募集数:合計10チーム

■募集期間:3月8日からアディダス オンラインストア上の特設応募ページにて受付開始

https://shop.adidas.jp/createthechange/girlsfootball

◎第一次締め切り 2020年6月末日

◎第二次締め切り 2020年10月末日

■募集対象:(1)中学生年代(U-15年代)の女子がプレー可能で、2020年度に新規創設されるチーム※すでに「女子」以外の種別でJFA登録をしているチームが、新たに「女子」の種別でJFA登録をする場合も対象 (2)2021年3月までに、チームが創設され、「女子」の種別でJFA登録を完了すること (3)継続的なチーム運営が前提

■その他:(1)中学生年代(U-15年代)の女子に特化したチームを優先してサポートするが、幅広い年代が入会可能な女子チームの創設も対象(中学生/U-15年代もプレーできることが必須)(2)「チーム」には、部活動も含む

各医療分野に詳しい13 名の医療関係者により組織される熱中症・脱水症の予防啓発を行う「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、5月1日、医療現場を守るための緊急提言を発表した。

筋肉の減少とマスクが熱中症のリスク

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて日本の医療の現場は崩壊の危機を迎えている。時を同じくして熱中症多発シーズンを迎えた。教えて!「かくれ脱水」委員会の緊急提言は、医療現場の現状を考慮して発信された。

 緊急提言は、今年は例年以上に熱中症に気をつけなくてはいけない理由として、外出自粛による運動不足とマスク着用をあげている。スポーツ庁は運動時にマスクや口や鼻を覆うものを着用することを勧めている。しかし、マスクは熱がこもりやすいだけでなく、喉の渇きを感じにくくする。

画像: 筋肉の減少とマスクが熱中症のリスク

 春の間、外出を自粛していたことにより、暑熱馴化ができてない人も多い。暑熱馴化とは、体の機能が暑さに慣れて、汗をかいて体温を下げるなどの対処ができること。徐々に暑さに慣れる必要がある。

 運動量の減少により筋肉量が減っていることが、脱水が起こりやすい要因になると緊急提言は伝えている。

「筋肉は身体に水分を貯めるもっとも大きな臓器なため、筋肉量が少ないということは保持できる水分量が少ないということ、すなわち、脱水になりやすいともいえます」


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