Crude Oil(CL)の先物5月限が大暴落して、史上初のマイナス40ドルという値を付けたことに関してあちこちで解説、評論が出ていますが、経済評論家の「上念司氏」もそのうちの一人。
私は彼に一目も二目も置いているし、鋭い分析もあると思っているんですが、今回の「石油の暴落」に関してはおかしいなぁと。
彼は「自分でも買っている」として、3日で半分になったと言っています。そして今後も買い続けるつもりだと。
でも彼は「どの石油関連商品を買っているのか」は言わないのね。でも限月をまたがって買っているようなことを言うから、NYのCrude Oil(CL)だと思うわけです。大暴落したのはCLの5月限ですから。
私は他にどんな石油関連商品があるのかも知らないし、それらが「同じ様に暴落したのか」も知らない。ただそんなにいろいろ無い。石油の価格に連動しているものも少ないという程度はわかっています。でも彼の話からはNYのCrude Oil先物のことを言っているように思えます。
本当に彼が持っていたとしたら、たった1枚の先物で、【含み損は一瞬で6万ドルになったはず】で、3日で半分になったどころじゃないでしょう。値が戻って半分になったというのなら間違いはない。そして値が20数ドルだったCL5月限に、1枚に付き6万ドル以上の「口座残高」があったとは思えない。ストップロスを入れていれば全く問題がないですが、彼はそれには一切言及しない。
上念司氏って「私も経営者です」なんてわかったようなことをいつも言うし、「ただの経済評論家ではない」というのをアピールしたいのはわかるのですが、話に誇張があるのは間違いがない。
今回の件で、彼の信用度が私の中で崩壊したような気がしました。でも一般的には「彼も自ら投資をして頑張ってる実践者なんだ。凄い」なんて思うファンもいるんじゃないかと。
そもそも「保管料が」って話は4月21日にならないとわからなかったわけがないじゃないですか。需要は低迷し備蓄がごっそりあって新規に石油を入れるタンクがないのが4月21日にわかった?
こういう馬鹿げた説明を信じる人がいるんですかね。でもメディアも同じ様な説明をしている。
だから私は「狩りが行われた」としか思えないわけです。終値が-40ではなくて、その後、50ドルも戻しているんですから。
Crude Oil (CL) May 15分足。
腹が立ったので、彼の動画に以下のコメントを入れました。
「保管ができない」というのが4月21日までわからなかったってことですか?それってあまりもアホ過ぎませんかね。この大きな下げは「値上がり期待で買いに入っている大量の素人を【狩る】動き」だと思っています。これだけ下がれば強制ロスカットに合う人も多く、成行売りが重なってマイナス40ドルになったというのが正解でしょう。実際にその後、値は10ドルまで戻っているんですから、保管が・・という理屈は「狩るためのストーリー」であるのがわかります。仕手株で「買い残が増えている時に大量の売りをぶつけて投げ売りをさせる」のと同じ。
そもそも、上念さんは「自分も買っている」とおっしゃいますが、いったいどこの何を買っているんでしょうか。お話からすると「3日で半額になった」と虎ノ門でも仰ってますからNYのCrude Oil(CL)5月限のようですが、20ドルちょっとからマイナス40ドルまでなったということは、最終的に10ドルに戻ったにしてもたった1枚の「含み損が6万ドル」になったわけで、20ドルの値の先物に、それも証拠金が1万ドル程度のものに6万ドル以上の軍資金を用意する人は常識的にはいない。値が0になっても2万ドルの損にしかならず、まさか史上初の「マイナス」なんて誰も想定していなかったはず。
上念さんはごっそり軍資金を入れていたんですかね。また2-3万ドルの利益を目論んでいて、最大6万ドルもの評価損を抱えた時によくそれを保持し続けようと思いましたね。ストップロスの逆指値も入れていなかった?いくら買った値が安いにしても、それじゃあまりにもやることが初心者過ぎませんかね。ストップロスも入れていない、損切りもしていないんですから。そして目標利益の3倍にも達する評価損を受け入れたなんて・・。
皆さん、どう思われます?
私はなにか勘違いしているのかなぁ・・・・
Sumiyo Egawa says
だぼさん
こちらの動画をご覧ください。Deep Maxというサイトですが、中国関連の情報を地道に集めて登録者数を伸ばしています。主に台湾、大陸彼の情報がベースですが、この動画のようにブルームバーグのような記事にも目を通しています。
原油先物サブゼロ価格
dabo_gc says
Sumiyo Egawaさん、いらっしゃいませ。コメントを有難うございます。
ご紹介の「妙佛 DEEP MAX」ですが、私も必ず見ていますし、非常に有用だとこのブログで紹介したこともあります。
今回の話ですが、「石油の連動商品」がいろいろあったのがこの2,3日に報道されていますね。韓国にも似たようなものがあって、韓国での被害も1000億円を超えるような記事もありましたね。
でもやっぱり彼は、この世界に「狩り」があるのはご存じないようですね。仕手株の攻防戦も同様ですが、石油業界のプロ達はそういう金融商品があること、それの弱点を知った上で21日に仕掛けたと私は思っています。そもそも「下落の発端」ですが「石油を保管する場所、タンクがない」ということになっていますが、それが「21日まで問題にならなかった」ところに注目するべきで、こんなことは常識的にありえないんですね。
何千億円という大きな損失を出した一般投資家がいるということは、その金を「儲けた人達がいる」ところに注目しないと。
中国や韓国のその手の金融商品の仕組みを私は知りませんが、【正規の証券取引所で売買されているのではない】多くのFXやCFDと同じ【相対取引】だとすれば、「一般投資家が買う」ということは「売り方はその会社」になりますから、その会社を含めた業界のプロが結束して仕掛けたのかもしれない。ロールオーバーの期日が21日以前のその手の金融商品は問題なく【乗り換え】が行われたわけですが、21日の物に関しては、「狩れる」のがわかっていたはず。先物とは違って「必ず反対売買をしなければならない【差金決済】なのはわかっている」わけですから、【買い方はいつか必ず売る】わけで、先物市場で価格を下げれば、市場とそういうCFDの様なものは【価格を連動させる】様に出来ている(会社が勝手に決めるだけ)わけで、【自ら暴落を仕掛ければ】その手の金融商品の売り方は莫大な利益を得られるのが事前にわかる。
その金融商品に売りが殺到しても売買が成立しなければ、「先物でヘッジ」をしようとする人も増えるはずで、そういう人たちが先物で大量の売り注文を出して、下げに拍車がかかったのかもですね。ただ、そもそも先物を売買できる状態の人がなぜそういう金融商品に手を出すのか、私にはわからない。中国や韓国のことですから、少ない資金で大きなレバレッジが掛けられる商品であったろうことは想像できますし、また「スマホでクリック3回で買える」ような非常に簡単に売買できるシステムであったような報道も見ますし、それこそ「ビットコインで儲けよう」と考えるレベルの初心者がごっそり参入したのだろうと想像しています。
もしかしたら、あえてそういう「狩ることができる商品設計」さえ、中国人はやるような気さえします。
先物は先物で、まさかマイナスになることを想定していなデイトレーダーが「0を付けた時に買いに入った」人も多いようで、簡単に彼らも踏まされた。
どちらにしてもこれは「自然に起きたことではない」と私は見ています。「狩れば数百~数千億円の金が動く」ことを知っているハイエナ達が黙ってみているわけがない。
またそもそも「石油」の特殊性があって、昔から言われていることは「産油国、メジャー」は【石油そのものの売買だけではなくて、先物で莫大な金を儲けている】ってこと。自分たちの「談話」「発表」で石油価格がどう動くのか知っているわけですから、「事前に仕込んでおく」ことによって膨大な利益が出る。当然これはインサイダー取引になるわけですが、蛇の道は蛇で、我々一般が考える「善良な人々が市場に参加している」という幻想は捨てるべきですね。
日本の株式市場だって昔からそうだったじゃないですか。証券会社が「キャンペーンを張る」時には【事前に仕込んでいる】のが当たり前に言われていたし、特に「値を動かすのが比較的簡単な商品市場」では「新規顧客獲得キャンペーン」のときには「儲けが出るように価格を操作する」なんてのは普通に行われていた。
これらのことは、「光と影」の影の部分で、業界人も表立ってそれを言うことは絶対にありませんが、ある意味、【常識】だと思ったほうが良い部分もあるし、そういう業界に長いハイエナたちは、「いかに合法的にカモから儲けるか」常に考えていると思ったほうが良いんじゃないですかね。
報道も同じで、私が特に目立つと思うのは「ビットコイン関係」で、定期的に【買いチャンスが来た】というニュースが流れる。でも調べてみると全くそんな動きはなく、でも「大げさに言えばそうとも言える」動きでしか無く、「買おうかなぁ・・」なんて思っている素人はそのニュースで釣られる。
でもそういうのに釣られない、狩られない方法っていくらでもあるわけで、【儲けばかり考えていると負ける】というのはそういうことでもあるんですね。
中村康夫 says
上念さんがどうも投資があまりうまくないらしいことはわかりました。評論家なので、まあ仕方ないと思います。損をしたとして、評論家としての収入で補填するということでしょう。
それはそれとして、投資巧者のダボさんがどのように(どの限月を買って、とか)原油先物長期投資(あるいは短期売買)で利益を上げているか(あるいは、損失を最小限に食い止めているか)を書いていただけると読者の参考になると思います。
売買の証拠を出していただけるとなお嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
dabo_gc says
中村康夫さん、いらっしゃいませ。コメントを有難うございます。
上念氏が投資が下手かどうかは私は全く知りません。彼は下手なんですか?ただ、正直じゃないなと思っただけです。損失がどうのというのも関係ありません。「彼が言うようにもしCL5月限を買っていたなら、辻褄が合わない」というだけのことです。
「お前も偉そうなことを言うなら、証拠を見せろ」ということですが、このブログを初めて10年以上経ちますが、私は売買譜を出したことは殆どありません。また銘柄の推奨をしたり、買いだ売りだというタイミングの話もしたことがありません。そういうことを知りたいのなら、そういうサイトはいくらでもありますからそちらへどうぞということを貫いてきました。
なぜかといえば、ほとんどの読者が興味があるのは「実はそこだけ」であるというのがわかっているから。
私が書いてきたのは、「相場との付き合い方」とか「心理的なもの」、それプラス基本的な手法、チャートの話で、「今、どうしたら儲かるか」の話は書いたことはほとんどありません。今回の「石油に注力する」というようなことも過去には書いたことがないくらいです。
中村さんは昔からの読者ではないのだろうと思いますが、「(あるいは短期売買)で利益を上げているか(あるいは、損失を最小限に食い止めているか)を書いていただけると読者の参考になると思います。」に関してはかなり多く書いています。今回の5月限の大暴落に巻き込まれない方法はこのブログの読者ならみなさん理解しているはずですし。
売買の証拠、「そこまでいうなら、お前の財布の中身を見せてみろ」ってことでしょうが、残念ながらそれもしていません。
ここは中村さんが望むようなブログではないのです。
このブログを通して、財を成したトレーダーとも知り合い、夜を徹して話し合ったことは何度もありますし、それもここに書いていますが、実は「お互いの手の内はさらさない」のが暗黙の了解で、また聞いてもわからないんですよ。でもせめて売買譜をみたいということもわかりますが、それは「パンツの中身を見せろ」というのと同じ意味。そしてそれを見ても、「なぜそういう売買をするのかの【理由】はわからない」のね。
>売買の証拠を出していただけるとなお嬉しいです。
これは「お前が嘘つきかどうか、それを調べさせろ」という意味でしか無く、このブログの読者とはそういう関係ではないのです。
このブログでは、他のサイトとは違って、実際の売買から離れて「勝つ理由、負ける理由」を皆で考える。どういうやり方が【自分にあうのか】とかそういうことに主眼を置いています。そしてそれが大事なときはどういう時かという「実例」は出しています。
トレーダーは付き合いが出来ていますと、パンツを脱いでもらわなくても「中身の想像」は十分できるものなのはおわかりですよね。これは多分、大手のディーラーたちも同じで、机が隣同士の仲間の手の内はきっと教え合うことはないんじゃないですかね。でもどの程度儲けているのか損をしているのか、どんなポジションを持っているのかは詳しいことを聞かなくても大体わかるはず。
くれぐれも間違えないでいただきたいのは、私は上念氏はトレードが下手だとは一度も書いたことがありません。そもそも下手かどうかも知りません。損をどうしたのか気にしたこともありません。ただ話の中から「実話ではないだろう」と思ったわけで、また「狩り」のこともご存知ないようで、我々のようなトレードを生業としているものからすれば、「非常に不自然に見える」というだけのこと。
Crude Oliですが、どういう限月を選ぶべきかは「自分で考えてください」と私は書きました。これって「どの銘柄をいくらで買えば良いのかは自分で考えてください」というのと全く同じで、「先物のことはよくわかりません」というような人たちには「触らないほうが良い」という意味でもあるのもこのブログの読者はわかるはずです。
実は私はパソコン通信時代からトレードの情報交換をしていて、当時はブログではなくて掲示板でしたが、話の中心は「今は買いか、売りか、どのタイミングで出撃するか、逃げるか」のようなことばかり書いていたんですよ。こういうことを書くと掲示板は大盛況になるのですが、「まともに勉強しようと言う人はいなくなる」のがわかった。ですから、それから20年以上たった今、そういうブログにはせずに、「今、目先の損益より大事なことを考える」ようにしているわけです。
でもこのブログの歴史を知らない方にはそれもご理解いただけ無いでしょうし、「大事なことは書いていないから読んでも意味がない」と感じれば、自ずとこのブログの読者にはならないはずで、そういう「イージーマネーを追う、あるいは結論を急ぐトレーダー」相手のブログではないのをわかってくれたほうが私は嬉しいくらいです。
もし実際に石油に投資するなら、限月をどう選ぶべきかとか、そういう専門的な情報サイトはあるはずで、そういうところを見たほうが早いはず。また私が選んだ限月を書くなら、なぜそう選んだかの説明が対にならないとこういうブログは成り立たないのですが、その説明は簡単ではないわけです。読者には全く先物には興味がない人から初心者、セミプロまで読者の中にはいるわけで、私は中途半端なことを書くなら書かないほうが良いと思うくらい。また「具体的な売買を書くと、理解もせずに真似をする人が多く出てくるのがこういうブログの常」で私はそれを避けるべきで、「自分の頭で考え、自分の足で立つ」というのをこのブログのメインにしています。
実は「XXXXに関して教えて下さい」という人が後をたたないんですよ。私はその人がどういうトレードをするのかもわからないし、書きようがないんですね。だから「まずは自分で調べて、実際にやってみて、具体的にどうしても理解できないところがあったら、その時、質問してください」と答えています。
偉そうなことを書いた私に、「お前はなんぼのもんじゃ?」と思う気持ちはよくわかりますが、それに対する答えはここにはありません。
また私は自分を「投資巧者のダボさん」なんて思ったこともないし、そのようなことを書いた覚えもありません。自分にあった手法を見つけるまで何十年も掛かり、その範疇で冒険をすること無く細々とやっていることしか書いたことはないつもりです。それどころか自分の欠点もここにさらけ出すし、出来ないこと、理解できないことも多くあることを書いています。
ただし、あまりにも初心者的なやり方、考え方でやっているケースを見つけると、「こういうのは気をつけたほうが良いと思う」ようなことは書きます。特に逆張りが好きなトレーダー、損切りが出来ないトレーダー。でも何億も稼いでいるというのを知ると、初心者はその気になりますから、そういう時には注意喚起をします。
そういう意味では、上念氏のことを書いたのも「無知な初心者が近寄ると痛い目にあう」という例として良いとは思いました。上念さんは「痛い思いをした」とは一切書いていませんが、なぜ書かないのかの理由もしっかり考えることができるトレーダーであって欲しいし、世の中の情報には気をつけないとならないのもわかるはずだから。
上念氏は今後もいくつかの限月に渡って買い進めることを公言していますし、そんな話を真に受けてその気になること無く、今回の暴落で、普通なら倒産もありうることを知ることが何よりも重要だと思っています。でも上念氏はそのいちばん大事な部分を省略した。
これは多くのファンを持つ上念氏がやるべきことをやっていない、大きな問題だと思った。というだけのことです。私がどういう考えでどんな買い方をしているのかとは全く関係がないことです。