いろいろな人が作ってきた攻殻機動隊の正体は何なのかをひもといていくと、“全体と個人”なのかなと。全体は社会や時代、そこで個人がどう生きていくべきか、どう踏ん張ったか、そういう根源的なことを描くことがもしかしたら攻殻機動隊の正体なのではないかと思いますし、そこは今作でもやらなきゃとは思いました。
荒牧 士郎さんの原作は紛れもないサイバーパンクだけど、現実がどんどんそれに近づいてくると、例えば電脳って要はスマホが頭に入っているようなものと描けば分かりやすくなった。でも、分かりやすくなった分、未来感はどんどんなくなってきた。では例えば、街のルックをサイバーパンク風にすればよいのかというと、現実にはそうはなってないわけで、それをやってもしょうがない。そうならないギリギリのラインを悩みながらやったので、結果的にそれが攻殻機動隊だと思っていただけるなら心強いですね。
●意識の転換が起こっている――シンギュラリティとは
―― ファンタジーに逃げず向き合う、といったところでしょうか。では、少し話を変えますが、お二人はシンギュラリティについてはどう思われますか? タイトルにもなっている2045はいわゆるシンギュラリティが起こるとされる「2045年問題」を指していて、今作はそこにも向き合おうとしている印象です。