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三重

「私たち傷ついた」デマで客激減し休業 松阪の中華料理店

営業を続けていた当時、がらんとした店で席を消毒する陳さん(手前)=松阪市の中国菜館明華で

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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、松阪市の中華料理店「中国菜館明華」は今月上旬、店名を名指しされて「感染者が出た」と会員制交流サイト(SNS)でデマを流され、客が激減した。経過と店のその後を取材した。

 デマは、店長で中国籍の楊明さん(47)が六日に取引先の酒屋に事実かどうかを尋ねられて知った。内容は「コロナが出た」「店の周りは気をつけた方が良い」などというものだった。

 店は八年前から妻の陳小燕さん(46)と二人で切り盛りしてきた。昼時には三十~四十人の客があったが、六日以降は十人前後に減り、団体予約のキャンセルも相次いだ。SNSを見た人からの電話も鳴り続け、二人はつたない日本語での対応に追われた。

 相談を受けた市は二日後にデマに関し注意喚起。その後、店を応援しようと訪れる人もいて営業を続けたが、外出自粛が求められる中、客足は戻らず二十日から休業している。営業妨害として被害届を出すか松阪署と相談を続けている。

 楊さんは「応援の言葉をかけてくれる人もいて、日本人の心は温かいなと思った。ありがたい」と感謝した上で、デマの発信者や拡散者に対して「私たちは傷ついたし、市民の不安をあおった。デマは絶対に流してほしくない」と呼び掛けている。

 (清水悠莉子)

 

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