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「アマビエ」食べてコロナ終息祈願 岡山の和菓子店が練り切り発売

疫病封じの言い伝えが残る妖怪アマビエをかたどった清風庵の「終息祈願菓子」
疫病封じの言い伝えが残る妖怪アマビエをかたどった清風庵の「終息祈願菓子」
商品に添えた説明書き
商品に添えた説明書き
 新型コロナウイルス感染終息への願いを込め、疫病封じの妖怪アマビエをかたどった和菓子を、菓子製造販売の清風庵(岡山市北区下伊福)が発売、話題になっている。妖怪といっても明るい色合いであいきょうのある顔立ちにアレンジしており、店頭に並んで以来、日を追うごとに販売数を伸ばしている。

 アマビエは、江戸時代に肥後国(現在の熊本県)に現れたとされる半人半魚の妖怪。「疫病がはやったら私の写し絵を人々に見せよ」と告げたとされ、この言い伝えをもとにツイッターでは、「アマビエチャレンジ」「アマビエ祭り」などのハッシュタグを付け、イラスト、動画、あみぐるみといったさまざまな形でアマビエを表現する取り組みが広がっている。

 同社では、「和菓子でアマビエを作ってみては」との声を受け、練り切りで試作。伝承の姿絵はモノクロのため、髪は水色、くちばしは黄色、うろこや体は薄いピンクと、独自にアレンジした。ベースは白あんで甘さ控えめの優しい味わい。白あんには、市内の神社で祈念した塩を練り込んでおり、清水努専務は「新型コロナで暗い話題が多いため、かわいらしく明るい色合いにした。憩いのひとときの一助になれば」と話す。

 今月16日から「終息祈願菓子・妖怪アマビエ」としてお目見えして1週間足らず。初日は十数個だったが、SNSを通じて宣伝してくれる来店者もいて、週末は1日約90個売れる人気ぶり。「知人に頼まれた」「お土産に配りたい」とまとめ買いする人もいるという。

 同社も卒入学式の取りやめや百貨店など取引先の休業で、売り上げは前年の同じ時期に比べ約7割減と新型コロナ禍のあおりを受けている。販売期間は終息するまでとしており、清水専務は「人気を集めているのはうれしいが、1日も早く店頭からこの商品がなくなることを願っている」と話す。

 1個270円(税込み)。今後、郵送での取り扱いも検討している。

(2020年04月21日 15時30分 更新)