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 政府が緊急事態宣言を解除できるか、難しい判断が迫られる状況だ。継続となれば、大半の地域で行われている一斉休校がさらに長引く可能性が高い。既に5月末までの延長を独自に決めた自治体も少なくない。

 子どもの学ぶ権利をどうやって守るか、教育格差の拡大をいかに抑えるかが、ますます大きなテーマとしてのしかかる。

 具体的に教育関係者の間で問題になっているのは、今後の授業計画や入学試験の日程、その内容などだ。文部科学省はできるだけ早く方針を示し、児童生徒や教員、保護者の不安に応えなければならない。

 授業の再開が6月上旬だと、休校期間は長いところでは3カ月に及ぶ。予定通りのカリキュラムをこなすには、夏休みをほぼ返上しないと間に合わない。小中高の普通教室の冷房化率は約8割まで進んだとはいえ、自治体間の差は大きい。

 地域や家庭環境の違いによる教育格差は、コロナ禍によって広がっている。オンラインで双方向の授業ができている公立学校はわずか5%。家庭環境に恵まれない子どもをはじめ、自学自習を求めるのは限界があり、休校明けには多くの学校で授業のやり直しを迫られよう。

 現場から聞こえるのはこんな提案だ。▽指導要領のうち、この際教えなくてもいい単元を文科省が定め、全体の授業時間を削る▽入試の出題は全員が確実に履修した範囲に限る。もしくは、最終学年で学ぶ内容は設問を選択制にする――。

 どちらも一考に値する。このほか、来春の入試、入学の時期を遅らせることも考えるべきではないか。厳冬期の入試にはかねて批判があったが、試験会場は密閉・密集を避けられず、受験生や保護者の不安は大きいだろう。時間はあるようでない。推薦入試のあり方も含めて検討を急ぐ必要がある。

 思い切って「9月始業」に切り替えることを提唱する人たちもいる。授業や課外活動の遅れを取り戻し、不公平の解消が期待できるうえ、諸外国の学事暦とも足並みがそろって、留学がスムーズになる。

 しかし社会に及ぼす影響は大きい。就職も遅れるほか、半年延びる分の学費をだれがどう負担するかなど課題は多く、賛否両論があるだろう。

 はっきりしているのは、前例のない事態には前例のない対処をするしかないということだ。

 どの道にも一長一短がある。柔軟な発想で臨み、マイナス面を小さくする施策をあわせて講ずる。説明を尽くし、社会の合意をめざす。その営みを重ねることで、子どもたちも学校現場も、前を向くことができる。

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