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「好きなことを仕事に」を攻撃する人たちに思うこと/鴻上尚史

 街のレストランとか職人さんとか、自営業の人は、比較的、「好きなこと」を仕事にしているじゃないかと思います。サラリーマンはどうなんでしょうか。どれぐらいの人が自分の仕事が好きで、嫌いなのか、僕には分かりません。  まして、非正規雇用の人で、自分の仕事が好きな人がどれぐらい、いるのだろうと思います。  今の自分が仕事が嫌いで、それを続けている自分が嫌いで、自分が許せないという人にとって、「好きなことを仕事にしている」と見える人が「補償を求める」のは、許しがたいことに感じるのかなと思います。  そうすると、「文化への補償」という問題は、「芸術」「芸能」への理解なんて問題ではなくて、じつは格差と貧困、雇用形態の問題なんだと思うのです。  そこを解決しなければ、いくら「文化は大切なんです」「ヨーロッパでは補償されてます」と言っても意味はないんじゃないか、「コジキか」とメンションしてくる人との深い溝を、いったいどうやって埋めたらいいのかと考え込むのです。  いつまで非常事態宣言が続き、どれぐらいの劇団や事務所、バンド、演劇・音楽事業者が倒産、廃業するか分かりません。  様々な弱者の側に立ち、生活と文化を守る政府であって欲しいと願うのです。 「もし、あなたがアーティストはこの世にムダなものだと思うのなら、自粛の期間、音楽や本や詩や映画や絵画なしで過ごしてみてください。(スティーブン・キング)」

ドン・キホーテ走る

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