@chablis777
シャブリ

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♪~(歌声)
(御手洗)ストップ イット!もう どうしたの?
(音)手紙が… 来ないんです。
あれは ファンレターよ。あなたにとっては大切な一通でも彼にとっては ありんこの中の一匹。
宇宙の 瞬く無数の星の中の星屑。いや 数の子の中の一粒ぐらい…。
先生 もういいです。ミュージック ティーチャーね。
また書こうかな。
いいけど… 期待しちゃ駄目よ。
彼は 未来のインターナショナル コンポーザーよ。
今のあなたとは クラスが違うわ。
先生って はっきり言うから… 好き。
ありがとう。私は ミュージック ティー…。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
手伝うよ。(岩城)ああ。
昔は 作業場に入ることを叱っていた岩城も最近は人手が足りず 音に手伝ってもらうようになっていました。
ねえ 岩城さん。うん?
岩城さんは 何で結婚せんかったの?
女には興味ないで。
そう? そうかな?うん?
お母さんのこと どう思っとんの?
別に何も。ふ~ん。
まあ いいけど。
お嬢は 結婚せえへんのかん?
うん。 歌手になるから。
残念だのん。えっ?
お嬢は筋がいい。安隆さんの腕を継いどる。
昔は作業場入っただけでも怒っとったのに。
ハハ… まあ そんな時代じゃないらあ。
腕がありゃあ 女 子どもは ないて。
へえ~ ちょっと見直したわ。
(吟)音!
来たわよ!
(裕一)「お手紙 ありがとうございました。たくさんの手紙の中で 音さんの言葉が特別に私の心に響きました。『竹取物語』という共通点音という名前 そして何よりあなたが歌手を目指しているということに興味を引かれました。あなたの好きな詩と音域を教えて頂けたらあなたのために曲を作りたいと望んでいます」。
やった~! やった やったやった やった! すごい!
(梅)うるさいわ~!見て見て 私のために曲作ってくれるって。
えっ?正直 絶対 返信ないと思っとった。
行動してみるもんね。やって後悔するより やってしまえよ!
痛い!「やらんで後悔するよりやって後悔する方がマシ」だと思うけど。
う~… 曲 楽しみ!
詩 何にしよう? ねっ 何がいい?
えっ?
これ どう?
うん!
「君を思えば はるかなり浪のかなたを はるかなりたよりをよめど かすかにて涙のうちに はるかなり」。
すてきな詩だな~。
♪~
(茂兵衛)留学なんぞ 絶対に許さんからな。
えっ?
もう待てん!すぐにでも養子縁組みの手はずを整える。
以後 父親は私だ。 三郎でない。
りゅ… 留学に… はん… 反対ですか?
当然だ! お前は権藤家の跡取りだ。
音楽家にするために養子にするんでねえ!
はい…。
(三郎)すまねえ… 取りつく島がねがった。
いいよ。 大丈夫。 期待してなかったから。
(ため息)
茂兵衛伯父さんが反対すんの当然だよ。
おめえ やけに冷静じゃねえか?
何か変だ… もっと怒っとか茂兵衛の悪口言うとか俺に当たっとかあってもいいんじゃねえか?これは おめえにとって人生最大の好機なんだぞ。
分がってっけど 実は…。(三郎)何だ?
い… いい。何だ? 言えよ。
すてきだろ?
もうちっと マシな紙で書いできてもよさそうだけどな。
あ~ 違うよ!これこそが すばらしいんだよ!
常識にとらわれない感性。
ファンレターの中で 彼女だけが僕の音楽に興味持ってくれたんだ。
見て ここ… ほら。
おめえ… 恋してんのか?
会ったこともねえ 手紙だけの女に。
(浩二)何で コンクールなんかに勝手に応募しちゃうわけ?
(まさ)すごいことでしょ。 世界で2位よ。
はあ… 留学したら 喜多一潰れんだよ?家族 ぐちゃぐちゃだよ?
分がってんのかな? あいつ。
兄さんのことそんな悪く言うもんじゃないわ。
はあ…。
母さんの意見 聞かせてよ。
私にも何がいいのか 何が家族にとっての最善策か 分かんないの。
そんなの決まってるよ。留学やめたらいいんだ。
そうかしら?
母さんも… 賛成なの?
東北で2台目ですよ。
うん?
天下の喜多一が借金しろっつうのか!?
いやいや… だって貸してくれっとこがあっかどうかも…。
お願えします! このとおりだ。
(大河原)旦那さん ご決断を!
ほら 持ってけ ジャンジャン!おい 落とすなよ! 危ねえ… 早く運べ!
よし… ゆっくり置け。
京都の呉服 一手に引き受ける!
東北全部が商売相手だ!
(及川)大変です… とんずらしたって!
えっ!?(及川)百貨店の呉服売り場の人が言ってました。
あんたしか喜多一を助けらんねえ!このとおりです!
どっちかを養子に出せ。融資の条件は それだけだ。
(大河原)風邪ひかねえようにね。
♪~
一度…一度 金のために 魂 売っちまったらもう取り戻せねえんだな。
あいづに… 茂兵衛義兄さんに何も言えねがった。
裕一は?
冷静だった。 それに あいづ…こんな時に文通相手に恋してやがる。
とぼけてるっていうか…大物っていうか…。
あ~ 行かせてやりてえ~!
ありえんって! 信じられる? この親。(吟)うん?
複雑な事情って何だろう?
どんな事情があってもこんな機会逃すなんて考えられん。
んっ!
フフッ。ふ~ん。
まあまあ男前じゃん。あたしは美醜なんて気にしない。
あなたの写真が欲しいって書いてあるわよ。
そう。 それが ちょっと不安。美醜 気にしとるじゃん。
裕一さんが気にするかもしれんじゃん。
そんなら その程度の人よ。
そうだよね… そうだ。
それから 2人は数え切れないほど手紙を交わしました。
好きな音楽のこと 家族や友人将来の夢 不安。
何でも手紙につづりました。
音楽の夢をひたむきに追う音に感化され裕一の音楽留学への思いが再び膨らんできました。
♪「はるかなり」
まあ~ ロマンチック!
「いかに 2人の間が離れていても心は結ばれています。将来 日本楽壇… 否 世界楽壇のトップを進む楽人になりましょう」。
「今後 作曲する全てをあなたにささげます。 古山裕一」。
ありがとう。
やっぱり ファンタスティックな音楽を創造できる人は文章も ハートも ビューティフル。
あなた いい人と出会ったわ。
ただ 留学を反対されているらしくて。
ホワッツ!? ありえない!
でも 留学したら したで最低5年は学ばんといかんらしくて。
はあ… いいわね。私も ドイツに帰っちゃおうかしら。
もう日本は堅苦しいわ。
5年…。
だったら あなたも行ったらいいじゃない。
(光子)いくらかかるか分かっとんの?イギリスまでの船賃が450円。
今のお金で 130万円くらいです。
裕一さんは ちゃんと賞を取って学校への入学許可ももらってしかも お金までもらって 行くの。
あんた…今 行っても な~んも学べんわよ。
運命 信じとるの?
幸せな人だわ。私は自分の力しか信じない。
(三郎)ええ~っ!?
そんな中想像だにしない知らせが届いたのです。
ええ~っ!?


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