安旨ウイスキーの第一弾として、サントリーのトリスクラシックをピックアップします。
元々トリスのブランドは、サントリーの前身である鳥井商店が手がける輸入食材や日用品のブランドでしたが、第二次世界大戦後は、このウイスキーのブランドとして専ら使われるようになりました。
戦後間もない頃は経済が混乱し、闇市などにはメタノールが混入した密造酒も流れていて、それを飲んだことで死に至る、あるいは失明する障害を来す事が多く、それらは「バクダン」「カストリ」と言われていました。
その中で寿屋(現:サントリー)創業者の鳥井信治郎は、モルト原酒5%未満の三級ウイスキーとしてトリスを発売しました。
今から見ればウイスキーと言うには名ばかりの物ではあったものの、密造酒が横行していた当時においては安心して飲めるお酒として人気を得るようになりました。
その後、1960年代まで庶民、サラリーマンのお酒として定番となり、全国の街中にはトリスウイスキーを使ったハイボール「トリハイ」などを扱うトリスバーが広がっていきました。
2000年代末からハイボールが居酒屋などの人気のお酒となりましたが、70年前には最初のブームが訪れていたのです。
1958年には、榊原良平が描いた「アンクルトリス」がトリスのキャラクターとして誕生し、2020年の現在でも現役として宣伝を行っています。
しかし1970年代からは国民の生活水準も上がり、サントリーのウイスキーも角瓶、オールド、リザーブなどが飲まれていくと、トリスは安くて粗末なお酒とみなされ、存在感を落としていきました。
2000年代に入ってデフレが進んでいくと、生活水準が再び下がり、徐々にトリスが脚光を浴びるようになりました。
2003年には久しぶりの新作、トリススクエアを発売、2009年に角ハイボールブームで角瓶の原酒が不足すると、アルコール度数40度のトリスエクストラを発売、トリハイ、トリスのハイボールが居酒屋などで見られるようになりました。
そして2015年に、今回取り上げるトリスクラシックが発売されました。
当時NHKで朝の連続テレビ小説として、山崎蒸溜所の建設にも関わった竹鶴政孝をモデルにした「マッサン」が放送。人々がウイスキーそのものへ注目する中で、従来のトリスよりも香りや味わいを見直してロックなどでも楽しめるブレンドへと改められました。
では、それぞれの飲み方でレビューしていきます。
続いて、ダークチョコを思わせる香ばしい香りが続き、あとからバニラも感じられます。
味わいとしては、アルコールからの辛みはそれなりにありますが、ほろ苦さを多少感じつつも甘みが全体に広がる印象です。
1000円未満のウイスキーだと、アルコールが強くピリピリして飲めた物ではないものが多いですが、意外にトリスクラシックはまろやかな方と言えます。
慣れていない方は水などをチェイサーとして用意した方がいいです。
反面ダークチョコの香ばしさは薄くなり、バニラの甘い香りが目立つようになります。
味わいについては、アルコールからの辛みは消えて、甘さが大半を占めるようになります。その奥からはフルーツを思わせる酸味、柑橘系の苦みが甘さにアクセントを加えていきます。
味わいにおいては、アルコールからの辛みは消えて、甘みが中心となり、そこに軽い渋み、酸味が加わってきます。
しかし、1:3まで割ってしまうと、香りや味わいはかなり飛んでしまいます。ほんのりとキャラメルやバニラの甘い香りや樽からのウッディな香り、煙を感じられればいい方でしょう。
味わいにおいては、炭酸の刺激による酸味があるものの、その後には甘い香りが広がっていきます。
食事に添えるにも申し分なく、少々甘めの「トリハイ」が楽しめると思います。
家計が苦しくてもうまい酒を飲みたい、という人にとっては、常備しておけるウイスキーだと思います。
元祖「安いうまい」ウイスキー
トリスウイスキーは、サントリーが1946年に発売しました。元々トリスのブランドは、サントリーの前身である鳥井商店が手がける輸入食材や日用品のブランドでしたが、第二次世界大戦後は、このウイスキーのブランドとして専ら使われるようになりました。
戦後間もない頃は経済が混乱し、闇市などにはメタノールが混入した密造酒も流れていて、それを飲んだことで死に至る、あるいは失明する障害を来す事が多く、それらは「バクダン」「カストリ」と言われていました。
その中で寿屋(現:サントリー)創業者の鳥井信治郎は、モルト原酒5%未満の三級ウイスキーとしてトリスを発売しました。
今から見ればウイスキーと言うには名ばかりの物ではあったものの、密造酒が横行していた当時においては安心して飲めるお酒として人気を得るようになりました。
その後、1960年代まで庶民、サラリーマンのお酒として定番となり、全国の街中にはトリスウイスキーを使ったハイボール「トリハイ」などを扱うトリスバーが広がっていきました。
2000年代末からハイボールが居酒屋などの人気のお酒となりましたが、70年前には最初のブームが訪れていたのです。
1958年には、榊原良平が描いた「アンクルトリス」がトリスのキャラクターとして誕生し、2020年の現在でも現役として宣伝を行っています。
しかし1970年代からは国民の生活水準も上がり、サントリーのウイスキーも角瓶、オールド、リザーブなどが飲まれていくと、トリスは安くて粗末なお酒とみなされ、存在感を落としていきました。
2000年代に入ってデフレが進んでいくと、生活水準が再び下がり、徐々にトリスが脚光を浴びるようになりました。
2003年には久しぶりの新作、トリススクエアを発売、2009年に角ハイボールブームで角瓶の原酒が不足すると、アルコール度数40度のトリスエクストラを発売、トリハイ、トリスのハイボールが居酒屋などで見られるようになりました。
そして2015年に、今回取り上げるトリスクラシックが発売されました。
当時NHKで朝の連続テレビ小説として、山崎蒸溜所の建設にも関わった竹鶴政孝をモデルにした「マッサン」が放送。人々がウイスキーそのものへ注目する中で、従来のトリスよりも香りや味わいを見直してロックなどでも楽しめるブレンドへと改められました。
では、それぞれの飲み方でレビューしていきます。
ストレート
グラスに注いだ瞬間はアルコールならではの刺激が主体ですが、口に含むと、青リンゴとマスカットのライトなフルーツの香りが口に広がります。続いて、ダークチョコを思わせる香ばしい香りが続き、あとからバニラも感じられます。
味わいとしては、アルコールからの辛みはそれなりにありますが、ほろ苦さを多少感じつつも甘みが全体に広がる印象です。
1000円未満のウイスキーだと、アルコールが強くピリピリして飲めた物ではないものが多いですが、意外にトリスクラシックはまろやかな方と言えます。
慣れていない方は水などをチェイサーとして用意した方がいいです。
ロック
ライムなどの柑橘系の爽やかな香りが揮発して、フレッシュな印象が強くなります。また、燻製を思わせるスモーキーさも多少顔を出してきます。反面ダークチョコの香ばしさは薄くなり、バニラの甘い香りが目立つようになります。
味わいについては、アルコールからの辛みは消えて、甘さが大半を占めるようになります。その奥からはフルーツを思わせる酸味、柑橘系の苦みが甘さにアクセントを加えていきます。
水割り
まずトゥワイスアップ(1:1)で割ると、キャラメルを思わせる香ばしさを伴った甘い香りが広がります。その奥からは青リンゴ、マスカットの爽やかさも追いかけてくるように感じ取れます。味わいにおいては、アルコールからの辛みは消えて、甘みが中心となり、そこに軽い渋み、酸味が加わってきます。
しかし、1:3まで割ってしまうと、香りや味わいはかなり飛んでしまいます。ほんのりとキャラメルやバニラの甘い香りや樽からのウッディな香り、煙を感じられればいい方でしょう。
ハイボール
1:3の濃いめのハイボール(アルコール度数:9.25%)にすると、水割り同様にキャラメルやバニラの甘い香りが前に出てきます。青リンゴやマスカットの香りが、それらを添えるように感じられる印象です。味わいにおいては、炭酸の刺激による酸味があるものの、その後には甘い香りが広がっていきます。
食事に添えるにも申し分なく、少々甘めの「トリハイ」が楽しめると思います。
総評
私自身も、過去にスクエア、ブラック、エクストラを飲みましたが、クラシックは従来の熟成焼酎に毛が生えた程度のレベルを大きく超えて、ストレートやロックでもいただけるくらいに晩酌用として十分申し分ない出来になっています。家計が苦しくてもうまい酒を飲みたい、という人にとっては、常備しておけるウイスキーだと思います。
- メーカー:サントリー
- 容量:700mL
- アルコール度数:37度
- 香り:ストレートで青リンゴ、マスカットの爽やかさからカカオ、バニラの芳醇な香りへ続く。
- 味わい:全体的に甘みが目立つ。ストレートでは辛さは少なく、加水されると苦み、酸味が目立ってくる。
- ストレート B: アルコールの刺激が少なく、比較的まろやかに飲める。
- ロック B: 柑橘系の爽やかな香りが加わり、フレッシュな印象になる。
- 水割り D: 1:3よりも薄いと、香りが消えてしまう。
- ハイボール C: 甘い香り、味わいが目立つハイボールになる。