精神神経疾患

摂食障害

摂食障害は病的な過食や拒食をくり返す病気です。拒食症・過食症などと別々の病名が付けられることもありますが、それらをひとまとめにして摂食障害といいます。10代後半~20代前半の若い女性に発症することが多い病気で、適切な治療が受けられないと30代・40代になっても正常な食事ができなくなるケースもあるのです。

摂食障害の種類について

摂食障害は大きく分けて3つの種類があります。1つ目は太ることへの恐怖心から食事できなくなってしまう拒食症です。10代後半~20代に発症しやすく、多くの場合、ダイエットが引き金になって発症します。太ることへの不安から、体重が20キロ~30キロ台になっても安心することができません。体重が落ちることに安心感を覚えるため、点滴などでカロリーを補給しようとすると激しく抵抗することもあるでしょう。重症になると体が食べ物を受け付けなくなり、低体重が原因で死に至ることもあります。

2つ目は過食症です。これは拒食症とは反対に食欲のコントロールができなくなる病気で、異様な量の食物を食べてしまいます。当然体重は増加するため、それを恐れるあまり食べたものを吐き出す過食嘔吐になる方も珍しくありません。過食症になると経済的な負担も相当なものになります。拒食症から過食症に移行する方もおり、短期間で体重の増減を繰り返すので体への負担も大変なものです。

3つ目は、過食と嘔吐を繰り返すというものです。過食をしては嘔吐するため、目に見えて太ったり痩せたりということはありません。一見すると摂食障害には見えませんが、胃腸に負担がかかることによって健康を害してしまいます。

摂食障害の原因

摂食障害は、長い間肥満恐怖や自己肯定感の低さからくる心の病だと考えられてきました。現代でもそのような理由で拒食症を発症する方もたくさんいます。しかし、心理的な要因以外でもホルモンバランスの乱れや機能性低血糖症を発症しても食欲のコントロールができなくなることが分かってきました。そのため、治療方法にも幅が出てきています。

摂食障害の合併症

摂食障害が長引くと、拒食症の場合は貧血・肝機能障害・月経不順・免疫力低下などの合併症が現れることも珍しくありません。過食症の場合は、逆流性食道炎などになりやすくなり、胃酸によって歯がダメージを受けることもあります。急激な体重の増加によって糖尿病や高血圧などを発症することもあるでしょう。また、拒食・過食どちらとも抑うつ状態やイライラ・不眠といった精神的な症状の原因となります。

うつ病

うつ病は誰もが発症する可能性のある心の病気です。日常生活の何もやる気が起きず元気を失ってしまう病気というイメージがありますが、それは症状の一つでしかありません。睡眠障害・摂食障害・情緒障害(イライラする)などの症状も出やすく、重症になると布団から起きあがることすらできなくなります。また、自殺願望が出ることもうつ病の特徴です。うつ病を発症した方の15%~25%が自殺によって亡くなっており、自殺者の60%がうつ病を患っていたという報告もあるのです。うつ病で病院にかかり治療を受ける方は年々増え続けており、2013年には100万人を超えました。

主な症状や特徴

うつ病の主な症状としては、やる気が出ない・何もする気が起きない・イライラするといった心理的なものです。しかし、心理的な症状よりも身体的な症状が先に出る方も多いでしょう。不眠・食欲不振・原因不明の腹痛や頭痛・下痢や便秘といった自律神経が失調したような症状がまず現れ、精神的な症状がその後に続くことも珍しくありません。そのため、まだ色々なことにやる気があるからといって、「うつ病ではない」と素人判断するのは危険です。

うつ病の原因

うつ病は、脳内に分泌される神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの量が減り、脳内に情報がうまく伝わらなくなることが原因で発症すると考えられています。生真面目で完ぺき主義の方や、気分の変調が激しい方、人のことを自分より優先することが多い方に発症しやすいといわれていますが、このような性格以外の方も発症することも珍しくありません。また、外的要因として強いストレスが発症の引き金になると考えられています。

不眠症

不眠症とは、夜眠れない・夜中に目が覚めて寝つけなくなる・早朝に目が覚めて眠れなくなるといった睡眠障害が1か月以上続く病気です。寝つけない・眠りが浅くすぐに目が覚めてしまうといった経験がある方は多いと思います。大抵の場合は数日後にはこのような症状は治まりますが、不眠症になるとその症状が長い間続き、日中にも強い眠気や倦怠感・集中力の低下・倦怠感・抑うつ状態といった症状が現れるのです。

不眠症の特徴

不眠症は性別にかかわらずすべての年代で発症していますが、若い年代より高齢の人の方が発症しやすく、60歳以上では3人に1人が不眠症と言われています。とはいえ、若い年代でも5人に1人が不眠症といわれているほど発症件数の多い病気です。

また、不眠症は、高血圧や心臓病・高血圧・糖尿病・前立腺肥大といったさまざまな病気の症状でもあります。不眠症だと思って受診したら検査で別の病気が見つかったということも珍しくありません。

不眠症の種類

不眠症には大きく分けて4つの症状があります。なかなか眠れない入眠障害、夜中に目が覚めて眠れなくなる中途覚醒、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒、眠りが浅くなる熟眠障害です。たとえ10時間眠れていても、ぐっすり眠ったという実感がなく日中に不眠由来のつらい症状が出る場合は、不眠症と診断されます。

不眠症の原因

不眠症はストレスや生活の乱れ・環境の変化などが原因で起こります。不眠が続くことで、「今夜も眠れないのではないか」という不安感や恐怖感から、ますます不眠になるという悪循環が起こることも多いでしょう。また、別の病気によって起こることも少なくありません。うつ病や睡眠時無呼吸症候群・脚むずむず症候群などを発症すると不眠症の症状が現れることがあります。

パニック障害

パニック障害とは、ある日突然、めまい・激しい動悸・息切れ・震えなどという症状と共に、強い不安感が襲うパニック発作をくり返す病気です。発作そのものは10分から長くても1時間以内に治まります。しかし、パニック発作はいつ・どのように起こるのかは予測ができません。そのため、「いつ発作が起こるか」という予期不安に悩まされたり、発作が起こりやすい場所に恐怖感を覚えたりする方もいます。

現在、パニック障害は100人に1人の割合で発症している病気です。若年者や女性、親や兄弟などがパニック障害を患っている方など多い傾向がありますが、それ以外の方でも発症する可能性は十分にあります。

パニック障害の原因

パニック障害は、長期間にわたって強いストレスがかかった場合や親しい人との離別・孤独などの環境的な要因や遺伝的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。不安を感じやすく他人を気遣える優しい方に多い傾向がありますが、性格だけが原因で発症するわけではありません。

現在は、恐怖と不安に関係する神経伝達物質「ノンアドレナリン」と、興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」のバランスが崩れてしまうことによって発症すると考えられています。一度崩れたバランスを元通りにするには、医学的に適切な治療が必要です。

パニック障害の合併症

パニック障害になると「またパニック発作が起こるのではないか」という不安が常に付きまといます。そのため、公共の場所に出かけることに強い恐怖を感じるようになるケースも珍しくありません。これを、「広場恐怖症」といいます。パニック障害を発症しても適切な治療が受けられなかった場合、予期不安と広場恐怖症が強くなることで社会生活に重大な支障が出て、うつ状態になってしまうことも少なくありません。

パニック障害の診断方法

パニック障害が疑われた場合、まずは心電図や血液検査・レントゲン検査などをして内蔵や血液などに異常がないことを確認します。その上でアメリカの精神医学会により発表された「精神障害の診断と分類の手引き第Ⅳ版」に基づいて診断が下されるのが一般的です。診断は問診が中心で、パニック発作が起きているときの症状や発作が起きる前の状態、発作が起きていない時の状態などを細かく尋ねられます。

さまざまな治療を受けたにもかかわらず
病気が改善しない方へ

根本から病気を治すためには、正しい原因を突き止めることが不可欠です。アタナハクリニックでは、インテグレートヒーリング(IH)と呼ばれる手法を用いて、体と心の状態を読み取っていきます。病気になった本当の原因を知ることで、病気を根本から改善することができるのです。詳細は、インテグレートヒーリングのページをご覧ください。

当クリニックの治療について