内的家族システム(IFS)
内的家族システム(IFS)とは
内的家族システム(Internal Family Systems Model:IFS)とは、アメリカのリチャード・シュワルツ氏が体系立てた、トラウマ治療をはじめ幅広い分野で応用されている、エビデンスのある実践的な心理療法です。マインドフルなあり方を促し、「Self」と呼ばれる「大いなる自己」に目覚めることを促します。
心の多重性
IFSでは、私たちの心は多数の副人格(パーツ)の集合体である、と捉えています。
あなたは、自分の中に対立した思いを抱え、葛藤したことはないでしょうか?
たとえば、
・ダイエットのために食事量を減らそうと思っているのに、ついつい食べすぎてしまう
・会社をやめて好きなことで独立したいけど、食べていけるか不安で、なかなか実行できない
など。
このような葛藤は、私たちの中にいるパーツたちが、それぞれに異なる意見や感情や欲求を持っているために、起きているのです。
IFSでは、私たちの「内側」でこのようなたくさんのパーツが相互に関係しあい、まるで「家族」のような「システム」を形成している、と考えています。
(なので、「内的」「家族」「システム」と名づけられました)
IFSセッションでは、徹底的に、私たちの中にいる「小さな人たち」に気づき、それらと対話することで自己理解を深め、自分自身を癒し、システムの調和を促し、それによる問題の解決や願望実現などを目指していきます。
Self〜大いなる自己〜
もう一つのIFSの大きな特色の一つが、「Self」(セルフ)という概念です。
Selfとは、パーツを超えた私たちの「本来の自己」であり、純粋な意識です。
すべての人の中にSelfがいますが、ふつうの状態ではパーツたちの下に隠されていて、表に出てくることはありません。
私たちが、パーツをパーツとして認識し、それと「距離をとる」ことで、Selfが現れてきます。
Selfは、慈愛・好奇心・明晰さ・穏やかさ・勇気・自信・つながり・創造性などに満ちており、驚くべき癒しのパワーを持っています。
一旦Selfの質が私たちの中に現れると、パーツたちはとても速いスピードで癒されていきます。
IFSでは、セラピストがクライアントを癒すのではなく、クライアントのSelfがクライアントを癒すことをサポートしていきます。
つまり癒しや問題解決のリソースは、クライアント自身の中にある、とIFSでは考えているのです。
IFSのゴールは、クライアントのSelfとクライアントのパーツの信頼関係を育て、内なるシステムを調和に導き、Selfがシステムのリーダーシップをとること(セルフ・リーダーシップ)です。
Selfであることは、パーツ(いわゆるエゴ・自我)を俯瞰して眺めている、マインドフルな視点を持つことでもあります。
トラウマとパーツ
パーツは、私たちが身体を持ってこの世界と関わるために必要不可欠なもので、Selfと同様に尊い存在です。
しかし、この世で私たちがトラウマ的な体験をすると、パーツたちは、生き延びるために、極端な役割を背負うことになります。
私たちが傷つくと、あるパーツがその傷つきによる痛みを抱えます。すると他のパーツが、その傷ついたパーツを守る、という役割を負います。
あるパーツは、傷ついたパーツが抱えている悲しみや怒りや恥や絶望などのつらい感情から私たちの意識をそらすために、何かの中毒(アルコール・スイーツ・煙草・ゲーム・買い物・リストカットなど)になるかもしれません。
または、痛みなどの身体の症状を引き起こすかもしれません。
あるパーツが持つ無力感は、私たちを慢性疲労にさせるかもしれません。
あるパーツが人の面倒ばかりを見て自分の面倒を見ないでいると、他のパーツが、「自分を大事にしなさい!」といわんばかりに、身体の不調を起こして動けなくさせるかもしれません。
(IFSによる関節リウマチの研究では、実際にそのようなパーツが多く見られました)
なぜ私はこれをするのだろう?(やりたくもないのに)、と思っている自分の行動や、悩みの種になる身体の症状は、じつは、パーツからのメッセージかもしれません。
このような、私たちにとって一見喜ばしくないことをしているパーツも、彼らの話をよく聞くと、それをするに値するじつにもっともな理由を持っています。
そして、彼らが守っている傷ついたパーツを癒すことで、彼らを極端な役割から解放することができるのです。
彼らはいつでも私たちのために彼らのベストを尽くしているので、IFSのモットーの一つは「すべてのパーツは大歓迎」です。
パーツたちについてよく知り、癒すことは、私たちの意識および身体に、大きなシフトをもたらすでしょう。
IFSセッションの実際
IFSのセッションでは、クライアントが自分の内側に意識を向け、自分のパーツを見つけ、それとコミュニケーションすることを、セラピストが導いていきます。
セラピストが何かを起こすのではなく、パーツとコミュニケーションをとる中でクライアントのSelfが現れるよう促し、Selfがセッションのリードをとることを目指していきます。
プロテクトするパーツがSelfを信頼してリードを明け渡すことではじめて、傷ついた脆弱なパーツが現れます。
傷ついたパーツがSelfのもとで癒されると、それまで極端な役割を担っていたパーツたちが、その役割から解放されていきます。
こう聞くと簡単そうに聞こえるかもしれませんが、多くの場合、傷ついたパーツはかなり厳重に警備されているため(とくに子どもの頃に虐待を受けたり、愛着(アタッチメント)の問題などがある場合)、そこにたどり着くには時間がかかる場合もあります。
所要時間・料金・ご予約について
内的家族システム(IFS)セッション料金(1回90分)
1回 25000円+税
3回チケット66,000円+税(有効期間:購入日より3ヶ月)
5回チケット100,000円+税(有効期間:購入日より6ヶ月)
10回チケット180,000円+税(有効期間:購入日より1年間)
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