家入レオ:「自分の直感を信じて生きていきたい」 新曲は前向きなロックチューン
芸能シンガー・ソングライターの家入レオさんが17日にニューシングル「Hello To The World」をリリースした。タイトル曲は、明るく前向きなアメリカンロックテイストの爽やかなナンバーで、家入さんは新たな一面を見せている。この楽曲で挑んだ、新たなチャレンジについて、話を聞いた。
――表題曲の「Hello To The World」は、SuperflyさんやChayさんなどを手掛けている、音楽プロデューサーの多保孝一(たぼ・こういち)さんを迎えて作詞作曲を共作されていますが、どういった流れで、そうなったのですか?
家入さん:アーティストは、アルバムを3枚リリースすると完全燃焼してしまうと聞いたことがあるのですが、私がまさにそういうタイプでした。加えて成人したこともあり、昨年はいくつもの節目が一気に押し寄せてきたことで、自分の未来についてすごく考える機会が多くて。そんなときに「君がくれた夏」という曲が、とても大きな反響をいただいたことが背中を押してくれて、今、私は変化する時期なんだと思いました。
「君がくれた夏」以前は、目の前の土を耕すことで精いっぱいだったのですが、「君がくれた夏」以降は、未来に向けて種まきをする時期だと思い、いろいろなトライアルを重ねていました。そうやって何人かと引き合わせていただいた中で、多保さんとフィーリングが合ったので、一緒にギターを弾きながら作っていった形です。
――多保さんと一緒にギターを弾きながらセッションして、その過程で生まれた曲とのことですが。
家入さん:ライブで盛り上がるロックチューンを作りたいということだけお伝えして、それ以上はなんのアイデアもなく、真っ白の状態で。多保さんが思いついたコードを弾いてくださって、その上に私がああいうメロディーがいいとか、こういうメロディーはどうだろうか、と。現場でお互いにアイデアを出しながら、それを積み重ねていった形です。
多保さんの自宅スタジオにお伺いさせていただいたのですが、多保さんが所有するポッキーのパッケージの形をしたエレキギターがあって。私はそれをお借りして弾いていたのですが、すごく楽しくて。そういう楽しさや明るさも、この曲に反映されたと思います。
――多保さんとフィーリングが合ったというのは、具体的にはどういう部分が合ったのですか。
家入さん:最初にいろいろお話をして、共通点がたくさん見つかったのもあったし、一番は制作の進め方ですね。ノリで作らない、ノリでリリースしない、ちゃんと構築する、しっかり分析する、出たら出っぱなしのメロディーを使わないなど。ここまで合う方は、出会ったことがなかったので。
――セッションというと、ノリで作る感覚もあるように感じますが。
家入さん:盛り上がると、そうなってしまいがちです。でも、私たちの場合は、それを何度も聴き返しながらやっていきます。自分から生まれたメロディーはどれも可愛いので、壊したくないんですけれど、そこはしっかり冷静な耳を持つというか……。なので、「HelloTo The World」の原曲は1、2時間でできたのですが、そこからのブラッシュアップにかける時間がとても長かったです。
でも、ブラッシュアップしていくと考えすぎてしまって、かえって難しい音階になってしまったりするんですね。そういうときは最初に返って、やっぱり元のメロディーがいいとなったりもするし。1回ぐるっと回らないとダメで。そういう時間を、いとわずに共有できたという点でも、多保さんとはすごく合ったと思います。
――「Hello To The World」というタイトルには、どんな気持ちを込めて?
家入さん:17歳でデビューして、最初はすごく怖かった。たくさんの人が動いて、たくさんの制作費がかかるし、そういう大きなものが動いている中で、この流れに自分が乗り切れなかったらどうしようという不安が常にありました。だから、どうしても誰かを頼りにしたり、どこかで誰かに依存しているところがあったと思います。でも、その人が言ったことを聞いていれば、未来は安泰だなんてことはないわけです。どこにいても誰といても不安が消えないのなら、自分の直感を信じて生きていきたいと思いました。
世界はいつも同じで変わってくれなくて、変わるのは自分自身の方なのだと思ったとき、世界がとても新しく見えて、そこで「Hello To The World」というタイトルが浮かびました。すべては自分の気持ち次第です。もし暗闇の中にいたとして、それがずっと続く暗闇だと思うのか、夜明け前の暗闇だと思うのか、自分次第で未来は違って見えてきます。
歌詞は、原曲ができたとき、今のこの変わりたいという気持ちを素直に書いたほうがいいんだと思って、その場でリアルタイムな気持ちをストンと書けました。もちろん語呂的なもので、言葉が出てこないということはありましたけれど、書きたいことは明確だったので、苦労みたいなものはありませんでした。
――「君がくれた夏」などミディアムナンバーやバラードが高評価を得ていたわけですが、そこからあえて明るいアッパーチューンを出す。新しい自分を出すことに対して、恐怖や不安はなかったんでしょうか。
家入さん:それはなかったです。結果がすべてではないし、目先の結果ばかりを追い求めると、使い捨てのルーティーンに入ってしまう。自分がずっと長く歌っていくためには、ここでフックになる曲をリリースしたいと思いました。これからの季節は、出会いと別れの時期ですから、聴いてくださる皆さんの経験と重ねて聴いていただいて、皆さん自身の曲になったらいいなと思います。
――今年は家入さんにとって、変化の年になりそうですね。
家入さん:自分で自分の道を切り開く……。変わるというより、新しい自分を探しにいく年にします。いい意味での、覚悟ができています。完璧でなくても、間違えて転んでも、そのたびにきっと得るものがあるはずだと思っていますので!
(取材・文・撮影:榑林史章)
<プロフィル>
1994年12月13日生まれ、福岡県出身。15歳のときに作った「サブリナ」で2012年にデビュー。2015年は月9ドラマ「恋仲」の主題歌で10枚目のシングル「君がくれた夏」が、数多くのチャートで1位を獲得するなどヒット。新曲「Hello To The World」のカップリングに収録されている「オバケのなみだ」は、NHK「みんなのうた」2016年2~3月度で放送されている。9月には「家入レオ 5th ワンマンTour 2016」を開催する。