「攻殻機動隊 SAC_2045」とは何なのか 神山×荒牧両監督へのインタビューから浮かび上がった“攻殻機動隊”

荒牧 つまり最初はプリンに違和があったと(笑)。

神山 新しいキャラが入ると得てして嫌われるから、その反応は読み通りです(笑)。プリンは、この作品のテーマを描く上で必要とされたために生まれたキャラといえますが、まぁここでは「(神山は)若い人に媚びたな」とでも思ってもらえれば(笑)。オジサンばっかりの作品ですから。

荒牧 むしろそういう風に思ってもらった方がいいよね。

―― 気になりますね……。もう1つ気になったことを最後にお聞きしますが、フィクションの中に真実を潜ませるような、現実と地続きのリアリティーはS.A.C.シリーズの魅力の1つでした。今作では、劇中の日本が、海外に比べるとまるで時が止まっているかのような印象です。ポスト・ヒューマンの描かれ方も日本では特殊でした。日本をあのように描いたのはどういう意図があるのでしょうか?

神山 鋭いですね。原作コミックが描かれた時代は、日本のテクノロジーが世界中を席巻していて、日本の工業製品が世界中に輸出されていた時期がありました。

 でも30年たってみると、日本は衰退途上国になってしまっていた。脚本の開発に取り掛かった5年前は、まだかろうじて踏ん張っていたけど、今やそれに自覚的になっている。時代を先取りするつもりはなかったけれど、現実を描いていたら、世界から遅れていく日本、という絵に期せずしてなってしまったんです。

 ただ、ポジティブにみれば、今の日本文化の育ち方は世界最先端ともいえます。皮肉を込めたネットスラングで「日本始まったな」というのがありますけど、“萌え”や“KAWAII”のように思いもよらないことをやっていたりするんです。僕らの世代からすれば、米国の西海岸文化を席巻するなんてありえないこと。あくまでも小さなところで起きているサブカルの一部だったものが、いつの間にかお天道様の下を歩いていた。

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2020年4月23日の芸能総合記事

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