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（三郎）何だか分かんねえが　まあ…俺に任せとけ！　ハハハ…　なっ！
よし！
（裕一）あれ？　いやいや…。（音）お父さん　浴衣ですから！
そうだ　そうだ。　浴衣だ　俺…。
♪～
♪「泣いて　生まれて　響く命」
♪「きっと嬉しくて　笑っているんだ」
♪「僕らはきっと　出逢うでしょう」
♪「手を引き　背を押し　出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って　ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を　超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで　響くはエール」
いい子じゃねえか。
ありがとう…　あと　ごめんね。
いいんだ。　おめえが幸せなら。
伯父さん　大丈夫かな？任せとけって。
俺が親としてやれる　最後の務めだ。
（いびき）
♪～（鼻歌）（いびき）
次の日　三郎さんは福島に帰りました。
何かさ～　しみったれた詩しか浮かばん。もっとお父さんの魅力を伝えたいのに。
（吟）亡くなって何年になるんだっけ？
７年…思い出すことも少なくなったよね。
そう？　私は　年取るほど思い出しちゃう。本当？
長女だもん。婿をとって　家を守る責任がある。お父さん　早く安心させたい。
そっか…。
応援する。
ありがとう。フフッ。
（梅）ただいま。（吟　音）お帰り。
あっ　梅…　歌詞書かなきゃいかんの。手伝ってよ。
ねっ　お願い。やだ。
おめえに迷惑かかんねえだろうが！何が気に入らねえんだ？
（浩二）甘いよ！兄さんは　権藤家の財産を継ぐ人なんだ。
もしかすっと何か　たくらんでるかもしんねえ。
俺は　この目で見てきたんだ！あいつらは大丈夫だ！
そうやって　一体何度だまされてきたんだよ。
（まさ）今度ばかりは　私も浩二に賛成！
一緒に住まないのに結婚するっておかしいわ。
俺は約束したんだ！　結婚を許すべ。
祝福してやっぺよ！
今回は　俺も折れねえがらな。
演奏会の詩は　梅が書くことに。
はあ…。
♪～
いや～　先生のおかげで　はかどりました。
（御手洗）こちらこそ　サンクスよ。ファンタスティックなタイムだったわ。
これ　いいの？
あっ　それ…　冗談で作ったんですけど。
♪～
最っ高！　プログラムに入れましょう。
いや…　お客さんに伝わりますかね？
まだ若いんだから　気にしないの。
は…　はい。
あっ　先生。ミュージック　ティーチャーよ。
はい。　あの…　何で「先生」って呼ばれっこと　嫌なんですか？
いや…　あ～　いや　いいんです。ご…　ごめんなさい。
ほら…　私　こんなんでしょ？
学校でね　先生に男なら男らしくしろって殴られた。
泥水を飲まされたこともあったわ。これで治るってね。
どうしようもないのよ。こうして生まれてきちゃったんだから。
幸い　両親は認めてくれてね海外へ　早く行かせてくれたの。もちろん　あっちでも東洋人だ

って差別を受けたわ。
だけど　あっちはね結果を出せば認めてくれるの。
死に物狂いで頑張ったわ。
す…　すごいです。先…　ミュージック　ティーチャー。
私は恵まれてた方。みんな　隠して生きてるの。
「先生」って言葉が嫌いなのは昔の　つらい記憶を思い出しちゃうからってわけ。
音さんにも言っときます。
やめて。　フフッ　辛気くさいの嫌いなの。
私は　音楽と出会って救われた。自分の存在を認められた。
あなたには　私みたいなつらい思いをしてる人たちに力を与える曲を作ってほしいの。どう？

　トライしてくれる？
はい。
ただいま戻りました。
ただいま…。
（梅）うわ～！おおっ！　おっ…。
何やっとるんですか！　不法侵入ですよ。えっ…　ごめんなさい。
えっ…　あれ？　み　み…　みんなは？
吟は　東京へ行くための買い物。ほかは軍に納品しに行った。
あ～　そう…。びっくりした～。
う…　梅ちゃん　何してんの？
姉に詩を書けと言われました。あ～　そう。
か…　書けた？
質問があります。はい。
作曲って　どうやっとるんですか？うん？　何で　そんなこと知りたいの？
質問に質問で返さないで下さい。
すいません。
う～ん　曲　作る時か…　う～ん…。
まっ　大体　何か　きっかけあったらこう　バ～ンって曲が降ってくる感じ？
うんうん…　例えば？ほら　この間　うちの父さん来たでしょ？
久しぶりに　いびき聞いたら「あ～　これだ！」っていう　そういう…。
参考になる？全くならん。
だよね。　でも　ほかに言いようないよ。
何で　そんなこと知りたいの？
ほら…　２人だけの秘密にすっから。
はあ～　１６歳！　すごいね！
うん…　１６歳で賞を取る子がいるのに私は　一度も最後まで書けたことがない。
面白くないとかありきたりだって気がして…。
裕一さん　さっき　バ～ンと降ってくるって言っとったけど　どんな感じ？
う～ん…　何か　きっかけあったら　こう一曲まるまる書くことが多いかな。
はあ…　やっぱ　そうなんだ。駄目だな～　私。
梅ちゃんね…僕　一度　音楽　諦めたことあったんだ。
えっ？
家庭の事情だったんだけど…　復帰した。
何でだと思う？
いいレコードに出会った。
フフフ…いや～　それなら　かっこいいんだけどね。
失恋。ハハハ！　うそ…　そんなこと？
うん…　いろんな人から音楽学校出ないと　プロの作曲家にはなれないって言われ続けた。
でも　今　プロになる道が…最後のチャンスが目の前に広がってる。
何で？　何で　そんな時にこんなとこにいるの？
だって…　音さんいないと曲　書けないんだ。
えっ？
ものを作るには　何かのきっかけとかつながりが必要なんだ。
ほら　梅ちゃん　今自分の中から出そうとしてっけど書けないなら　ほら…外に　目　向けて

みっといいかも。
あっ…。うん。
うん　なるほど…　参考になった。あっ　よかった。
いや～　本当にいきなり　すみませんでした。
お邪魔しました。
しっかりしとるね。　安心した。
お姉ちゃんの歌詞　書いてみる。
頑張って。
失礼します。
新しい馬具　気に入ってくれとったね。
（光子）最近　発注が少ないから品質がよくないとね。
うちがあるのは岩城さんのおかげだ。
あっ　そうだ…。
お墓参り　行かない？音の報告もしなきゃいけないし。
うん。　岩城さんは？
（岩城）あ～　仕事があるもんで　先に。
薄情だな～。
岩城さん　月命日には必ず行っとるのよ。
何か　お願いした？
えっと…　結婚が認められますようにと私も留学できますようにとうちの商売が引き続きうまく

いきますようにとお姉ちゃんにいい縁談がありますようにと梅が　もっと素直になりますように

とそれから…。
ハハッ…　多すぎ！　フフフ。
お父さん　困るわよ。
そうかな？　頼むのは　タダだよ。まあね。
さみしくなるな…。
音がいなくなると　さみしくなる。
外国行ったって　東京行ったって私の故郷は　ここしかないんだもん。
帰ってくる。　だから…。
音…　忘れないで。
お父さんも　お母さんもあなたをいつも見守ってる。
絶対に忘れないでね。
うん。
幸せになるんだよ！
約束だからね！
うん！
うん！　うん！フフフ…。
「バンジヨシスグカエレ　チチ」。
よかった！おめでとう！
演奏会　どうするの？あ～　もちろん　やって帰ります。
終わったら　音の入学試験もあるけど。
試験が優先です。　あっ　僕　先に帰っていろいろ整えておきます。
御手洗ティーチャーが　「ミーの推薦もあるし　絶対オーケーだ」って。
はあ～　しかし　本当よかったわ！あの男…。
大人だぞ～！
口だけと思っとったけど…。
フフフ…。