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中国・新型肺炎で旅行停止 静岡県内関係者、打撃懸念

(2020/1/27 07:50)
マスク姿の利用者が行き交う国際線到着口付近=26日午後、静岡空港
マスク姿の利用者が行き交う国際線到着口付近=26日午後、静岡空港

 中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎拡大で、中国から海外への団体旅行が27日から停止される見通しとなったことを受け、中国の春節(旧正月)期間に来日する観光客の取り込みを期待する静岡県内の観光、商業施設の関係者からは26日、客足や売り上げの落ち込みを不安視する声が上がった。
 「かなりの打撃があると考えている」。免税商品を扱う静岡市葵区のドラッグストア「マツモトキヨシ呉服町店」の店長(46)は頭を抱えた。30日までの春節期間に合わせて中国人客向けに品ぞろえを強化し、準備を整えていただけに、「大幅な売り上げの減少にならなければいいが」と心配する。
 中国人団体客の宿泊も多い伊東市のホテルの男性担当者は重症急性呼吸器症候群(SARS)が世界に広がった2003年当時を思い起こし、「収束まで長期化しないことを願いたい」と語った。2月10日から河津町で始まる「河津桜まつり」会場に近い東伊豆町の旅館の男性役員は「日本人が旅行を控えることにもつながるかもしれない」と懸念した。
 一方、「爆買い」に象徴された団体旅行ブームは既に沈静化し、「影響は限定的」との見方も。熱海市観光協会の担当者は「近年は中国からの訪日客も団体から個人にシフトしてきている」と指摘する。御殿場市でレジャー・宿泊施設「御殿場高原時之栖」を運営する時之栖の担当者は、中国人客の割合は低いとしながら、「長引けば多少の影響は出る」と推移を見守る構えだ。
 26日、静岡空港には上海や杭州などからの便が到着した。ターミナルビルを行き交う利用客のほとんどがマスクを着用し、警戒する様子が見られた。家族とともに駐在先の上海から帰国した浜松市の男性会社員(40)は「一時帰国というより“避難”。現地で特に混乱はないものの、幼稚園や日本人学校の休校が決まるなど影響が出てきた。感染拡大が心配」と話した。

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