荒牧 テクノロジーの進化は分かりやすいですが、人の意識の進化はもっと複雑で、もっと大きな変化が起きるんじゃないかと脚本を書いていても思います。“意識の転換”が今本当に起こっている。
―― 意識の転換、ですか。
神山 『1984』は赤狩りの時代に共産主義排斥への恐怖から書かれましたが、トランプ大統領就任後にあらためて読むと全く違う風に読み取れるんですよね。『1984』が書かれた当時、その内容を“よいもの”と読むことは不可能でした。そこに登場する“テレスクリーン”は今で言うインターネットですけど、恐ろしいものとして描かれています。
でも、そういう側面があったとしても、今、ネットを負の要素ととらえる人は圧倒的に少ない。そこ1つ見ても、僕らが思っていたよりもはるかに人間の意識が変わっている。「ターミネーター」におけるスカイネットもですが、SFにおける新しいテクノロジーは得てして人間の敵として描かれますが、それも間違いかもしれないと思うんです。
―― なるほど。ところで、新たに登場する江崎プリンという若く有能でポップな存在も気になります。正確には鑑識チームの新人として登場しますが、攻殻機動隊にはこれまでいなかったタイプなので、最初は異物感がすごかったんです。でも、見ているうちに不思議となじんでいて。もう一人、海外で現地採用されるスタンという新キャラもいますが、2人の物語上の役割は明らかに違うように思います。