マイコプラズマ専門外来
原因不明の難病でお悩みの方へ
その症状、マイコプラズマが原因かもしれません。
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マイコプラズマとは、細菌の中で最も小さくウィルスよりもやや小さい特殊な細菌のことです。マイコプラズマ肺炎という病名を聞いたことはありませんか? これは、マイコプラズマが原因となって発症する肺炎です。しかし、近年、マイコプラズマ肺炎以外にも、
- リウマチ性疾患(関節リウマチなど)
- 線維筋痛症
- 慢性疲労性症候群
- 慢性気管支喘息
- 特発性間質性肺炎
- 皮膚炎(多型滲出性紅斑など)
- 腎炎(IgA腎症、ネフローゼ症候群など)
- 神経疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、筋委縮性側索硬化症など)
- 血液疾患(溶血性貧血など)
- 強皮症
- 血管炎
- 川崎病
- ライター症候群
- 橋本病
- 尿道炎
- サルコイドーシス
などの原因の一つがマイコプラズマであるとわかってきました。
マイコプラズマとは?
マイコプラズマとは前述のとおり、細菌の中で最も小さくウィルスよりもやや小さい特殊な細菌のことで、細菌とウィルスの中間のような性質を持っています。マイコプラズマ・ニューモニエという菌がマイコプラズマ肺炎の原因としてよく知られていますが、実際には200種類以上のマイコプラズマがあり、その中で人間の病気、特に難病に関係するとして最近注目されているのがマイコプラズマ・ファーメンタンスです。このマイコプラズマ・ファーメンタンスという菌はあまり知名度がなく、今までは検査方法さえありませんでした。また、マイコプラズマ・ニューモニエも、肺炎だけでなく多くの難病に関係していることがわかってきました。
これまで検査が難しかったマイコプラズマ
マイコプラズマは他の細菌とは異なり、体液などから摂取した細菌を培養地で育てる「培養検査」が難しい細菌です。また、血液中のマイコプラズマに対する抗体を調べる検査も、正確な数値が出ない・感度が低い・特異的でない・感染早期での発見が難しいという欠点があります。マイコプラズマ肺炎も、診断が下るまで時間がかかることが珍しくありませんでした。
新しく画期的な検査方法
マイコプラズマ感染症研究センターの松田博士らは、マイコプラズマの細胞膜にある特殊な物質(脂質抗原)を発見し、それに対する血液中の特異的な抗体を調べる方法を確立しました。この検査方法を用いれば、マイコプラズマ・ニューモニエとファーメンタンスの感染を早期に、確実に診断できるのです。
2012年より、指定医療機関においてこの新しい検査方法が行えるようになりました。この検査を行うことにより、今まで原因不明といわれ、それゆえに根本的な治療が行えなかった前述したような難病を「根本治療」ができる可能性があります。
マイコプラズマの治療方法
アタナハクリニックでは、毎月第1・3土曜日に松田和洋博士の予約診療とマイコプラズマ脂質抗原抗体検査を行っています。関節リウマチ・慢性疲労症候群・線維筋痛症・筋萎縮性側索硬化症など、原因不明とされてきた病気について知りたい方は、一度検査を受けてみてください。検査の結果マイコプラズマが原因であるとわかれば、適切な治療を行うことによって症状が軽減する可能性があります。
マイコプラズマは細胞壁がないため、一般的な細菌に効果的な抗生物質では効果がありません。ミノマイシンなどの特殊な抗生物質を専用の治療計画に沿って、ある程度長期間服用する必要があります。そのため、副作用予防のために肝機能のチェック(血液検査)なども必要です。
難病をお持ちの患者様の中は、医薬品や食品に過敏反応を起こす方も多くいらっしゃいます。検査による確認をせずに抗生物質を試すことは副作用が起こる可能性が高まるため、正しい診断を行った上で治療の選択をすることが大切です。
マイコプラズマ感染症治療による難病改善への道
マイコプラズマの新しい検査方法が確立されたことにより、原因不明で根本的な治療がないとされてきた難病にも希望の光が見えてきました。もちろん、難病の原因がすべてマイコプラズマ感染であるとは限りません。複合的な原因の一つである可能性が高いでしょう。しかし、原因不明・治療法がないとされてきた病気の原因にマイコプラズマが関連していることは確かです。
もし、マイコプラズマが原因であると突き止められた場合、抗生物質を服用するという単純な方法で症状が改善する可能性があります。これは、今まで治療法がないといわれ、あきらめて体の不調に耐えてきた方たちにとっては朗報ではないでしょうか? この検査が、より多くの方の福音になることを願ってやみません。
検査項目
アタハナクリニックでは、以下のような検査を行っています。
- マイコプラズマ・ニューモニエ脂質抗原IgM抗体
- マイコプラズマ・ニューモニエ脂質抗原IgG抗体
- マイコプラズマ・ファーメンタンス脂質抗原IgM抗体
- マイコプラズマ・ファーメンタンス脂質抗原IgG抗体
この検査により、2種類のマイコプラズマに対するIgMおよびIgG抗体を調べることが可能です。ニューモニエもしくはファーメンタンスだけを調べるのか、両方の検査をするのかは症状により決定します。なお、IgMとIgGはセットで調べることが一般的です。
各疾患とマイコプラズマ
関節リウマチとマイコプラズマ
関節リウマチや関節炎の原因の一つが感染症であることが昔から指摘されており、抗生物質療法の有効性を示す論文が多数発表されています。
とくにマイコプラズマ・ファーメンタンスがリウマチの原因菌として知られています。
米国NIHによる研究
関節リウマチ患者に対する48週間にわたる二重盲検試験で、ミノサイクリン200mgを投与した群(109名)は、しなかった群(110名)に比べて、有意に関節の腫脹(54%・39%)・関節の圧痛(56%・41%)の改善がみられた。 他の検査所見(ヘマトクリット・血沈・血小板・リウマチ因子IgM)に関しても投与群で有意な改善がみられた。
Ann Intern Med. 1995 Jan 15;122(2):147-8.
米国ネブラスカ大学の研究
血清反応陽性のRA患者に対してミノサイクリン200mgを投与して4年間フォローアップしたところ次のような結果が得られた。
4年後の服薬状態(ステロイド、抗リウマチ薬) | 中止 | 継続 |
ミノマイシン投与群(20人) | 8人 | 8人 |
プラセボ群(18人) | 1人 | 16人 |
4年間抗生剤治療をしたグループの50%において、抗リウマチ薬の中止が実現された。
Arthritis Rheum. 1999 Aug;42(8):1691-5.
慢性疲労症候群・線維筋痛症とマイコプラズマ
慢性疲労症候群は、原因不明の強度の疲労が長期間(一般的に6ヶ月以上)に及び継続する病気です。主な症状は、日常生活が著しく阻害されるほどの身体及び思考力両方の激しい疲労であり、他の症状として、微熱・咽頭痛・頭痛・頸部あるいはリンパ節の腫張・原因不明の筋力低下・羞明(目がまぶしい)・思考力の低下・関節障害・睡眠障害などが認められます。
線維筋痛症とは、全身的慢性疼痛を症状とする原因不明の疾患です。全身の筋肉痛・こわばり感・倦怠感・疲労感・睡眠障害・抑うつ・頭痛・過敏性腸炎など、さまざまな症状をともないます。 慢性疲労症候群と線維筋痛症は非常に似かよった病態であり、疲労が主症状のものが慢性疲労症候群、痛みが主症状のものが線維筋痛症といわれています。
日本における患者数は、慢性疲労症候群が30万人、線維筋痛症が200万人といわれています。 両者とも、シビアな症状があるにもかかわらず、一般的な検査では異常がみつからないのが特徴です。原因としては、ウィルス感染・免疫異常・脳機能異常・ホルモン異常など、さまざまな問題が指摘されていますが、決定的なものはなく、治療法もまだ確立されていません。これらの原因のひとつとして、マイコプラズマ感染症があることが指摘されています。
オスロ大学の研究
健常者におけるマイコプラズマ感染率が10%であるのに対して、湾岸戦争症候群患者(※)を含む慢性疲労症候群または線維筋痛症患者では感染率は50%以上であった。マイコプラズマ感染のある慢性疲労症候群患者のほとんどは、抗生物質(ドキシサイクリン)の長期投与により、発病前の状態まで回復し、マイコプラズマ感染は陰性化した。
Rheumatol Int (2003) 23: 211-215
※湾岸戦争症候群は、湾岸戦争に従事した退役軍人にみられる、慢性疲労症候群と非常に類似した症状を示す疾患であり、マイコプラズマに汚染されたワクチンの接種が原因のひとつと考えられています。
米国分子医学研究所の研究
マイコプラズマ・ファーメンタンス、マイコプラズマ・ニューモニエ、マイコプラズマ・ホミニス、マイコプラズマ・ペネトランスのいずれかの感染が確認された91人の慢性疲労症候群または線維筋痛症患者において、マイコプラズマ複合感染の割合を調べた。検出されたのは多い順に、マイコプラズマ・ニューモニエ(59%)、マイコプラズマ・ファーメンタンス(48%)、マイコプラズマ・ホミニス(31%)、マイコプラズマ・ペネトランス(20%)であった。2種類の感染は30%にみられ、3種類の感染は22%であり、複合感染はマイコプラズマ・ニューモニエまたはマイコプラズマ・ファーメンタンスの感染例でのみみられた。
Eur J Microbiol Infect Dis (1999) 18:859-865
臨床医のための臨床症例定義とガイドライン(カナダの合意文書)
慢性疲労症候群の原因のひとつにマイコプラズマがあることが明記されており、マイコプラズマの診断と抗菌剤治療の提案が組み込まれている。
Myalgic Encephalomyelitis/ Chronic Fatigue Syndrome - ME/CFS (SA)
神経疾患とマイコプラズマ
筋萎縮性側索硬化症 (ALS)は、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、運動ニューロン病の一種であり、有効な治療法は確立されていません。
ドイツ・Muenster大学の研究
8人の湾岸戦争退役軍人のALS患者および28人の一般市民ALSを調査した。マイコプラズマ属の感染率は、健常者の9%に対し、ALS患者では83%であった。マイコプラズマ・ファーメンタンスの陽性率は、湾岸戦争退役軍人ALS患者で87%(1名を除き全員が陽性)、一般市民ALS患者で59%、健常者では2.8%であった。何らかの感染要因、とくにマイコプラズマ感染がALSの病態形成に深くかかわっていると考えられる。
Journal of Clinical Neuroscinence (2002) 9 (5), 525-529
※湾岸戦争退役軍人では一般人に比べALSの発生率が高いことが知られています。
有髄神経の周りを包む髄鞘(ずいしょう:神経線維のカバー)は、神経伝達速度を保つことにかかわっています。この髄鞘が傷つくことで神経伝導速度が遅くなり、多彩な神経症状が引き起こされます。このような疾患を脱髄性疾患といいます。 脱髄疾患には、多発性硬化症、視神経脊髄炎(Devic症候群)、急性散在性脳脊髄炎、炎症性広汎性硬化症(Schilder病)、感染性亜急性硬化症全脳炎、感染性進行性多巣性白質脳症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎などがあります。
日本医大の報告
26歳男性がマイコプラズマ肺炎の後に、意識障害をともなう急性散在性脳脊髄炎を発症した。ステロイド療法また免疫グロブリン療法では改善せず、血漿交換により症状が改善した。
Inter Med 48: 479-483, 2009
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