攻殻がフル3DCGアニメになったことについて、ネットでは製作発表当時からさまざまな声があがっていました。
作画のクオリティーを落とさないための3DCGという側面は理解できますが、シリーズの熱烈なファンである記者も最初に本編をみたときは、正直「ついて行けるかな」と感じました。S.A.C.第1期のOPで目にしたCGと比べると洗練されており、キャラクターデザインを担当したイリヤ・クブシノブの思いを感じる草薙素子らの姿も素晴らしいですが、セル画とのギャップと、もはやはやりのゲームのような3DCGに脳が混乱したのも事実です。
ただし、草薙素子役の田中敦子さんや大塚明夫さん(バトー役)、山寺宏一さん(トグサ役)らS.A.C.シリーズのオリジナルキャストが公安9課を再び演じていることが安心感につながり、攻殻機動隊を見ているのだと脳が理解するのにそう時間は掛かりませんでした。
今作に先駆け、両監督が世に送り出した「ULTRAMAN」(2019年)もフル3DCG+モーションキャプチャで制作されていますが、なぜ、フル3DCG+モーションキャプチャなのかをあらためて聞いてみました。
神山 僕はアニメーションを作っていますが、アニメーターではないと思っています。監督として映像を作っていくときに、どうやったらうまくできるかという方法論だけを考えてのことです。
―― 手段先行ではなく、方法論のために手段を選ぶスタイルということですよね。手段としてフル3DCG+モーションキャプチャにしたのはなぜですか?