[新型コロナ] 輸入バナナ食卓から消える? 比で輸出減少エクアドルも
2020年05月03日
輸入バナナの大半を占めるフィリピン産の輸入量が減っている。複数の輸入関係者が明かした。新型コロナウイルスのまん延を防ぐため、現地で都市封鎖(ロックダウン)などの移動制限を進め、出荷や梱包(こんぽう)に支障が出ているからだ。主力輸入先のエクアドルでも、価格の暴落で生産団体が出荷を自粛。日本の食卓に上るバナナが大幅に減少しそうだ。
財務省貿易統計によると、フィリピン産バナナの2019年の輸入量は、前年並みの84万トンと輸入総量を80%を占める。今年1~3月でも、輸入総量の78%(19万トン)が同国産となっている。
フィリピンでは首都マニラを4月30日までロックダウンする予定だったが、終息の気配が見られず5月15日まで延長した。その影響で産地では収穫ができず、収穫ができたとしても輸出向けの包装ができない状況になっている。現地報道によると、今年の輸出量は例年の40%に当たる240万トンにとどまる見通しだ。
同国産バナナを取り扱うオイシックス・ラ・大地(東京都品川区)は、4月下旬~5月上旬に届ける予定のバナナの収穫ができないため、一部をエクアドル産に切り替えるという。
日本の輸入量の1割を占めるエクアドルでは、欧州連合(EU)を中心とする多くの輸出先の規制で輸出ができなくなり、出荷価格が暴落した。4月23日には、20の生産団体でつくる生産者連合が「今後3週間の市場出荷を止める」と発表した。
財務省貿易統計によると、フィリピン産バナナの2019年の輸入量は、前年並みの84万トンと輸入総量を80%を占める。今年1~3月でも、輸入総量の78%(19万トン)が同国産となっている。
フィリピンでは首都マニラを4月30日までロックダウンする予定だったが、終息の気配が見られず5月15日まで延長した。その影響で産地では収穫ができず、収穫ができたとしても輸出向けの包装ができない状況になっている。現地報道によると、今年の輸出量は例年の40%に当たる240万トンにとどまる見通しだ。
同国産バナナを取り扱うオイシックス・ラ・大地(東京都品川区)は、4月下旬~5月上旬に届ける予定のバナナの収穫ができないため、一部をエクアドル産に切り替えるという。
日本の輸入量の1割を占めるエクアドルでは、欧州連合(EU)を中心とする多くの輸出先の規制で輸出ができなくなり、出荷価格が暴落した。4月23日には、20の生産団体でつくる生産者連合が「今後3週間の市場出荷を止める」と発表した。
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憲法記念日 立憲主義よりどころに
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、安倍政権が改憲論議を促進しようとしている。大規模災害時に内閣の権限を強める緊急事態条項が必要との機運を高める考えとみられる。コロナ禍は、命と暮らしの土台のもろさをあぶり出した。われわれは憲法を生かしているか。憲法記念日のきょう、改めて問おう。
インターネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりする「ネットカフェ難民」。東京都だけで約4000人に上ることが、新型コロナ対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言で注目された。都が休業を要請したからだ。ホームレスも日雇い仕事の減少や支援団体の炊き出し自粛で食べ物に困る状態だという。
コロナ禍はまず社会的弱者を追い詰めた。政府による一斉休校の要請で、仕事を休んだり食費が増えたりして一人親など貧困世帯の生活が一層苦しくなった。外出自粛による景気悪化や休業で、非正規労働者を中心に解雇や雇い止めも増えている。
立憲主義とは、憲法に基づいて国家権力を使うべきだとする政治原則である。日本国憲法は全ての国民について生命、自由および幸福追求の権利を尊重し、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると規定。生活保護制度などを設ける。新型コロナ対策では10万円の一律給付や雇用調整助成金の拡充などを行う。支援が必要な全ての国民に届き、安心して暮らせるか。政府も国会も国民も憲法をよりどころに検証し、拡充することが求められる。
休校の長期化で教育格差の拡大も懸念される。デジタル教材の活用が進むが、インターネット環境が不十分な児童・生徒への対応が課題だ。憲法が定める「ひとしく教育を受ける権利」を保障しなければならない。
緊急事態宣言の国会報告で安倍晋三首相は、緊急事態条項の憲法への導入を巡って国会論議を促した。同条項は自民党の改憲4項目の一つ。大規模災害により国会での立法を待つ時間がないとき、内閣が政令を制定できるとする。政令について同党改憲草案は「法律と同一の効力を有する」と規定。国会を通さずに法律を定めることと同じだ。
1946年の内閣発行「新憲法の解説」によると、同条項がないのは、明治憲法では法律に代わる緊急勅令を出し「政府の独断で事を運ぶような事例が、しばしば見受けられた」との反省からだ。現憲法では緊急時、臨時国会や、衆院解散時の参院の緊急集会で対応できる。安倍政権は3年前、加計問題などの審議のため憲法に基づき野党が求めた臨時国会の開催を拒否し衆院を解散した。国会を軽視する政権が、内閣の権限強化を提起することに危うさを感じる。
現憲法下でも、災害対策基本法や有事法制など緊急事態に対処する法律が制定されてきた。今回の特措法には、休業要請した場合の補償規定がないなど課題が指摘されている。現行法制度の検証と改善が先決である。
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2020年05月03日
[新型コロナ] 収入保険 農家の支払期限延長 補償額減少なし 農水省
農水省は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、収入保険制度の保険料などの支払期限を延長した。農家の負担が増していることに配慮した。……
2020年05月02日
[農景 桜 2020] 共存の証し
中山間地の水田地帯を貫く桜並木──。福島県小野町の「夏井千本桜」は1975年、夏井川の両岸の計5キロに植えた苗1000本が始まり。地元農家にとって桜並木は暴れ川を治め、近代的な稲作に道を開いた記念碑でもある。品種は「ソメイヨシノ」で、今年は例年より1週間ほど早い今月9日に開花した。
同町の夏井地区や南田原井地区には、桜並木を中心に、水田約10ヘクタールが広がる。これを支えるのが夏井川だ。ただ、たびたび氾濫し、被害を起こしてきた水害常襲河川でもあった。河川の改修と水田の整備を土地改良事業で実施。5年ほどかけた工事の完成を記念して桜の苗木を植樹した。
地元の稲作農家らでつくる「花咲く水辺の会」が桜の手入れなど管理に取り組む。
会長の吉田恭正さん(68)は「桜が散り終われば、夏井川から水を引き、田植えの準備が始まる」と気を引き締めていた。
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2020年04月30日
令和改元1年 共創社会へ連帯強めよ
平成から令和へ。改元から1日で1年を迎えた。新型コロナウイルスの猛威は経済効率一辺倒の現代社会に対する警告だ。時代は大転換期にある。持続可能で共に支え合う「共創社会」の実現へ、連帯を通じ試練に立ち向かう具体策が問われる。
「令和」の出典は、万葉集の大伴旅人による「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ」から。令月は美しく素晴らしい月。穏やかに和み、素晴らしい月日を過ごす。しかし、新元号に込めた期待は現実社会の前に揺れ動く。消費低迷で、農畜産物の価格が落ち込む品目も目立つ。一方で、全国の消費者が買い支え、「日本農業頑張れ」とエールを送る事例も多い。試練に「連帯」を通じ立ち向かう姿に勇気をもらう。
2019年5月の改元からの1年を振り返れば、激動の時代を予見させる。国際的には米中貿易紛争の激化、国内では昨秋から自然災害や異常気象が相次ぐ。地球的な喫緊の課題である温暖化への国際的な対応は、米国がパリ協定からの離脱を通告するなど、各国の利害対立から動きが鈍い。そして今は新型コロナの猛威との闘いだ。経済的打撃は約90年前の大恐慌以来とされ、「コロナ戦争」との言葉さえ出る。
世界保健機関(WHO)からパンデミック(世界的大流行)宣言が出たのは3月11日。ちょうど9年前、東日本大震災発生の日と重なる。自然災害と感染症との闘いは、今後の人類の共通の課題でもあろう。
新型コロナの感染拡大は、世界が一つにつながるグローバル化と、それと同時に加速するIT社会の進展という、これまでにない状況の中で起きた。今回の特徴は、感染症の脅威が世界を巻き込むグローバル化で増幅され、かつてない広がりを見せている点にある。
感染の始まりが、経済戦略「一帯一路」をてこに影響力の拡大を進める中国だったのは象徴的だ。世界経済は過度の中国依存から多極化への転換を迫られよう。ITの進化は、デマも含め大量の情報が氾濫し社会を混乱させる。行き過ぎたグローバル化の是正と正確な情報選択が問われなければならない。
谷口信和東京大学名誉教授は、コロナ禍を「社会生活に必要なものは、ある程度自国で賄うことが大事ということを白日の下にさらした」とみる。的を射た指摘である。国産農畜産物の自給を大前提にした食料安全保障構築とも重なる視点だ。
岩波書店の雑誌『世界』5月号は「コロナショック・ドクトリン」を特集し、惨事に便乗した国家などによる急激な「改革」の動きに警告を発した。またコロナ禍は、経済学者・宇沢弘文氏が強調した医療、農業、教育、文化など国民生活に欠かせない「社会的共通資本」の重要性を浮き彫りにした。令和の1年間を見れば、国際連帯でしかこの厄災は乗り切れないことを示している。
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2020年05月01日
[新型コロナ][届け!エール](3) アンガールズ 田中卓志さん 感謝し自炊 体気遣って
実家は広島で米や野菜を育てる兼業農家です。祖父は養鶏をやっています。新型コロナの影響で僕の生活は相当変わりました。スタジオに集まれないし、ロケも行けなくなりました。今はそれぞれができる形でやるしかないですね。
実家はとんでもない田舎で、スーパーに行く時くらいしか人に会いません。祖父は97歳で、両親は60、70代なので、万が一かかったら大変です。気を付けてということは伝えています。
こういう時、食べるということは大事なことです。生産を維持してもらわないと生活できませんから。僕も最近自炊を始めました。カレーを作ってインターネット交流サイト(SNS)にアップするとみんな褒めてくれます。近所のスーパーでジャガイモ1個、ニンジン1本からばら売りしているので独身は助かります。
自分で作って、おいしいものができたらやっぱりうれしい。近所から夕方になるといつもご飯のいい匂いがして、独身の僕にはすごいダメージだったのですが、今は僕も料理していますからね。相手の家庭にカレーの匂いで立ち向かえると思います。
大変な事態がいつまで続くか分かりませんが、そんな時期に食べ物を作ってくれることに感謝しています。皆さんも体に気を付けて作業してください。(お笑い芸人)
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2020年04月30日
新型コロナの新着記事
[新型コロナ禍 食と農] 作る「責任」、買える「安心」 今こそつながり実感
春ニンジンの産地、徳島県板野町。讃岐山脈から吹き降ろす風に温かさが増した3月半ばのことだった。選果作業から昼食を取りに自宅へと戻った赤澤久美子さん(45)は、テレビのニュース番組に驚いた。東京都内のスーパーでニンジンを買い急ぐ人々の姿を報じていた。目を奪われたのは、商品棚の脇に積まれた「JA板野郡」の箱、箱、箱……。
食卓の風景初めて想像
17年前に夫の隆生さん(50)と結婚して農家になった久美子さんは、ずっと目の前の作業に追われてばかりで、出荷したニンジンがどこへ行き誰に買われているのか、意識する余裕もなかった。それが、いつも自分がニンジンを詰めている同じ箱が東京のスーパーにあることを目の当たりにし、育てたニンジンを食べてくれる人の姿が初めて像を結び、その食卓の風景をも想像した。
矢も盾もたまらなくなった。1000人以上がフォローしている自身のツイッターで「関東のみなさーん、徳島の春ニンジンはこれからが最盛期でーす! どんどん収穫して関東に出荷してますから、なくなりませんよー!」と発信した。
4月24日、同町に赤澤さん夫妻を訪ねた。収穫は最盛期を迎え、ニンジンの青々とした葉が風に揺れていた。同町のニンジン農家は収穫後、自宅に併設した選果場に運び、「JA板野郡」と書かれた出荷箱に詰める。赤澤さん宅の選果場も、徳島ニンジン独特の甘くて濃い香りが満ちていた。
一家は6ヘクタールの畑を持つ、町内では中規模の家族経営のニンジン農家だ。隆生さんが15年前、父の後継者として就農した。だが、天候に左右されたり、中国産に押されたりするなどして収入が不安定で、何度もやめようと思った。続けてきたのは農家としての責任感だった。
2人が選果しながら言った。「運ぶトラックの運転手さんがいて、売る店員さんがいて、待つ消費者がいる。そんな当たり前のことを知った。よりおいしいものを作ろうという気持ちが強くなった」。久美子さんが続けた。「徳島ニンジンは、生サラダとして食べてもおいしいですよ」
自粛に疲れ改めて感謝
同じ頃、千葉市のスーパーでは、徳島ニンジンが販売のピークを迎えていた。
ニンジンは北海道、青森、千葉など関東、徳島、九州の順に産地がリレーするため、一年を通じて途切れることがなく、消費者は産地を意識することもない。
育児休暇中の会社員、渡辺ゆりえさん(29)は、緊急事態宣言下の外出自粛要請で公園にさえ行きにくい日々に疲れを感じている。一方で、週に1度と決めている買い物で今、スーパーに野菜がある安心感を思う。
価格はもちろん大事だが、農家、運ぶ人、スーパーの店員、それぞれに感謝する。「野菜は一年中あって当たり前だと思っていたけど、そうじゃないと分かった。わが子にも、スーパーの向こう側にある農業の大切さを伝えたい」
身近過ぎて意識されにくかった「食」が今、改めてクローズアップされ、作る人、食べる人双方に想像の翼が広がっている。(尾原浩子)
<メモ>
3月半ばから5月にかけての「春ニンジン」出荷量は、徳島県が全国1位。JA全農とくしまによると、2020年産の作付面積は822ヘクタール。鉄パイプの骨組みにビニールをかぶせるトンネルハウスで、冬に育てる独自の栽培が特徴だ。甘さや柔らかさが持ち味で、県内ではJA板野郡が最大産地。郡内のほぼ全域で栽培されている。
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2020年05月03日
[新型コロナ] 輸入バナナ食卓から消える? 比で輸出減少エクアドルも
輸入バナナの大半を占めるフィリピン産の輸入量が減っている。複数の輸入関係者が明かした。新型コロナウイルスのまん延を防ぐため、現地で都市封鎖(ロックダウン)などの移動制限を進め、出荷や梱包(こんぽう)に支障が出ているからだ。主力輸入先のエクアドルでも、価格の暴落で生産団体が出荷を自粛。日本の食卓に上るバナナが大幅に減少しそうだ。
財務省貿易統計によると、フィリピン産バナナの2019年の輸入量は、前年並みの84万トンと輸入総量を80%を占める。今年1~3月でも、輸入総量の78%(19万トン)が同国産となっている。
フィリピンでは首都マニラを4月30日までロックダウンする予定だったが、終息の気配が見られず5月15日まで延長した。その影響で産地では収穫ができず、収穫ができたとしても輸出向けの包装ができない状況になっている。現地報道によると、今年の輸出量は例年の40%に当たる240万トンにとどまる見通しだ。
同国産バナナを取り扱うオイシックス・ラ・大地(東京都品川区)は、4月下旬~5月上旬に届ける予定のバナナの収穫ができないため、一部をエクアドル産に切り替えるという。
日本の輸入量の1割を占めるエクアドルでは、欧州連合(EU)を中心とする多くの輸出先の規制で輸出ができなくなり、出荷価格が暴落した。4月23日には、20の生産団体でつくる生産者連合が「今後3週間の市場出荷を止める」と発表した。
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2020年05月03日
[新型コロナ] 給食なくなり食費増 独自に「応援金」給付 小中学生1人当たり最大1万円 千葉県多古町
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校が続く中、千葉県多古町は、町在住の小中学生を対象に、1人当たり最大1万円の食費応援給付金を設け、支給を始めた。休校で給食がなくなり、小中学生のいる家庭の食費負担が増えていることから、独自に支援する。
町によると、休校に対応した食費支援は全国的にも珍しいという。4月下旬から、保護者の金融機関の口座に振り込んでいる。
給付金の対象は町内612世帯の952人で、交付総額は858万円。新小学1年生と4月に転校・転入した児童や生徒、3月に中学校を卒業した人は1人5000円、新小学2年生~中学3年生は1万円を支給する。町は「3月と4月の給食費を勘案して、1カ月当たり5000円の助成とした」(子育て支援課)としている。
同町には休校が始まった3月以降、小中学生の保護者から「食費の負担が大変だ」といった声が寄せられ、対応策を協議。2020年度補正予算を編成し、今回の給付金を措置した。町は18年度から教育の充実と子育て支援を目的に、小中学校の給食の費用を負担し、実質無償化している。
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2020年05月03日
[新型コロナ] 収入保険 農家の支払期限延長 補償額減少なし 農水省
農水省は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、収入保険制度の保険料などの支払期限を延長した。農家の負担が増していることに配慮した。……
2020年05月02日
[新型コロナ] GWの人材確保委託費など支援 帰省自粛で農水省
農水省は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大型連休中の帰省を自粛する動きが広がっていることを受け、農家が人手を確保するため代替人材を雇ったり、作業委託したりする費用を支援する。労賃や委託費などのかかり増し分を一定水準で補助する。連休中の対応分を連休明けに申請することもできる。
5月は各地で田植えなどの作業が本格化し、連休に帰省する親族らで人手を賄う事例も多い。ただ、今年は自粛の動きで人手確保が課題となっている。同省は、地域内の共助で人手を手当てし切れず、代替人材の雇用や作業委託で対応する農家を支援する。
代わりの人手を確保したため労賃・委託費などが、想定していた費用を上回った場合、差額を補助する。労賃・委託費は1時間500円が上限。交通費は1人1カ月3万円、宿泊費は1人1泊6000円まで。支援を受けるには、雇用契約や受委託契約を結んでおき、費用を払ったと証明する必要がある。一連の支援は、2020年度補正予算に盛り込んだ「農業労働力確保緊急支援事業」で対応する。
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2020年05月02日
[新型コロナ] オンライン協議、合宿型スクール…若者が考案 心も一緒に第三者継承 地域と対話丁寧に
後継者がいない農家や商店、飲食店など、世襲ではなく第三者の移住者らにバトンタッチする仕組みを若者たちが提案し始めた。事業や株式の譲渡だけではなく、当事者の思いなどの理解を深めながら継承をフォローすることが特徴だ。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、事業継続を断念する飲食店などの増加も懸念される中、若者たちは「継業を広げたい」と見据える。
継業後もフォロー
金や労働時間といった仕事の条件の紹介だけでなく、やりがいや地域との関わり、経営者の思いを掘り下げた新しい求人サイト「日本仕事百貨」。運営してきた中村健太さん(41)が今年始めたのが、事業承継プロジェクト「BIZIONARY」だ。
同プロジェクトでは、後継者のいない事業や経営者らをじっくり取材した上でインターネットなどで紹介し、引き受けたい人や関心がある移住希望者とをつなぐ仕組みだ。
その後、現地で合宿型のスクールを開き、継承の希望者や地域住民、自治体関係者、現在の経営者と地域ぐるみで承継プランを考える。現状の経営調査を基に、どう改善するかまでみんなで話し合い、提案する。地域の人々も交えながら当事者同士の理解を深めていく。
スクール後は中村さんらがフォローし、経営を引き継いだ後まで寄り添い、地域の事業を承継、再生、発展させて残すことを目指す。
中村さんが2008年から運営してきた日本仕事百貨は、月間150万アクセス数を誇る人気求人サイトになった。最近では各地から後継者の募集をしたいという相談が増加していたが「通常の求人とは異なり、マッチングだけではうまくいかない」ことに気付いた。移住を伴う起業支援の相談も増える中、後継者のいない農業や民宿、加工所など事業を希望者に継承する新たな仕組みが必要だと考え、プロジェクトを始めた。
中村さんは「現在の経営者が築き上げた事業を尊重しつつも、新しい発見や価値を付けて継承していきたい。可能性を広げたい」と意気込む。
中には、後継者がいないことを明らかにしたり、第三者に継いでもらったりすることに、抵抗のある高齢者もいる。掘り起こしは難しいが「地域や継承者、事業を受け継ぎたい人に寄り添ってバトンタッチした実績が少しでも出てくれば風向きが変わるはず。まずは一つの地域に密着して丁寧に継承を支えたい」と中村さん。商工会やJA、自治体、自治会などと連携して地道に事業を開拓したい考えだ。
新型コロナウイルスの感染が拡大する現在、オンライン上で、参加者や関係者が協議する体制を取る。中村さんは「コロナ禍で廃業してしまう人が増えているので、危機感がより強くなっている」と懸念する。
事業譲渡にも対応 「継業バンク」 岡山市
岡山県瀬戸内市で地域おこし協力隊をしていた浅井克俊さん(46)は1月からネット上でマッチングを図る「ニホン継業バンク」を始めた。後継者がいない事業の経営者らと関係を築いた自治体が同社に依頼、バンクを通じて事業の担い手を探すことができる仕組みだ。同社はインターネット上に、その自治体専用の紹介ページを作る。後継ぎだけでなく、事業譲渡にも対応する。
横浜市出身の浅井さんは協力隊を経て、現在は岡山市で広告会社「ココホレジャパン」を経営する。協力隊時代に地域の実情を知り、同社では雑誌編集で農山村各地を取材した経験などから、浅井さんは「地域側は継ぎ手がいない高齢者が多い一方で、起業したいベンチャーの機運も高まっている。継業を広げる必要性を感じた」という。大企業には事業承継のマッチングの仕組みはあるが、農家や個人事業主ら小規模な事業を継ぐ方法がないことに注目、1年半かけて考え出した。
浅井さんは「継業が進めば地域の景色が変わる。各地で空き家バンクがあるが、継業バンクも定着させたい」と見据える。
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2020年05月02日
県産ユリ動画でPR 高知
JAグループ高知と高知県で構成する県園芸品販売拡大協議会は2日から、県産ユリの魅力を伝える動画を配信する。休園中の県立牧野植物園の一角をオリエンタルリリー1000本など約10種類3000本で飾り付けた。外出自粛が求められる中、自宅などで美しい映像を楽しんでもらい、需要喚起を期待する。
動画タイトルは「#stay home with flowers~高知のユリをおうちで楽しむ」。園内を散策する疑似体験ができる。2種類あり、JAグループ高知のYouTubeチャンネルで配信する。
県内でユリの魅力を発信している「リリーアンバサダー」の2人が、約15メートルの橋に花を飾り付けた。コンセプトは「リリーロード」。人と花、生産者と消費者などの懸け橋になるようにとの思いを込めたという。
動画には、アンバサダーが花を生ける様子や、園内の風景が収録されている。
企画したJA高知県営農販売事業本部の蓼原昭代さん(48)は「動画で高知のユリを知って、飾って、癒やしを感じてもらえたら」と話す。
リリーアンバサダーで生花店に勤める浜田達也さん(40)は「動画を見て、ユリを飾ろうと思う人が一人でも増えたらうれしい」と話した。
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2020年05月02日
[コロナと闘う](2) 日本フードサービス協会 高岡慎一郎会長 外食休業地域農業も痛手 要請と補償一体で
新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控える動きが全国的に広がり、外食産業は苦境に立たされている。居酒屋や、高価格帯の飲食店が多いディナーレストランなどでは、売り上げが5割以上落ち込むチェーンもある。外食産業は全国で約480万人の雇用を抱え、企業が倒産すれば、日本経済や地域経済に与える影響は大きい。食材の仕入れ先となる国内の農畜産物産地にとってもマイナスだ。政府には休業補償など早急な支援策を求めたい。
売り上げ急減の背景には、インバウンド(訪日外国人)の3割を占める中国人観光客の需要がなくなったことや、商業施設内に出店している店舗の売り上げが大幅に減少していることなどがある。歓送迎会シーズンに重なったことも大きい。直近の3月の外食産業の全体売上高は前年比約17%減と、東日本大震災時の減少幅を上回り、影響は甚大だ。政府が緊急事態宣言を発令した4月は、休業や営業自粛が相次ぎ、一段と苦しくなっている。私が代表を務める「人形町今半」でも、飲食店22店舗のうち営業しているのは3店舗で、いずれもランチタイムだけ(4月末現在)。飲食店部門の売り上げは前年比1割を切る厳しい状況だ。
野菜などを外食向けに卸す業者からは「売り上げが3割以上のマイナス」という声があり、産地や関連業者の影響も大きい。
休業、時短営業で売り上げが激減する中、人件費以外に、固定費である店の賃借料が外食事業者には大きな負担だ。東京都は、中小事業者を対象に「感染拡大防止協力金」として、1店舗50万円、2店舗以上100万円を支給するとしているが、とても賃借料を賄い切れない。
緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大し、自主的に休業する店もある。売上高はゼロか激減の一方、賃借料や従業員の生活のための給与は支給しなければならない。いつまで事業者の体力が続くか分からない状況で、国や自治体には、営業自粛を要請するのであれば補償をセットで考えることを強く求めたい。
今回の新型コロナ禍を教訓とした将来への備えとして、協会では今後、国の協力も得ながら、全国の外食事業者がお客さまや従業員の安全を確保し、事業を継続するためのガイドラインを作成していく方針だ。
外食業界では、テイクアウト(持ち帰り)やデリバリー(宅配)など、各事業者がさまざまに工夫、努力をして危機を乗り越えようとしている。人形町今半でも、自宅で専門店の味を楽しんでもらうため、5月6日まで「食生活応援キャンペーン」として黒毛和牛を奉仕価格で提供している。外食向けの販売が落ち込み、生産者も苦しいと思うが、互いに協力し合いながら苦境を乗り越えたい。(聞き手・斯波希)
〈プロフィル〉1958年東京都生まれ。飲食店、精肉店など約40店舗を展開する人形町今半社長。2018年から日本フードサービス協会会長。
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2020年05月02日
あまーいブドウはいかがですか SNSでキャンペーン JAしまね
JAしまねは1日、特産ブドウ「デラウェア」を堪能してもらう「島根ぶどうプレゼントキャンペーン」を始めた。インターネット交流サイト(SNS)のインスタグラムを活用。JAしまねぶどう本部公式アカウントのフォロワーを対象に、応募者から抽選で150人に県産「デラウェア」を贈る。応募は10日まで。
新型コロナウイルスの感染拡大で自宅で過ごす機会が増えているため、島根県特産「デラウェア」を堪能してもらおうと企画した。JAは国内屈指の「デラウェア」早出し産地で、4月22日に出荷を開始。高糖度で適度な酸味があり、20年産は出荷量1100トン、約14億6000万円の販売を計画する。
応募は①インスタグラムのJA公式アカウント(=二次元バーコード)をフォロー②島根ぶどうプレゼントキャンペーンの投稿をリポスト──などでできる。詳細はJAホームページに掲載している。
JA担当者の槇野直人さん(36)は「感染拡大を防ぐため外出の自粛が続く中、甘いデラウェアを食べ、リフレッシュしてもらえればうれしい」と話す。問い合わせはJA本店園芸課、(電)0853(25)8697。
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2020年05月02日
[新型コロナ] GW 田植え共助で対応 帰省自粛呼び掛け コロナ禍の自治体、JA
大型連休が始まる中、各自治体やJAが、田植えの手伝いで例年、帰省していた農家出身の都市住民らに「今年は帰省しないでほしい」と呼び掛けを強めている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためだ。自治体や専門家は、人手の確保へ地域での話し合いや、作業委託などの対応を呼び掛ける。
大型連休は水稲の苗準備や田植えと重なり、子や孫が帰省し手伝うことが多い。「平時ならば帰省してほしいが、今回は命を守る活動を優先してほしい」(島根県の普及指導員)。山形県の農業法人代表は「田植えは恒例行事で帰省をしてくれると地域が盛り上がるが、今年は我慢してほしい」と話す。
滋賀県や新潟県は、田植え帰省の自粛を特別に呼び掛ける。滋賀県はインターネット交流サイト(SNS)で発信し、県内農家らには田植えに支障を来さないよう集落の営農組合などで助け合うことを要請。それでも難しい場合は普及指導センターが相談に応じる。
新潟県も帰省や来県を自粛するよう、JAなど県内100の農業関係団体に通知した。JA新潟中央会はすぐに県内23JAに伝え、JA役職員や農家と情報共有する。
労働力不足も懸念され、農業法人や担い手らが乗り出す地域もある。広島県東広島市で40ヘクタールの米を作る「農事組合法人重兼農場」は、苗を100戸の農家に配達する中、周辺農家が困っていないか声掛けする。
代表の山崎拓人さん(31)は「困るという話はまだないが、いつも声を掛けている。田植えができない場合は急きょでも受ける。農村には共助の力がある」と話す。インターネットの接続など困り事相談にも応じている。人と会う機会が減り寂しい高齢者らの安心感につなげたい考えだ。
5月は全国各地で田植え作業が本格化するため、地域内での人材確保が重要になっている。
潜在する労力地域で確保を
東京農業大学の鈴村源太郎教授の話
近隣の集落営農組織に頼むなど地域内で情報共有し人材を確保してほしい。実家にとどまり手持ち無沙汰な学生がいることが想定される。農家でなくても、そんな若者が農業に関わる意義は大きい。最初は慣れなくても少しずつ役立つと思う。地域で話し合って考えてほしい。
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2020年05月01日