【キャラホラ通信4月号】『毒母の息子カフェ』刊行記念 尾道理子インタビュー
角川文庫キャラホラ通信
第5回角川文庫キャラクター小説大賞にて読者賞を受賞し、今作がデビューとなる作家・尾道理子さん。創作秘話や作品に込めた想いをうかがってきました!
――第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈読者賞〉受賞おめでとうございます! 選考では多くのモニター書店員さんから絶賛を受けました。まずは、本作が生まれたきっかけを教えてください。
尾道:あるニュースに非常に心揺さぶられるものがありまして、それをどこかに吐き出したいという衝動にかられて書いた原本のような小説がすでにありました。ですがこのままでは何かが足りないと思っていたところ、こちらの「キャラクター小説大賞」の募集を見ました。
そしてキャラクター重視のものに書き換えたら面白いかもしれない、出来るような気がするとなぜか思ってしまいました。最初にタイトルが思い浮かび、それに合わせてキャラを落とし込むような感じで時間もあまりなかったのですが、個性的なキャラが地味な作品に不思議に面白く融合してくれました。
――今作の読みどころはどこですか?
尾道:なんと言ってもどくぼの息子カフェで働く五人のキャラ同士の絡みを楽しんで頂けたらと思います。そして主人公の雅玖が母親の謎に翻弄されつつも、少しずつ成長していく姿を感じて頂けたら嬉しいです。
――特にお気に入りのキャラクターはいますか? その理由も教えてください。
尾道:カフェの五人は全員愛していますが、ここではあえて雅玖の父親の広志さんを推させて頂きます。善良で真面目な不器用おじさんです。尊いです。それからカフェで飼っている不愛想で名無しのビーグル犬も尊いです。
――今後書いていきたいものを教えてください。
尾道:今作は雅玖を主人公にしてきれいに完結していると思うのですが、できることならカフェの別のメンバーに焦点をあてたものも書いてみたいです。トップバッターは蘭丸でしょうか。ゴミ屋敷で暮らしていた蘭丸の生い立ちや、いつも強気な蘭丸が弱音を吐くシーンなども書いてみたいです。
また尾道理子と名乗らせて頂いていますが、尾道というのは広島ではとても有名な観光地であり小説の題材にあふれた素晴らしく魅力的な町です。名前にあやかって是非とも尾道を舞台にしたバディものなどを書いてみたいです。
――最後に、読者に一言メッセージをお願いします。
尾道:この小説を書くにあたって「毒母」に関する多くの資料を読みました。非常に深刻なものから私自身にも当てはまるのではと思うものまで千差万別で、どこからが「毒母」になるのか、その線引きはとても難しいなと感じました。この小説はフィクションなのでデフォルメした表現にならざるを得ない部分もあることをお許しください。
小説に求めるものは人それぞれだと思いますが、私自身は読んだ後で気持ちが上がるものが好きです。書くものもそういう作品でありたいと思っています。この小説も重いテーマを取り扱ってはいますが、出来る限り読後はストレスフリーなものを目指して書きました。
重苦しい小説は気が滅入るから読めないという方も、読後感は暗いものではないと思いますので気楽に手に取っていただけたらと思います。そしてこの小説を読んだ誰かの心に、何かを残せたらとても嬉しいです。
▼尾道理子『毒母の息子カフェ』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321911000197/