■龍谷大学農学部とデニッシュ食パン専門店ANDEが、京都の大文字山で採取した野生酵母を使用したソフト食パン

近年、自家製の天然酵母種を使用したパン作りが注目されていますが、自然界に存在する天然酵母種は
従来のパン酵母にはないユニークな特性を持つことから、独特の風味を持つパンを作る事が出来ます。

製パン工程において、パン酵母は高浸透圧、飢餓、乾燥等の物理科学的に強いストレスを受けています。
厳しい環境下で選択と淘汰を繰り返している自然界には、様々なストレスに対して強い耐性を獲得した未知の天然酵母種株が
多数存在する可能性が高く、2012年～2013年に、龍谷大学農学部島純教授と農学部吉山洋子実験実習助手は、
岡山県立大学保健福祉学部田中晃一准教授、京都大学大学院農学研究科小川順教授らと共に、
自然界に自生するパン酵母の探索を行いました。

樹木、草本といった植物の花や葉、幹、果実、さらに昆虫、ハチの巣等約400種類を分離原とし、
12株のパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)を単離したところ、
ユニークな特性を持つパン酵母2株を大文字山から採取することが出来ました。

2014年に龍谷大学農学部と、株式会社アンデの共同開発を開始。
2015年から、京都市産業技術研究所も加わって、京都府の助成金を活用して共同研究を本格化しました。

採取したパン酵母の中から、優れた低糖耐性、高糖耐性、冷凍耐性、乾燥耐性を有するパン酵母株を見出し、
更にこれらのパン酵母株を用いて発酵試験とデニッシュパンや、食パンの試作を繰り返し行い、風味豊かなパンの製造に成功しました。





「京都大文字山酵母」は、京都の神聖なる山である大文字山に自生しているクヌギの木の樹液から採取し、
龍谷大学農学部研究室で何億何兆の菌株の中から、パンを作るのに適した酵母として、
単体分離したものであります。株式会社アンデの研究室でパンの試作を繰り返し行い、
優れた発酵力を持ち、酸味や雑味がなくスッキリとした味わいで、いつまで経っても柔らかく美味しい食パンが出来る
酵母を選びました。この酵母は自然界の夏の灼熱の暑さ、冬の極寒の中を生き抜いてきた野生の
酵母であるがゆえの秘めたる潜在能力を持ち合わせております。

ANDEの取り組みと京都大文字山酵母との出会い

アンデでは、京都で創業以来、京都を拠点としてデニッシュ食パンを製造してきました。
ただ美味しいだけではなく、その中に驚きや感動、楽しさや京都らしさ、健康志向などにも追求し、日々努力をしています。

保存料を使用せずに、長期的な賞味期限を実現しつつ、尚且つ【しっとり】と、【柔らかい】パンの開発を行い、
更に地元を愛し、京都らしさや京都産原料の使用に取り組んできました。

そうした取り組みの中で、『京都の出汁食パン』や、『宇治抹茶食パン』を開発していたところ、イースト菌が阻害され、
発酵がうまく出来ない事が分かり、京都市産業技術研究所に相談したところ、
龍谷大学農学部さんがパン酵母の研究をされている事を知り、今回の【京都大文字山酵母】と出会いました。

しかし、そう簡単にはうまくいかず、京都大文字山酵母は野生の酵母なので、今まで食パンにすることは難しいと言われておりましたが、
何度も何度も試験管に酵母菌を植え、フラスコで培養したものを持ち帰り、パン生地を練りました。
1斤の食パンを試作するのにフラスコ4本分の培養が必要で、これを繰り返し試作を行う事でやっとここまでたどり着くことができたのです。

こうして貴重な酵母との出会いにより、風味豊かで美味しい食パンを作ることに成功しました。
また、この酵母はアンデで取り組んでいた『宇治抹茶食パン』や、『難消化性食物繊維デキストリン入り食パン』にも応用出来る事が分かり、
京都の名産品として、消費者庁認定の機能性表示食品として、長期的には特定保健用食品認定も視野に入れて
この酵母菌を使用し、これからも日々研究・開発に取り組んでいきたいと思います。

京都大文字山酵母の力を引き立たせる最高級小麦粉

より美味しく、より強く。野生酵母の力を活かした美味しいパンを作るためにアンデが選んだのは
カナダ産小麦「No.1 Canada Western Red Spring」を贅沢に100％使用した、最高級食パン用小麦粉です。
食パンのために作られた最高級小麦粉が、京都大文字山から生まれた野生酵母の力を存分に引き立てます。
大地の恵みをたっぷり受けすくすくと伸びやかに育った小麦と、京都大文字山の野生酵母の力で、
ふっくらやわらかく歯切れ良い、口どけ抜群の美味しい食パンが誕生しました。