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上伊那で外国人81人解雇 派遣会社8社、仕事急減で通知

 上伊那地方の外国人非正規労働者の少なくとも81人が今月、派遣会社から解雇通知されたことが25日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で雇用を維持できなくなったためという。この動きはさらに広がるとみられており、日本語が苦手な当事者への公的支援の周知が急がれる。

 信濃毎日新聞が上伊那地方の派遣会社20社に取材。うち8社が法に基づき、解雇日1カ月前に当たる今月初旬〜下旬に計81人に通知していた。国籍はブラジル、中国、フィリピン、タイ、ペルーなど。解雇日までは雇用維持の努力義務が法で定められているが、急激に仕事が減ってそれも困難な状況とし、雇用調整助成金を申請して休業手当に充てるという会社もある。

 部品加工業の業務を請負う派遣会社は、メーカーの生産停止に伴う受注減で12人を解雇する。別の派遣会社は派遣先の欧米向け部品輸出が滞って42人を解雇予定。6人を解雇予定の派遣会社は「大型連休明けには派遣を打ち切る外国人がさらに増える可能性がある」としている。

 他に取材した6社は解雇していないとし、6社からは25日時点で返答がなかった。

 伊那公共職業安定所(伊那市)は、これら解雇通知された外国人非正規労働者は把握していないとし、今後、離職証明書の提出の際に任意で聞き取りたいとしている。

 厚生労働省外国人雇用対策課によると、リーマン・ショック直後の2008年10月からの半年間で解雇された外国人非正規労働者は全国約5600人(見込み含む)。政府が翌年4月から行った日系人帰国支援事業で、県内では1345人が帰国した。

 「終息が見通せない新型コロナの打撃はあの時以上」と話すのは、当時、上伊那で外国人支援に携わった伊那市の小池美樹ルシアさん(50)。12年間でより多国籍になっているとし、「行政は易しい日本語で外国人が受けられる支援を案内する必要がある」と指摘。「マイノリティーの人権が尊重されるかどうか、非常時にこそ試されている」と話している。

(4月26日)

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