ちょうど家にいる期間が多い時期、本を読みたいという方も多いのではないでしょうか。
そういうニーズを狙ってか、電子書籍ストアでは本の大規模セールが行われています。
そんなセール対象の中から魅力的なライト文芸作品を幾つか紹介したいと思います。
『青の数学』の作者のデビュー作。
デビュー作らしからぬ凄まじい完成度で選考会にて大絶賛されるも「ラノベらしくない」という理由でライト文芸として刊行された経緯があります。
勝てば出世の道が開けるボードゲームをテーマにした中華ファンタジーですが、ライト文芸の中華ファンタジーとは若干毛色が異なり、後宮は登場せずゲームでの成り上がりがメインの作品です。
濃密な展開と衝撃のラストは初めて読んだとき「これが新人の作品なのか!」と驚愕させられました。
ミステリ界隈で知名度を上げつつある人気ライト文芸作家・斜線堂有紀唯一のシリーズもの。
タイトルのとおり、映画にまつわる事件を映画に詳しいイケメンが解決するというライト文芸の王道を往く内容……に思えますが、実態は猟奇殺人が取り上げられるハードな展開。
とはいえ、コミカルな面もしっかりありますし斜線堂作品の特徴である「同性同士の巨大感情」も描かれているので、『私が大好きな小説家を殺すまで』や『恋に至る病』で入った読者にも是非読んでいただきたいシリーズです。
カルト的人気を誇るエロゲライターの唯一のライト文芸。
「互いの感覚を共有してしまう」少年少女の交流を描く、と聞くと最近のライト文芸の流行りのようですが、そこは唐辺葉介なのでエログロ満載。
奇病をめぐる大人達の思惑が絡み、これでもかと詰め込まれる鬱展開の末に紡ぎ出される二人の決断にはグッとくるものがあります。
終盤はかなりSF要素に踏み込んでおり、野崎まど作品やガンダムOO劇場版なんかを連想させられます。
ファイナルファンタジーの二次創作小説であるFFSなどで知られるアルファツイッタラーによる異世界バトルものの書籍化。
書籍化にあたって大幅な加筆訂正や新キャラの登場が盛り込まれており、円居挽・青崎有吾といったミステリ界隈をも魅了しています。
超絶な力を持ったチート能力者(修羅)同士のバトルを描く内容ですが、ファンタジー版『喧嘩稼業』と呼ばれる通り、裏で進む政治劇や陰謀などが絡んできて一筋縄ではいかない展開が繰り広げられます。
書籍ではまだ本筋であるバトルまで到達していませんが、修羅の魅力的な描かれ方もあって十分に読み応えある本となっています。
時を遡れるウラシマトンネルをめぐるひと夏のジュブナイル冒険譚。
ざっくり言えば『君の名は』みたいな感じの万人受けしやすい内容なのですが、特筆すべき点は非常に生々しくねっとりとしたクソ田舎毒親描写でしょう。
クソ田舎毒親描写が好みの方は絶対に読んでほしい、というか避けては通れない作品であるのでクソ田舎毒親描写不足に陥ったら是非手に取ってみてください。