新型コロナウイルスの感染防止策として妊婦向けに配る布マスクに汚れがあった問題で、政府が27日に初めて社名を公表した福島市の輸入会社「ユースビオ」の樋山茂社長(58)が同日取材に応じ、納入経緯に問題はなかったとの見解を示した。同社は以前はマスクを扱ったことはないが、調達分に不良品は出ていないという。

社名の公表が27日まで見送られたことについては「公表することを止めてはいない。なぜ最後まで公表されなかったのか分からない」と話した。

樋山社長によると、ベトナムに駐在員を置き、同国で調達した木質ペレットを日本などで販売。ベトナムにマスクの製造工場が多いことから、福島県議らに「同国から調達できる」と提案したところ県から発注があったという。3月上旬に県側から「調達は国一括となった」と連絡があり、経済産業省にサンプル品などを送って納入が決まったという。汚れなどの問題が発覚した4月上旬、経産省の担当者から公表への同意を尋ねられ、同意していたという。

福島県の担当者は同社へのマスクの発注を否定した。厚生労働省の担当者は、供給実績やスピードを踏まえて業者選定に至ったと説明。同社のマスクは「介護施設などに向け期限通り納品された」として、問題はなかったとの認識を示した。

樋山社長によると、マスクの納入価格は1枚約130円で、約350万枚を納入した。「インターネット上では政権との癒着があったのではないかと書かれるが、あったらもっと高い値段で売っている」と強調した。(共同)