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2020/03/30

source : 週刊文春 2012年10月11日号

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ

「子供たちが大笑いしているのを見ると、本当に気持ちがいい」

 視聴率50%を稼ぐ「怪物番組」だった「全員集合」。子供には見せたくないワースト番組とも言われていたが、当時はまさに社会現象だった。

志村 ステージから子供たちが大笑いしているのを見ると、本当に気持ちがいいですよ。会場がドーンと地鳴りするように湧いたりするのを肌で感じると、快感ですね。

 ギャグはすべてに対して思い入れがあるので、どれが一番というのはないです。ただ全員集合時代は毎週ですから、ネタ作りがしんどかったですね。番組が終わるまで、視聴率がどうこうという話は一切なかったですし、フジテレビが裏で「オレたちひょうきん族」をやってる時も、勝ち負けという話も出ませんでしたね。むしろ僕は、番組の時間帯をずらせば、お笑い番組が両方見れるのになあと思ってたくらいです。

世界的にも絶大な人気を誇った「バカ殿」

 1985年に「全員集合」が終わり、「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」「志村けんのだいじょうぶだぁ」など志村けん黄金時代を迎えることになる。

 なかでも、世界的にも絶大な人気を誇っているのが、志村が作り上げたキャラクター「バカ殿」だ。

「志村けんのバカ殿様 大盤振舞編 DVD箱」の発売記念イベントに登場した志村けん ©時事通信社

志村 あれは結構前から、「ドリフ大爆笑」の頃から、ずーっとやっていますが、あのヴィジュアルも、結構テキトーです(笑)。最初からそんなに長くやるつもりもなかったし。とりあえず殿だったらいいやって、顔を真っ白く塗って、眉毛をかく。あれ、相当雑でしょ?(笑) こんなもんか、ってノリで、なんとなくおちょぼ口に口紅つけただけなんですよね。ちょんまげも殿様の頭って言ったら、アレだろうみたいな(笑)。続くと思ってなかったけど、世間の反響があったから、こんなに続いているんでしょうね。ずーっとやってますもんね、あれ。本当にありがたいことです(笑)。

「変なおじさん」は「だいじょうぶだぁ」を始める時に、一個は毎週出てくるキャラを作ろうかなって思って、あのキャラを考えたんです。着想は、基本的にばかばかしくて単純です。子供の時から、好きな女の子の吸ったストローを同じように使ってみたいとか、同じたて笛を吹いてみたいとか、女子からすると気持ち悪い行為でも、男子だとわかるわかるっていうのがあるじゃないですか。本当は好きな女の子とちゃんとお話ししてみたいんだけど、それがどうしてもうまくできない、その屈折した感じでしょうか。それが「変なおじさん」のモチーフになっていると思いますね。決め台詞の「そうです、私が変なおじさんです」とか、アドリブ的に飛び出したと思われるかもしれませんが、僕なりにいろいろ考えて作っているんです。自分の頭の中では、どうすれば面白くなるかということを相当緻密に計算しているとは思うんだけども、それを活字にするとまったく面白くなくなるからね(笑)。