瑞々しい旬の野菜を丸ごと食べる「アスパラのクミンフリット」

外出自粛で家にいる時間が長くなる最近、少しでも楽しく過ごせるように、料理はいかがでしょう? 今回の馬田草織さんのレシピは、今が旬のアスパラガス。そのうま味をまるごと楽しめる料理です。ぜひお試しください。

cakes読者のみなさま、こんにちは。

いつもと違う、この暮らし。人間にとっては100年に一度ともいえるパンデミックとの遭遇だけど、自然界は清々しいほどにいつも通り。変化の只中にいる今は、そのいつも通りが頼もしく、心の拠り所のようにも思えます。

ベランダから見下ろせる沿道の桜並木はいつの間にかすっかり葉桜に変わって、緑も日に日に濃くなってきました。部屋を換気しようと窓を開けるたびに、気持ちのいい風がすっと通り抜け、顔に受ける風の薫りで、季節が春の終盤からゆっくりと夏へ向かい始めていることを感じたり。とまあ、こんなポエムな時間もたまには必要! 風の心地よさに思わず目をつぶって、以前北海道で訪ねたアスパラ畑を思い浮かべると……元気ににょきにょき生えている、ユーモラスで力強いあのアスパラの光景、和むなあ。そうだ、今年もアスパラの季節がはじまるぞ。

こうしちゃいられない、そろそろ取り寄せねばと思っていた矢先、玄関にピンポンの音。まさに抜群のタイミングで、北海道の親戚夫婦から、瑞々しいアスパラ御一行さまがドドンと届きました。今年は春に遊びに行けなかったから、代わりにおすそ分けしてくれた北海道の旬の恵みたち。アスパラに添えられた親せき夫婦の心遣いが、なまら嬉しい。

アスパラはいつも、縦に箱詰めされてやってきます。真っ直ぐに生えるから、保存もその立っている状態が望ましい。箱はコンパクトだけど、結構ずっしりくるぞ、これ。いそいそとキッチンに運んで上部のふたをぱかっと開けると、アスパラのもしゃっとした頭が一面ぎっしり並んでいて、壮観。とれたての野菜は、いつも箱から溢れ出しそうな生命力を放っています。

ということで、今回は旬のアスパラを使ったレシピをご紹介します。先月に引き続き、大人も子どもも喜ぶ、なおかつ呑めるもの。アスパラは今までにも「アスパラのゆで卵ソース」「アスパラのリゾット」などをご紹介してきましたが、まだまだいろんなレシピで楽しめる。まずはシンプルだけど、アスパラのうま味や香りそのものを存分に味わえるフリット、揚げものからいきましょう。

あれ、揚げものは面倒? でもですね、これからご紹介するフリットはそんなたいそうなものじゃないんです。粉と炭酸水(ビールでも)で衣を作り、揚げる直前にクミンシードをぱらり。揚げるとアスパラが衣の中で蒸された状態になるから、香りもうま味もぎゅっと凝縮されます。さらに、衣に混ぜたクミンシードの香りが立って、猛烈に酒を呼びます。ご飯だってすすみます。油の量は1センチぐらいで十分。それでもちゃんとカリッと揚がりますよ。ビール片手に、気軽に揚げましょう。

ちなみに、揚げ物と言えば日本なら「天ぷら」ですが、その語源は南蛮人の置き土産、ポルトガル語と言われています。ポルトガル語のtemperar(テンペラル・味付けする)、tempero(テンペロ・調味料)などの言葉や、肉を避け、野菜や魚を食べるカトリック信者の精進日(クアトロテンポラシュ・四旬節)に、魚の揚げものが食べられていたことが元とするなど、諸説あります。

かつてポルトガル人をはじめとする南蛮人が暮らした長崎には、長崎てんぷらという郷土料理があり、衣にしっかり味がついていて、ぼってりした印象。これが、いまもポルトガルでよく見る白身魚のフリットにそっくりです。ポルトガルのフリットの特徴も、やはり素材や衣にあらかじめ味がついている。白身魚のフリットは、パンにはさんでフリットサンドとして食べられていたりします。日本でいえば、名古屋の天むす的な存在、かな。このあたりの天ぷらエピソードは、連載3回目「南蛮渡来の元祖天ぷら」に詳しくありますので、ご興味のある方は読んでみてください。

それからこれは私の経験からですが、揚げものって、揚げはじめるとついでにいろいろ揚げたくなる。せっかくなら、残り野菜も一緒に揚げちゃうと楽しいです。この時期ならそらまめもいいですね。私は薄皮を付けたまま揚げます。揚げちゃえば皮は柔らかくなるし、中の豆はぽくぽくです。野菜以外なら、年中手に入って安価なイカもいい。でもイカって油がはねるから怖いって人も多いですね。さて、どうしたら。いかのフリットについてはnoteで詳しくご紹介します。

では、パパッと作っていきましょう。

Menu do dia 本日のメニュー

「アスパラのクミンフリット」

材料(2人前)
アスパラ 4本
薄力粉 大さじ5(40g)
炭酸水またはビール 60ml
クミンシード 小さじ2
塩、揚げ油 各適量

つくり方

アスパラは下のかたい皮をむき、根元のかたい部分を切り落として長さを三等分する。揚げる前に薄力粉(分量外)をまぶしておくと、衣がはがれにくくなる。

ボウルに粉と冷えた炭酸水(またはビール)を入れ、溶き混ぜて衣を作る。ここからは、クミンシードのあるなしで衣の付け方を変えます。

まずクミンシードをまぶす場合。バットに粉をまぶしたアスパラを並べ、衣の半量をかけ、まんべんなく衣をまとわせたら上からクミンシードをふりかける。アスパラにクミンシードをのせるイメージ。こうすると、クミンシードをしっかりまとわせることができます。衣の中にクミンシードを振り入れても、アスパラに絡めたときに流れ落ちてしまうのでこの方法がおすすめ。

クミンシードなしで揚げる場合はもっと簡単。粉をまぶしたアスパラに、ボウルの衣を絡めます。

揚げ方は同じ。フライパンに1センチ分の油を入れて170℃に温め(衣を落としたら途中まで沈み、すぐ浮き上がるぐらい)、アスパラを入れる。一度にたくさん入れると油の温度が一気に下がり、衣がからっと上がらないので、必ず2~3本ずつ。30秒ほど揚げたら返し、全部で1分ぐらいが目安(写真のアスパラと太さが違う場合は調整してください)。揚げる時間も大事なので、慣れないうちは計ったほうがいい。油が減ったらその都度足し、温度を確認しながら揚げる。バットなどに油落ちがいいように縦に並べ、さらに油を切る。

器に盛り完成。仕上げに塩をふり、好みでレモンを添えて。

さてさて、一緒に何を飲みましょう。このところ家飲みの機会が増えてきたので、初めてでも気軽に飲めるおすすめポルトガルワインを、改めてご紹介していきたいと思います。

今回フリットと合わせたのは、ポルトガル北部のミーニョ地方で作られている緑のワイン、ヴィーニョヴェルデ。その中でも、ポルトガルを旅すると大抵のレストランで見かけることのできる、庶民のお墨付きともいえる軽やかなヴィーニョヴェルデです。もちろんシュワシュワの微発砲。アルコール度数も12.5と軽めで飲みやすく、食中酒に最適です。

「ムラーリャス・デ・モンサオン2018」1540円(税込)

高貴品種のアルヴァリーニョ85%使用ながら価格は抑えめ。酸が心地よく、柑橘の香りも広がる食事が進む1本。アスパラなどの野菜の青い香りやうま味が引き立ちます。

それでは、ジューシー&スパイシーなアスパラフリットと、微発砲ヴィーニョヴェルデの白で、良い週末を!



馬田草織さんのnoteはこちらです!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    ITter_77 こんなの食べなくても美味しいのわかる。 約1時間前 replyretweetfavorite

    boraccho これ美味しそう! オージャスたっぷり。 約7時間前 replyretweetfavorite