ごあいさつ
「笑顔」と一言で言っても、そこに至るまでの背景も感情の動きもその人の数だけ存在しています。眩しい笑顔、ささやかな笑顔、困ったような笑顔、今まで見たことのなかった笑顔……。その人の笑顔で笑えている状態というのは、自分自身でいられているひとつの証。
あなたが思い出す、誰かの印象的な笑顔はどんなふうだったでしょうか? そしてそれはどうして記憶に残っているのでしょうか?
想像もしていなかった日々が訪れている今は、人に会うことや、一緒に散歩をすることや、抱きしめたりすることがままならない状況です。だけどそんな毎日でも、自分が関わってきた人たちのことを思い出し、思いやることはできるもの。
この展示は、展示のために写真を撮り下ろしてもらうのではなく、カメラロールや写真フォルダにある写真のなかから、身近な人の笑顔を選んでもらい、言葉を新しく寄せてもらったものです。
この展示に訪れた方々が、自分自身のそばにある笑顔を思い出して、その物語に改めて目を向けるきっかけになったなら。そしてそこから新しい笑顔が生まれたなら。それはこの先の道筋を少し照らすのではないかと思っています。