安全管理の不備浮き彫り 福井のコースター事故

2013/5/8付

福井県坂井市の遊園地「ワンダーランド」のジェットコースターから福井市の小学1年男児(6)が転落し重傷を負った事故で、男児の落下防止ベルトを締めた男性係員が「ベルトが緩かったかもしれない」と話していることが、8日までの県警への取材で分かった。事故は発生から1週間を過ぎ、ずさんな安全管理体制が事故を招いた疑いが浮上している。

県警によると、事故は4月30日午前11時15分ごろ発生。2人乗りジェットコースターの前の席から男児が約4メートル下の地面に落下。腹部を強打して肝臓の20%が挫滅し、肋骨を折る大けがをした。

後部座席に男児の姉(9)が乗ったカートは乗降口に到着。姉はベルトを装着したまますり抜けて座席から降りてしまった。目撃した男性係員は「ベルトが緩かったかもしれない」と話しており、そもそもベルトが落下防止の機能を果たしていなかった疑いがある。

前の座席は腰回りに掛けるベルトで、後部座席は肩から腰にたすき掛けするベルト。走行中も取り外しが可能で、事故後、消防が到着したときは、前の座席のベルトは外れた状態だったという。

同じコースターでは1997~2007年、保育園児の転落事故などが発生。県警は今回、事故の翌日に業務上過失傷害容疑で、同園を経営する関山観光(同県あわら市)を家宅捜索した。県警の調べでは、男児が落下したとみられるカーブ付近でベルトがないと投げ出されるほどの力が乗客にかかる可能性があることが分かった。

また、男児は利用制限の身長110センチを超えていたが、同乗者が必要な120センチ以下。男性係員は「姉は130センチあり同乗者として大丈夫だと思った」と説明した。県警は、園側の職員への安全面での指導が不十分だったことが、係員の判断に影響した可能性もあるとみている。〔共同〕

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