[新型コロナ] 緊急経済対策 減収農家 支援が柱 事業の申請本格化
2020年05月01日
2020年度政府補正予算に盛り込まれた新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策は、個人農家や農業法人を含め、経済の停滞によって収入が減った事業者への支援策などが柱だ。一定の要件に基づき、事業継続に必要な資金として支給する「持続化給付金」に加え、園芸品目の次期作支援、生産現場の労働力確保対策などを用意。今後、各種事業の申請受け付けが本格化する。
持続化給付金は、所管する経産省が2兆3176億円を計上。……
持続化給付金
持続化給付金は、所管する経産省が2兆3176億円を計上。……
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[農景 桜 2020] 共存の証し
中山間地の水田地帯を貫く桜並木──。福島県小野町の「夏井千本桜」は1975年、夏井川の両岸の計5キロに植えた苗1000本が始まり。地元農家にとって桜並木は暴れ川を治め、近代的な稲作に道を開いた記念碑でもある。品種は「ソメイヨシノ」で、今年は例年より1週間ほど早い今月9日に開花した。
同町の夏井地区や南田原井地区には、桜並木を中心に、水田約10ヘクタールが広がる。これを支えるのが夏井川だ。ただ、たびたび氾濫し、被害を起こしてきた水害常襲河川でもあった。河川の改修と水田の整備を土地改良事業で実施。5年ほどかけた工事の完成を記念して桜の苗木を植樹した。
地元の稲作農家らでつくる「花咲く水辺の会」が桜の手入れなど管理に取り組む。
会長の吉田恭正さん(68)は「桜が散り終われば、夏井川から水を引き、田植えの準備が始まる」と気を引き締めていた。
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2020年04月30日
[新型コロナ] GW 田植え共助で対応 帰省自粛呼び掛け コロナ禍の自治体、JA
大型連休が始まる中、各自治体やJAが、田植えの手伝いで例年、帰省していた農家出身の都市住民らに「今年は帰省しないでほしい」と呼び掛けを強めている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためだ。自治体や専門家は、人手の確保へ地域での話し合いや、作業委託などの対応を呼び掛ける。
大型連休は水稲の苗準備や田植えと重なり、子や孫が帰省し手伝うことが多い。「平時ならば帰省してほしいが、今回は命を守る活動を優先してほしい」(島根県の普及指導員)。山形県の農業法人代表は「田植えは恒例行事で帰省をしてくれると地域が盛り上がるが、今年は我慢してほしい」と話す。
滋賀県や新潟県は、田植え帰省の自粛を特別に呼び掛ける。滋賀県はインターネット交流サイト(SNS)で発信し、県内農家らには田植えに支障を来さないよう集落の営農組合などで助け合うことを要請。それでも難しい場合は普及指導センターが相談に応じる。
新潟県も帰省や来県を自粛するよう、JAなど県内100の農業関係団体に通知した。JA新潟中央会はすぐに県内23JAに伝え、JA役職員や農家と情報共有する。
労働力不足も懸念され、農業法人や担い手らが乗り出す地域もある。広島県東広島市で40ヘクタールの米を作る「農事組合法人重兼農場」は、苗を100戸の農家に配達する中、周辺農家が困っていないか声掛けする。
代表の山崎拓人さん(31)は「困るという話はまだないが、いつも声を掛けている。田植えができない場合は急きょでも受ける。農村には共助の力がある」と話す。インターネットの接続など困り事相談にも応じている。人と会う機会が減り寂しい高齢者らの安心感につなげたい考えだ。
5月は全国各地で田植え作業が本格化するため、地域内での人材確保が重要になっている。
潜在する労力地域で確保を
東京農業大学の鈴村源太郎教授の話
近隣の集落営農組織に頼むなど地域内で情報共有し人材を確保してほしい。実家にとどまり手持ち無沙汰な学生がいることが想定される。農家でなくても、そんな若者が農業に関わる意義は大きい。最初は慣れなくても少しずつ役立つと思う。地域で話し合って考えてほしい。
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2020年05月01日
[新型コロナ] コロナ対策「持続化給付金」 申請作業 JAが支援
新型コロナウイルス感染拡大で売り上げが下がった事業者に支給する政府の持続化給付金について、JAが組合員の申請作業を支援できるようになることが分かった。JAが地域の実情を踏まえて支援に乗り出すかを決める。JA全中は、組合員の承諾書があればJAが申請の入力作業を代行できるよう、関係省庁と調整。給付額の試算ツールも現在、作成している。
経済産業省が実施する同給付金は、売り上げが前年同月比で半分以下になった場合に支給。農業者や農業法人などを含む幅広い事業者が対象となる。収入が大きく減った花き農家などの申請が想定される。
最大で法人には200万円、個人事業者には100万円を支給。月末にも見込まれる補正予算成立後、1週間程度で申請受け付けを始め、申請後2週間程度で給付する予定だ。詳しい計算法などは、政府内で調整している。
申請は、基本的にインターネットから行う。減収月の事業収入額を示した帳簿なども必要になる。組合員には高齢者も多く、販売実績データも持つJAが支援をすれば、申請をより円滑にできる。
JAが組合員の申請の入力代行などをする際には、個人情報の扱いや責任の所在を確認する承諾書を取る。最終的な申請は、申請者が確認して行う必要がある。全中は、承諾書のひな型ついて、関係省庁と調整している。
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2020年04月26日
暑さに強いコシ開発 食味変わらず 整粒率は向上 新潟大
新潟大学は、水稲「コシヒカリ」で暑さに強い新品種の開発に成功した。登熟期に高温にさらされても品質が低下しにくく、食味や作期も原種と変わらない。「コシヒカリ新潟大学NU1号」として3月9日に品種登録された。今後は県と共同で、「コシヒカリBL」などと掛け合わせ、いもち病に強い品種に改良することで、現場への普及を目指す。
水稲は登熟期に高温にさらされると、乳白粒が発生しやすくなる。乳白粒は、でんぷん分解酵素のαアミラーゼの活発化で起こる。新品種は「コシヒカリ」の細胞を培養するときに起きる突然変異を利用して選抜し、αアミラーゼ遺伝子の働きを抑えることに成功した。
新潟、鹿児島、福岡で行った高温耐性試験では、全ての圃場(ほじょう)で原種よりも新品種の整粒率が高かった。2020年は新潟県刈羽村の農家が20アールで作付け、栽培特性などを検証する。
また、新品種は米の高温障害を助長するとされる高濃度の二酸化炭素(CO2)にさらされても品質が低下しない特徴がある。地球温暖化で気温やCO2濃度が上昇した環境でも栽培しやすいという。
新潟県では19年夏の猛暑やフェーン現象で、県内全域で米の品質が低下した。農水省の農産物検査結果では昨年12月31日現在、「コシヒカリ」の1等米比率は26・7%(全国平均は64・9%)にとどまっており、高温でも収量・品質が低下しない新品種の開発が、生産現場から求められている。
新品種を開発した同大農学部の三ツ井敏明教授は「コシヒカリは新潟県の誇り。さらに進化したコシヒカリを育成し、産地ブランドを守りたい」と意欲を示す。
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2020年04月27日
[新型コロナ] JR九州が応援動画 宮崎の畜産農家出演 終息の日まで頑張る
JR九州が4月下旬に公開した動画が注目を集めている。新型コロナウイルス拡大で影響を受ける九州各県の観光地などから、終息後を見据え観光客を迎える準備をする様子やメッセージをつなげたもの。宮崎県の若手畜産農家も出演している。動画投稿サイト「ユーチューブ」では公開1週間で再生回数が20万を超えるなど、反響を呼んでいる。
JR九州が立ち上げた「その日まで、ともにがんばろう」プロジェクトの一環。新型コロナの影響が収まり、安全・安心な日常生活を取り戻す日を「その日」と位置付け、九州の魅力を発信するのが目的で活動を始めた。動画は取り組みの第2弾として公開した。
動画には九州各県の21事業者が登場している。宮崎県都城市で母牛53頭を飼養する繁殖牛農家の繁昌拓治さん(36)は、同市の呼び掛けで参加。「美味(おい)しいお肉を準備して待ってます!」と書いたフリップボードを掲げた。新規就農して10年を迎える繁昌さんは「牛農家は枝肉の相場低迷で苦しいが、買い手の飲食店も店が開けず苦境に立たされている。みんなで今を乗り越えていこう、との思いで出演した」と話す。JR九州は「より多くの方に元気を発信できる企画を今後も検討する」(広報部)と話す。
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2020年04月30日
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[新型コロナ] GW 田植え共助で対応 帰省自粛呼び掛け コロナ禍の自治体、JA
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2020年05月01日
[コロナと闘う](1) 大田花き 磯村信夫社長 販路限られダメージ深刻 消費喚起根気強く
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、花き業界は今、苦境に立たされている。式典やイベントのキャンセルで業務需要が大幅に縮小し、緊急事態宣言後は商業施設などに入る専門店の休業が全国で広がった。生花の取引価格や販売量は大きく落ち込んでいる。最もダメージの大きい生産者への行政支援が急がれる。
5月は「母の日」という大きな物日が控えている。もし緊急事態宣言が解除されてすぐに「母の日」の商戦を迎えれば、物流も逼迫(ひっぱく)し、店頭には買い物客があふれて感染拡大を招く恐れがあった。そこで、私が会長を務める日本花き振興協議会は今年、「母の日」を5月の1カ月にわたる「母の月」として提案している。消費者に理解を求めて、商戦を分散・長期化し、業界一丸で花の普及に取り組んでいく。
花きはサービス産業だが、一方で国民生活になくてはならないものとして、2014年成立の「花きの振興に関する法律」で位置付けられている。現状も全国の生花市場は休んでいない。販売会社は家庭向けを中心に仕入れを続け、営業する専門店やスーパーを通じて生活者に花を届けている。花きの売り先がほぼなくなった欧州などに比べればありがたい。
嘆いてばかりでは仕方がない。花を必要としている人に届ける工夫が必要だ。農水省が発信する「花いっぱいプロジェクト」などの後押しを受け、花き卸、専門店やスーパー、花束加工業者などが連携し、積極的に動いている。従来は業務用だった上位等級の商品を、家庭での普段使い用に販売を切り替えるなどして対応している。
新型コロナ禍で負った花き産業のダメージは深刻だ。終息後もV字回復とはいかないだろう。一歩一歩進む覚悟で生産、流通、販売を続けていく必要がある。課題は多いが、今後も消費者に花を使ってもらえるよう「花は素晴らしい」と発信を続けることが重要だ。家庭需要を根付かせるため、店頭やネット販売、インターネット交流サイト(SNS)などを使ってプロモーションを展開し、積極的に生活者に訴える。
生産者や花業界に携わる人たちに伝えたいことがある。命と健康に関わる食べ物とは違い、花は文化の産物。生命の危険の前では後回しになるが、通常の状態に落ち着けば花は絶対に必要とされる。関係者は所得面で苦しい状態が続くが、必ず克服し、新しい花き園芸文化を浸透させよう。来年に延期された東京五輪・パラリンピックで日本の花文化を楽しむ国民や世界中の人たちの姿が見られるよう、一緒に努力したい。(聞き手・柴田真希都)
〈プロフィル〉1950年生まれ。94年代表取締役社長に就任(現在は代表執行役社長)。2017年設立の日本花き振興協議会では当初から会長を務める。
◇
新型コロナウイルスの感染拡大で、食と農への影響が広がっている。農業や流通関係者、識者らに現場の実態や対策、今後の見通しを聞いた。
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2020年05月01日
[新型コロナ] 緊急経済対策 減収農家 支援が柱 事業の申請本格化
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2020年05月01日
[新型コロナ] 外食休業、販路模索も在庫の山… 青果仲卸展望見えず かさむ人件費継続か解雇か 豊洲市場
新型コロナウイルスの影響で飲食店の休業が長期化し、仲卸業者が苦境に立たされている。売上高が激減し、資金繰りに窮して従業員を解雇する業者も出てきた。青果物の安定供給を支える仲卸だが、中小規模の業者がほとんど。雇用維持への支援策はあるものの、緊急事態宣言は延長される見通しで、終息の見通しがつかないまま経営体力を奪われている。(橋本陽平)
「リスク回避 すべなし」
レストランや料亭など飲食業者による仕入れが多い、東京都中央卸売市場豊洲市場。青果物を扱う、ある仲卸業者は「緊急事態宣言の発令後、売り上げは前年比で3割を切った。底が見えない」と、日増しに悪化する経営に不安を募らせる。
同社は正規・非正規を含め、12人を雇う。築地から豊洲への移転に伴い、青果店など個人店の廃業が増加。チェーン展開するレストランや居酒屋など、業務筋への販路開拓を進めていたところだった。
焼き肉チェーンに卸していたサラダナは、店の大半が休業して注文が激減。在庫の山を積み上げた。他の販路を模索するが、百貨店は客足が減り、価格帯や取引慣習が違うスーパーにも回せない。地方市場への転送も、観光需要の低迷で縮小。「ウイルスは場所を問わず、全国に影響を及ぼす。リスク回避のすべがない」と嘆く。
販売不振が長期化し、経費の過半を占める人件費が重くのしかかる。入社して日の浅いアルバイト2人は既に解雇し、他の従業員にも休業を通知。一層の解雇も頭をよぎる。「この売り上げでは給料を出せない。失業手当で当座をしのいでもらい、後で再雇用する方が本人のためか」と思案する。ただ、終息のめどが見えない中で、再雇用を確約できるのか。正解の見えない決断を迫られている。
解除?延長?急ぎ判断を 仲卸の組合
同市場の仲卸約70社でつくる丸中組合の山田安良理事長は「豊洲の仲卸は、飲食店や給食関係の取引先が多い。休業や休校の長期化で各社とも経営は非常に厳しい」と指摘する。
緊急事態宣言の期限は5月6日からの延長がほぼ確定的だ。山田理事長は「宣言解除で規制が緩み、再び感染が拡大する事態は避けないといけない」と理解を示した上で、「宣言解除を想定した注文も入っており、延長すればキャンセル対応も出てくる」として、取引先との混乱が生じないよう早急な判断を求める。
助成金支給1割止まり
企業の倒産や従業員を解雇するケースは増えている。東京商工リサーチによると、感染拡大に伴う倒産は100件を超え、4月は75件と急増した。厚生労働省によると、新型コロナによる会社の業績悪化で解雇や雇い止め(見込み含む)となった数は、4月28日時点で3495人。3月末から3倍に増えた。
雇用維持に対する支援策はある。政府は、経営悪化を受けて事業縮小する企業が、休ませた従業員に支払う休業手当を助成する「雇用調整助成金」を拡充。解雇しない場合、中小企業は5分の4だった助成率を10分9以上に引き上げた。雇用保険に加入していないパートやアルバイトも対象となる。しかし、同助成金の支給決定件数は、329件(2月14日~4月28日・速報値)。申請書の提出件数3459件に対し、各段に少ない。
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2020年05月01日
[新型コロナ] うちで踊ろう コラボ動画作成し運動不足解消へ 長野厚生連佐久総合病院
運動不足の解消に「うちで踊ろう」──。JA長野厚生連佐久総合病院が歌手の星野源さんの楽曲「うちで踊ろう」に合わせた体操の動画を作成した。動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」の同病院の公式チャンネルで公開している。外出自粛で家の中で過ごすことが多い人たちに、楽しく体を動かすきっかけにしてもらうことが目的だ。
動画を提案したのは、同病院の健康運動指導士ら。同病院では3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、JAや行政の依頼で行っていた健康教室などが相次いで中止。地域の高齢者らの運動不足が懸念されていた。家庭で体を動かしてもらうために、人気歌手の星野さんとのコラボを考えた。
動画では健康運動指導士らが、星野さんの歌に合わせて約1分間、リズミカルに体操を披露。高齢者でも無理なく全身を動かせる体操にした。
同病院の健康運動指導士、柳澤和也さん(47)は「外出自粛でみんな心身ともに疲れている。楽しく体を動かしてもらうのに星野さんの曲はぴったり。高齢者はもちろん学校が休校の子どもやテレワーク中の若者、運動不足の人たちみんなで楽しんでほしい」と呼び掛ける。
同病院では今後、タオルを使ったストレッチやレシピ紹介などの動画も作成し、公開する予定だ。医療機関として、新型コロナウイルスの正しい予防方法や、外出自粛が続く状況下において役に立つ健康づくりの情報発信にも意欲的だ。
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2020年05月01日
[新型コロナ] 農水省コロナ対策 肥育牛農家に奨励金 経営体質強化 1頭最低2万円
農水省は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける肥育牛農家の支援に乗り出す。肉専用種や交雑種、乳用種を対象に、一定条件を満たせば1頭当たり2万円以上の奨励金を交付し、生産の継続を後押しする。肉質の分析、畜舎の改善など経営体質の強化に取り組む必要がある。食肉卸の在庫が滞留する中、計画出荷する農家には、かかり増し経費を助成する。
外食やインバウンド(訪日外国人)需要が減退し、和牛の枝肉価格は低迷。あおりを受ける形で交雑種などの価格も落ち込み、農家経営は悪化している。
同省は対策として、農畜産業振興機構(ALIC)事業の300億円を活用し、経営強化の計画を定めた農家に、出荷頭数に応じた奨励金を交付する。
畜産農家は計画に、①飼料分析②牛の血液分析③肉質分析④畜舎の環境改善⑤経営分析──の複数項目を盛り込む。具体的には、エネルギー量などを考慮した効率的な給餌方法、血中ビタミンなどを把握し肉質を向上させる方法などの検討を想定する。「非常に取り組みやすい内容」(江藤拓農相)で、二つ以上の項目を実践すれば、出荷頭数に応じ1頭当たり2万円を交付する。
枝肉価格が前年同月比30%下落した場合、三つ以上実践すれば同4万円、40%下落なら同5万円と奨励金を積み増す。同省は「経営の維持を支えると同時に、体質強化につなげたい」(畜産企画課)と考える。
在庫の滞留を避けるため、肥育牛を計画的に出荷する際のかかり増し経費も定額で補助する。生産者がまとまって出荷時期を15日以上延期させる場合、肉専用種に1頭当たり同2万2000円、交雑種は同1万9000円、乳用種は同2万1000円を助成する。
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2020年04月30日
[新型コロナ][届け!エール](3) アンガールズ 田中卓志さん 感謝し自炊 体気遣って
実家は広島で米や野菜を育てる兼業農家です。祖父は養鶏をやっています。新型コロナの影響で僕の生活は相当変わりました。スタジオに集まれないし、ロケも行けなくなりました。今はそれぞれができる形でやるしかないですね。
実家はとんでもない田舎で、スーパーに行く時くらいしか人に会いません。祖父は97歳で、両親は60、70代なので、万が一かかったら大変です。気を付けてということは伝えています。
こういう時、食べるということは大事なことです。生産を維持してもらわないと生活できませんから。僕も最近自炊を始めました。カレーを作ってインターネット交流サイト(SNS)にアップするとみんな褒めてくれます。近所のスーパーでジャガイモ1個、ニンジン1本からばら売りしているので独身は助かります。
自分で作って、おいしいものができたらやっぱりうれしい。近所から夕方になるといつもご飯のいい匂いがして、独身の僕にはすごいダメージだったのですが、今は僕も料理していますからね。相手の家庭にカレーの匂いで立ち向かえると思います。
大変な事態がいつまで続くか分かりませんが、そんな時期に食べ物を作ってくれることに感謝しています。皆さんも体に気を付けて作業してください。(お笑い芸人)
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2020年04月30日
[新型コロナ] タイで「野菜育てる」国民運動 コロナ禍で意識高まる 自給の重要さ再確認
新型コロナウイルスの感染拡大で、食料自給への意識が高まる中で、タイでは全国民が野菜を育てる90日キャンペーンが始まった。農家だけでなく、国民で野菜を育てようと、国を挙げた取り組み。在日タイ王国大使館の農業担当者は「今は行き来が難しいけれど、日本と共にコロナ禍を乗り越えたい」と日本の農家にメッセージを送る。日本でも野菜苗の売り上げが好調で、消費者が農業や自給への思いを高めている。
観光や流通が大きな影響を受け経済活動が停滞し失業者が増えているタイ。4月から全国民が野菜栽培に取り組む90日間キャンペーンが始まった。地域ぐるみでナスやキュウリ、パクチーを育て家計の足しにしたり食料自給につなげたりするのが目的だ。
キャンペーンは、故・プミポン前国王が提唱した「足るを知る経済」の哲学に基づく。プミポン氏はアジアの通貨危機を経て、“ないものねだり”はせず、地域の循環や持続可能な農業や暮らしを大切にし、国民から愛されてきた。この哲学を踏まえ、タイ内務省コミュニティ開発局は、食料危機を起こさないようにキャンペーンを考案した。
タイ全77県にある開発局の職員が見本となるように、野菜の苗を1人5~10種類育てる。ベランダや庭、バルコニーなどで育てる。野菜はパクチー、ナス、ヘチマ、オクラ、トウガラシなど。
5月からは市長、行政機構、村長らが、少なくとも5種類の野菜を栽培し、野菜の種子を交換する。その後、村長、村の代表が家庭に対し、野菜の栽培方法を説明していく。各地域の開発局がキャンペーンを全面的に支援し、種子や苗を一部提供するという。開発局の担当者らがチームを作り、アドバイスしていく。野菜が育ったら、近所同士や仲間で交換し、交流を深める。村の9割以上がキャンペーンに取り組むなど成果が出たら、国が表彰する。
観光地のタイでは、失業者が急増していることも踏まえ、内務省コミュニティ開発局のスッティポン・チュンチャルーン局長らが提案し、自ら栽培している。
タイ王国大使館農務担当官事務所の農務担当サコン・ワナセッティー参事官は「誰でもできるし、改めて自分の生き方を見直すことができる」と強調。日本の農家に「日本との協調は変わらず進めていきたい。今はお互い、一人一人ができることをして、コロナが収束した頃には農業分野など双方の交流がますます盛んになることを願っている」とメッセージを送る。
日本でも…家庭用苗売り上げ増
日本でも、不要不急の外出自粛が呼び掛けられる中、家庭で野菜を育てようという動きが広がっている。特に都会や住宅街で、家庭菜園ができる野菜苗や肥料の売り上げが伸びている。
福岡県糸島市のJA糸島では4月10日から野菜苗の販売を開始したところ、売り上げは前年比130%と大幅に伸びている。古藤俊二経済部長補佐によると、家族連れの来店が増え、土や肥料の相談件数も急増しているという。苗は、トマトやキュウリ、ピーマンなどが人気だ。同部長補佐は「お金も掛からず、家で安全に楽しめることから注目されているのではないか」とみる。
大阪府高槻市のJAたかつきの緑菜館センター店でも15日から野菜苗を売り出した。販売初日は開店前から楽しみにする来客が多く、店側が入場規制を実施するほどだった。同店の担当者は「5000円分の苗を買って『スーパーで5000円分の食材を買う以上に収穫できるかなあ』と期待するお客さんもいる」という。
東京都あきるの市の種苗店「野村植産」でも、子育て世帯の来店が増えている。同店は「子どもに安全な食べ物を食べさせるために、初めて庭の片隅で始めるという人も多い。果菜類は難しいからジャガイモがいいですよとアドバイスしている」と話している。
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2020年04月30日
[新型コロナ] JR九州が応援動画 宮崎の畜産農家出演 終息の日まで頑張る
JR九州が4月下旬に公開した動画が注目を集めている。新型コロナウイルス拡大で影響を受ける九州各県の観光地などから、終息後を見据え観光客を迎える準備をする様子やメッセージをつなげたもの。宮崎県の若手畜産農家も出演している。動画投稿サイト「ユーチューブ」では公開1週間で再生回数が20万を超えるなど、反響を呼んでいる。
JR九州が立ち上げた「その日まで、ともにがんばろう」プロジェクトの一環。新型コロナの影響が収まり、安全・安心な日常生活を取り戻す日を「その日」と位置付け、九州の魅力を発信するのが目的で活動を始めた。動画は取り組みの第2弾として公開した。
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2020年04月30日
[新型コロナ] 農業者も納税猶予 新型コロナ対策で政府 販売減少が対象
政府は、個人農家や農業法人を含め、新型コロナウイルスの影響で収入が減少した事業者を対象に、所得税や住民税などを1年程度猶予する特例制度を設ける。……
2020年04月30日