スパークスのロン・メイルが語る隔離生活「こんな時こそ音楽の重要性を実感できる」

スパークスのロン・メイル(Photo by Adela Loconte/Shutterstock)

世界中が新型コロナウイルスと闘うなか、米ローリングストーン誌はお気に入りのアーティストたちが前代未聞の状況をどのように過ごしているか知るため、自主隔離に関する質問を投げかけた。今回はスパークスのロン・メイルからの回答を紹介。バンドの最新アルバム『A Steady Drip, Drip, Drip』は、5月15日よりデジタル配信を開始する。

●スパークスの最新MVとプレイリスト



ー予想外の空き時間を自宅でどのように過ごしていますか?

ロン:最初の1〜2週間はなんだか麻痺状態だった。何かをやりすぎないようにするのが難しかったんだ。でも、もう大丈夫。作曲も始めたし、あらゆるものを覆うモヤモヤしたものを乗り越えようとしている。

毎朝、目覚めてからの5分間はずっと「起きろ、お前ならできる」と自分に言い続けている感じかな。なるべく体を動かすようにしているよ。日本製のマスクをつけて散歩に行き、帰宅したら午後は少し曲を書く。そのあとはPostmates(米フードデリバリーサービス)でオーダーした食事をとりながらCriterion Channel(米ストリーミングサービス)でかなりの本数の映画を観るんだ。

それ以外にも、世界中のハンドサニタイザー(手指消毒剤)のコレクション動画をつくったよ。自分でも理由はわからないんだけど、旅先ではかならずハンドサニタイザーを集めているんだ。現在の状況を象徴するようなことになってしまったのは残念だけどね。


ー困難な状況下では、どのような音楽に慰め・癒しを求めますか? 理由も教えてください。

ロン:さまざまなレベルで受け止められる音楽が好きだな。そこに感情がある限り。マイルス・デイヴィスなんかいいね。たったひとつの音に幅広い感情が込められているから。こういうものは本当に心に響くんだ。ヒューマンな感じでインスピレーションを与えてくれる。

ー本または映画はどうですか?

ロン:コロンビア映画のノワールものをいくつか観ているよ。こういう映画って、一種の暖かいブランケットのような存在なんだ。記者会見を観たくない気分の時に心を癒し、温めてくれる。

ロンの弟、ラッセル・メイルはスパークスの名曲「Beat The Clock」に準えたエクササイズ動画をアップ

ーいま、ファンに伝えたいことはありますか?

ロン:言葉で表現するのはすごく難しいけど、アルバムをリリースできること——インスパイアする、という言葉通りの特別な方法ではなく、もっと全体的な感じで人々に霊感を与えられる強い音楽ステイトメントを持てたこと——がすごく嬉しいんだ。私たちは人々の気分を高揚させることを目的に掲げているわけではないけれど、音楽全般は人々に深いインパクトを与えられる。だから、私からのメッセージは言葉じゃない。誰かしらに何らかの影響を与えられるようなものを提供できるよう、全力で取り組んでいるってことかな。

私たちの音楽でもいいし、好きな音楽であれば何でもいいから、音楽に熱中してみてほしい。こんな時だからこそ、音楽の重要性を改めて実感できる。

●メルヴィンズのバズ・オズボーンが語る外出自粛中の過ごし方「パニックにならずにいこう」

Translated by Shoko Natori

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メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作

メタリカのラーズ・ウルリッヒ(Photo by Gary Miller/Getty)

AC/DCの『ロック魂』からシステム・オブ・ア・ダウンの『毒性』まで、ロック界屈指のドラマーがクラシックの数々について語り尽くす。


本誌が「史上最高のメタルアルバム100枚」を選出するにあたって、編集部が真っ先に意見を求めたミュージシャンの1人が、メタリカのラーズ・ウルリッヒだった。同リストで第2位に選出された『メタル・マスター』を含む、ランクインした5枚のアルバムで共同作曲兼ドラマーとしてクレジットされている彼は、約40年にわたってメタル界のご意見番であり続けている。




数々のインタビューおよび無数の「gareage days」リリースは、彼が抜群のセンスの持ち主であることを証明している。そして同リストには、彼らが「garage days」シリーズでカバーしているダイアモンド・ヘッド、ブラック・サバス、モーターヘッド、マーシフル・フェイト等の作品も名を連ねている。つまりウルリッヒと彼のバンドメンバーたちは、何十年も語り継がれる作品を見抜くだけのセンスを備えているということだ。

アイアン・メイデンの緻密なアレンジから、ガンズ・アンド・ローゼズのハートに響くパンクスピリットまで、彼が本企画のために選出したレコードのリストは実に多様だ。「大好きなバンドの作品の中から、それぞれの代表作だと思えるものを選んだ」彼はそう話す。「これらのバンドの多くは、そのキャリアを通じて進化を遂げ続け、優れたレコードを数多く残している。ここで俺が選んだ作品の中には、アーティストのキャリアという観点から見たものもあれば、俺個人が受けた影響の大きさに基づいてるものもある」

ラーズ・ウルリッヒ自身による解説とともに、彼が選出したお気に入りのメタル&ハードロックアルバム15枚を紹介する。なお本人の要望により、掲載はアルファベット順となっている。

●「メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ最強の15作」アルバム一覧


AC/DC『Let There Be Rock』(邦題:ロック魂、1977年)


これはAC/DCの作品の中でも最もヘヴィで肉厚、そして最もエネルギッシュなアルバムだ。「ロック魂」「バッド・ボーイ・ブギー」「ホール・ロッタ・ロジー」「地獄は楽しい所だぜ」の4曲はライブの定番になってる。彼らがこれらの曲を今までに何度演奏したのか知らないけど、気が遠くなるほどの回数であることは間違いない。

言うまでもなく、これはAC/DCが『地獄のハイウェイ』で(プロデューサーの)マット・ランジと組んで、ラジオ受けする3〜4分のロックの曲っていうフォーミュラを完成させる前に残されたアルバムだ。今作における2本のギターのバランスは非の打ち所がなく、アンガスとマルコムによるギターソロとリフの嵐を存分に堪能することができる。曲の多くはどちらかのギターのリフで始まり、もう片方がオープンコードを弾くっていう展開になってる。16小節とか32小節とかを過ぎたあたりで、2本のギターが同じリフをユニゾンで弾き始めて、そこにボン(・スコット)が女やら不良やら非行やら、ちょっとアニメめいたヤバい歌で加わるんだ。各曲の冒頭にはアンプのノイズやカウントインのコール、スタジオでの会話なんかも入ってたりして、彼らと一緒にスタジオにいるような気分にさせてくれるところも魅力だ。これぞブルースをベースにしたハードロックの原点であり、問答無用の金字塔さ。

中でも「オーヴァードウズ」は、俺が一番好きなAC/DCの曲かもしれない。2本のギターが重なり合うところは、音楽史上最もヘヴィな瞬間だ。俺が知る限り、この曲がライブで演奏されたことは一度もない。俺のような筋金入りのAC/DCファンにとっては、死ぬまでに生で聴いてみたい曲のひとつのはずさ。なんでライブでやらないのか、アンガスに直接訊いてみるほどの度胸は俺にはないけどな(笑)でもアクセルが加入して以来、彼らは長く封印してた曲をライブでやったりしてる。だからアンガスじゃなく、アクセルにあの曲をやれってけしかけようと思ってる。


Translated by Masaaki Yoshida

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