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【ドラニュース】

「シーン…」プロ野球無観客試合は『投手の精神力』が試される ナゼ“相手の応援”ある方が投げやすいのか

2020年4月29日 12時10分

[野球ファンに届ける 本紙評論家リレーコラム]川上憲伸

 新型コロナウイルスの影響で全体練習もままならないプロ野球は、開幕する場合でも無観客ということになりそうだ。本紙評論家の川上憲伸さん(44)は自身の体験から、無観客で開催されるプロ野球は、投手にとって精神力の強さが問われることになるかもしれないと予測した。

広島との無観客オープン戦に勝利し、ベンチ前でハイタッチで喜ぶナイン=2月29日、ナゴヤドームで

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 プロ野球は無観客で開幕することを基本合意した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出自粛の昨今。メディアを通してであろうが、ファンにプロ野球を届ける意味で無観客での開幕に異論はない。

 ただ、すでにオープン戦で経験しているとはいえ、首脳陣や選手は少なからず違和感を覚えるだろう。では実際に無観客の状況は、野球のプレーそのものにどう影響を及ぼしていくのか。ボクが想定しているのは「やさしい野球」になるということだ。

 本来は、鳴り物の応援や観客からのヤジが飛び交う中で熱い戦いが繰り広げられるのがペナントレース。そんな雰囲気が一切ない以上、日常茶飯事の両軍ベンチからのヤジも、皆無に等しくなっていくだろう。そんな状況が「やさしい野球」を生む要因になるという予測だ。

 と同時に、特に投手はメンタリティーを試される機会になるのかもしれない。ボクは無観客で投げたことはないが、似た状況は何度もある。

 新人だった1998年の日米野球は日本での開催。米国の攻撃の際は静まりかえる雰囲気に、嫌な緊張感を味わった記憶がある。メジャー移籍後、ブレーブスの当時の本拠地だったターナー・フィールドのマウンドもしかり。メジャーでは鳴り物の応援などなく、ボクが打者に対してカウントを悪くすると「シーン…」と妙に静まった雰囲気が漂った。

 なぜ、静かな状況だと投手は投げにくいのか。冷静になりすぎて、置かれた状況がはっきり分かりすぎてしまう側面があるからだ。投手にとって大事な打者への闘争心を忘れ、周りが見え過ぎるというのも考えもの。敵地の甲子園や東京ドームで相手応援団の鳴り物や声援が聞こえる方が神経質になりすぎず、時には「うりゃ~」と勢いに任せて投げることもできる。

 無観客での試合は投手のメンタリティーに影響を及ぼし、如実にその差が出てくる可能性も十分あるだろう。

 

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