女性の病気

不妊症

不妊症とは、妊娠を望んでいる男女が1年間定期的に性交渉をしたにもかかわらず、妊娠が起こらない状態のことです。WHOが1998年に発表した結果によると、不妊は女性のみに問題がある場合が41%、男性だけに問題があるケースが24%、男女どちらとも原因があるケースが24%、不明が11%となっています。これだけ見ると女性が原因のケースが多いように見えますが、これはあくまでも不妊治療をした方を対象にした調査です。妊娠できない原因を検査する男性の数は女性よりも少ないため、潜在的な男性患者は数倍にも上るのではないかと推測されています。

不妊症の特徴

現在、日本では5組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれています。しかも、年々その数は増え続けているのです。また、何らかの不妊治療を受けている方は男女合わせて約50万人と推測されています。また、男女ともに全く生殖機能に問題がないのに妊娠しないというカップルも決して珍しくありません。

不妊症の原因

一口に不妊症といっても原因はさまざまです。子宮内膜症や子宮筋腫・卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)といった病気の他、加齢・ストレスなどが原因と考えられています。30を超えると女性の妊娠力が下がることはよく知られていますが、男性も年を取ると精子の動きが鈍くなり妊娠しづらくなるのです。また、治療を受ける際は、不妊治療自体がストレスにならないように注意が必要です。

不妊症治療について

不妊治療というと、前述した人工授精や体外受精といった人の手で精子と卵子を結びつける治療がイメージされがちですが、それはあくまでも数ある不妊治療の一つにすぎません。妊娠しやすい体作りをすることや妊娠のタイミングを計ることも不妊治療に含まれます。

月経前症候群

月経前症候群(PMS)は、月経10日前~3日前になると心身ともにさまざまな不調が現れ、月経開始と共に治まる症状の総称です。便秘・腰痛・頭痛・下腹部痛といった身体症状だけでなくイライラや気分の落ち込みなど精神的な症状も現れます。月経前症候群の原因はストレスや生活習慣の乱れ・自律神経の乱れなどがあり、発症年齢も10代後半~40代半ばまでとさまざまです。中でも、30代は結婚や育児などでライフスタイルが大きく変わる方が多く、ストレスも溜(た)まりやすいため月経前症候群を発症しやすくなります。

月経前症候群の原因

月経前症候群の原因は、女性ホルモンの変化です。女性は月経が始まるとエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が増えます。それと共に、28日単位で体温が微妙に変化するようになるのです。高温期や低温期といった言葉を聞いたことのある方もいるでしょう。月経が終わって7日間ほどすると、体温が一時的に0.3~0.5度ほど下がります。この時に排卵が行われ、エストロゲンというホルモンの分泌量が増すのです。排卵日から4日ほどすると受精できなかった卵子が死に、エストロゲンの分泌量も減っていきます。これと入れ替わるようにプロゲステロンの分泌量が増えるのです。プロゲステロンが増えるにつれ、精神や身体の不調が現れます。つまり、月経がある女性ならばだれもが月経前症候群を発症する可能性があるのです。

月経前症候群の診断方法

月経前症候群で受診する際には、基礎体温表を持参すると診察がスムーズです。基礎体温表と症状の現れ方を照らし合わせて月経前症候群かどうかを判断します。

月経困難症

月経困難症は、月経中に現れるさまざまな症状が日常生活に支障をきたすほど強い場合に用いられる症状名です。多くの女性が月経の際に下腹部痛や頭痛・吐き気・イライラなど不快な症状に悩まされています。このような症状をまとめて月経痛と呼ぶのですが、月経困難症になるとこの月経痛がとてもひどくなり、朝起きることができなかったり学校や会社に行けなくなったりするのです。日本産婦人科学会の調査では月経困難症は10代後半~20代前半に多く、約35%の方に月経困難症が認められているといわれています。一般的に月経困難症は年齢が上がるにつれて軽くなることが多いのですが、30代・40代になっても月経困難症で苦しんでいる方も少なくありません。

月経困難症の原因や症状

月経困難症は、機能性(原発性)月経困難症と器質性(続発性)月経困難症の2種類があります。

器質性(即発性)月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が原因で発症します。治療すれば症状が和らぐケースがほとんどです。

一方、機能性(原発性)月経困難症はプロスタグランジンというホルモンに似た働きをする物質が原因で起こります。プロスタグランジンは月経中に子宮内膜で作られ、痛みをはじめとする不快感の元になるものです。月経困難症の方はこのプロスタグランジンの分泌が多いため、不快感や痛みも強くなります。プロスタグランジンは子宮や卵巣が未熟だと分泌過剰になりがちです。ですから、月経困難症は月経が安定してくる10代後半~20代前半の方に起きやすく、子宮や卵巣が成熟していくにつれて症状が落ちついてきます。

子宮や卵巣の未成熟以外では、冷えやストレスもプロスタグランジン過多の原因です。そのため、仕事や育児で忙しくストレスが溜(た)まって月経困難症を発症する方もいいます。

月経困難症の診断方法

月経困難症の診断は血液検査・尿検査・超音波検査・CT検査などが行われます。原因を明確にし、一人一人に合わせた治療をすすめていくことが大切です。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍です。子宮に発症する病気の中では最も患者数が多い病気で、米粒ほどの小さな腫瘍もすべて含めると、女性の4人に1人は子宮筋腫を持っているといわれています。子宮筋腫は女性ホルモンに依存して大きくなるタイプの腫瘍です。そのため、月経がある女性の子宮筋腫は時間が経(た)つにつれて大きくなり、閉経を迎えると大部分は栄養源を絶たれ縮小していきます。

子宮筋腫の原因

子宮筋腫の原因は、医学的にははっきりと特定されていません。女性ホルモンが発生と筋腫の成長に深くかかわっていることははっきりしているのですが、どのようなきっかけで筋腫が発症するのかは正確には分からないままです。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫には、子宮の内側に向かって成長する「粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)」、子宮の外側に向かって成長する「しょう膜下筋腫」、筋肉の中で発達する「筋層内筋腫」の3種類があります。

粘膜下筋腫は子宮の内側を圧迫するために生理痛がひどくなったり経血の量が増えたりといった自覚症状が出やすいのですが、残りの2つは筋腫が小さいうちはほとんど自覚症状がありません。しょう膜下筋腫の場合は、まれにですが筋腫が1kg~2kgにまで成長することがあり、腹部の圧迫感で病気に気がつくというケースもあります。

子宮筋腫は発生した部位によっては強い生理痛の原因となります。ひどい場合は日常生活も困難になるでしょう。こうなると、月経困難症とも診断されます。子宮筋腫が大きくなくても、月経困難症を引き起こす場合には治療が必要です。

子宮筋腫の診断方法

子宮筋腫の検査は、産婦人科で超音波検査やMRI検査をすればすぐに分かります。デリケートな部分を診せる触診はほとんどありません。ですから、未婚の方も安心して検査を受けてください。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にしかないはずの子宮内膜という細胞が、下腹部を中心として体のさまざまなところに発生してしまう病気です。10代後半~閉経までの女性に発症する病気で、女性全体の数%~数10%は発症しているのではないかと考えられています。

子宮内膜というのは、胎児のベッドとなる細胞です。毎月女性ホルモンであるエストロゲンの働きによって増殖し、妊娠の準備を調えます。妊娠しない場合は、エストロゲンが減少することによって子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外へ生理として排出されるのです。子宮内以外に子宮内膜ができてしまうと生理が起きるたびに出血や炎症・剥離を引き起こします。そのため、激しい生理痛や出血量の増加・性交痛などの症状が現れるのです。

子宮内膜症の原因

子宮内膜症がなぜ発症するのかは、正確には分かっていません。ただ、子宮内膜症の患者数は増加傾向にあり、女性のライフスタイルの変化と密接にかかわっていると考えられます。昔の女性は10代後半~20代前半に結婚し、子どもを複数産むことが当たり前でした。そのため、エストロゲンの分泌量も少なく、子宮内膜症が発生しにくかったのです。現在の女性は昔よりも初潮が早くなり、しかも初産の年齢が上がっています。そのため、40~50年前に20代~40代だった女性に比べると生涯に起こる生理の回数は格段の多くなり、エストロゲンの分泌量も増えているのです。これによって、子宮内膜症が発症するリスクも高くなっていると考えられています。

子宮内膜症の症状

生理のとき、一番分厚い夜用のナプキンが1時間以内に漏れが出るほどの量が出たり、痛み止めを飲まないと起きあがることすらできなかったりという場合は、子宮内膜症の可能性があります。決して珍しい病気ではありませんし、妊娠・出産を望む場合は早めの治療をするに越したことはありません。

子宮内膜症が進行していくと不妊の原因になったり卵巣がん発症のリスクが高まったりします。また、つらい生理痛や多量の経血は日常生活に支障を来すこともあるでしょう。

子宮内膜症の診断方法

子宮内膜症は内診やエコー検査・MRIなどを行えば進行具合や病巣の位置などがすぐに分かります。CTやMRIは体の外から機械を当てる検査なので、デリケートな部分を診せる必要はありません。

さまざまな治療を受けたにもかかわらず
病気が改善しない方へ

根本から病気を治すためには、正しい原因を突き止めることが不可欠です。アタナハクリニックでは、インテグレートヒーリング(IH)と呼ばれる手法を用いて、体と心の状態を読み取っていきます。病気になった本当の原因を知ることで、病気を根本から改善することができるのです。詳細は、インテグレートヒーリングのページをご覧ください。

当クリニックの治療について