「バンドのビデオを作ろう」
そう言って今年に入ってからずっと取り掛かっていた作品がようやく完成した。
居酒屋の席で「こんなテーマにしたい」だとか「こんな画があったら良いんじゃないか」等と酔いにまかせて各々が好き放題にアイデアを出すところから始まった。
どの曲で映像を作るかはもう決まっていたので、その曲が自分の中でどんな曲なのかという事を改めて考えた。
僕は基本的に自身の拙さや愚かさと言った類のものに向き合う事でしか表現ができない質なのだが、この曲は僕のそのルサンチマン的な手法の筆頭格とも言えそうな曲であった。
僕は自分自身のその、表現の中でしか感情を吐露したり、伝えたい事を述べたりができない高慢ちきな態度が憎たらしくて仕方がない。自分は音の威を借り「これは詩なのです。皆さん、くれぐれも文面だけの意味で捉えないでください。」と前置きをしなければ告白の一つもできない卑怯者なのだと考え出してしまうともう、その日は一日腑抜けた様な心持ちで終わってしまう。
つまり、僕にとって作曲は懺悔室を拵えることで、詩を書くとは罪を告白することなのだ。
最近はそんな独りよがりで音楽を気持ちよくなる為の道具として使うことしか能がない自分と決別したい、そんな事をいつも考えてる。(こうやって文に起こそうと思ったのも、その心変わりが冷めないうちにと思ってのことである。)
音楽は僕たちを救わないし殺しもしない、ただそこにあるものだからこそ素晴らしいとやっとそう思える様になった。
そんな経緯で「ギターで血を浴びる」「ギターを埋める」というシーンを作った。
監督と出演してくれた創士くん、ねのちゃん、ずっと一緒にやってくれてるメンバーの二人には本当に感謝してる。
後、あんな馬鹿みたいな曲作った3年前くらいの自分にも、一応。
海、また行きたいな。