１９６４年の東京五輪の際、日本のかじ取り役は所得倍増論の池田勇人首相だった。苦楽をともにした満枝夫人は選挙応援などでも活躍。「政治家の妻」の代表格という評が残っている。
　
　その池田氏が首相の座に就いた直後の逸話には味わいがある。抱負に満ち、「いよいよ首相になったよ。お前もごくろうさんだった」と電話してきた夫に、満枝夫人は一言。「あなた、やめる時が一番大事ですよ」（上坂冬子著「宰相夫人の昭和史」）。
　
　日米安全保障条約の改定をめぐる混乱でつぶれた岸信介政権の後任という難しさを抱えていた。「貧乏人は麦を食え」といった過去の放言で世論の厳しさも知っている。夫以上に冷静な目で政界を見ていた、ともいわれる。
　
　高度経済成長の波に乗った池田氏だが、病を患い五輪閉幕の翌日に退陣表明。翌年没する。しばらく立ち直れなかった満枝さんは２０年余りたって「主人は日本のために働いて、男の花道を走っていったのだと最近になって諦めました」。
　
　上坂さんの本に手が伸びたのは近ごろ、首相夫人の行動に首をひねることが多いからか。森友問題では忖度（そんたく）の鍵を握る人になり、政府が国民に行動自粛を求める横で芸能人らと食事会を開いて、国会で追及を受けた。ちょっと今までの政治史にないことかもしれない。
　
　宰相夫人の令和史が書き残されるころ、後世の人々はどんな味わいを持って受け止めるのだろう。
　
　
４月４日のこよみ。
旧暦の３月１２日に当たります。ひのと　うし　八白　友引。
日の出は５時５０分、日の入りは１８時２９分。
月の出は１４時０１分、月の入りは３時１８分、月齢は１０．７です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で３時４７分、潮位１４５センチと、１４時５６分、潮位１３８センチです。
干潮は９時３６分、潮位８４センチと、２１時３８分、潮位１８センチです。
　
４月５日のこよみ。
旧暦の３月１３日に当たります。つちのえ　とら　九紫　先負。
日の出は５時４８分、日の入りは１８時２９分。
月の出は１５時１１分、月の入りは４時０２分、月齢は１１．７です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で４時２６分、潮位１５９センチと、１６時００分、潮位１５６センチです。
干潮は１０時１８分、潮位６５センチと、２２時２８分、潮位８センチです。