第3回
エロティクスマンガ賞
佳作受賞
「太田エロティック・マンガ賞」では、エロティシズムをベースに独創的、刺激的、官能的な作品を募集しています。ストーリーから4コマまで、プロ・アマ問わず新しい才能をお待ちしています。審査委員長の山本直樹さんがすべての作品を読み、厳しくも温かい講評を寄せてくださいます。
2019年から、応募方法と要項が変わりました。
- ●応募受付をpixiv経由とさせていただきます。pixivアカウントお持ちでない方はご登録をお願いします。
- ●紙原稿で執筆いただいた作品は、スキャニングデータでのご応募をお願いします。
※賞の趣旨、主催、そして審査員はこれまでと変わりませんので、どうぞご安心ください。
応募の決まり
- 趣旨・条件:
- エロティシズムをベースに、独創的、刺激的、官能的なマンガ作品を募集します。ストーリーから4コマまで、構成・作風は問いません。ベースに自分なりの広い意味での官能性=エロティシズムを意識した作品であることが条件です。
- 参加資格:
- 応募要項すべてに同意された個人(企業および複数の方による共同作品は参加できません)。
- 参加方法:
- (1)pixivコンテストで定めるタグを設定し、作品(マンガ)をpixivにて投稿してください。
投稿用タグ:太田エロティックマンガ賞2019下半期
※pixivアカウントをお持ちでない方はご登録下さい。
(2)18歳未満の方に対し、不適切な表現が含まれる作品には、公開範囲の「R-18」「R-18G」を選択してください。
(3)WEB投稿画像サイズ:投稿時のサイズは自由です。
- 投稿形式:
- 投稿時の画像サイズは自由です。
※ただし受賞者の方には、縦2048px以上のJPEGもしくはPSDのデータ形式で作品のデータのご提出をお願いします。
- 注意書き:
- ※未成年の方は、保護者の同意を得た上でご投稿ください。
※投稿する際、pixivコンテストで定めるタグを設定し、投稿してください。タグを設定していない場合は選考の対象外です。
※投稿いただくことにより、後述の日本語での注意事項に同意いただいたものとみなします。
※以下に該当する場合は選考の対象外となりますので予めご了承ください。
・応募テーマに関連のない作品。
・コンテスト指定タグが設定されていない作品。
・公開レベルを「マイピク限定」「非公開」で投稿した作品。
・投稿期間を過ぎて投稿、再投稿された作品。
・その他、「応募要項の注意事項」に当てはまる作品。
※18歳未満の方に対し、不適切な表現が含まれる作品には、追加で「R-18」「R-18G」タグをつけてください。
- 選考方法:
- 投稿作品については、厳選な選考のうえ、各賞を決定させていただきます。
- 受賞賞品:
- ■エロティクス賞(1名)
太田出版編集部・pixiv編集員が「見どころがある!」と思った作品に贈られます。
賞品:賞金10万円、「pixivコミック」へ掲載(※)、太田出版編集部の担当がつき連載・書籍化を検討
※pixivコミックの掲載規定外にあたる作品については、太田出版Webサイトへの掲載と変更いたします。
■優秀賞(1名)
賞品:賞金5万円、太田出版編集部の担当がつき連載・書籍化を検討
■奨励賞(若干名)
賞品:賞金3万円
- 発表:
- 結果発表は太田出版のウェブサイトおよびpixivサイト内にて行います。
また、作品およびpixivのペンネームが、pixiv公式のTwitterやFacebookページなどのpixiv公式SNSアカウントや、太田出版のwebサイト及び公式SNSアカウント等に掲載されます。投稿者へ選考結果を個別にお知らせすることはありません。
- その他:
- 「太田エロティック・マンガ賞」pixivコンテストページ掲載の「応募要項」を良くお読みの上、あらかじめご了承いただいてから投稿いただきますようお願いいたします。「参加方法」に定める方法で投稿いただくことにより、本応募要項に同意いただいたものとみなします。
- 2019.2.20 2019年下半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果/Pixiv
- 2019.5.13 2019年上半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果/Pixiv
- 2018.9.28 2018年下半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
- 2018.3.30 2018年上半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
- 2017.9.29 2017年下半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
- 2017.3.31 2017年上半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
- 2016.9.30 2016年下半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
- 2016.3.31 2016年上半期『太田エロティック・マンガ賞』選考結果
2000年にスタートした太田エロティック・マンガ賞。審査委員長の山本直樹さんは、毎回すべての応募作品を読み、厳しく温かく選評してくださっています。初期30回の山本さんの講評から選りすぐりをご紹介します。
第1回 より
絵がうまい人はいるし、
絵がうまくなればいいなあと思う人もいるのですが、
両方そろった人がいませんでしたね。
絵は下手でも魅力的ならいいので、今後に期待しています。
それから全体的に、話の長い人が多かったように思います。
長ければいいというものでもないですし、
長くて面白い作品を描くというのはなかなか難しいと思います。
それでも、長くてなおかつ面白い、
という可能性には期待しているのです……。
頑張って下さい。
第2回 より
まず最初に、一人で何本も送ってきている人がけっこういるけれども、
いっぱい送ればいいってもんじゃないので、
一本でいいです。渾身の一本を。
いっぱい作品を描く労力を一本にかけたほうがいいんじゃないでしょうか。
丁寧に描き込みをするだけでも印象がかなり違いますので。
今回は、本当に応募数が多くて、嬉しいですね。
だいたいマンガ賞っていうのは作品の応募数は第1回が多くて、
その後はだんだんジリ貧になるっていうのが定番なんですけど、珍しいです。
「太田マンガ賞」は不思議な賞です。
これからも、いろんなタイプのマンガ家さんを本誌で発表していければと思いますね。
皆さん、頑張ってください。
第4回 より
相変わらず面白い作品が多数寄せられていて、嬉しいです。
気の狂ったような作品がかなりありましたが、そういう季節なんでしょうか(笑)。 僕は嫌いじゃないです。
雑に描かれているものは読む気がなえてしまうので、もう少し丁寧に描いてほしいですね。
自分で描き終わったあとに、もう一度読み返すことを心がけて下さい。
第5回 より
全体的に雑でした。雑に描くことがおしゃれだと
誰かがどっかで言っていたような気もしますが、
雑に描いているようでも
実際には雑に描いていないんです。
人に見せるんだという視点があって、その上で狂う。
それを期待したいです。
マンガ家というのは芸人と職人のかけあわせみたいなもんなので、
芸人でもあるけど職人でもあるということを忘れないで、
人に伝える技術をきちんと身に付けてもらえればと思います。
第6回 より
相変わらず××××な人が多くて、審査してるぶんには楽しくてしょうがないんですけど(笑)、
でもそれは、この部屋止まりの作品であって、審査の部屋から出るような作品を描いて下さい。
佳作2作品は、全く違うタイプの作品です。
僕はオーソドックスなのも好きだし、変なのも好きなんですよ。
どっちだから入選するってものではなくて、無言のうちに水準みたいなものがあるんですよね。
ここまで変ならいい、とか(笑)。全体をひとくくりに言うことは難しいんですが、
自分が今描いているものから
ちょっと外に飛び出す力が欲しいですね。
「少年老いやすく学成がたし」なんで、みんな頑張って下さい。
第7回 より
絵が上手いのにもったいないなあ、という人が何人かいました。
でも今回の入選の方も、前回は「絵が上手いのにもったいない」と思ってたんで、
描き続けていれば何かオバケが出てくるっていうのはあると思うんですよ。
第8回 より
今回の応募作は、途中で始まって途中で終わるような、中途半端なお話が多かったですね。
話が始まる前に終わっちゃったり、頭で考えてすぐにパッと出しているような印象を持ちました。
一つの場面を切り取るという意図は分かるのですが、
プロはその切り取り方に技を使って工夫をしているわけです。
ワンアイディアだけでは成立しません。
その先の流れや伏線を考えたり、もう二押し、三押し、四押し……が必要です。
まずは普通にマンガを描いて下さい。
「そんなに時間ないならバイト辞めちまえ!」
ってことで(笑)。期待しています。
第10回 より
今回の受賞者は全員絵柄の評価で、ストーリーでガンと来る人がいなかったのは残念ですね。
別にハリウッドみたいにあっと驚く展開とか起承転結にしろとか言わないけれど、
ストーリーとして山もなくすんなり終わってしまうのが多すぎました。
印象に残るような何かがあればいい。それは、印象的な1コマがバンっとあるのでもいい。
全編奇抜にしろと言ってるわけじゃないんです。
作品はストーリーがメインになっちゃダメなんですよね。
私の師匠の小池(一夫)先生じゃないけれど、大事なのは「キャラを立てろ」ってことなわけで。
僕がストーリーが大事というのは、
筋が奇抜ということではなくて、
人が生きていて動いている感じがするっていうこと
なんですね。
登場人物が将棋の駒みたいになっちゃうと、どんなに練ったストーリーでもさらっと読み流しちゃう。
すごく抽象的で難しい注文なんですけど。
どうやってキャラを立てるかっていうと、僕が描いているのはそんなに正統的なものじゃないから
アドバイスになるかどうか分からないんだけど、描いているうちに登場人物がストーリーを裏切るぐらいの感じで
「出てこい出てこい」と思いながら描いているところがありますね。
最初の設計図にとらわれない、ということも一つある。
逸脱するもの、ポンと面白そうなものが出てきた時に、
「最初に考えたストーリーがおかしくなるからやめよう」じゃなくて「それも活かそう」とか。
第14回 より
今回は割と低調で残念でした。
目立った特徴としては、絵は魅力的だったり、すごく手慣れてたりするんだけど、
お話は普通の作品が多いことですね。
普通ということは、読み飛ばされるってことです。
特に「エフ」とか「エロティクス」は、エロいのは当然なんだけと、
ちょっと普通じゃないものを覗きたいなっていう願望もあるわけだから、
ステレオタイプの作品になってしまうと難しいですね。
本人は独特な話を描いてるつもりなんだけど、
「そんな独特いっぱいありますよ、おっちゃんいろいろ知ってるよ(笑)」という感じ。
本人が思ってるほど独特じゃない。
「見たこともないものを描きたい」って言うなら、世の中のもの全部見てから言えと(笑)。
単純に言うと、世の中にいろんなものがあるんだから、いっぱい見ておいたほうがいいよってことです。
マンガを読み、小説を読み、映画を観て、芝居を観にいけと。
見てきたものの濃さ、
奥深さ、業の深さっていうのは
作品に出ますから。
まあ、業をどうやって持つかっていうアドバイスはできないんだけど、
業というのはみんな絶対持ってるんですよ。
自分の中にあるものだから。
自分の中も覗いて自分の外も覗け、考える前に見ろ。ということですかね。
内側の業みたいなものがあれば、外側は借り物でも面白い作品になるんですよ。
第15回 より
全体的に、雰囲気だけっていう人が多かったですね。
ミュージッククリップマンガ。
それを読ませるには、相当絵が上手いとか、
独自な世界であるとか、構成や構図がカッコイイ、
とかじゃないと難しい。
字で説明するマンガが多いですね。
省略できる文字はいっぱいあると思うんですよ。
2、3回見直すと、無駄な部分が分かってくる。
「絶望的な気持ちだった」とか、
文字で書いちゃだめです。
それを絵で描くのがマンガ家なんだから。
伝えなきゃいけない感情を、ストーリーの中で説明っぽくなく見せていく。
それには細かいテクニックがいろいろ必要なんですが、それはやろうとすれば、身について上手くなるはずなので。
モノローグは減らす方向で。モノローグが面白い人ってなかなかいない。
詩人か小説家になれっていうぐらいのよっぽど上手い人じゃないと、文字を長々と読ませるのは難しい。
それに、言葉を大事にしているようで、ただいじってるだけになっている人も多い。
考えてるようで、実は紋切り型になってたりするんですよね。
マンガは絵と字なので、字にもっと敏感になることと、絵で見せる努力を惜しまないこと。
「横着するな! 絵で描け!」
ってことですね。
第16回 より
前みたいに短いものばかりではなくなりましたが、ポエムで終わってしまう作品が多いです。
ポエムだと文章がよっぽどうまくないと成立しないので、ポエムから脱してくる作品が欲しいですね。
やっぱり、言葉や絵・世界観に力があるとひっかかる。カのつけ方なんて、百通りの方法があります。
死ぬほど本を読んでもいいし、街に出てもいいし、ひきこもってもいい。
それぞれ頑張ってくださいとしか言えませんが、自分なりの方法で力をつけていってもらいたいです。
第17回 より
どこかしら「もう一歩」というところがあって、すごくもったいない。
たまには雑誌に載っている漫画を
研究してみるのはいいかもしれません。
「ここを省略しても逆にこんなに面白くなるんだ」とか、そういう目で人の漫画を見てみましょう。
ストーリーを追わずに、画面構成や処理の仕方に注目してみるのも勉強になると思います。
いい意眛で変な感じの作品が多いので、その方向性を大事にしつつ、作品作りをして欲しいです。
第18回 より
今回の選考のポイントは「人物が生きて動いていたか」にありました。
登場人物にちゃんと気持ちがあるかどうか。賞に残った人たちはそこが光っていました。
絵が下手でもちゃんと人物の気持ちを描いている作品だと、もう一度読みたくなるもんです。
そういう意味で、今回は絵が上手なのにもったいないという人が何人もいました。
本を読んだり観察したりしてもっと人間を知って…。
自分の描いたマンガが絵空事にならないように、
登場人物がただのコマにならないように少し意識してみてください。
カケアミを上手になるのもいいけど、
こういったお話のテクニックが上手になることも必要です。
第19回 より
今回は、全体的にダウナーな作品が多かったんですが、ダウナーな割にはひねくれ方が足りない感じ。
どうせならとことん痛くひねくれてほしい。
あと、「つまらない町」を描くときに、ただ主人公に「つまんない町!」と言わせているものもありました。
直接的な言葉に頼らないで、もっと絵で「見せ」てほしい。
話を思いついた時にすぐコマ割りして描き始めるんじゃなくて、
その前に一度分かりにくくなってないか、
ちゃんと人に分かる面白さかどうかを考えながら推敲することが大事です。
第20回 より
今回は、読みにくい作品が目に付きました。
独自の世界を築きたいのはわかるけど、
作品が読めないんじゃ意味がないです。
それとは逆に、ありがちな絵でありがちな話の、
読みやすいんだけど何も残らない作品もあり、
今回はその二極化でしたね。
でも、どっちも同じ部分が足りてないんじゃないかな。
独自の世界をただ提示されても
こちらは「そうですか」と言うしかないし、
すらすら読めるけどありがちな話も読んだ後には何も残らない。
物語の中に「生きている人」がいないんですよね。
何回も言っているけれど、
「キャラが立っている」「人が動いている」というのは大事です。
登場人物が
作者のストーリーを語るための
道具になってはダメなんですね。
登場人物があたかも生きているような……
そういう風に僕らをうまく騙してくれる作品を読みたいです。
第21回 より
応募本数が多かったのは大変喜ばしいのですが、月並みな作品が多かった。
こちらとしてはやはり面白いマンガが読みたいです。
面白いか、エロいか、その両方か。
月並みな作品というのは、冒頭の数ページをめくっただけで「こういうのあるよね」で終わってしまう印象の薄い作品です。
良い作品とは、こういう気持ちになったことがある、こういうシチユエーションあるよね、と
良い意昧で現実の感覚と地続きになっているものです。
第22回 より
奨励賞しか出なかったという意味では、インパクトが弱かったですね。
いい感じにまとまった小品ではなかなかデビューできない。
主人公が最後に何を得たのか分かりにくいと印象が薄くなってしまいます。
成長できなくてもいい。
どんな現実に立ち向かって、どのような結果になったのか、
それはエロであろうとなかろうと大事だと思います。
そこを押さえることが出来ればかなり無茶をやってもいい。
もう一つは、
自分の中の変態性を
きちんと飼い馴らしてコントロールできるようになること。
自分を一歩引いて見る客観性みたいなものが作品に深みを増していくのでは。
そんな作品を今後もお待ちしています。
第23回 より
今回は選ばれる作品と選ばれない作品が割とはっきりと分かれていました。
選ばれなかった方の作品というのは、
一言で「これはポエムだな」「これはモノローグマンガだな」「ありがちだな」で片付けられてしまう作品です。
選ばれる作品はやはり一言では片付けられないし、多少でも語りたくなったり、考えるところがある。
新人賞に応募する場合、多少伏線の収拾がつかなくても面白ければいい。
かと言って、手を抜いてもいいということではないのですが。
やっぱり作品に深みを持たせるには、マンガ、小説、映画、芝居など、とにかく沢山のものに触れることです。
そしてそこから何でもインプットしていくこと。
センスの磨き方というのは教えることが難しいのですが…。
でも世の中で天才と呼ばれるような人たち
――例えば天才ミュージシャンだって、実はすごい音楽マニアだったりする。
面白いものを自分の中に蓄えることにもっと貪欲になってください。
「ただのBLじゃない」「ただのエロじゃない」となればみんな読むわけです。
それには、描く本人が驚けるようなものを見つけていくことが大事。
色んなものに驚いてください。そして私たちを驚かせてもらえる作品をお待ちしています。
第24回 より
月並みな作品が多かったです。やっぱり審査をする人間としては、応募作を読んで驚きたい。
我々プロは読者をビックリさせるために日々頑張っているわけだから。
お化けが出てきたり内臓がいっぱい出てきても、ビックリしないときはビックリしないんですよ。
桃加リン子さんが描いている「実は語り手がおかしい」というパターンは確かに月並みだけれども、
それがマンガで上手く実践されていたら、それは月並みじゃないんです。
じゃあどうすれば月並みではなくなるのか。それには、
まず自分が何にビックリしたのか、
面白いと思ったのか、
感動したのかを
しっかり思い出してください。
そしてその作品でなぜ自分がビックリしたのか、改めて考えて分析してみてください。
単純な話、紙の上のインクの塊が生きて動いて見えるなんて、それだけでワンダーなわけですよ。
それが「キャラが立つ」っていうことなんですけどね。
第25回 より
一番言いたいのは、
「投け出しエンディングは
プロになってから」
ということ。
今回佳作だった「橋の2人」、奨励賞の「パラサイト宇宙人」も
投げだしエンディングですが、これらは稀有な成功例。
僕も最近よく使っているから人のことは言えないんだけど、
投げ出しエンディングは下手に手を出すと大怪我しますよ(笑)。
着地に失敗したらただのスケッチになってしまい、
「途中でやめるなよ」と思われるだけです。
そういう人は、絵も途中で力尽きている感じがありましたね。
絵が雑な人が多かったのは残念です。
画面が汚いと読む気をなくすので、
非常にもったいないと思います。
第26回 より
残念ながら低調でした。傾向としては「食べる」と 「ダッチワイフ」が多かった。
全く同じオチのものが複数来ていましたが、何か元ネタがあるんでしょうか。
思いつきだけでぱっと描いてしまったのかな。
相変わらず、何作も送ってくる方もいます。
描いているうちに 「マンガ描きハイ」で違うネタを思いついてしまう気持ちはわかりますが、
それはメモしておいて、目の前の漫画に集中した方がいいと思います。
審査をする方としても、雑なものが何作も来ても意味がない。
今回奨励賞を取った2人は、丁寧に描いていることが伝わってきました。
もちろん、雑でもそれを上回るおもしろさがある漫画は大歓迎です。
今回は話の“断片”で終わっている作品が多かったですが、すごい断片というのは天才しか描けない。
ほとんどの人は天才ではありませんから、ネタを思いついたら一晩寝て、
もう一度じっくり考えてみてください。
漫画を描くというのは、その繰り返しの戦いです。プロはみんなその道を通って来ています。
若いうちは、思いついたら「描かなきゃ」と焦ってしまうと思います。
最初のうちは描いた分絵が上手くなるからいいのですが、
いつまでも続けるのはあなたという資源の無駄遣い。
資源を大切に。
次回に期待しています。
第28回 より
面白いものは、面白いものを山ほど読んだり観たりした末にしか出てこないもの。
「影響を受けそうだから読まない」なんて、勉強不足でしかありません。
町田康さんの言葉ですが、「小説を面白いと思ったことがある人だったら、小説書けるんですよ」。
マンガも同じだと思います。
面白いものを読んだことなくて面白い物描ける人は……たまーにいるけど、それはあなたじゃない(笑)。
「こんな面白いもの描けない」って、 一回絶望しないとね。
デビュー前は真似を怖がってしまうこともあるかもしれませんが、誰しも真似から始まるんだと思いますよ。
真似して消えるような個性はないのと一緒だし、それは絶対自分のものになります。
完全なパクリは我々が指摘しますから(笑)。
ゆらゆら帝国的には、ごはんいっぱい食べなきゃウンコは出ない。
結局、なにかを面白がれることが原点だから。
今回は断片で終わってしまうものや、「なるほど」で終わってしまう作品が多く、
「こう来たか!」と思うことは少なかったですね。
最後になにか飛躍があれば、面白くなる場合もあります。
これも、どう飛躍するかというのは教えにくいんですが……。
あくまで僕個人の場合ですが、
「こんな風にしたら面白いけど、めちゃくちゃになっちゃうんじゃないかな」
という方を選ぶとだいたいうまくいく。
あんまり考えすぎると失敗する質で(笑)。
こういう時も、自分の中に引き出しがいっぱいあれば、
めちゃくちゃを収束させるテクニックもその中から出すことができるんだと思います。
引き出しは、人からもらったものでできるんです。
第29回 より
読み手の心に届く作品というのは、絵がうまければいいという問題でもないし、
お話がきちんとしてればいいという問題でもない。
僕は今回このひどい話(奨励賞『ジョニー』)が一番ぐっときましたが、
彼にあって他の人にないのは“むき出し感”です。
ひどい話は他にもありますが、かっこつけてるというか、どこかで見た話だと感じました。
そういう作品からは読み手を拒否しているような印象を受けてしまう。
奨励賞を受賞した作品には「読んでちょうだい!」みたいな感じがあって、
それが、今回は全員でないにせよ、誰かに響いているんですよね。
自分では上っ面で描いてるとは思っていないでしょうが、
かっこつけて上っ面で描いた作品は、最初の2、3枚を読むとわかります。
僕もマンガを描き始めた頃はそうだったけど、
上っ面で描いたものを上っ面だよって言ってくれる友達がいた。
だから、人に言ってもらえると良いのかもしれません。
ちなみに上っ面って言われなくなったのは、やっぱりエロを描き始めてから。
万人にエロを描けとは言わないけど。
つまらない言葉で言ってしまうと“向上心”でしかない。
もっと面白いマンガを描きたいという気持ちを持つことと、
全ての人には言わないけど、“むき出せ”ということ。なんだか少年誌の寸評みたいだけど、
マンガの上達方法ってどこでも一緒なのかな(笑)。
第30回 より
新人にこれを言うのは酷だという意見もあるけど、
どこかで見たことあるようなマンガだよねって思われたらおしまいだと思います。
新人だから描けるめちゃくちゃさがある。
そういうのがないなら、既成の作家に頼めばいいんだからさ。
30回目のマンガ賞を迎えて思うのは、描き続けることは無駄にならないということですね。
「継続は力なり」と、普通のことしか言えませんが。
「夢は必ず叶う」という言葉ほどたちの悪い言説はないけれど、
続けたきゃ続ければ、なんとかなる場合もあるよ、ということでしょうか。