シャルティアになったモモンガ様が魔法学院に入学したり建国したりする話【帝国編】   作:ほとばしるメロン果汁

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注意:同日同時刻2話連続投稿の1話目です

前回との答え合わせ回


『モモンガ様の登校風景』

「まるで羞恥プレイだ……」

「は? ブラッドフォールン様、何か仰いましたか?」

「いえ、何も」

 

 朝の帝都、城を出発して数十分ほど――

皇帝の住まう城から放射線状に延びた通りを帝国魔法学院の方へ向けて歩く一行。国の重要施設が集中した地区に学院はあるため、そこへ向かうということは相応の身分の者達が生活の拠点にする場所へ足を踏み入れることになる。

 

(昨日はジルクニフが用意してくれた馬車だったからな……街中で姿を出すとこうなるか……)

 

 フワフワと小さく上下に揺れる視界で辺りを見回す。

庶民気質を持つモモンガでも流石に慣れはじめた周囲からの視線。最初にこの帝都を西門から入った時は、多くの人間――おそらくほとんどが平民と呼ばれる者達――の騒がしいほどの熱気渦巻く生活の様子が馬車の窓越しに見て取れた。だがこの地区は少々違うようだった。

 勿論みすぼらしいという訳ではない。幅の広いゴミ一つない整然とした通り、建物は綺麗で住宅の庭は様々な植物で鮮やかに彩られており、ここに住んでいると思われる住人達はその身分に相応しい服飾に身を包んでいる。見るからに高級店というたたずまいの店には客の入りこそ少ないものの、その分彩られた装飾が気品と優雅さを醸し出し、店自体の位の高さを表していた。

 

 帝都の一等地、要するに経済的にも身分的にも相応の選ばれた者達しか住めない区画を、周囲の視線を存分に集めながら一行は進んでいた。

 

 そしてその中心と言ってもいいモモンガは、涼しい仮面の裏でかなり畏縮している。

 

(いや、大丈夫だ。元の鈴木悟であれば全部が奇異の視線だっただろうが、今の俺の姿ならむしろ似合ってる……ハズだよな?)

 

「ブラッドフォールン様のお姿はもちろん、やはりみなハムスケ殿の姿にも驚いていますね。立派な魔獣といことはひと目でわかりますから」

「いやー、照れるでござるよ」

(社交辞令じゃ……無いんだよなぁ)

 

 今朝モモンガは相変わらず顔色の悪いジルクニフから許可を貰い、ハムスケに騎乗――といってもただ上にチョコンと乗っているだけだが――しながら学院へ向かっていた。周囲には馬に乗った護衛の騎士が数人と四騎士であるニンブル、透明化したレイナースも当然同行している。

 そしてその中央にハムスケに乗ったモモンガが、その姿を周囲に見せつけるように帝都の街中を進んでいた。ハムスケに乗っている理由はただ一つ。羞恥プレイ――ではなく、帝都に着いてから食っちゃ寝生活を続けるハムスケに、少しでも仕事らしい仕事をして貰おうというモモンガの切なる願いのためだ。ジルクニフは笑顔で気にしないでいいと言ってくれたが、城で怠惰な生活をするハムスケを見ていると、まるで周囲から『ペット同様、いいご身分ですね』などと言われている気がして内心ビクビクしてしまう。なのでせめて毎朝の通学くらいはジルクニフの用意してくれる馬車ではなく、これからはハムスケに乗って行こうと考えていた。

 

 ただ、覚悟はしていたが周囲からはざわめきが消え、見入るような無数の視線を注がれていた。

 

(ニンブルの言う通り、ハムスケに驚いてる人間も多いな)

 

 今のニンブルを含めて、ハムスケに対する見た目の評価はモモンガと周囲で大きく異なる。

モモンガにとっては所詮大きいだけの可愛らしいハムスターなのだが、周囲からは立派な魔獣やら強大な力を感じるやら、ハムスター然としたクリっとした目に英知を感じてしまうなどと言われてしまう。一言で言えば羨望の眼差しだ、ハムスターなのに。正直今でもその事に違和感というか、世界差のギャップを感じてしまうが、聞き流せる程度には諦めがついていた。

 

(……あれ? そうなると今の俺は、高級車を乗り回して学院に向かう嫌な生徒とかに見えてしまうんじゃないか?)

 

 ニンブルの言葉からなんとなく考えてしまった事に、内心で冷や汗が流れそうになる。

仮にそうだとすれば不味いのではないか? 昨日はジルクニフのお陰でなんとか及第点くらいの印象を周りに与えられたと思っていたが、その次の日にいきなり高級車(ハムスケ)で正門に乗り付けたら学院の生徒達にマイナス印象を与えてしまうのではないか? ハムスケをただのペット程度に考えていたモモンガにとって、意外な落とし穴だった。

 

(いやいや、ハムスターが高級車扱いとかは流石に無いだろ。せいぜい軽自動車くらいだのハズ)

 

「ん? 姫様、何か考え事でござるか?」

「……褒められたからと言って調子に乗らない」

 

 爪を立てないように注意しつつ、上からハムスケの頭を指で軽くグリグリ押しこむ。

「ご、ごめんなさいでござるよ~」と歩く姿勢はそのままに、瞳を潤ませながら涙声をあげるハムスケ。

 

(確か餡ころもっちもちさんは、ちゃんと反省したら撫でてやるのがいいと言っていたっけ? 犬とハムスターという違いはあるけど)

 

 指を押し込んだ部分を含めてその周囲を優しくなでる。

動物園の飼育員をイメージした優しい手つきだ。

 

「反省したならいい。ハムスケはもう少し謙虚になりなさい」

「えへへ……しょ、承知したでござるよ」

 

 ――その瞬間舌打ちのような高い音が背後から聞こえた気がした。

 

 撫でていた頭、もといハムスケの全体がビクリと震えだし、乗っていたモモンガの体も僅かに左右に揺れる。

 

「どうしたの?」

「その、少し殺気のようなものを感じたのでござるが……気のせいかもしれないでござる」

「そう? ……念のため注意しておくか」

 

 走りながら器用に顔を左右に動かすハムスケ。

当然周囲にはハンゾウが警戒網を敷いており、今のところ敵対的な存在は見られない。だがこういった野生の勘はバカにもできない時もある。小さく呟くと事前に決めていた簡単な合図を出し、ハンゾウと透明化しているレイナースに警戒を強めるように念を押す。伝言(メッセージ)でも問題は無かったが、周囲の騎士達に余計な不安を与えることもないとの考えだった。

 

 それが済むと隣を歩く馬、その馬上に腰かけているニンブルに話しかける。

 

「ところでお聞きしたいことがあるのですが」

「はッ! 何でしょうか、ブラッドフォールン様」

 

 走ってはいないとはいえ馬に乗りながら体を横に向け、器用に礼の姿勢をするニンブル。

モモンガとしてはジルクニフと最近は良い感じに仲良くなってきたのだから、その部下であるニンブルともそれなりの友好関係になろうと思っていたが、どうにもこうして話しかけたときの相手の反応は固い。というかニンブルに限らず、ジルクニフの周囲にいる者達からはこういう反応が返ってくるのが常であった。

 

(うーむ、やっぱりまだ短い付き合いだし、警戒されてるんだろうか?)

 

 最初は不審に思いはしたが、彼らは言ってみればボディーガードのような仕事をしている。

主人と友人になったからと言って、会ってまだ数日の人間と親しくすることなど仕事柄できないのだろう。こればかりは時間をかけて仲良くなっていくしかないな~と思いつつ、その一環として学院に関する話題を振る事にした。

 

「ニンブルさんは学院の昇級試験はご存知ですか?」

「は、はい!」

 

 元々フールーダの記憶を覗いた際に知ってはいたが、今朝ジルクニフに聞いた事をコミュニケーションがてらニンブルに確認してみる。試験内容とその規模、実施日、ジルクニフ本人から聞いた試験を行う真の狙い、それらにニンブルはよどみなく答えていき、モモンガを感心させた。そして最後にはなぜかニンブルからも、ジエット・テスタニアの名前が出てきて「その少年と一緒に参加されてはどうでしょうか?」と提案されてしまった。

 

(……なんでニンブルも?)

 

 曖昧な返事を返しつつ、内心でモモンガは首を傾げてしまう。

今朝のジルクニフとの会話でもジエットの名前が出てきて、彼と一緒に昇級試験を受けるように勧められた。疑問に思い理由を聞いてみると、昨日の食堂の件でジエットの事をジルクニフ自身が気に入ったそうだ。もちろんモモンガは成績も出席日数も免除されているので、不参加でも問題は無いとは言われたが。

 ただモモンガとしても不参加というのは外聞が悪い気がするし、人脈を作るという点を考えればマイナス要素だと思っている。全員が苦労している外で、ゆっくり休んでいる者に良い感情を向ける人間はいない。

 

 なのでモモンガとしては参加するつもりだし、言われなくてもジエットの所属する班に入れてもらおうとほぼ決めていた。というよりも――

 

(それくらいしかアテがないんだよなぁ……)

 

 今だともうメンバーが決まっていない方が珍しい時期だそうだ。

そんな時に外部から来た転校生が知らないクラスメイトに『ちょっとメンバーに入れてくれない?』と、聞くのはかなりハードルが高い。しかもクラスメイト達とは初日に一言も話せなかった。唯一話せたのは隣の席のジエットくらいである。同級生であればネメルとディモイヤを含むが、フリアーネは上級生なのでメンバーになり得ない。

 メンバーに入れてもらうにしても、声を掛けるのはもう少し仲良くなってからの方がいいだろう。親交を深めていない内に一度断られてしまえば、再度お願いしても承諾される可能性は低い。そして期限までにどこのメンバーにも入ることが出来なければ通常の生徒であれば留年だそうだ。モモンガには適応されないだろうが、そうなってしまえば周りの反応はかなり冷ややかなものになる事は容易に想像できる。影口の一つや二つ言われるかもしれない。

 

(そうならないためにも、まず挨拶からだな。一日の最初に挨拶がロクにできなければ会社で浮いてしまうのは当然だし)

 

 ――教室に入ると同時にどう挨拶したのもかと考え始めたその時、先行していたハンゾウから学院正門での異常を知らせるメッセージ(伝言)が届いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「あれはいったい……」

(ほんと、何なんだろうね……)

 

 ニンブルが漏らした一言に、モモンガも思わず頷いてしまう。

 

 学院の近く、数人の制服を着た生徒が周囲に見え始めたころ、一行は学院の正門が見える通りまで到着していた。もちろん――内と外という意味で――警護としてついてきたニンブルたちの役目は正門までとなるが、その正門前に並ぶ騎士の姿に一行の歩みが鈍る。

 

「やはり陛下のおっしゃった通り、学院長は既に――」

 

 すぐ隣の馬上で強張った表情のまま僅かに納得の声を漏らすニンブル。

ハンゾウの事前報告で驚きはなかったモモンガは、今まで見た騎士達と微妙に違う全身鎧(フル・プレート)の姿を目にして小首を傾げていた。そのモモンガの反応を目にしてか、ニンブルが慌てて説明を始める。

 

「その……あれは学院長の騎士達のようです、おそらく出迎えではないかと……」

「へぇ~?」

 

 ――何で?

 

 身に覚えがない。いや、あると言えばあるがそうであって欲しくない。

 

(いや、待て、落ち着け。俺が知らないだけで、別の狙いがあるのかもしれないじゃないか)

 

 それをどうやって確かめるのか、一徹してもモモンガの貧弱な脳みそでは答えが出なかった。

ジルクニフに丸投げする事も考えたが、ヘロヘロさんのように皇帝の仕事に黙殺されている彼に頼むのは忍びない。とはいえそれ以外の方法は今この瞬間もサッパリ思いつかない。内心ではどうしようどうしようと頭を捻りつつ、表向き涼しい顔でハムスケに乗ったままやがて正門前に辿り着く。

 

 門の前に立っていた騎士達が最敬礼の姿勢を取り、学院長が出迎えのためか前に進み出てくる。

その背後の正門のさらに向こう側には多数の生徒達がいた。その中にジエットとネメルがいる事、そして脅威となりそうな人間はいない事は把握しているが、当然ハンゾウ達の警戒を解いてはいない。

 

 この世界に来て最早慣れつつある長いスカートを抑え、ハムスケから飛び降り学院長の前に立った。

 

「おはようございます、シャルティア・ブラッドフォールン様」

(うわぁ、なんでこんな丁寧なんだろう……)

 

 降り立った瞬間に気持ち悪いほど口の裂けた笑みを浮かべた後、学院長は頭を深く下げた。

その一連の相手の態度に警戒感に加えて若干の嫌悪感を覚え、一瞬硬直してしまう。昨日の第一印象は好々爺だったが、今は悪い意味で半回転してしまった。

 硬直した体をゆっくり下げ「おはようございます、学院長先生」と、引き攣りそうな顔を隠しながら営業スマイルを張り付けて挨拶を返す。

 

フールーダ(アレ)と似た感じになってる気がする……)

 

 硬直しながらも挨拶を返せたのはアレの経験があったからだろう、感謝の念は全く湧き出してこないが。

 

「それでは姫様、予定通り夕方の鐘が鳴った時にまたお迎えにはせ参じるでござる!」

「……え、えぇ」

「では失礼いたします! ブラッドフォールン様」

 

 事前に伝えた通り、ニンブルたち一行には早々に帰ってもらう。

ハムスケを見て生徒達がどんな反応をするか、初日はそれを見るだけで十分だ。少しでも悪い印象を抱く生徒がいれば、何か別の仕事をハムスケに割り振らなければならない。今は全く思いつかないので、できればこのまま送迎車代わりのポジションに就いて欲しいと願ってはいるが。

 

 モモンガは軽く手を上げ、学院長はニンブルたちにも深く頭を下げて一行を見送る。

 

「それで学院長先生、これは一体?」

 

 ある程度一行が離れると、モモンガは周囲を見渡してごく当たり前な疑問を口にする。

正門に集まった騎士達、何事かと集まってこちらを注視する生徒達、さらに正門で待っていた学院長、転入二日目のモモンガでも普段と違う様相であることくらいはわかる。

 

(まさか学院長自らが音頭をとって、『挨拶運動』とかしてるんじゃない……よな?)

 

 会社ではいざやってみてもそういった習慣はなかなか根付かない、と管理職の友人に愚痴混じりに聞いた覚えがある。とはいえここは会社ではなく学び舎、さらには別の世界である。ペロロンチーノが持つ学園物なんちゃらでも生徒会が挨拶運動のために、朝の正門に立って挨拶運動しているシーンもあった、気がする。

 若干の期待を込めて聞いた質問だったが、相手からの回答は違うものだった。

 

「はいっ! ここにいるみなはブラッドフォールン様の偉大さに敬服と尊敬の念を抱き、またそのお美しさに憧れて自然と集まった者達かと」

「……自然と?」

「はい、私自身も恥かしながらその一人なのですが……無論ブラッドフォールン様が煩わしいのであれば、今からでも解散させますが?」

「そ、そう。問題は無い、かな」

 

 その返答に『ははーん』とモモンガは内心で納得の声を漏らす。

要はアレである。モモンガとジルクニフの繋がりから何か有益なコネクション、つまり逆にモモンガと人脈を持ちたい者達。そして外見の美しさから純粋に憧れた者達が今ここに集まっているという事だ。

 『ジルクニフという存在』と『シャルティアの外見』に惹かれたという、中身であるモモンガにとってはやや複雑な結果な気もするが、要は大企業の社長令嬢みたいなものだろう。

 

(前者については持ちつ持たれつ、と言う奴ならむしろ望むところだな。でも俺と繋がりを持っても、何かジルクニフにお願いとかできるわけじゃないと思うんだが、いいのかな?)

「では、ブラッドフォールン様。こちらへどうぞ」

「あ、はい」

 

 学院長に導かれるまま校舎へ向かう。

当然集まった生徒達の視線はそのまま歩くモモンガを追って来ていた。学院長の言っていた憧れて待っていた者達というのも嘘ではないのだろう。何人か顔を赤くして、ちょっと怖いくらいキラキラした目でこちらを見ている者もいた。ちなみに男女問わずである。

 そういった視線を意識した訳ではないが、胸を反らし、できるだけ女王様っぽく優雅に歩いていく。評判を意識してのものだが、それ以上に友人の娘的な気持ちを持つこの体で不作法な真似はできないという気持ちの方が強い。隣を歩く学院長の明らかなゴマすりの会話にも、できるだけ無難な返答を返していく。

 

(これはひょっとすると、良い方向に進んでいるんじゃないか? この注目の中、好印象を抱きそうな事をすれば周りの評価が上がりそうな気がする)

 

 とはいえ何をすればいいのか、という問題がある。

片手を上げて手でも振ろうかと思ったが、反応がなかった場合が怖い。だが無視してこのまま校舎に入ってしまっては、お高くとまった転校生などと噂されてしまうのではないか? どちらかと言えばそっちの方が不安だった。

 

(よし、何もしないというのはなしだな……)

 

 一応は朝の登校風景、できれば親しみのあるアピールを込めた挨拶をしたい。

それでいてイメージを損なわない物を必死に考える。何かヒントを探そうと周囲を見渡して――ジエットとその幼馴染であるネメルを確認した時、昨日の食堂へ向かっていた廊下での光景を思い出す。

 あの時はとにかく同行者が欲しかったという情けない理由だったが上手くいった。それなら今回もいけるのではないか? 僅かな不安を胸に校舎に向かっていた歩く方向を少しずらす。

 

 目的の二人を見定め、周囲の空気がざわりと揺らぐのを感じた。

あの時もこんな感じだったなぁと思いながらあえて無視して生徒達の壁に近づき、その前で立ち止まる。

 

 周囲の視線が集まる中、好印象を持ってもらう事に全神経を集中する。

できるだけ優し気な視線を周囲へ向け、できるだけ軽く柔らかい声を意識する。

 

「みなさん、おはようございます」

「オッ……オハヨウゴザイマス」

「通して頂けますか?」

 

 かなり棒読みだったが視界に映る全員が一糸乱れぬ挨拶を返してきた事に、内心で「やったー」と喜びの感情が湧き出す。丸く空いていた全員の口が全く同じ動きをしており、まるで無数の仮面が機械的な動きをしていたようだったのが少し気持ち悪かったが。そして同じ仮面を被ったモモンガの発した言葉を理解すると同時に一斉に生徒の壁が開き、群衆に紛れていたジエットとネメルの姿が露わになる。

 

「お二人とも、おはようございます」

 

 さきほどよりもさらに優し気な表情を意識して声をかける。

 

「おッ! おはようございます」

 

 ガバリと音がするほど勢いよく頭を下げるネメル。

その姿にイイ感じだと内心で満足気に頷く。ちょっと友人に対しては過剰というか、頭を下げる前に熱狂的なアイドルファンのような視線を向けてきた気がするが。

 

「ジエット君?」

「え、あ……お、おはようございます」

「……少し顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」

 

 そしてその隣、まるで今朝のジルクニフと同じような顔色をするジエットに、思わず心配げな声が漏れ出てしまった。


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