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2020/03/30

source : 週刊文春 2012年10月11日号

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ

「仕事や付き合いはフィーリングだと思っている」

 志村が東に「東さんはいい歳になってもなぜバカな演技ができるんでしょうか」と尋ねたところ、東から「芸人が本当は利口だと思わせようとしたり、文化人面したりするようになったらおしまい」と言われ、感銘を受けたという。

 だが一方で、志村は北野武と個人的に仲がいい。ちなみにタモリやさんまとはほとんど交流はないという。

志村 最近はたけしさんとお会いする機会がないですね。たけしさんと一緒に番組をやってる時もありましたから、その頃はよく飲みに行きましたが、なにしゃべってたかおぼえてないなあ。いろいろですねえ、たけしさんは映画の話もするし、「次はこんなことをやりたいんだ」とか、話してましたね。

 僕は誰かと仕事をしたり、付き合ったりするのは、フィーリングだと思っているんです。たとえばダチョウ倶楽部の上島(竜兵)君なんかは、昨日も一緒に飲んでましたけど、一緒に飲み食いして、世間話して、「この人合うなあ。面白いなあ」という感覚で(付き合いは)やってますね。優香ちゃんなんか天才ですね。僕もたぶん一緒なんだけれども、メイクしたりするとその人になりきっちゃうんです。そういう相性はコントでは実はとても大事なんですよ。

©文藝春秋

 さて、現在のテレビのバラエティー番組は、ひな壇に芸人を並べたトーク番組がメインになっている。一方、志村は未だにコントにこだわりを持ち、10月16日にはフジテレビで特番の「志村けんのバカ殿様」がオンエアされる。40年間、“王道”を歩んでいる志村だが、テレビ業界の現状をどう見ているのだろうか。

志村 みんなそれぞれ「笑い」を求めてやっていることだからねえ。ま、分野が違うと言えば違うんだろうけど。でも今、基本的にテレビ局は予算がないからね。予算がないから作ったお笑いがなかなかできないんだろうけど、ああやって何人か芸人さんが集まってパッてできちゃうのは、逆に僕なんかはできないから。フリートークみたいなのができないんですね。僕らはある程度作り込んで計算しないと難しい面もある。やはりコントでセットを作るのはお金がかかりますからね、それよりひな壇作ってやってるほうがお金がかからないですからね。

62歳の志村が語った“夢”「死ぬまでずっと続けますよ」

 最後に個人的な夢を聞いてみた。

志村 夢? うーん、もう62歳だからね。たいそうな夢とかじゃなくて、今の体をずーっと続けていくことかなあ。たとえば今年で7回目になる舞台「志村魂」とかね。お笑いは説明がいらないからね、だから、理屈とか、これがこう面白いとか、解説者みたいなのはあんまり好きじゃないんですよ。僕の考えだと、お笑いはだいたい動きが7で、言葉が3の配分なんです。だからお笑いは世界中の人に通じると思うんですよね。お笑いって、よくわかんないけど元気とパワーをもらえるよね。笑ってるとさ、また頑張ろうって思えるじゃない。

 マックボンボン時代から数えるともう40年か、あっという間だね。こんなにお笑いを長くやるとは思ってなかったけど、僕にはこれが一生の仕事ですからね。死ぬまでずっと続けますよ。

ご冥福をお祈りいたします ©文藝春秋

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