苦労いとわない姿勢が成長させた 八村塁NBA1巡目指名…恩師・井手口孝氏に聞く
米プロバスケットボールNBAのドラフト会議が20日(日本時間21日)、ニューヨークで開かれ、日本代表のエース八村塁(21)=米ゴンザガ大=がウィザーズから日本人初となる1巡目、全体9位で指名された。新たな歴史を刻んだ日本バスケット界の「宝」が、スター街道を歩んでいく。
八村が全米スカウトから注目されるきっかけとなったのが、1試合平均22・6得点で大会得点王を獲得した2014年8月のU-17世界選手権といわれている。そのU-17日本代表を率い、昨年末のウインターカップでは2年ぶり3度目の優勝を飾った福岡第一高の井手口孝監督(55)に、当時の様子を聞いた。
◇ ◇
僕が塁を初めて見たのは中3の夏。かわいらしくて、人を引きつける魅力のある子だった。当時は他の選手の方が目立っていて、ダッシュ練習でみんなよりちょっとだけ早くターンして「ちゃんとやれ~」といじられる役。決してハードワーカーではなかった。
ただ中3の3学期から高校入学までの成長スピードは衝撃だった。明成高の練習に参加し始めたからだろうが、バスケットマンとして一気に目覚めたんじゃないかな。すぐにチームの柱になった。
U-17では、確かに塁しか点が取れない試合もあって、米国戦は36-122。僕でさえこれほど苦しい試合はないと感じた。オフェンスリバウンドってシュートが落ちたと思って行くんだけど、彼らはシュートを打った瞬間に6本くらい手がリングに向かう。能力やスキルはもちろん、意識が違った。米国代表の孫を応援に来たおばあさんと話したけれど「ここに選ばれても将来が保証されているわけじゃない」と言っていて、米国の厳しさも感じた。その中で塁は25得点。余裕を持ってダンクシュートをする力はあったね。でも全く偉ぶらないし、ベンチではチームの盛り上げ役も担っていた。
とはいえ印象深いのは勝ちにいった13年のU-16アジア選手権。ネットもつながらないイランで、分析スタッフが準々決勝の日韓戦へ向けたモチベーションビデオを作ってくれて。WBCでのイチローや田臥、女子代表が厳しいファウルを受けながらもめげずに勝った映像を全員で見て、泣いた。日韓戦は特別な思いで戦わなきゃいけない。1つになって、残り39秒で逆転。75-71で勝利し、最終的に3位で世界選手権の切符をつかんだ。
あのアジアがあり、世界に行ったからこそ今の彼がいるのなら本当によかった。日本人らしい勤勉さや苦労をいとわない姿勢を持つからこそ、ここまで成長できたのだと思う。心技体のバランスが整った選手だし、彼らしい明るさが消えていないのもうれしい。当時から「いずれお前たちが日本を世界に連れて行くんだ」と話していたので、東京五輪を含め活躍が楽しみです。
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