【ニューヨーク=吉田圭織】米ニューヨーク市のブルックリン地区で28日夕、新型コロナウイルス感染で死亡したユダヤ教超正統派の聖職者の葬儀が行われ、外出制限に反して多数の信者が集まった。同市のデブラシオ市長は現地に乗り込み、警察が参列者を帰宅させる任務を監督した。29日の記者会見では「絶対許せない行為だ」と批判した。「召喚令状を発行し、逮捕状も出す」と警告した。
ソーシャルメディアには、ユダヤ教徒の市民が路上を埋め尽くす画像が投稿された。市長は「数千人」が集まったと主張している。ユダヤ教信者はデブラシオ氏の対応について「ユダヤ教徒を非難の的にした」と批判し、反ユダヤ主義を助長するとして謝罪を求めている。これに対しデブラシオ氏は「タフな愛を込めて言ったものだ」と応じ、「大勢が集まった結果、死んでしまう人が出てくる」と反論した。
ニューヨーク市内の新型コロナ感染者数は全米で最も多く、州集計によると感染者は16万人を超え、死者は1万2千人に上った。新型コロナ患者の治療に従事し自らも感染した女性医師、男性救急隊員の自殺が判明し、市民の間で衝撃が広がっている。
デブラシオ氏は市が米国防総省と連携して、コロナ対応の「戦闘ストレス」に直面する医療関係者へのメンタルヘルス支援を強化する考えを表明した。来週からは医療従事者などを対象に15万件の抗体検査も始める。
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