B型肝炎
B型肝炎って、どんな病気?
ウイルス感染が原因の肝炎
B型肝炎は、「B型肝炎ウイルス(HBV)」の感染が原因で起こる肝炎のことです。アルコールの飲み過ぎなどが原因の肝炎とは違います。肝炎になると、肝臓の細胞が壊れて働きが悪くなります。
感染力が強いウイルス
B型肝炎ウイルスは、HIV(エイズウイルス)やC型肝炎ウイルスより感染力の強いウイルスです。
慢性化しやすい型のウイルスが広がっています
B型肝炎は急性肝炎として数ヶ月で治る場合もありますが、近年慢性化しやすい型のウイルスが広がっています。慢性化すると、肝硬変や肝臓がんへの進行もあるので要注意です。
どうしてうつるの?(B型肝炎の感染経路)
- 性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)により感染します。
- B型肝炎ウイルスは、感染した人の精液や腟分泌液、血液などに含まれています。
- B型肝炎ウイルスは、感染力が強く、性行為でなくても、入れ墨、ピアスの穴あけ、カミソリや歯ブラシの共用などでも感染の可能性があります。
こんなリスクもあります
- 妊娠中に子宮内や産道で感染することがあります。妊婦の方は、妊婦検診を受けることにより、出産時の母子感染を防ぐことができます。
こんなことでは感染しません
- 輸血による感染は、献血された血液を検査することにより、現在ではほぼ起きていません。
- 感染者の唾液にも微量のウイルスは含まれていますが、飲み物の回し飲み程度では感染しません。
B型肝炎の症状って?
男性、女性、ともに同じような症状が出ます。個人差があり、症状が出るまで約1〜2ヵ月かかります。
症状(男女共通)
主な症状
だるさ(倦怠感)、食欲不振、吐き気、濃い色の尿が出る、黄疸(体や白目が黄色っぽくなる)など。 症状が出る人は感染者の約20〜30%と言われ、感染者の半数以上は症状が出ないまま、自然に治ります。 症状が出る人のうちの1〜2%の方は、劇症肝炎を発症するので注意が必要です。
2〜3ヵ月で症状が治まる
一般的には安静にしていれば、症状が出てから2〜3ヵ月で自然に治ります。ただし、まれに劇症肝炎(肝臓の炎症が非常に強くなり、肝細胞のほとんどが死んでしまう)になった場合は、70〜80%は死亡します。
B型肝炎の検査・診断・治療の流れ
検査について
症状が無くても検査できます。
B型肝炎の主な検査方法
臨床診断と、血液検査でHBVの抗原を調べます。
検査のタイミング
感染の機会から2〜3ヵ月後から
治療について
専門医による治療
その人それぞれの状態によって、治療方法や効果が違うので、専門医の判断により行われます。
治療の流れ
感染していると診断された個々の状態に合わせて治療法を決定する
ほとんどの人は2〜3ヵ月で自然治癒しますが、症状によっては抗ウイルス療法(インターフェロンなど)や肝庇護療法を行うこともあります。
↓
治療終了
検査数値が低下しているか、確認をしばらく続けます。
急性のB型肝炎に一度かかると、抗体ができるので再感染の可能性はなくなります。
B型肝炎 検査の流れ
B型肝炎ウイルス(HBV)の感染を調べるには、最初に「HBs抗原」を調べます(スクリーニング検査)。
- HBs抗原検査は医療機関や自治体でも受けることができます。
- STDチェッカーの検査は、医療機関や自治体のスクリーニング検査と同じく、「HBs抗原検査」であり、検査法はCLEIA法です。 陽性(+)となった場合は、次の段階の検査を受ける必要がありますので、専門の医療機関を受診してください。
- HBs抗原検査法として、CLEIA法の他、即日検査としてイムノクロマト法もあります。
B型肝炎 検査項目
B型肝炎ウイルスへの感染状態を調べるための検査項目 (ウイルスマーカー)には、以下のものがあります。
- HBs 抗原 ― HBs 抗体
- HBc 抗原 ― HBc 抗体
- HBe 抗原 ― HBe 抗体
HBs抗原
B型肝炎ウイルス(HBV)の外側の殻の部分。 感染を調べる時に、最初に調べる項目です。
<検査からわかること>
- HBVに感染している
<検査法>
- 化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)
- イムノクロマト法(IC法)など
HBs抗体
HBs抗原に対する抗体。HBVに感染し、治った後に検出されるようになります。HBV感染を防ぐ働きがあり、ワクチンを接種すると陽性(+)になります。
<検査からわかること>
- 過去にHBVに感染して治癒し、HBVに対する免疫ができている
- ワクチンを接種し、免疫ができている
<検査法>
- 化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)など
HBc抗原
HBVの内側にある殻の部分。検出が難しく、日常検査には取り入れられていません。
HBc抗体(IgM型)
HBc抗原に対する抗体。感染初期にあらわれ、数ヵ月で消えます。
<検査からわかること>
- 最近HBVに感染した
<検査法>
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)など
HBc抗体(IgG型)
HBc抗原に対する抗体。HBc抗体(IgM型)の出現から少し遅れてあらわれ、その後ほぼ生涯にわたって血液中に存在する。
<検査からわかること>
- 過去の感染、またはHBVキャリア
<検査法>
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)など
HBe抗原
HBVが増殖する時に血液中に放出されるタンパク質。HBVが盛んに増殖していることを表します。
<検査からわかること>
- HBVが増殖していて、感染力が高い
<検査法>
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)など
HBe抗体
HBe抗原に対する抗体。感染を防ぐ働きはありません。
<検査からわかること>
- HBVの量が少なく、増殖力が低下している
<検査法>
- 化学発光免疫測定法(CLIA法)など
HBV DNA
HBe抗原に対する抗体。感染を防ぐ働きはありません。
<検査からわかること>
- ウイルス量が分かるので、治療の効果を確認できる
<検査法>
- 核酸増幅法
よくあるご質問
B型肝炎検査についてよくあるご質問(クリックで開きます)